僕がVRの姫プと女装にのめり込んでリアルでメス堕ちして男装女子に喰われるまで。~男がことごとく女の子になるVRなチャットという魔境~   作:あずももも

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23話 悪化していくメス堕ち

「なるほどでござる……女子ゆえの悩みと」

 

「そうなんですよ……ストーカーとかDMとかプラベとか、遠い世界の話だって思っていたので」

 

その日、僕はリヒターさんをプラベ――こっちから招待しないと入って来られないインスタンス――場所へ招待して、愚痴をこぼしていた。

 

「確かにでござるなぁ……女子は大変だと耳にはしているでござる」

「僕もですよ。『大変だなぁ』って適当に相づち打って総スカンな身で居たかったんです……」

 

「そう聞くと、本当に男性の感覚を持っているのでござるなぁレイ殿は」

「だから男ですって」

 

「信じさせてほしいでござる……あ、本当に嫌ならはっきりと」

「別に良いですけどね……リヒターさんなら」 

 

はぁ、と漏れる声はもはや色気すら感じる始末。

 

普通に話す声も、意識しないとうっかり声音が女の子に近づいてるからなぁ……特に急に呼ばれたときがやばいんだ。

 

……こんなんだから、リヒターさんも僕のリアルの性別がどっちか、冗談半分でも分からないのかもなぁ。

 

「学校では、学園祭もまだ先なのに勝手にみんなでコスプレ喫茶になりますし、男子はほぼ強制で女装することになりますし」

 

「ほう……」

「女子は男装。良いですよね女子は、ただ露出抑えるだけなので」

 

「女装……」

「まぁみんなで一斉にするんなら目立たないので気にはしませんけどね……」

 

嘘だ。

すっごく気にしている。

 

……それもこれも、事あるごとにアイツがささやいてくるからなんだ。

 

「……女装子デビューでござる?」

「そういうことになりますかねぇ……クセにならないと良いんですが」

 

「写メは?」

「送ってどうするんですか……」

 

「写メ……」

「……そういうアカウントみたいに、顔とか出さないんなら別に良いですけど」

 

なんだか最近「そういう噂」が広まったのか、僕のSNSアカウント――もちろんVRなチャット専用のだ――には、女装の自撮りを上げたりしている人からのフォローとかが増えてきている気がする。

 

……僕のことをリアル女子って思ったり女装してるって思ったり。

 

ネットの向こうの人たちって、案外バカなんだなって思う。

だって、そういう「釣り」アカウントかもしれないのにさ。

 

「……しかしレイ殿。そういう話を拙者のような相手にするのは良くないでござるよ」

 

「? なんでですか?」

 

写メを送るって聞いて、デスクトップ特有の狂喜乱舞をしていた彼は、ふと落ち着きを見せる。

 

「リアルの情報を簡単に教えてはいけないでござる」

「え、でも、リヒターさんですし」

 

「ぬぐっ……そういうのも良くないでござる?」

「? そういうのって?」

 

「いや、だから……こっちは完全に男と分かっていて、しかも以前お砂糖という求愛をした相手に……」

 

「リヒターさんじゃなきゃ、言わないですよ?」

 

「      」

 

リヒターさんは、良い人だ。

 

普通に良い人。

 

話し方はエセサムライだし、なのにアバターはイケメン騎士だし、だけども中身は常識的な人だ。

 

お砂糖――ネット上のバーチャルで仮想空間上の恋愛関係のオファーも、僕が保留って言ってからは、あっちから言い出すことはない。

 

これが下半身直結な男だと――うん、僕が女の子だって思われたり、なぜか女装してるって噂が広まってきてからもだけど――しつこく連絡してくる。

 

今日、こうしてふたりきりで会っているのだって、僕から頼んだこと。

 

彼からこういうのを――お砂糖関係だと、こういうクローズドなスペースでおっぱじめるとか聞くし――言い出したことは、1回もない。

 

