ダンまちに幻想体がいるのは間違っているだろうか? 作:はない人
深層、
第2級冒険者に匹敵するステイタスを持つモンスターが無数に湧くその場所の単独の攻略は例え1級冒険者だとしても不可能。
ただ一人の例外を除いて。
錆色の髪と瞳を持ち、頭部から猪の耳を生やした大男が一人、草木が一本も生えていない荒れ果てた荒野を歩いていた。
『グギャアアアッ!』
「温い」
壁から生まれたばかりのモンスターが叫び声を上げ、目の前の男を食い殺さんと接近する。
その一撃を男は正面から受け止め手に持った無骨な大剣で一閃し屠った。
死角からモンスターの群れが一斉に襲い掛かるがその方向を見もせず腕の一振りで死体の山に変える。
その男の名はオッタル、オラリオ唯一のLV.7であり名実ともに最強の冒険者だ。
彼は現在、ダンジョンの49階層にて只管に戦闘を行っていた。
レベルアップを果たしてから3年、オッタルは自身の実力に満足せず愚直に鍛錬を積み重ねている。
深層でモンスターと戦い続けて数時間、場所を変え戦闘を続けていたオッタルは一つ異変を感じ取っていた。
「負傷している…いや、無力化されているモンスターが多いか…」
負傷しているモンスターは絶え間なくモンスターが現れ続ける49階層で珍しくはない。しかしオッタルの目に見えるそれは今までと比べて明らかに違うものだった。
四足を潰されたモンスター、体を2つに引き裂かれたモンスター、皮膚を引き剥がされたモンスターなどただ戦闘でやられたものとは考えられない負傷をしたモンスターが無数に転がっている。
冒険者や普通のモンスターならまず行うことのない、まるで善悪のついていない子供が興味本位で行ったような攻撃を受けたモンスターを見たオッタルはどのような存在がこの惨状を作ったのか考えた。
この階層に来る事が出来るのは己を除きフレイヤファミリアとロキファミリア、そしてガネーシャファミリアのみ、そしてどのファミリアの者も中途半端に痛めつけ放置するという無意味な行動はしない。
そしてこの3つのファミリアは遠征をここ一ヶ月行っていないのだ、そんな状況で瀕死のモンスターが
つまりこれを行った存在は…
「闇派闘…違うな奴らにここまで来れるような戦力は無い。残りは…モンスター」
オッタルはそう結論づけた。それもただのモンスターではない。深層のモンスターを相手に遊ぶ余裕を持ち、それを実行に移すことのできる強さと知能を持った個体だ。
「新種か強化種か、それか幻想体か…どれでもいい」
その存在と戦うことをオッタルは決めた。ランクアップをして3年、来る日も来る日も闘争を続けた己のステイタスは既に成長に底が見え始めている。今のオッタルが戦闘を成立させるには階層主クラスの相手が必要だ。
腰につけたホルスターからポーションを出して飲み干して体調を整え、オッタルは負傷したモンスターが転がっている方向へと進んだ。
進めば進むほど地面に転がるモンスターは増えていく。与えられた傷のバリエーションは様々で、慣れない者が見れば吐く程に凄惨に、そして灰にならないようギリギリに調節されたモンスターもいる。
「どの様に傷つければ死なないか学んだか…」
モンスター達を横目にオッタルは足を止めず進み直す。
対象が何のためにこのような行動をしているのかなどの疑問が出るが、己の頭は良い方ではないと自認しているオッタルは無駄な考えを頭から排除した。
進むほどにモンスターの数は少なくなっていき、代わりに血痕と大量の灰が地面が地面に散らばっている。
血痕の続く先は赤茶色の大岩の後ろ、血気盛んな深層のモンスターですらそこには近寄ろうとせず、自身を何度も死から救ってきた己の勘も危険だと警告を発している。
大剣を強く握り直しゆっくりと大岩に近づいていく。
『ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙』『キュィィィィ』『グジャアアアア』
大岩の裏から聴こえてきたのは複数のモンスターの叫び声。
何種類もの叫び声が代わる代わるオッタルの耳に入り込む。
オッタルが正体を確かめようと一歩踏み出した。
瞬間、大岩が粉砕され隙間からその存在が驚異的なスピードでオッタルに接近した。
開幕の一撃をオッタルは大剣で受け止め薙ぎ払う。
相手は地面に数回ぶつかり、10M程飛ばされたところで止まった。
再度大剣を構えオッタルは対象の姿を見る。
その姿の目に映したオッタルが表情を僅かに嫌悪感で歪ませた。
…その姿が遠征や暗黒期を通し数多の死体やモンスターを見てきたオッタルをして奇怪かつ醜悪な姿をしていたからだ。
その外見を言い表すならば様々な種類の生物の内蔵を乱雑に混ぜ、四足歩行の獣の型にはめたような何かだ。
顔だと考えられる部位は複数の目玉が埋め込まれ、頭部からは病的なほどに青白い腕が突き出し後ろ足は腸を足の形に無理やり加工したような形状をしている。
とても生物とは思えない肉塊は…しかしその骨や皮のみでできている四足を巧みに動かして動き、幻想体特有のオーラを発している。
吹き飛ばされた体勢からすぐさま復帰し突撃、2撃目を放つ。頭部から生えた腕が動き、赤く染まった指が向けられる。
オッタルは大剣を盾に正面から防御を行った。
大剣と爪が接触し火花が散る。
(早い、そして重い…レベル換算で5といったところか)
受けた2撃目を元にオッタルは幻想体の能力を冷静に分析する。
オッタルが確認できた範囲では過去確認された幻想体の中に深層で出現された個体はいない、そして最大でもその能力も込みでLV.5が精々。
そのような中でこの幻想体は純粋な身体能力だけでLV.5クラス。
間違いなく戦闘能力だけで見れば幻想体最強の存在。
「…幸運というべきか、お前のEGO、使わせてもらうぞ」
返す剣で幻想体を弾き、間髪入れずに追撃を行う。
初見の相手に出し惜しみをするという愚行をオッタルは犯さない。
一切の手加減の無い一撃が幻想体へと振るわれる。
銀色に輝く大剣が幻想体の腹にめり込みボキボキと音を鳴らす。大気が爆ぜる程の衝撃が叩きつけられた幻想体は後方へと吹き飛ばされた。
「逃がさん」
手応えはあった…が耐えられた、両断するつもりで振るった一撃は腹で受け止められ切ることは出来なかった。
あれでは致命傷にはなっていない。そう確信したオッタルは幻想体が吹き飛んだのを認識すると同時に駆ける。
ゴム毬のように岩にぶつかり吹き飛ばされた幻想体は腹部から血のような液体を流しながらもオッタルを複数の瞳で凝視している。
ふと幻想体がその大きな口を開いた。
『キュアアアアアアッ!』
鳴き声。
複数のモンスターの鳴き声を混ぜ合わせたようなそれが階層全体に響き渡った。
「グッ…」
獣人の鋭い聴覚により常人以上にその鳴き声を聞きたオッタルは一瞬だけ硬直し、再度走る。
あれは苦し紛れの叫びではない。
直後、地響きが鳴り響き周囲から土煙が舞う。モンスターが一斉にこの場所へ向かってきたためだ。
「モンスターをある程度操る事もできるか…」
全方位から此方に向かってくるモンスターを前にオッタルは動じず大剣を構える。
モンスター達が間合いに入ると同時、剣はその力を解き放たれた。
「オオオオオオオォォォォォッ!!!」
モンスターにも負けないほどの咆哮と共にオッタルは大群に立ち向かう。一振りが鉄のように硬い鱗を切り裂き、後続を衝撃波が吹き飛ばす。
モンスターの層が薄くなった場所に大剣をねじ込み横薙ぎし道を力尽くでこじ開けた。
「何処にいる」
手前にいたモンスターを踏み台に跳躍しオッタルは周囲を見渡す。オッタルは土煙の中、目玉の付いた赤い繭のような物体を目に捉えた。
「…あれか」
