エンカウント率ぅ   作:フドル

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誤字脱字報告ありがとうございます‼︎ 今更ながら文章を流し読みする癖があることに気付いた。

あ、あとワノ国にいる間はエンカウントじゃないのでサブタイトルのキャラクターの名前に数字カウントを入れるのはやめてます。


出現!妖怪ミイラヤマト

 やっぱり酒は駄目だわ。目覚めたら何故か片腕に海楼石の手錠がついているし、百獣船員達からはすっかりカイドウの娘扱いだ。

 

 手錠を外してもらってから昨日何があったのか聞いても誰も答えてくれない。しかも食事の際に私の近くに酒が置いてあればひっそりと撤去する。もうこんなのまた私がやらかしたやつじゃん。

 

 怖い、怖いぞ。一体私は何をしたんだ。こんなにも酔った時の記憶がないということが恐ろしいとは思わなかった。まさかとは思うが公衆の面前でカイドウ大好き発言とか笑いを取るために裸踊りとかしていないだろうな。

 

 一応飛び六胞のみんなは私に酒を飲むかどうか聞いてくれるので、周りが酒を飲まさないようにするレベルのやらかしはやっていないはず。なら教えてくれてもいいじゃんと思うのだが、あの時現場にいたフーズ・フーから私の名誉を守るためなんて言われたらこれ以上は恐ろしくて追求出来ない。

 

 でも気になるものは気になるので日々を悶々としながら鬼ヶ島内で生活を送っていたのだが、ある日、船員達が何やら変な噂話をしていた。

 

 もしや私が酔った時の話かと思い聞き耳を立ててみると、どうやら夜中に全身包帯まみれの女ミイラが呻き声を出しながら鬼ヶ島を徘徊しているらしい。頭部に角を生やしたその姿から死亡した侍の怨念ではないかと噂されているようだ。

 

 とはいえ噂は噂。船員達も信じていないらしく、ミイラよりも怒ったカイドウ様の方が怖いと笑い合っていた。だから私もその時は大して気にせず頭の片隅に留めておく程度でその場を去ったのだが、今はそのことを非常に後悔している。

 

 だって目の前にいるのだ。その女ミイラが。まさか夜中のトイレ帰りに出会うなんて思ってもいなかった。寝惚けていたから見聞色も機能しておらず、曲がり角でバッタリだ。どこの少女漫画的出会いだよ。

 

「お化フゴフゴフゴ‼︎」

 

 思わぬ出会いに反射で叫ぼうとしたら、女ミイラに勢いよく口を塞がれた。どうやらこのやり方はお気に召さなかったらしい。首を横に振る女ミイラに私は了承の意を込めてコクコクと頷くと、女ミイラの手が私の口から離れた。仕切り直しのようだ。

 

「あ、徘徊中でしたか。お邪魔しました」

 

 初めて会ったのだからと礼儀として頭を下げると、女ミイラも反応して頭を下げた。反応的に正解っぽいので流れるように回れ右をして戦力として頼りになるカイドウかキングの部屋に逃げようとしたのだが、ちょっと待てと女ミイラの手が私の肩を掴んだことで阻止された。

 

 このままだと埒が明かないと思ったのか女ミイラは私を強制的に連れ去ることにしたようで、私を持ち上げたと思えば脇に抱えて猛ダッシュで走り出した。しかも力が強く、咄嗟に暴れようとしたけどガッチリと固められていて動けない。

 

「うわぁ‼︎誘モゴモゴモゴ‼︎」

 

 まだ全力ではないとはいえ私の力でも解けない拘束って何⁉︎ トイレに行くだけだったから金棒は部屋に置いたままだし、助けを呼ぼうとしても口を女ミイラに塞がれてしまった。

 

 本気で抵抗したらなんとかなりそうな感じもするが、落ち着いて様子を見れば女ミイラから敵意は感じない。ならそのまま連れて行かれてもいいかと考え、私は女ミイラにドナドナされるのだった。

 

 

 

 

 

 そうして連れ去られた先はどこかの部屋の天井裏だ。女ミイラがよく使っているのか天井裏なのに蝋燭やランタンなどでしっかりと光源が確保されており、深夜なのに相手の姿がしっかりと見えるぐらいには明るい。