あれだ、人類総メス堕ちなVRなチャットでは、プラベにふたりきり=本物の女子が男子を自室に招くレベルのことだからな。

 

だから、リヒターさんは良識的でまともな人物だ。

 

たとえ僕の肉体が本当に女の子だったとして、迂闊にも実際に会う約束をしたとしても――こうして「こういうのは危険でござる」って忠告してくれるだろう。

 

ネット上、顔も分からなければ身長年齢性別職業経歴の全てが分からなかったとしても、累計で1ヶ月くらい頻繁に話していれば、その人の人柄くらいは分かるものだし。

 

「リヒターさんは、隙だらけな女の子相手だったとしても、きっと紳士的に対応するだろうって思いますから」

 

まぁヘタレ――いや、僕みたいにリアルで男でも腕力的に平均以下だと力尽くじゃ負ける。

 

けど、彼はそういうことはしない。

 

されたら?

 

……そのときは、僕の見る目がなかったまでだろう。

 

「リヒターさんくらいですかね、こうして安心してそばに居られるのって」

 

「……そ、そういうのも……いけないで……ござる……」

 

「? そういうの?」

 

彼のアバターが微動だにしなくなった。

あと、声の出てくる方向がなんかくぐもってる。

 

……イスに座ったまま何か取ったりしてるのかな。

 

「……れ、レイ殿は……もっと、ご自分の声とキャラと、見た目とアバターを」

「声はともかく……アバター?」

 

僕は最寄りのミラー――ワールドに設置されている壁一面の鏡をONにして、僕の姿を映し出す。

 

銀髪ロング紅眼ケモ耳尻尾の、高校生くらいの見た目のアニメキャラ。

 

僕のいろいろを直撃する、可愛すぎる姿。

 

うん、かわいい。

 

「かわいいですけど、これ、同じアバター使ってる人なら誰でも」

「違うのでござる……そうではないのでござるぅ……」

 

あ、そういえば今日は新しい衣装買って着せてたんだった。

 

「このセーラー服、かわいいですよね。うちの高校の女子のに似てるんですよ」

「こ、個人情報……」

 

「や、似てるってだけで特定とか無理でしょうし」

 

くるんっと回ってみたり、いろんなポーズを取ってみたり。

 

悔しいけども――たぶん演技指導で食っていける気がする中村から叩き込まれた「女の子らしさ」のおかげで、ちょっとオーバーなくらいでちょうど良いかわいさを演出できている。

 

「声は――こう、高くしないと女の子らしくないですしぃ?」

 

「う゛っ……」

 

……あ、さすがに恥ずかしい。

 

リアルでは男って伝えてる常識人相手にこれやるのは恥ずかしい。

 

……文化祭では普通に男の声にしておこう……あと、なるべく目立たないように隅っこで耐え忍ぼう。

 

「そ、某が悪い男だったら――」

 

「――リヒターさんなら、いいかも」

 

「      」

 

僕は、メス堕ちしている。

 

もし男に強引に迫られたら――今の段階でさえ、どうなるか分からないレベルで。

 

それならせめて、リアルで堕ちるよりはバーチャルな世界で堕ちる方がマシ。

 

そうだ、ヒカリみたいなのに冗談で弄ばれるよりは、たとえ男だろうと紳士にしてくれそうな相手の方が――じゃないじゃない落ち着こう僕そうじゃないんだ僕は男だ男なんだ好きなのは女子なんだ僕が女子になってどうする……。

 

「うぉぉぉぉ……」

 

「      」

 

……最近、アイデンティティーがやばい。

 

調べたところ、生粋の男でもふとしたきっかけでこうなることはそれなりにあるらしい。

 

特にバーチャルな世界だと。

 

違う。

 

違うんだ。

 

僕は、高校で彼女を作ってリードしてっていうのをこの3年での目標にしているんだ……僕が彼女になってリードされてってのは目標にしていないんだ……。

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