モンスターの頭を踏み砕きその力を使い繭に向かい走る。
あの形態は力を溜めるためのものだとオッタルは確信していた。
自身の与えた傷は一切見えず、中から今にでも何かが飛び出るかのように脈動している。
「悪いが、それをおとなしく待ってやるわけにはいかんッ!」
オッタルはその繭を切断せんと振るう。
凄まじい威力の込められた刃が繭の表面に食い込み血液のような液体が勢いよく噴き出す、そして…
繭を引き裂いて飛び出してきた棘の生えた肉塊に簡単に受け止められた。
「ッ間に合わん!」
オッタルはすぐさまその場から離脱し繭から飛び出してきたその存在に構え睨む、決してその存在から目を離さぬよう、僅かな動きも見逃さぬように。
繭を引き裂き、粘液を全身に纏いながらその幻想体はゆっくりと立ち上がった。先程とは大きく違う、人間に近い二足歩行の姿に変形していた。
だが大きく変わったのは姿だけではない、強さもだ。ほんの数分前に見た幻想体と同一の存在だとは信じられないほどの圧倒的な、階層主と同等かそれ以上のプレッシャーを放っていた。
幻想体が掌に口の生えた左手を伸ばす、瞬間鋭い音とともに口から白い針…杭が射出された。
オッタルは大剣の腹を斜めにし、身を低く構え衝撃を発散させ杭を上へ受け流した。続けてその姿勢から靴裏で地面を砕き加速する。
そうして繰り出された一撃は同じように牙の生えた棍棒状の右腕で受け止められた。
しかし
「甘い」
大剣と腕に生えた棘を引っ掛けオッタルは大剣を僅かに引いた。m単位で調節された力により幻想体は体制を崩す。
腸と思わしき物体の垂れ下がっている腹に剣をねじ込み、間髪入れず肩に生えた目を潰す。
モンスターに対して圧倒的に勝っている事、オッタルが積み重ね続けた技術を使って隙を作る。
杭による遠距離攻撃は大剣を盾に弾き、棍棒の一撃は真正面から受け止めず流す。
立て直す暇を与えず追撃を行い僅かな抵抗は腕力で叩き潰した。
十数回と大剣を振るえば幻想体は全身の傷口から体液を噴き出していた。
「これが限界か」
動きが鈍くなり避けることもできなくなった幻想体を前にしてもオッタルは攻撃を緩めない。
顔に近づく大剣を前に、幻想体は動揺見せなかった。幻想体は左手を大剣に合わせ…軽く受け流した。
突然の出来事にオッタルはほんの僅かだが隙を見せる。それは一秒にも満たない時間だったが…第一級冒険者に並ぶ身体能力を持つ幻想体にはそれで十分だった。
腕を振るう。オッタルのそれに似た渾身の一撃は、オッタルの腰に直撃し骨を砕いて吹き飛ばした。
「ガッ!?」
バキバキッという音と共に体が宙を舞う。
オッタルは幻想体を最大限に警戒し、油断無く相手をしていた。
だがそれでも…幻想体の異常な学習の速さを見切ることは出来なかった。
吹き飛ばされたオッタルの体はモンスターの死体がクッションとなることで止まった。
「ッグ…これは…」
剣を支えにオッタルは立ち上がる。
庇うように砕かれた場所に手を当ててみれば未だに痛みこそあれど傷は無く、代わりに服が濡れていた。
(ホルスターに入れていたエリクサーごと砕かれたお陰でやられたと同時に癒えたか…)
運良くホルスターのある腰を狙われ運良く持っていたエリクサーごと砕かれた為に助かった。次はない。
その事実を心に深く刻み、再度幻想体へとオッタルは向かう。
「ハァッ!」
大剣と腕がぶつかり合い、互いの衝撃が流される。
「やはり俺の動きを…ッ!」
たった一瞬、数十秒の戦闘で自身の動き・技術を模倣しこの幻想体は自身の力に変えた。
関節を無視した不規則な動きで棍棒が振り回され、合間に杭が放たれる。今まで使用していなかった刺突を用いれば、僅か三回目で対応された。高速で裏を取り死角から攻撃を放てば背に生やされた棘が大剣を拒む。
背に生えた棘は連続で射出され大剣を弾き返し、作られた隙に棍棒がねじ込まれた。