 

 そんな部屋で女ミイラは抱えていた私を丁寧に下ろすと、対面に立って顔の包帯に手をかけた。実は移動している最中でも女ミイラは私に話しかけていたのだが、口に巻かれた包帯のせいで何を言っているのかいまいち分からなかったのだ。

 

「ぷはぁ! これでやっと君と話せるね! 僕の名前はヤマト! カイドウの息子で、腹違いになるけどキミの兄だ‼︎」

 

 顔の包帯を全て解いた女ミイラことヤマトは待ちかねたと言いたげな様子で私を見る。そんなヤマトの素顔を見て、私は思わず口を開いてしまった。

 

「……やっぱりお化けなのでは?」

「違うよ⁉︎」

 

 だってさぁ、ボコボコにされたボクサーみたいに顔全体が満遍なく腫れていて歯が何本も欠けている姿を見たらお化けって勘違いするでしょう。少なくとも私はこの顔が暗闇から急に出て来たら叫ぶ自信があるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでね! おでんが──」

 

 互いに自己紹介を済まして雑談タイムとなったのだが、既に数十分近く経っているのにヤマトのおでんパートが止まらない。

 

 おでん漫遊記と題名が書かれた本を開き、自分の好きなシーンを懸命に紹介するヤマトの姿は好きなものを説明する子どもにも見える。しかし困ったことがあってですね。

 

 うん、私の内心は「まるで意味がわからんぞ‼︎」。これ一択である。おでんの死に様を見ておでんに憧れるのはいい。おでんの意志を継ぎたいというのもわかる。でも次に僕はおでんだ!になるのかがどうしてもわからない。

 

 ヤマトが展開するおでんワールドに残念だが私はついていけないようだ。ヤマトの脳内おでんがなんかすごい存在になっていることしか私にはわからない。

 

「あっ、ごめん! 僕だけ夢中になって話してた!」

「別に構わないよ、私にはおでんが凄いくらいしかわからなかったけど」

「でも僕だけ話すのも悪いし……そうだ!イブキってつい最近まで外の世界にいたんでしょ? その時の話を僕は聞きたいな!お願い‼︎」

 

 自分だけが話していることに気付いたのかヤマトがバツの悪そうな顔をした後、今度は私の話を聞きたいと顔の前に両手を合わせて頼んできた。

 

 別に話すのは構わないけどと思いつつ、頭の中で印象に残っている記憶を思い返してみる。まず白ひげでしょ?その次に赤犬で、後はカイドウカイドウカイドウカイドウ……。

 

 んー、なんかカイドウが目の前に落ちてくる記憶ばっか出てくるね。景色がいちいち違うから差分ありってか?こうやって思い返すとカイドウばっかだな私。

 

 まぁ話すことに拒否感はないので、私は無人島生活からここに来るまでの出来事を物語風にしてヤマトに話してみた。勿論酔った勢いで島を壊滅させたりなどの話は省いている。私にとっても黒歴史だし。

 

 ヤマトは外の話に飢えているのか、カイドウ襲来以外は興味津々だった。特に反応が強かったのはシャボンディ諸島の時で、子どものように輝くヤマトの瞳には自分も行きたいと書いている。

 

 ぶっちゃけ言うけど覇王色が目覚めてから覇気の熟練度はさらに上がったので、武装色による内部破壊は既に出来る。だから私がその気になればヤマトの両腕につけられた爆弾手錠を破壊して外へ連れ出すことは可能だ。今はやる気がないけどね。

 

 そんなこんなで私の冒険話も終わったので、私がさっきからずっと気になっていることを聞いてみることにする。

 

「出会った時からずっと気になっていたんだけど……なんでヤマトはそんなにボロボロなの?」

 

 私の質問に笑顔だったヤマトの表情が一気に曇る。しかし隠すつもりはないのか自分の腕を顔まで上げて眼前にまできた手錠を見つめると、ポツポツと話し始めた。

 

