ようこそ雪のいる教室へ 作:きーちゃん
ひと悶着あったバス旅も終わりを告げ、無事に学校に着いた。
バスを降りて目に入った校門は結構大きくて荘厳な雰囲気を感じた。
どうやらこの高校は政府主導のエリート学校らしく、他にない特殊なルールなどもあるとのことで密かに楽しみにしている。まぁそういうのを抜きにしても二回目の高校に少し心躍らせている。不思議なものだ。前までは学校なんて面倒で授業も話半分に聞いて早く終わらないかなと願っていたのに。この年(精神年齢だけだが)になってからの学校は結構楽しみだったりする。
敷地に入っても校舎までは少し距離があり、ゆったりと歩いていると後ろから声をかけられた。
「あ、あのっ!」
後ろを振り返ると可愛らしい少女が駆け寄ってきていた。よく見れば俺が乗ってきたバスにいた子だ。
「何かあったの?」
結構急いで来ていたことから急ぎの用事かと思ってこちらからも問いかけてみると少女は首を横に振った。
「えっと、私あなたに感謝を伝えたくて……」
「感謝?」
いったいなんだろう。こんな美少女に恩を売った覚えはないが。記憶を振り返ってもこの少女とは面識がなくこれが初対面だ。
「うんっ。バスの中でお婆さんに席を譲ってたよね? 私、その行動に感動して」
目を輝かせてそう言ってくる彼女は相当心が綺麗なようだ。この少女があのお年寄りに関係があるようではなさそうだが俺に礼をしてくるなんて純真そのものだな。
なんて感想と同時に胡散臭さも感じた。わざわざ人目のあるここでそんなこと言うのは周囲からの好感度上げに利用されていると感じるのは俺の傲慢だろうか。
「感動したなんて、嬉しいな。私はただそうしたいと思ってやったことだから……」
「ううん。あの状況で行動を起こせるのは凄いことだよ。憧れちゃう」
「そっか。なら君もこれから行動できるようになるといいね」
「……そうだね!」
笑顔で頷く少女は普通そのもの。一瞬表情を歪ませた気がした。
「私櫛田桔梗って言うの。この学校では沢山友達を作りたいって思ってて。友達第一号さんになってくれないかな」
「私も友達になれたら嬉しいと思ってたよ。私は椿雪。よろしくね。櫛田さん」
櫛田の働きかけのおかげで早速友達ができた。前世ではコミュ障のせいでぼっちだったが今世ではそれは免れそうだ。ただ女性同士の交友関係は傍から見たらとても距離が近く仲が良さそうで裏では昼ドラよろしくドロドロしたものだというのは聞いたことがある。あまり考えたくないが、純真そうな櫛田も腹に黒いものを抱えていそうなんだよな。あまり彼女には深入りはしないでおこう。
バス中の揉め事に介入のタイミングを今か今かと窺っていた櫛田さん。