僕がVRの姫プと女装にのめり込んでリアルでメス堕ちして男装女子に喰われるまで。~男がことごとく女の子になるVRなチャットという魔境~   作:あずももも

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48話 女の子の悩みを知った僕

「なぁ……レイきゅん」

 

「? なに? ヒカリ……ちゃん?」

 

「ヒカリちゃん」。

 

最近はそう呼ぶようになったヒカリが、ぽつりと話しかけてくる。

 

「あれが……噂の……」

「この前、新衣装のコス自撮り上げてた……」

「ちなみに、隣に居るのが……」

 

わいわいがやがや。

 

広いワールドで、思い思いにしゃべっている時間。

 

今日の僕は――手を動かすタイプの宿題があったもんだから、自然に学校から着いてきて自然に僕の家に上がって自然にお菓子を要求してきたヒカリと一緒に、デスクトップモード――つまりはアバターは棒立ちにしつつ、手だけを動かしながら宿題中。

 

お互いに安物のヘッドセットをしてはいるけど、だからこそ塾の自習室みたいな感覚で集中できていたのに……もう。

 

「今週の数学めんどいよなー」

「な」

「問題集をいきなり出すなんてさ」

「おい、レイきゅ――さんが居るってば!」

「わ、悪い」

 

周りにはそう伝えてあるからあまり話しかけられないし、けどもまるで「学校の自習時間」みたいな感覚で勉強できるから、気が楽だ。

 

よく分からないけども、比較的新しいフレンドさんが多いとなぜかそういう雰囲気になるんだ。

 

……ほぼ全員が、自分から同年代って言ってきてくれたからそう錯覚しているだけなのかな。

 

まぁ高校生に囲まれてるんならおかしくはないけども。

 

「ひっじょーに言いにくいことだから、あえてバーチャルで言うんだけどさ……」

「いや、どうせ横に座ってるんだから意味ないよそれ……」

 

そうだよ……だって僕の机の横に――父さんがいそいそと買ってきた折りたたみの机を置かれ、余ってたイスも置いてくれちゃったもんだから、僕たちは今、まるで学校で席をくっつけて座ってるみたいな形になってるんだから。

 

いやまぁ、勉強は捗るけどさぁ……悔しいことにおんなじ授業受けてもヒカリの方が圧倒的に飲み込みが良いから、すぐに教えてくれるし……。

 

実際、成績上がったのも母さんから伝わってるし、だから歓迎されているんだろう。

 

それ以上の意味は……ないって信じたい。

 

うん。

 

………………………………。

 

……男としてのプライドが。

 

そう言いたいところなのに、メス堕ちした僕には……そんな物は存在しない。

 

悲しいね。

 

「で? さっさと言ってよ」

 

「あ、うん。……怒らないでね?」

「内容による」

 

「怒らないでね?」

「だから内容」

 

「怒るんなら言わない」

「……分かった分かった」

 

ああ。

 

……コイツ、この会話を周囲に聞かせて、本当に怒られるのを阻止する目的でわざわざ今、言い出してやがるんだ。

 

ほら、今もちらちら見られてるし。

 

ま、大多数の人たちとは距離はちょっとあるし、それこそ「VRなチャット本体とパソコンかスマホの音量を最大にした上で、それをなにかで増幅しない限り」会話はほぼ聞こえないだろうし、意味はあんまりないけども……いや、それでも僕が怒ったりしたら分かるか。

 

本当に人間関係とかに関してはすごいよなぁ、お前……いや、僕が勝ってる部分はなにひとつないんだけどな。

 

せいぜいが背の高さと、それに比しての体重の低さ。

 

……生まれ持っての身体的特徴は誇れるものじゃないし、男として体重が増えないのはイコールで筋肉が増えないってことで、やっぱりいばれるものでもないんだけどね。

 

「で?」

 

「……うん。 端的に言うとだね」

「だから早く」

 

「――レイきゅん。最近、ちょい太ったでしょ」

 

「!?」

 

……え?

 

太、太……!?

 

「!?」

「!?」

「え!?」

「今……!?」

「待て……ヒカリさんの話を聞こうじゃないか……」

 

「………………………………」

 

「ま、待って!  待って待って待って!! 怒らない! 怒らない言った! レイきゅん、マイフレンド! おーけー!?」

 

がたた、と音を立ててイスごと距離を取る光。

 

「……太ってないぞ」

「や、でも」

 

「太ってない」

「だから」

 

「太って――――」

 

「……その。スカート。……今、横から見ちゃって確信したんだけど……お肉、乗ってる」

 

「!?」

 

僕はがばっと体をよじり、わき腹を確認――――――

 

「    」

 

「……穿くとき、お腹引っ込めて……んでたぶん今もちょい苦しいの我慢してるでしょ……? 体に悪いよそれ……? ボタンのやつって、サイズ変わるとねぇ……」

 

――――――――乗っていた。

 

ぷにりと。

 

「………………………………」

 

確かに――最近、きつかった。

 

息が苦しかった。

 

お風呂に入ると、腰のライン――なんでも男女の体の造り的に、ちょっとだけ普段より高い場所で留める意識にしているけども――が、赤くなっているのを見てはいた。

 

ああ、見てはいた。

 

けど。

 

「……体重……測ってる?」

 

「……こわくて……」

「気持ちは分かる。分かるよぉ」

 

うんうん、と、隣の席で深くうなずく光。

 

「最近、甘いものたくさん食べたもんねぇ」

「……うん……」

 

「スイーツ、お義母さんがおこづかいくれるもんだから、食べに行っちゃってたよねぇ」

「……うん……」

 

そうだ。

 

僕を気遣っているのか、それとも楽しんでいるのか――なぜか中村が一緒に行くのを条件に「女の子の格好するならあげるわ♪ 女の子はお金がかかる生き物だから!」とか言いながら、これまでの小遣いの数倍をぽんとくれるようになっちゃったもんだから。

 

それで、それで……。

 

「ダイエット……がんばろうねぇ。や、付き合ってる俺ちんがデブったんだから、同じもん食べてるレイきゅんがそうならないはずがないんだもんねぇ……」

 

「……ヒカリも……?」

「うん……そうなの……」

 

「……がんばろう……」

「うん、がんばろうねぇ」

 

はぁ。

 

僕たちのため息が重なる。

 

「……これは……どっちなんだ……!?」

「私、レイさんは女装に目覚めたばっかりの男子だって……」

「俺、本当は女の子って聞いたんだけど……」

 

「生来の男の娘って! ショタって聞いたんだけど!!」

「しっしっ」

「緊急会議だ……ああ、そうだ……『R』についての重大な情報を手に入れた……」

 

ああ。

 

僕は、ぷにりとしているお肉をつまむ。

 

――こんな体。

 

もはや――「どうせ中村が来たら強制的にさせられるから」って、自主的にウィッグ被って女の子の格好に着替えて――そして、でぶった僕。

 

もう、男って言えないよなぁ……。

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