「この傷は僕とイブキの父であるカイドウにつけられたものなんだ。さっきも話したけど、僕がおでんってことはイブキも知っているよね?」

「うん、ヤマトはヤマトだから私はおでんとは認めてないけど」

「その件で僕は父とよく揉めていて、その度に僕はぶっ飛ばされていたんだけど、大体1年くらい前かな? 父からの暴力が酷くなり始めたんだ」

 

 ん?1年って私がカイドウと初めて出会った時くらいじゃない? なんだか途轍もなく嫌な予感を感じ始め、冷や汗が流れ始めた私に気付かないままヤマトの話は続く。

 

「今までとは様子が違う父の姿に僕も違和感を感じて調べてみたら……イブキ、キミのことを知った」

 

 ほらぁー! 私が原因じゃん‼︎ 今更ながら話を振ったことを後悔してるわ!

 

「正直に言うと僕は怖かった。僕は用済みになったんじゃないかって。なんだかんだ一人娘だから金棒で殴られることはあっても殺されるまではいかないってタカを括っていた部分もあったから。おでんとして何も出来ないまま殺されるのが怖くなった僕は父に挑むことをやめてずっと逃げ続けていたんだけど……。数日前にキミがここへ来ることを船員達の話で知った」

 

 今からこの話をキャンセルするのは駄目ですか? ヤマトだって三角座りで膝に顔をくっつけて辛そうじゃん。辛いなら無理して話さなくていいから。ね?

 

 たまらずヤマトの隣に行って大きな背中を摩るが、話を中断する気はないらしく続きがその口から話される。

 

「だから僕はキミがここに来た日の夜に父へこう言ったんだ。用済みになったのなら手錠を外して自由にしてくれって。その結果がこの怪我だよ」

 

 そこまで言ってヤマトは口を閉ざし、沈黙が辺りを包み込んだ。

 

 ……えっ?ここから私がなんか言わないといけないの? 完全に選択肢間違えたらヤマトに嫌われるパターンだよねこれ?

 

 ぐおぉ、うなれ私の脳細胞! なんかいい感じにヤマトとカイドウの関係が悪化しない言葉を絞り出せ‼︎

 

「……多分だけど、ヤマトはまだカイドウの合格基準に到達出来てないんだと思う。私は外で生きていたからわかるけど、外の世界はヤマトが思っているよりキラキラしていないよ。島によっては人の悪意で真っ黒だし、ここより自由に見えて全く自由じゃない国もある。だから弱いヤマトを外に出すのはカイドウも親として怖いんだと思うよ」

 

 必殺!暴力も手錠も全て君のためなんだよ作戦‼︎ 本当のカイドウの気持ちなんてわかりっこないけど私の対応から見てある程度は合っているはず!

 

「そんなの僕の自由じゃないか‼︎」

「自由でも自分の子どもが奴隷になったり処刑される可能性があるってわかっていながら見送るほどカイドウは冷たくないってことだね」

「えっ、奴隷?処刑? イブキは何を言って……?」

 

 私でもわかるもん。今のヤマトが外に行けばどうなるかだなんて。いつか天竜人に出会ったら確実に金棒で殴るでしょ?そしたら海軍大将が来るから捕まって、そこから天竜人の奴隷かカイドウの血筋がバレて処刑かのルート分岐だ。ちなみに何もしていないのに捕まって血筋がバレるパターンは想定していない。おでんに憧れている限り、絶対に問題を起こす方が先だと思うからだ。

 

 まぁ、カイドウ的には自由になった娘が酷い目に遭うのは嫌だというよりか娘が捕まって自分に不利益が来るのが嫌だの比率の方が高そうだけど。それでもカイドウ自身で定めた基準を満たせばある程度の自由は許容してくれると思う。

 

 そのことを事細かくヤマトに説明をすれば、ヤマトは迷子になった子どもみたいな視線を私に向けてくる。

 

「じゃあ、僕はどうしたらいいの?」

「とっても簡単。強くなればいい」

 

 ヤマトの不安などの感情からくる問いかけに私が即答すれば、ヤマトはキョトンとした顔を向けてくる。そんなヤマトへ私は自信満々に胸を張った。

 

