ようこそ雪のいる教室へ   作:きーちゃん

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26話

「みんな集まって~」

 

 真嶋先生の説明が終わり各クラス毎に分かれることになり星之宮のもとに集まる。これから今回の試験の詳しい説明が行われる。

 

「まずは腕時計付けてね。これは試験中自分で外したらペナルティが発生するから気を付けてね」

 

 そう言って全員に腕時計が配布される。見かけは重厚そうだが意外と軽い。ずっと付ける必要があるから配慮されているのだろうか。

 

「これは時間の確認だけじゃなくて、体温や脈拍を確認できて、GPSも搭載されてるよ。それから学校側に非常事態を知らせる機能もあるから万が一の場合は迷わずボタンを押してね」

 

 時計の側面に赤色のボタンがついていた。これを押したらGPS情報をもとに教師陣が駆けつけるのだそうだ。

 完全防水らしく海に入っても大丈夫、もし壊れてもすぐに取り換えてくれるらしい。

 高性能な時計だ。生徒の安全を保障するためとはいえ予備を含め大量に用意していると予想できる。かかった費用はこれだけでもあまり考えたくないな。

 

「それからルールね。とりあえず言うよ。このマニュアルに書いてあるからわからなかったら後で見てね」

 

 ルールが語られた。

 

・各クラス300の専用ポイントを使用し一週間無人島で過ごす。最後に残ったポイントは2学期の開始にcpに加算される。

・マニュアルに必要物が載っている。誰でも申請可能。紛失した場合は再発行できるがポイントが必要になる。

 

 次に罰則事項

・著しく体調を崩したり続行が厳しいと判断された者はマイナス30ポイント。その者はリタイアとなる。

・環境を汚染する行為をした者はマイナス20ポイント。

・毎日午前8時、午後8時に行う点呼に不在の場合、一人につきマイナス5ポイント。

・他クラスへの暴力行為、略奪行為、器物破損などを行った場合、その生徒の所属するクラスは即刻失格とし、対象者のプライベートポイントを没収する。

 

 今回不在の生徒というのはAクラスらしく、Aクラスはこの罰則ペナルティにひっかかり最初から270ポイントスタートのようだ。

 まだトップを独走するAだからいいがポイントに困窮するDクラスだった場合地獄だったろうな。試験が始まるというのに今なお不満な顔をして落ち着きのなさそうなDクラスを横目に見ながらそう思った。

 

 次に追加ルール。

・スポットを占有するにはキーカードが必要。

・一度の占有につき1ポイントを得る。占有したスポットは自由に使用可能。

・他クラスが占有したスポットを許可なく使用した場合50ポイントのペナルティを受ける。

・キーカードを使用できるのはリーダーとなった人物に限定される。

・正当な理由なくリーダーを変更できない。

・最終日の点呼のタイミングで他クラスのリーダーを当てる権利が与えられる。的中させた場合ひとつにつき50ポイント得る。逆に当てられた場合50ポイントを失い、またスポット占有で得たボーナスポイントも失う。

 

 以上が大まかなルールだ。

 やはり目につくのはリーダー当てだろう。どこかひとつでも的中させることができたら大きくポイントを伸ばし、的中させたクラスのポイントを大幅に削ることができる。だが外したらその分マイナス50ポイントだから指名は安易に行えない。ハイリスクハイリターンだ。

 

「こんなところだね。じゃ、私は佐枝ちゃんの方に言ってくるから後よろしく!」

 

 ビューンと走り去る星之宮に呆れの眼差しが刺さる。いつにも増して自由奔放だ。

 

「えっとなら、とりあえず日陰のある所に移動しようか」

 

 一之瀬の先導のもと木の下に集まった。先程から日差しが当たる砂浜にずっと立っていたからそれを嫌ったためだ。みんな日差しに当たり続けるのは辛いから日陰に入って一息ついてる。

 

「早速作戦会議といこうか」

 

 マニュアルを見ながら一之瀬が切りだす。

 

「まず私の考えとして一定のポイント支出は避けられないと思うんだ。まだ島に何があるかわかってないけど、ざっとマニュアルを見た感じ終わりまでに150ポイントくらいは使うことになると思う」

 

 今のBクラスは680cp、Aクラスは1004cpだ。150も残せば差はそれなりに縮まるがそれはAクラスも同じ。寧ろAクラスだからこそ俺たちより上手くポイントを残して、今よりcpを伸ばす可能性もある。

 そこで重要になってくるのはやはりリーダー当てだろう。

 

「リーダー当てに関しては正直難しいと思ってる。私たちは堅実に一週間過ごして他クラスからリーダーを当てられないようにするのがいいと思うんだけど、どうかな?」

 

 一之瀬の戦略に賛同の声が上がる。

 

「それはリーダー当ては最初から諦めるということか?」

 

 その中でも上がった神崎の意見も尤もだ。

 

「ううん。勿論情報は集めてリーダー当ての可能性も模索したいよ。ただ、それを重点的には動かない方が私たちはいいかなって」

 

 確かに一之瀬の言う通りBクラスは相手を攻撃するよりも安定を取るのが合っている生徒が多い。それに俺たちはまだまだ会って4ヶ月くらいの仲だ。そんな状況で40人一斉にサバイバル生活をしても上手くいく保証はない。それなら地に足をついた戦略を用いる方が結果的に良いかもしれない。

 

「それもそうだな」

 

 神崎も納得したのか頷いて下がった。

 

「みんな納得してくれたかな? なら次はスポット占有についてだね」

 

 これも重要だ。どんなスポットがあるのかまだわからないが、取る場所によって今後大きく変わってくる。

 今思えば上陸前に船から見えた洞窟っぽいのはスポットなのかもな。その近くにあった塔と小屋も。

 

「何班かに分かれて探しに行こうと思うんだけど、行きたい人はいるかな?」

「一之瀬さん」

「どうしたの雪ちゃん?」

「船に乗っている時にスポットのような場所を見つけた。でもそこは見えやすい場所にあったから他クラスも気付いてるかも。急いで行きたい」

 

 頭のキレる綾小路や龍園は間違いなくアナウンスの違和感に気付いているだろう。綾小路のスタンス的にDクラスがいの一番に乗り込む可能性は薄いが龍園は独裁者としてやりたい放題しているからわからない。

 

「船からそんなの見えてたって凄いな!」

「私もぽいの見えたかも」

 

 クラスメイトから感嘆の声が上がる。一之瀬は学校の意図に気付いていたようで理解を示してくれた。

 

「うん。じゃあ雪ちゃんにはそこに行ってもらうよ。でも一人だと危ないから何人かいてほしいな」

「なら私が行きたい」

「私も!」

 

 麻子と千尋が立候補してくれるが彼女たちには厳しいだろう。

 

「ありがたい申し出だけど険しい道になると思うから男子がいいかな。柴田くんとか」

「おっ俺か! いいぜ」

 

 流石陽キャ代表の柴田は嫌な顔ひとつせず受け入れてくれた。

 この二人で行こうかと思っているともうひとり手が挙がった。

 

「お、俺もついてっていいか?」

 

 渡辺だ。正直これ以上は必要ないが彼の目には強い決意のようなものが見えて断りづらい。

 

「うん。なら一緒に行こうか」

 

 承諾すると渡辺はガッツポーズをしていて柴田が笑顔で肩を叩いていた。遠足気分で来られても困るんだがな。

 

 

 




雪ちゃんは水泳の授業の時もそうでしたが日頃の体育でスペックを遺憾なく発揮してるので、運動面の信頼もされてます。
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