ようこそ雪のいる教室へ   作:きーちゃん

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30話

 井戸水は一旦明日まで様子見することになり、次に何を買うかという話になった。飲み水はとりあえず今日の分を買わないといけないし、そもそもテントも足りてないしトイレも簡易のものひとつだけでは持たないだろう。

 

「ちょっといい?」

「どうしたの雪ちゃん?」

「実はAクラスと――」

 

 俺は一之瀬と神崎にAクラスとのことを話すことにした。余計な混乱を招くから全員には話さないつもりだ。

 カクカクシカジカと話せば二人は驚いたがすぐに受け入れてくれた。まぁもう決まったことだから受け入れるしかないんだが。

 

「50ポイント分の物資は大きいね」

「ああ。もとより俺たちはリーダー指名に積極的でないしな。物資をノーリスクで提供してもらいかつ俺たちへの指名もしないというのは有利に働くだろう」

 

 後はそのポイントで何を買うかだ。

 

「私としてはあとテント2つはいると思う。それにトイレもね」

「うん。私も同じ考えかな」

 

 森の中で暮らすからにはしっかり全員分テントを用意するべきだろう。夏とはいえ強がって外で寝て体調を崩したり虫に刺されたりしても嫌だし。

 トイレもひとつで40人を回すのは現実的じゃないし、いくら簡易トイレが優れものといっても見かけは段ボールだ。これにトイレをしろといっても負担があるだろう。

 

 あれやこれやと話し合いをしていると、ベースキャンプに葛城が来た。

 

「や、葛城くん。この度は災難だったね」

「……そうだな」

 

 一之瀬が茶化すように手を上げて言うと葛城は言い返すこともせず疲れたようにため息を吐くだけだった。もしかしたらこいつは馬鹿正直にクラスメイトにこのことを伝えて反感を買ったのかもな。それか弥彦を戒めるために敢えてか。

 

「一之瀬たちに本当に言ってないだろうな。契約を結んだとはいえ人の口は軽い。どこかでぽろっと滑り落ちるかもわからん」

「そこは信じてもらうしかないかな。ここで一之瀬さんたちが『聞いてない』と言っても信用しないでしょ」

 

 そういうと葛城は押し黙った。自分の問いが蛇足だったことに気付いたようだ。

 

「まぁいい。それで、買うものは決めているだろうな。こちらは真嶋先生にもご足労いただいているから手っ取り早く終わらせたい」

 

 少し離れた場所で真嶋先生が立っていた。こちら側に視線を向けつつも近くには寄って来ないことから、あくまで生徒たちの会話を聞くことはないのだろう。良くも悪くも平等な先生とは聞いているが本当らしい。うちの星之宮も見習ってほしいものだ。

 

「なら注文させてもらうよ」

 

 俺たちはテント2つとトイレ1つをまず伝えた。それから食料セットを2つ。これで50ポイントだ。

 

「わかった。ならそれらを真嶋先生に注文してここに持ってきてもらうよう頼んでおく」

「申し訳ないね。じゃあ。Aクラスの健闘を祈ってるよ」

「そちらもな」

 

 葛城は用が済んだら足早に去って行った。まだまだクラスでやることがあるのだろう。

 

「あの男も苦労しているな」

 

 神崎が同情するように呟いた。

 

「そうだねー。Aクラスは坂柳さんと葛城くんで派閥が分かれてるって噂だね。今回坂柳さんが欠席だから彼が全体の指揮を執ってると思うけど、幸先悪いね」

 

 なるほど。Aクラスは二分しているのか。エリート集団だから自我が強いのか?

 もう一人のリーダーという坂柳がいないとなると葛城は発言力を高めるために活躍が求められる。その矢先にこの失態か。確かに運がない。

 

「帆波ちゃーん!」

 

 ベースキャンプ周辺を捜索していた遠征隊が帰ってきた。彼女等の手には食料を抱えていた。

 

「みんなお帰り。それ、見つけたの?」

「うん。それにスポットも見つけたんだ」

「えっ、そうなの? お手柄だね」

「ただね……Cクラスの生徒が……」

 

 Cクラスと聞いて一之瀬と神崎の表情は険しいものになった。

 

 

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