僕がVRの姫プと女装にのめり込んでリアルでメス堕ちして男装女子に喰われるまで。~男がことごとく女の子になるVRなチャットという魔境~   作:あずももも

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37話 拡散する自撮り

「うわぁ……」

 

「きゃっきゃっ」

 

「少し静かにしていてくれないか? 顔にストレート入れたくなる」

「はぁい」

 

着けたままのウィッグを弄びながら耳元で騒ぎ立てるヒカリ――中村へ、思わずで渾身の拳を叩き込まなかったのは、きっと僕が我慢強いからではなく、諦めからだろう。

 

ぴこん、ぴこん。

 

次々とリプライが飛んでくる。

 

【レイさん!? いきなりまさかの自撮りを!?】

【かわいい】

【意外とある……フォローしました】

【レイさんが男の娘とか言ってたの誰だよ! 普通に女の子じゃねぇか!!】

【いや、本人が言ってたし……】

 

ああ……リプとDMがひどいことに。

 

「男って現金だよねぇ。女体って分かった途端にこれだもん」

 

「女体じゃない。あと、それをお前が言うか」

「えへ♥」

 

――自撮り、もとい自撮り風にされた盗撮は、ぱっと見ると女性。

 

いや、ほら……女装させられるときはパッド入りのブラジャー着けさせられるのが当然になってるから……だから……うん、胸が、ね。

 

髪はウィッグって明らかに分かるだろうけども、だからこそ――その下の髪の長さや髪型は、判別できない。

 

【B……Cあるか?】

【盛ってるだろうからAと見た】

【レイきゅんはレイきゅんだって信じてる!! ただのパッドよ!!】

【しっしっ】

 

あーあー、女の子の自撮りって信じたい男たちと、なぜか僕を執拗に「男の娘」「女装っ子」扱いしたい――男女半々の勢力が争っている。

 

「はぁ、これだから……人間ってバカばっかだね」

「うん、お前が言うな」

 

「ほらほら見て見て」と、目の前に三つ編みにされているウィッグ。

 

……コイツ、手先器用なんだよなぁ……ああ、姉がいるって言ってたし、きっと手伝いとかさせられているんだろう。

 

そういうことにでもしておかないと、僕の中の怒りが沸騰しかねない。

 

【銀髪……さすがにウィッグだよな?】

【染めてる可能性……ほら、急に自撮り上げ始めたし】

【まさかレイヤーさんだったのか……?】

【お肌白い……】

 

【顔……顔が見えない……】

【うわ、指ほっそ】

【あれ? これ、白飛び以外加工してない……え? マジで?】

【ふむ……ぎりぎりで見えるふともも……うむ】

 

「レイきゅんって指ほっそーいよね」

「……小さいころピアノをしていたからかな」

 

「あと小さい。ほら、俺ちんのと比べると」

「小さい言うな……これでもコンプレックスなんだから」

 

「レイきゅん?」

「何だよ」

 

「女装するために生まれてきた天使とかじゃない?」

「んなわけあるか」

 

ぴこん、ぴこん、ぴこん。

 

数秒おきに通知が膨らみ、自撮り風盗撮ポストの数字が伸び、フォロワー数が跳ね上がっていく。

 

「……昨日までは……これ、VRなチャット用のアカウントだから、フレンドさんたち100人程度だったのに……」

「FF比、ほぼ1。うむ、趣味の交流用アカウントだったね」

 

――もはや、手遅れ。

 

もう、この流れは止められない。

 

たとえポストどころかアカウントを消しても、もう――。

 

「レイきゅううん……!」

「殴っても良いよな」

 

「これでさ? ――女装、しなきゃいけなくなっちゃったね?」

 

「っ……」

 

「意見は半々。姉ちゃんの服ってば、ブランドの良いやつだからさぁ、女子から見ると『同類』なんだよねぇ……」

 

――確かに。

 

僕は、偽乳で膨らんでいる胸元の下の――確か2個上の、悪友の姉の服を眺める。

 

明らかに手触りの良い生地、細かい刺繍とか飾りがうるさくない程度についていて――制服以外の女装用の服とは価格帯が違うだろうってのは、男の僕ですら分かるもの。

 

「女子ほど気づくんだよねぇ。『これ、半年前に流行った、健全な女子高生がギリ買えるレベルのブランドので、色の組み合わせとかも「自分たちと同じ」女子が選んだもの』なんだってさ」

 

――ぞくっ。

 

悪寒が、走り抜ける。

 

「ヒカリ……まさか、そこまで」

 

「清楚系だけど、清楚系だからこそ肌の露出はほとんどなくて、まさにお嬢様。……こういうの、体格とか隠しやすいから女装アカでは多いファッションなのよ。だから、女装とか追っかけてる人たちは、男の娘だって思いたがる。レイきゅん、SNSで自我出さないタイプだからさぁ、VRなチャットでのレイきゅん知らない人からは、レイきゅんの性別は想像できない」

 

思わず見てしまった、奴の目は――悪魔の「ヒカリ」を宿している。

 

「女子からは女の子、または上質の男の娘。男子からは男の娘――または本物の女子。うんうん、これからも姉ちゃんの服かっぱらってきて着せたげたら、どっちとも取れるコスプレアカ爆誕だね♪ 良かったねぇレイきゅん、これ、VRなチャットでのレイきゅんの扱いとおんなじよん?」

 

「お前……」

 

「本人は男だって言い張ってるけど、明らかに女子っぽくて? ナンパとかトラブルが嫌でネナベ――男のフリする女子も多いし? けども話してると男にも聞こえるし、けどけど声は高めだし、ちょっとした声とか仕草は俺ちんの演技指導ですっかり女子。――さてさて、周りはどこまで振り回されるだろうねぇ、恋い焦がれるだろうねぇ、混乱するだろうねぇ、欲望膨らませるだろうねぇ」

 

もはや――ブレーキを、木っ端みじんにしやがったヒカリ。

 

僕は、こいつのせいで――

 

「うん、そうだよ? 俺ちんのせいで、レイきゅんは『今後も、そう振る舞わないといけなくなった』わけ。俺ちんのこと、恨んでくれても良いよ♪」

 

――ああ。

 

こいつは、悪魔だ。

 

僕の性格から、こういう反応になることまでを、すべて……。

 

「……なぁヒカリ」

 

「なぁに?」

 

僕は――こっそり自撮りしようとして練習していた笑顔を、初めて披露する。

 

「うわっ……待って待って、マジそれやば――」

 

「これで僕がメス堕ちし切ったら――責任、取るよな?」

 

「ぱしゃぱしゃ……うんうんもちろん!! 姉ちゃんを差し出しても良いよ!!」

「おーし、差し出そうとして酷い目に遭うお前を見ればさっぱりするな」

 

もう、僕は吹っ切れた。

だって、もう、手遅れだから。

 

だから――ヒカリがひたすらに写真を撮ってくるのに、応えた。

 

言われるがままのポーズ、表情、しなを作り。

 

……ああ。

 

僕は、もう、手遅れだ。

 

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