オッタルの『絶対防御』が貫かれ横腹に僅かだが傷が刻まれる。
技術によって開いていた圧倒的な差がそれを上回る学習能力で急激に埋められていた。
長引けばいずれその差も完全に埋められ手札を潰される。
己がやるべきは速攻、オッタルはそう結論を下した。
だがそれは困難だ。それは模倣もあるが何より…
(付けた傷は全て治っているか…潰した眼球も既に再生している)
幻想体の持つ再生能力もあった。少しでも間を置けば即座に再生が開始し小さな傷であれば切られたと同時に癒える。
体の一部を抉る程のダメージを与えても数秒の間動きが僅かに鈍る程度の結果にしかならない。
現在のオッタルでは致命的に決め手が足りていなかった。
故にオッタルは躊躇無く自身の奥の手を発動した。
「ウオオオオオオォォォォォォ!!」
49層に怒号が鳴り響く。
ランクアップにも匹敵する強化を受けた肉体でオッタルは幻想体に肉薄する。
『………ッ!?』
幻想体が次に視界に捉えたものは己に振り下ろされる銀の軌跡だった。咄嗟に腕を前に出し硬質化させる。
大剣はゴキッという音と共に腕を切断し幻想体の肩に深く切り込んだ。
肉を抉るように大剣が抜かれ、次いで斬撃の嵐が放たれる。
目の前の存在が急激に能力を上げてきた、それを理解した幻想体は肩の再生を即座に止め腕の再生に力を使った。
再生しかけの腕で斬撃の威力を軽減させ、全身からの杭の射出で動きを牽制させる。
オッタルが攻撃を放つたび、肉が削られ体液が宙を舞う。
それでも幻想体は右腕以外に再生の力を使用しなかった。
ちぎれかけの左手とオッタルの左手が触れ、爆風とともに抉り飛ばされる。
それと同時に右腕の再生が終わり、そして変形した。
右手が肥大化し巨大な斧となる。
視界にそれを捉えた瞬間、オッタルの本能が警鈴を鳴らしそれに従いオッタルは全力で回避を行った。
全身が射程から外れた直後、それは振り下ろされた。
『Goodbye』
禍々しい血色の残光。空間が断絶され景色が歪む。
ズタズタの身体から放たれたそれは、しかし他と比較するのが馬鹿らしくなるほどの致命的な威力を撒き散らした。
…だが
幻想体がこの攻撃を行ったのはオッタルを仕留めるためではなかった。
オッタルとの距離が離れたのを見るや、全身の再生を開始させ後方に転がっていたモンスターの死体から魔石を抉り出し口に含んだ。
魔石に込められた力が幻想体の体に行き渡り、体が一回り膨張すし身体から放たれる気が爆発的に膨れ上がる。
「それが本命かッ」
オッタルは全力で回避を行ったことが過ちだと悟った。スキルによって生んだステイタスの差が完全に埋められる。
その様な中でも【戦猪招来】はオッタルの体力と精神力を削り続ける、解除すれば幻想体に潰され解除しなければ更に削られ続ける。
残されている道は一つ。幻想体を体力が尽きる前に迅速に倒すことだけだ。
あの斬撃が放たれない、その保証がない中でもオッタルは構わず近接戦闘を仕掛ける。
『Goodbye』
死の塊が再度振るわれる。射程外ギリギリで回避をし余波を力尽くで耐え幻想体を相手に使わずにいた技を、動きを出し惜しみ無く放出する。
初見の技で反応を鈍らせ、僅かでも体力を消耗させるために傷をつけた。
だが幻想体はその上を行く。斬撃を押し返し棍棒を腹に叩き込む。流し、止め、力を利用する。
一瞬でも隙が見えれば即座に棍棒を斧に変形させて振り抜き息をつかせる暇すら与えない。
防御を貫通して攻撃が叩き込み、オッタルの体を赤く染めていく。
繰り返すこと数十、その中で幻想体はオッタルに致命的な隙が生まれたことを見逃さなかった。
全身を躍動させ斧を全力で振るう。
しかし目の前の獲物を血煙に変えると思われたそれは、宙を切った。
幻想体が異常な学習能力を持っていると理解したとき、オッタルは意図的にとあることの仕様を縛った。