「誰にも負けないくらい強くなればいい。様々な不自由を強いる鎖の施錠は鍛えられた力という鍵でぶち壊せる。力があれば周りを従えることが出来るし、ムカつく奴をぶちのめせる」

「でもそれだとカイドウと変わらない」

「違うよ。確かに力を振り回すだけならカイドウになるかもしれないけど、手に入れたその力で周りを守ればおでんになる。要は使い方次第」

「……なれるかな。僕もおでんに」

 

 自分でも適当に言った感じだけど、ヤマトは何か感じるものがあったのか自分の両手を見つめてしみじみと呟いている。とりあえずヨシッ!

 

「そこはヤマトの頑張り次第だね。……じゃあ私は眠くなってきたから部屋に戻るね」

「あっ、ちょっと待って」

 

 上手い具合に話を有耶無耶に出来たと思うのでそろそろ寝るために立ち上がれば、ヤマトは出口へ向かう私の手首を掴んで止めた。まだ何か用事があるのかと視線を向ければヤマトはニコニコと笑っている。

 

「腹違いとはいえ、僕達は兄妹なんだから一緒に寝ようよ!」

「……この歳の兄妹は一緒に寝ないと思うよ」

「じゃあ一回!一回だけ‼︎ イブキなら父にバレても問題ないと思うし、お願い‼︎」

 

 なんて口では頼み込んでいるけど本人の身体は既に私を抱えて布団に直行している。ここで拒否するのは簡単だが、セリフ的に人肌に飢えていそうだしこのまま一緒に寝ることに決めた。

 

「イブキはあったかいね」

「子ども体温で悪かったね!」

「えぇ⁉︎ 褒めているのになんで不機嫌に⁉︎」

「ケッ、自分のその胸に聞くんですね」

「僕の胸は喋らないよ?」

「無敵かよ。勝てないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日、ヤマトに食糧庫から拝借した牛乳を飲ませて欠けた歯を治した後、私とヤマトは強くなるために修行を始めることにした。私の経験則的に一番効率が良いのは強敵と戦うことである。その最中に死にかけることが出来れば更にヨシ。

 

「つまりカイドウと戦うのが一番効率が良い」

「本当に大丈夫なの⁉︎」

「大丈夫だって。あの人ああ見えて人が死ぬかどうかの見極めは上手いから仮にしくじっても三途の川が見えるくらいで済むよ。むしろ生きたまま死んだ先が見えるんだから死ぬ恐怖が和らぐんじゃない?」

「それを大丈夫とは普通言わないよ‼︎」

 

 実際私は転生した経験があるから死ぬ恐怖なんて全くない。しかし恐怖が勝つのかヤマトはカイドウに挑むことを躊躇っていたので手を繋いで引き摺るようにしてカイドウがいる部屋へと連れて行く。

 

「カイドウ!暇だから遊んで‼︎」

 

 部屋の襖を引いて全開にし、何らかの仕事をしているカイドウに向けて全力で言い放つ。現れた私にカイドウは視線を向けるが、私と手を繋いでいるヤマトを見ると眉を顰めた。

 

「なんでヤマトがいやがる」

「私が遊びに誘った! だから私とヤマトであなたに挑むけど別にいいよね?」

「……ウォロロロロ、上等だ。先に屋上へ行ってろ。急ぎを終わらせてからおれも向かう」

「出来るだけ早く来てね?」

 

 許可は貰ったのでヤマトと一緒に鬼ヶ島の屋上へ向かい、金棒を素振りしてしばらく待っていると、龍となったカイドウが外から屋上へとやって来た。空中で人型に戻ったカイドウは派手に着地したあと、金棒を担いで私達へ問いかける。

 

「ルールは?」

「殺しかけアリ!殺害は無し!能力は獣型以外はオッケー‼︎ それ以外は自由にどうぞ‼︎ これで良い?」

「あぁ、構わねェ」

「よし!じゃあヤマト、一緒に行くよ‼︎」

「うん!今日こそあの顔面に一発入れてみせる‼︎」

「お前にはまだ不可能だヤマトォ‼︎」

 

