僕がVRの姫プと女装にのめり込んでリアルでメス堕ちして男装女子に喰われるまで。~男がことごとく女の子になるVRなチャットという魔境~   作:あずももも

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71話 女装メイド服喫茶な学園祭 4

「お帰りなさいませ、ご主人様ー!」

 

野太い率50%、「ハハッ」率20%、男装をしていない女子も含めて女子とそれっぽい声が30%な入店時のコールが教室に響き渡る。

 

「お帰りなさいませ、お嬢様。……あ、ご主人様の方が良い? ですよねー、分かりますから大丈……あ、メイドのご指定はダメです。あと許可のない写真撮影もNGですからね?」

 

普通の女子声70%、アニメとかゲームの男の子声っぽいのが30%な執事ボイスもまたあちらこちらのテーブルで響いている。

 

野太いのにピンクな雰囲気。

実に斬新な空間だ。

 

「基本的に男性にはメイド、女性には執事がお迎えに行くけど」

「やっぱメイドたちの方が圧倒的に需要あるよねぇ」

 

「分かってたけどショックー」

「でもその気持ちが分かるのもショックー」

「わかるわー」

「女として負けるのは悲しいけど、だからこそ良いのよ……」

 

教室の中で――喫茶店ごっこ、かつコスプレごっこないかがわしくないのにいかがわしい空間が形成されている。

 

空気がいかがわしい気がする。

 

「……VRなチャットん中ってこんな感じじゃあ?」

 

「人の思考を読むな中村、正直怖い」

 

「レイちゃんは顔に出るのよー? あと光ちゃんって」

「そんな営業する必要ないでしょ……ヒカリ」

 

「百合営業って大切よ?」

「今は百合じゃないだろ……」

 

僕たちは2番目のシフトとして――最初のシフトで大盛況すぎる出だしだったらしく、待ち時間の列が果てしないことになってた教室前からなんとか入り込んだ。

 

「さすがに営業妨害だから、やっぱ、こんなこともあろうかと決めてた時間制するね。隣のクラスに謝ってくる」

「ありがとー」

 

「あ、レ――佐々木く――ちゃん、ちょっと整理券配ってきてー」

 

「あ、うん。分かりました」

 

僕は執事服――女子ってなんでスーツみたいなのを上からはおって、あと、さらしとかそういうブラジャーで胸を押さえつけて。

 

髪の毛を大胆にも短くしたり、しなくても後ろに流してオールバックにするだけで、どうしてこんなにも線の細い男って感じになるんだろうな、ずるい気がする――そんな女子から、今作ったばかりらしい整理券を受け取る。

 

――ぽよんっ。

 

「あ、ごめんね」

「良いけど……」

 

……あとなんで、今日僕はやたらと女子たちから話しかけられて、なんでなにかあるたびに僕の胸に彼女たちの手がぶつかったりするんだろう……?

 

いやまぁ別に僕は男だし、これはただのスライムだから別に良いんだけど……しいて言えばその衝撃でズレたり落ちたりしないだけで良いんだけどさ。

 

「女子はずるいよな……」

「男はどうして……」

「佐々木も男なのに……」

「生物学的な女子は社会的に強いのよ?」

 

――がらり。

 

「すみませーん、並んでもらって申し訳ないんですけど、ここからは整理券で時間制になりましたー」

 

「えーっ……って」

「!?」

「でっか……」

「え? 女装? それとも女子?」

 

開けたドアの先には――来たときもすごかった、廊下を完全に塞ぎかけている人の列。

 

しかもやたらと男が多い――かと思いきやそんなことはないし。

 

「時間制で、15分おきでワンドリンク……だそうです。ごめんなさい、あんまりにも人気すぎて。あと、長居する人が予想外に多かったみたいで……」

 

さっさっさっと老若男女――子供からお年寄りまですごいのはさすがは学園祭、大半が生徒とその友人、生徒の親族で占められてるからね。

 

「……なんだ、女の子かぁ」

「あー、『全員が異性装してるわけじゃない』って書いてある」

「しょうがないかぁ」

 

「……? あ、僕、男ですよ?」

 

「「「!?」」」

 

――ざわっ。

 

「あれが……!」

「あれ、シアノちゃんじゃなくてミルティーちゃんの領域では……?」

「いや、確か――さんはシアノちゃんを盛ってたはず……!」

「なるほど……そういう欲望が……!」

 

興味本位できた冷やかしの女子生徒たちが――他校の人なのは誰かの友達なんだろう――すっごくびっくりしてる。

 

……ああ、「こんな胸あったら男装できないから女子だよね」っていう常識的な判断か。

 

特に嫌悪感とかは無いみたいだし、気にしなくて良さそう。

 

「あ、あのっ……あなたをご指名とか」

 

「あ、完全にランダムなので。じゃないと……ほら、こんなにさばけないので」

 

僕は、廊下の先を指――そうとしたら、なぜか廊下に密集している人々がこちらを向いて囲むように見ているのに気づく。

 

……「女子にしか見えない」とかはさすがにお世辞だろうし、やっぱ違和感はあるだろうし……しょうがないよね。

 

「……あ、だよねー」

「ごめんね、忙しいのに」

 

配りながら「午前の人たちの分はあと12組でおしまいです」って言ったから露骨にがっかりしている列の後ろの人たちの顔を見る女子たち。

 

「……けど、ひとつ良い?」

「? はい」

 

「……その……そういう系のお店でバイトとかしてる……?」

「いえ、してませんけど」

 

「そうなの……いえ、すっごく自然すぎて……」

 

「……あー」

 

しばし考え――ながら整理券を最後まで配り終え――たけれどもあまりにも多いから「午後の分も聞いてきますね」って言った僕は、彼女たちに思い当たることを語る。

 

「詳細は言えませんけど――そうですね。ごっこ遊びでやってるから……かも」

 

「ごっ……!?」

「    」

「ダメ……息してない……!」

 

なるほどなぁ。

 

思えば最初に家で女装したときも、外に連れ出されたときも――自主的に出るようになったときもだけども、緊張こそしたけども僕にしては異様なくらいに勇気が出ていた。

 

それはたぶん、その数週間前からバーチャルな世界で女の子アバターになり切っていたからなんだろう。

 

うん、今も自然だって言われたし、ちょっと声が低めで背が高めの女子って思われる程度には――演技指導のおかげもあって、まあ、なかなかなんだろう。

 

「……♪」

 

「     」

 

「ぜ、ぜったいあの子にサーブしてもらうんだ……!」

「明日も来ないと……朝一で……!」

「ああ……!」

 

あ、僕、明日も朝一はシフトじゃないんだけど……言ったところでどうしようもないし。

 

……けど、なんだかこういうのって嬉しい気がする。

 

男なのに「女の子ですか?」ってVRなチャットでも聞かれたときの、あの嬉しさ。

 

それと、女装してリアルの人にもそう言われるのは同じ気持ち。

 

………………………………。

 

……ま、まあ……リアルで女装は人生がおしまいになりそうだからともかく、バーチャルで今のフレンドさんたちと飽きるまでしゃべり倒すまでなら……。

 

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