それは駆け引き、これまでの戦闘でオッタルは一度もフェイントを行っていない。
戦闘が劣勢となった瞬間、オッタルは敢えて大きく隙を晒した。
駆け引きを学ばなかった幻想体はそれに釣られ晒したと同時に後を考えない全力の攻撃を放つ。
その一点にだけ攻撃が来ると予想できれば回避は容易だった。
そして攻撃を外した幻想体はどうなるか…オッタル以上の隙を見せる。
「オオォッ!」
幻想体の脚を切り離し胴を後方へ蹴り飛ばす。
再生が完了しオッタルへ向かってくるまで、その時間が勝負を決めるタイムリミットだ。
オッタルは大剣を大きく振りかぶる。
「『銀月の慈悲、黄金の原野…』」
オッタルは己が持つ唯一の魔法…その詠唱を開始する。短文詠唱と死闘の中で極限まで研ぎ澄まされた精神力により、それは直ぐに終えられた。
「『この身は戦の猛猪を拝命せし、駆け抜けよ、女神の神意を乗せて』」
黄金の毛皮を大剣が纏い、輝きが刀身に収束する。それは幻想体が脚を再生し終えたとほぼ同時だった。
「受けてみろ【ヒルディス・ヴィーニ】ッ!!」
腕を斧に変形させ己へと向かってくる幻想体へオッタルは大剣を振り下ろした。
黄金の残光が地面を消し飛ばし、回避を許さない超スピードで幻想体に迫る。
『Goodbye』
幻想体が試みたのは回避でも防御でもなく相殺。
魔石を喰らって得たエネルギーを全て消費し、全身に力を巡らせる。
空間を引き裂く黒赤の斬撃が残光と真っ向から衝突した。
瞬間、爆風巻き起こり地面を捲る。
斧による一撃と残光が拮抗し甲高い音が鳴り響いた。
脚を変形させ地に深く根を張り体表に穴を作ることで衝撃を逃がし、斧が削られればその瞬間に再生をする。
初見の、そして常識はずれの一撃に幻想体は本能で受けるに最適の行動を実行した。
幻想体の体が前へ出る。空間を割く一撃がオッタルの攻撃を僅かに上回ったのだ。
…そしてそれはオッタルも予想済みだった。
「もう一度だ」
ヒルディス・ヴィーニの効力は一度では消えない。
黄金の大斬撃がもう一度振り下ろされ…2つの残光が斧を砕き遂に幻想体の体を消し飛ばした。
「ガハッ!?」
幻想体が消えたのを見送ったと同時にオッタルは膝をつく。
全身から冷や汗が流れ、筋肉を引き絞ることで無理やり止めていた血液が一斉に流れた。
「…勝てはしたが問題は帰路か…」
武器は2度の全力の残光によりひしゃげポーションは幻想体の一撃を食らった際に全壊。
体力とマインドは尽きる寸前だ。
この状態から近くの安全階層に行くこと、深層を抜けることはいかにオッタルとは言えども困難だった。
この状況を切り開ける可能性があるならば…
「…EGO」
そう呟くとオッタルは幻想体が消し飛んだ場所へと歩く。
武器と防具、そしてギフト。それらを装備すれば帰還できる確率は上昇する、また己の主神によればギフトには自動で体力を回復させる物も存在するとのことだ。
残光によって生じた窪みにあったのは肉がへばりつき目玉の生えた大剣、幻想体の皮をそのまま使った様な服、そして複数の目玉がついた頬当てだった。
「その力を貰うぞ」
大剣を握りしめ防具と頬当てを片手に持つ。
そうしてオッタルは女神の下へ帰還するため、モンスターの群れへと駆けていった。
オッタル
LV.7
力:S964→S977
耐久:S950→S981
器用:S944→S950
敏捷:A898→S907
魔力:D548→D550
EGO武器【ミミック】
与えたダメージの一部を回復
体力を消費し形状を変形
EGO防具【ミミック】
物理属性を大幅に軽減
EGOギフト【ミミック】
装備時体力に高補正 耐久+50
回復時回復効果を上昇
数年後
攻撃は殆ど効かずやっと与えたダメージもすぐさま回復し赤と黒の2つの大剣を振り回して大暴れする猪に絶望する兎や小人族がいたとかいないとか…