ようこそ雪のいる教室へ 作:きーちゃん
案内された場所はベースキャンプから少し離れた森の中。そのCクラスの生徒にベースキャンプの情報があまり漏れないようにと考え離れた場所にいてもらっているらしい。
木に背中を預けてぐったりしている生徒を見つけた。彼がそうらしい。
「えっと、きみが金田くん? どうして一人でこんなところにいるの?」
一之瀬の心配気味な問いかけに金田は頷いて答えた。
「はい。Cクラスの金田悟です。クラスの方針で少々ありまして……。龍園くんのやり方に反抗したらこの通りです」
赤く腫れた頬を指し示しながら肩を竦めた。
金田はCクラスの王様龍園に反旗を翻したら見事に制裁をくらい追い出されたらしい。行く当てもなく森を彷徨っていたらBクラスの生徒とばったり会ったと。
「本当に戻れないの?」
「はい。彼からは土下座でもして許しを請えば、と言われましたが私にもプライドがありますから。それに彼は嫌いでも他のクラスメイトは大事です。だからリタイアもしたくありません」
毅然と振舞う金田に一之瀬たちは同情的だ。ひそひそと保護してあげてもという声が聞こえてくる。
「このまま一人で7日間過ごすにしても現実的じゃないよね。何か考えがあるの?」
「いえ。ただ先程Bクラスのみなさんに会った時に食べ物が自然にあることを知りましたから、別の場所でそれを見つけて食いつなぎます」
「でも7日間分見つかるかわからないよね。それに水は? 寝る時は?」
「それは……」
「危険だよ。どこかで限界がきてリタイアすることになる。私たちBクラスのキャンプに来なよ。試験中はそこで過ごそう」
「でもそれじゃあ迷惑になります……」
一之瀬の持ち掛けに金田は頑なに断ろうとする。他クラスの中に一人で居座るのも気まずいと思っているかもしれない。
「だったら作業の手伝いでもしてもらおうかな。私たちは食料や水、寝床を提供するから金田くんはその分働いてもらう。それだったら私たちは助かるし、きみも罪悪感なく過ごせない?」
「それは、そうですね……」
金田は頑なだったが保護したいと考える一之瀬はもっと頑なだった。次第に金田は張り詰めていた雰囲気を解いて頷いた。
「ならお世話になります。よろしくお願いします」
「うん。こちらこそよろしくね」
まさかのCクラスとの限定的にだが和解だ。今は一之瀬と一部の独断だが金田の境遇を聞けばクラスのみんなは賛同するだろう。可哀想、助けてあげたい、そんな声を上げて金田を迎え入れる。
俺は一歩引いた位置で今までのやり取りを見て、金田を測りかねていた。
まだまだCクラスについては知らないことも多い。
龍園はいつも手下に任せる仕事を同じ人間たちに偏らせていた。それはずっと絡まれていた俺たちが良く知っている。となるとまだまだクラス全員を支配下に置いたわけでもないのかもしれない。今回の件は本当に金田の暴走の線もある。
だがやはり引っ掛かるな。
スパイの可能性は高い。金田への監視は緩めないほうがいいだろう。そしてリーダーになった千尋にも注意喚起は怠らないようにしよう。