僕がVRの姫プと女装にのめり込んでリアルでメス堕ちして男装女子に喰われるまで。~男がことごとく女の子になるVRなチャットという魔境~   作:あずももも

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30話 宅コス即バレ

「………………………………」

 

「い、いや、これは違うんだ」

 

終わった。

 

僕の人生はここで終わった。

 

母親に、こんな格好がバレた。

 

男としての大切な時間もバレたことがないのに――たぶん、それよりも恥ずかしくて情けない姿を見られた。

 

「だ、だって、今日も帰り遅いって」

 

――もう見られているんだ、何もかもバレているんだ。

 

そう、頭では理解しながらも僕の口は情けない弁明を試みている。

 

ああ。

 

ドラマとか小説で、覚悟していない罪を犯した犯人がしどろもどろになって、誰が聞いても嘘だって分かる言い訳をする、あの場面。

 

頭が真っ白になって、血の気が引いて、考えられなくって――そんな中で必死にこの場をごまかそうとしようとすると、どこかで聞いたセリフを吐くしかないんだな。

 

そんな思考が、冷静な思考が、僕を俯瞰している。

 

――ああ、そうなんだ。

 

こういうとき、人って、ある意味悟っているんだ。

 

「……玲」

 

「こ、これはっ! そ、そう、ヒカリ! 中村が! ……で、電話で! ビデオ通話で! 見せろって言うから!」

 

とりあえず何かあったらアイツに投げる。

 

というかそもそもアイツ、この前もうちに上がって僕の部屋物色してたからな……それを止めなかった母さんも悪いんだ。

 

いくら学校の友人でも、せめてひと言止めてくれなかった母さんが悪いんだ。

 

「だから――」

 

「……良いの、分かってるから」

 

「僕は女装なんか――あ、本当?」

「ええ」

 

あれ?

 

なんだか想像していた反応とは違う気がする……?

 

もっとこう、「ごめんなさい……そこまで追い詰めていただなんて気づけなくって」っていう僕がストレスでノイローゼでフェチシズムに逃避した可能性からさめざめとなくパターンか、「こそこそ隠れて変態的なことをしていただなんて……恥ずかしい」って怒りながら泣く、息子の残念さに呆れるパターンかって思ってたんだけど……?

 

「玲……分かっているから」

「母さん……」

 

母さんはドアに片手を掛けて、片手で目元を拭っている。

 

「そ、それなら良かった! あ、そうだ、前に夕食のとき話したけど、学園祭で――――――」

 

「玲は、かわいいわよ」

「女装を――……は?」

 

え?

 

なんだって?

 

僕の母親は、今なんて言った?

 

「ええ、とてもよく似合っているわ」

「あの、母さん……?」

 

母さんが優しい目をしている。

 

なぜ?

 

どうして?

 

「そうよね、思春期だもの」

「あの、思春期がどうしたって?」

 

なんだろう。

 

良く分からないながらも、これはまずい展開だって僕の何かがささやいている。

 

「思えば、小さいころは女の子のお友達が多かったものね」

「え? ……あー、確かに。小学校までは……?」

 

10歳くらいまでの男子は、大体次のグループに分かれるものだ。

 

かわいい女子に囲まれて、ずっと話しているグループ。

 

そんなのは気にせずに、休み時間のたびに男子同士で走り回るグループ。

 

机で静かに本を読んでいるタイプ。

 

そして、そのどれでもなく、ときには男女で話したりするも特徴のないグループ。

 

――僕はもちろん、最後のだった。

つまりはなんにも考えず、ただ教室に居ただけ。

 

そして、それは女子もおんなじで――つまるところ、かっこいい男子と話す勇気がないか興味がなく、さりとてスポーツに興じるほどの元気もなく、けれども文字だらけの本も退屈っていう子たちが同じくらい居て。

 

気が合う僕らは――クラス替えでお互いに名前も忘れる程度の友達として1年を過ごしていただけ。

 

それが何か……?

 

「ちょっと待ってて」

 

そう言い残して廊下をぱたぱたと走り去った母親を待っているあいだ、特に輝いてもくすんでもいなかった小学生時代を思い出していた僕の前に――なぜか封筒を持って戻ってきた姿を見る。

 

「?」

 

「これ、あげるわ」

「この封筒が……って、え!?」

 

渡されるままに開けたその封筒には――1万円札が何枚も!?

 

「い、いや、急に何このお金」

 

「いえ……女の子は男の子よりお金が必要だから」

 

「いや、僕は」

「良いの、分かってるから。何も言わないで」

 

ぐいっと――優しいのに有無を言わさない力で押し返される封筒。

 

「僕は」

 

「共働きなせいで、小さいころからずっと鍵っ子にしちゃってて……気づけなくてごめんね。けど、玲は充分かわいいから」

「いや、違っ」

 

いやいやいやいや。

 

違う、そんなに深刻な話じゃない。

違うんだ、母さん聞いて。

 

なんだかとんでもない方向にすっ飛んでいきそうな、

 

「今度メイクとか教えるわね。香水とかも、私の学生時代のが残ってるから」

「いや、だから」

 

「あと、玲の入った高校はそういうのに理解あるところだから」

「話を」

 

「高身長女子としてのファッションならきっと似合うわ。……いえ、ロリータ趣味だったりしても応援するわよ」

「待っ」

 

「じゃ、お母さん、夕飯作ってるから」

 

ぱたぱたぱた。

 

「………………………………」

 

……え?

 

すごい勢いでまくし立てられたんだけど……え?

 

「…………え?」

 

僕は、呆然と立ち尽くしていた。

 

……うちの学校の、女子の制服を着て。

 

「あ、あとね?」

「うわぁっ!?」

 

――と思ったら、ひょっこりと戻ってきていた母さん。

 

「……この前の女の子とか今の男の子とか、引っかけすぎると後で大変よ?」

 

「えっ」

 

えっ?

 

「……この前のも、見てた……?」

 

「だって、ノックしても返事がないから」

 

……ああ。

 

「お話に夢中みたいだったから……でも、そのヘルメット? 声が結構聞こえてくるから」

「ああ……」

 

もうダメだ。

 

僕は……僕は、女の子座りをして演技指導の通りに腕を動かして声を高くして。

 

そして今日はとうとうに女装している姿でネット上の顔も知らない人と話しているのを――楽しんでいるのを、よりにもよって、母親に見られていたんだ。

 

そうだ。

 

VRゴーグルの欠点は、それだ。

 

バーチャルの世界に没頭しすぎて、リアルの世界の情報が入ってこないこと。

 

そんなのは、とっくに知っていたのに。

 

「……ちなみに、どっちが本命? 女の子? 男の子? それともこの前来てた中村――」

 

「中村だけはないから!!」

「……あらあら♪」

 

もはや弁明は不可能。

 

でも、たった1つだけは主張しておく。

 

「……理解あるんでしょ? 中村さんなら良いんじゃない?」

「良くない! あいつだけは!!」

 

そうだ。

 

たとえ女装をしている息子として女装しながら媚びている姿を見られようとも――あの悪友、元凶、悪魔とどうこうっていう想像だけはされたくない。

 

「お似合いな気はするけど……だって、うちに来て玲の部屋に上がるほどに」

 

「あいつはずうずうしくて遠慮ってものがないだけだからぁ!!」

 

「……かわいい声で怒るのね……?」

「はっ!?」

 

僕は慌てて口を押さえて――その動きもまた、演技指導のとおりで。

 

「かわいいわよ? 玲。……写メ撮って良い?」

「後生だからやめてくれ……」

 

ああ――僕は、もうダメだ。

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