僕がVRの姫プと女装にのめり込んでリアルでメス堕ちして男装女子に喰われるまで。~男がことごとく女の子になるVRなチャットという魔境~   作:あずももも

81 / 82
81話 「女の子」としての既成事実

「………………………………けだもの」

 

「そしてレイちゃんは実にかわいい声出す女の子――」

「わ゛――――っ!?」

 

「いやぁ、だって事あるごとにそれ指摘するとめっちゃ興ふ」

 

「ヒカリ」

「はーい♥ ごちそうさまでしたー♥」

 

ああ。

 

ああ……。

 

僕は……もう、おしまいだ……。

 

「男の子はおしまいで女の子ははじまりだね!」

 

僕のベッドに腰掛け、勝ち誇った顔をしているヒカリが言う。

 

――悔しいけど、言い返したら絶対辱める反応ばっかしてくるからこれ以上は抵抗なんかできやしないんだ。

 

「『……つーことで俺ちんたち、今日からお砂糖でーす♥』……送信っと」

 

「は?」

 

ぴこん。

 

……ぴこんぴこんぴこんぴこん。

 

「は?」

 

「『剥くまで真実の分からないカノジョと剥いたカレシのカップルでーす♥』」

 

「は?」

 

さぁっと顔が冷たくなる。

 

でも――止めようにも、やつはすでにこの発言を世界に向けて発信してしまった。

 

それを知覚しているからこそ――手遅れと悟り、呆然とするしかない。

 

「やー、実は前から結構いろいろ相談してたのよ。レイちゃんのこと、どうやって堕とせばもとい落とせば良いのかなぁって」

 

「は……?」

 

すっ、と手渡されたスマホ――ベッドで布団にうずくまって動けないのを見透かされて持ってこられた僕のそれ――は、通知音が鳴り止まない。

 

……見たくない……見たくない。

 

「でも結局、プランAとして最初に考えてた『やっぱメス堕ちしてるんだからそのまま男らしく襲っちゃえば良いんじゃね?』って安易な発想がまさかの本命だったとはねぇ……こんなんならさっさとやっときゃよかったわ、半年待って損した。レイきゅんもといレイちゃんってば、こーんなに単純だったとは」

 

「は?」

 

プランA?

 

相談?

 

こいつは、何を言って――

 

「いやー、燃えた燃えた。徹底してかわいい女の子扱いすればあんなに自分から――――――」

 

「それ以上言ったら怒る」

「おー、怖。はいはい、嫌われたらやだからやめときますよ、俺ちんのカノジョちゃん」

 

「……彼女?」

「うん、カノジョ」

 

「誰が?」

「レイちゃん」

 

「なんで?」

「だってカレシは俺ちんだもん」

 

「………………………………?」

 

「覚えてないようならこの――うわ3時間も経ってたんだ、やっべ――で繰り広げた内容を全部最初から」

 

「いい! 分かった! 分かったから蒸し返すなぁ!?」

 

ようやく火照りが収まりかけた顔が、また熱くなるのを感じる。

 

……っていうか、3時間!?

 

「もう深夜じゃん……」

 

「うん、もう日付変わってるねぇ。いやぁ、レイちゃんが女の子してたから張り切っちゃったけど、オトコノコじゃなくオンナノコだったからエンドレスだったねぇ」

 

「……ああ、僕は……」

 

僕は顔を覆う。

 

ああ……僕は、もう男と言い張れなくなった。

 

「かわいかったからいいじゃん?」

「よくない……」

 

「かわいい声、部屋の外に聞こえないように必死に抑えてたのにそれでも抑えきれなくって漏れてたのが」

「怒るぞ……」

 

自己嫌悪で何もかもが嫌になってきた。

 

……僕は男なのに……あんな声を、いつまでも……。

 

――――――がちゃ。

 

僕の部屋のドアが――唐突に、開いた。

 

「お風呂、温め直してあるわぁ」

 

「あ、ありがとーございまーす」

「!?」

 

男にとって――息子にとって、予期せぬ母親の自室への襲来は、なにもやましいことをしていなかったとしても本能的な危機感をかき立てるもの。

 

「……玲? その反応は女の子過ぎるわよ……?」

 

「え? ……あ、いや、でも!」

 

とっさの反応とは言え、また布団を両脇できゅっと支え、体を隠しているのに気がつくも――いやいや、こんな格好を堂々とするのは恥ずかしすぎるし……。

 

「光ちゃんの親御さんにはもうお泊まりするって伝えてあるから安心してね」

「あざっす! てか夢中だったから本気で忘れてました!!」

 

「え?」

 

「あ、私たちも外で食べてきて、今帰ってきたところよ? うふっ、若いって良いわねぇ」

「お義母さんもお世辞じゃなく若いです! あ、お義父さん――も、お疲れ様です!」

 

「え?」

 

ささっと身支度を整えたヒカリが、廊下に居るらしい父さんとも話しながら出ていく。

 

「………………………………」

 

僕は――ふと、部屋の隅にあったはずなのに、ついさっきヒカリが移動させてきたもんだから、ちょうど僕の姿を反射する鏡を見つめる。

 

……ぼさぼさに乱れた髪が、肩の前に張り付いていたりほっぺに張り付いていたり。

 

何も着ていない胸元まではあっちこっち真っ赤で、ベッドの上に散乱している僕の服――VRなチャットに入るときの、いつもの女物の服。

 

疲労が濃く、けれども異様に色気を醸し出している表情。

涙の跡がはっきりと残っていて、泣きつかれた目元。

 

「………………………………」

 

ああ。

 

僕は――精神的にも肉体的にも、完全にメス堕ちしちゃったんだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。