僕がVRの姫プと女装にのめり込んでリアルでメス堕ちして男装女子に喰われるまで。~男がことごとく女の子になるVRなチャットという魔境~   作:あずももも

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49話 ダイエットにランニング

「はっはっはっ」

 

とっとっとっ。

 

早朝――まだ空気の冷たい時間。

僕は、適当な近所を走っている。

 

いやだって、でぶったし……体重計乗ったらやばかったし。

 

……生まれてこの方、背が伸びるのに連動しての体重増加以外なんて経験したことなかったんだけどなぁ。

 

いや、原因は分かってるけどね……うん、言うたびに小遣いくれるもんだから、中村を引き連れて甘いもの食べ歩いてたからね……。

 

僕は別に甘いものが特別に好きなわけじゃない。

 

普通だ。

 

男として「別に貴重な小遣い使ってまで食べはしないけども、目の前にあれば遠慮なく食べる」っていう程度。

 

……その小遣いが無限に供給されるもんだから、つい。

 

「ていうかお前がでぶってないの、ずるくない? 一緒に食べ散らかしたくせに」

「俺ちゃまはちゃーんとカロリー計算して、その日の夕食プロテインとかだけにしてるよーっと。まぁそれでもちょいでぶったけど」

 

隣を涼しい顔で走る光は……ずるい生物だ。

 

「………………………………」

 

「や、太らない体質って言ってたじゃん、レイきゅん」

「……そうだけど」

 

こいつの数少ない美点を上げるとすれば、付き合いの良さだ。

 

いわゆる陽キャって人種らしく、楽しければ時間と労力と金を厭わない性格が幸いし、毎朝インターホンを叩いてくれるもんだから三日坊主にならずに済んでいるジョギング。

 

……まぁ、太った原因も、その遠因の女装もお前のせいなんだけどな?

 

「けど、レイきゅん……髪、伸びたねぇ」

「そう?」

 

「そーそー。走るときは後ろでまとめるようになったじゃん?」

「まぁ……そうしないといちいち風で気が散るし」

 

僕が速攻でメス堕ちしてから早数ヶ月。

 

季節は夏。

 

つまり?

 

……これまでが短髪……ではなかったけども、男としてはやや長めだったとしても男の範囲の長さだった僕が、急に伸ばしたら?

 

「暑いし……」

「まぁねぇ、女の子が髪の毛伸ばすの嫌がる最大の理由のひとつだからねぇ」

 

写真を見せてもらったことがあるけども――素で腰くらいまでの長さに髪を伸ばしている光の姉から聞いているんだろうか、とうとうと長い髪の欠点を語り出す悪友。

 

……別に自身は長くもしていないのに、良くそこまで、さも自分事のように語れるのかと感心するくらいに臨場感のある話を、ジョギングのBGMとして拝聴する。

 

「……けどさ、レイきゅん」

「なんだ」

 

「注目されてるの、気づいてる?」

 

「?」

 

急に話を変えられて、思わずで見慣れすぎてなにも感じなくなった悪友の――ああ、そういやお姉さんそっくりだよな、お前――顔を見る。

 

「……ちょい左右を見てみ。ゆっくりね」

 

「……?」

 

促されるままに――ちょうど朝早くに会社や学校に向かっているであろう苦労人がとぼとぼと歩いているはずの風景を、無意識で流していたそれを見てみる。

 

――男子学生。

 

サラリーマン。

 

爺さん。

 

小学生の男女――いや、早すぎない?

 

あとは男子学生、女子学生、男子学生、サラリーマン、その他いろいろ。

 

「……みんな大変なんだな」

 

「………………………………」

 

普段の僕なら、まだぎりぎり目覚ましと格闘しながら布団で唸ってる時間なのに。

 

こんな朝早くからどこかへと向かわなきゃいけないだなんて……いや、まあ、僕だって高校次第で彼らの仲間入りしてただろうけどさ。

 

「……目、合った?」

 

「え? ……あ、うん、だいたいと」

 

まぁ、向こうから歩いてきてすれ違う人と一瞬目線が交差する程度には?

 

「……そういうの、前はあった? 具体的には、俺ちんと出会う前」

「いや? そもそも僕、外歩くとき人の目線とか見ないタイプだから」

 

目が悪いっていうのもあるけども、人目とか気にしない性格だからなぁ。

 

なんとなくでぼーっと正面を見てるだけだから、よくそれで通学路で「無視すんなよー」って絡まれることもそれなりにあったっけ……こいつとかに。

 

ま、そもそも僕自身が何の変哲もない、いわゆる陰キャって見た目なはずだからってことで注目されないのもあるんだけどさ。

 

「………………………………」

 

「……? ……ふっふっふっ……」

 

話してる途中に疲れたような顔をしてだんまりになった光。

 

……こいつの方が僕より体力あるし……さてはお前、徹夜でゲームでもしたな?

 

こいつはそういうことをするんだ。

 

そのくせに学業も体育もコミュニケーションも全てにおいて真面目な僕を凌駕するんだ。

 

ああ、生まれつきのスペックが憎らしい。

 

「……レイきゅんってさ」

「?」

 

「今はジャージだよね?」

「そうだけど?」

 

「ぶかぶかだよね?」

「うん、注文するときサイズ間違えちゃって」

 

僕はまくっていた袖を戻し、拳1個半分余っている先をぱたぱたとさせる。

 

「うぐっ……」

「?」

 

……本当に徹夜したのか……?

 

さすがにそんな日くらいは付き合わなくて良いんだからな……?

 

「……そんで、髪、伸びてて……後ろでポニテにしてるよね……?」

「あー、うん。確かにそうなるのかな」

 

ポニテ――というよりは、テレビとかで出てくるロン毛の文化人、あるいはアニメとかの優男ととかがしている、後ろで髪をまとめるだけのやつ。

 

だって、邪魔だし……かと言って切るのもなぁ……せっかく伸ばしてるんだし。

 

どこまで伸ばすのかは決めてないけども……まぁ、さすがに校則の服飾規定があるから、それで生徒指導に引っかかったらやめればいい。

 

そんな気持ちで伸ばし続け、めんどくさいシャンプーとトリートメントとタオルとドライヤーをがんばっている毎日。

 

「……そんで、お義母さんゆずりの……で……や、いいや……分からないならむしろそれがレイきゅんの魅力よ……」

 

「よく分からないけど、早く寝た方がいいぞ?」

 

「………………………………うん、そうするぅ……」

 

そんな会話をしてから静かになり。

 

ふと、帰り道に商業ビルの大きなガラスに映る僕を見てみる。

 

そこには――前髪と横髪をそこそこに伸ばした女顔、後ろ髪は後頭部で軽く縛る形にしていて。

 

だぼだぼのジャージを着ていて、男女どっちか分からない謎の人物が――映っていた。

 

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