 ルールが決定し、この遊びにヨーイドンなんて存在しないのでヤマトに声をかけてから覇気を全開にしてカイドウに飛びかかる。ヤマトは私の速度に驚きながらも今回の意気込みを口にしながら走り出し、カイドウは私達を迎え入れるように吼えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、反省会を始めまーす」

「イブキ……大丈夫なの?」

「うん、大丈夫」

 

 娘二人にカッコ悪いところなんて見せられないと張り切ったカイドウに案の定ボコボコにされた私とヤマトの二人は屋上で顔を合わせて反省会を開催した。

 

 せっかく元の顔に戻っていたヤマトの顔が女ミイラの時まで逆戻りしているが、そんなヤマトが私の心配をするということは私も似たような顔になっているのだろう。

 

 とはいえ私は能力で高速再生中なのであと少しで治る。今回は身体の内部を集中的に治していたから顔面はしばらく放置していたのだ。

 

「えっと、イブキはいつもあんなことをしているの?」

「うん。程よく死にかけることが出来て動きも参考になるカイドウって戦う相手としてかなり理想だからね。私が全力で戦っても全然揺るがないから戦ってて楽しいもん」

 

 ヤマトが戸惑いながら聞いてくるので素直に答える。私は普通に追い討ちオッケータイプだし、カイドウもそれを知っているので死んでなければ地面に倒れた私を足で踏んで拘束し、私が抜け出すか死にかけるまで金棒で殴り続けるを平気でしてくる。

 

 そんな容赦のないカイドウが私は大好きなのだが、事前に説明するのを忘れていたせいでヤマトにはかなり刺激の強い光景だったらしく、ヤマトから迫真のヤメロォ‼︎という叫びを聞くことになった。あまりにも迫真すぎて一度戦闘を中断してヤマトに私が謝罪と説明を入れたレベルだ。

 

「まぁそんなことはさておき、強くなるための反省会をしよう。ヤマトから見て私の動きはどうだった? こうして欲しいとかこんな動きが嫌だったとかある?」

「うーん、僕はずっと一人で戦ってきたからそういう感じの動きは分からなかったな。イブキは僕の動きに何か言いたいことはあった?」

「私もヤマトと一緒かなぁ。よくよく考えたら右と左で分かれてカイドウと一対一していたから連携もクソもないね」

 

 これじゃあ反省会の意味がない。ヤマトの動きはカイドウで隠れて私からはあまり見えなかったし、ヤマトから見た私も似たようなものだろう。……こうやって考えたら連携じゃなくて交互に挑んでただけだな。

 

「よし、カイドウに聞こう」

「えっ?」

「今回一番私達の動きを見ていたのはカイドウだからね。ほら行くぞー!」

「ちょ、ちょっと待ってよー!」

 

 そうと決まれば早速ヤマトを連れて既に部屋へ戻ったカイドウの元へ向かう。

 

「たのもー! 私達だけじゃ反省会してもよくわからなかったからカイドウの感想を聞きに来た‼︎ 教えて!」

 

 時々すれ違う船員達に驚かれながら辿り着いたカイドウの部屋に先程遊びに誘った時と同じ感じで部屋に入れば、カイドウは酒を飲んでいる最中だった。

 

「……失礼しました」

「待てイブキ、まだおれは酔ってねェよ。教えてやるから座れ」

 

 酔っている奴は大体酔っていないと自己申告するので疑い深くカイドウの顔を見るが、確かに酔っているようには見えない。なら大丈夫かとヤマトを連れて部屋に入り、カイドウの前に二人で座る。

 

「まずイブキ。お前は動きが直線的だ。自分の肉体強度に自信があるんだろうが、少しは避けることも考えろ」

「うん」

「次にヤマト。お前にイブキみたいな野生の勘は無い。勘頼りに避けようとするくらいなら確実に防げ」

「……えっ?」

「なんだ?」

「僕にも教えてくれるとは思ってなかったから……」

「……ウォロロロ、おでんを名乗ることは認めねェがなヤマト、おれはお前が強くなることを否定する気はねェよ」

 

 驚くヤマトにカイドウは複雑な顔をしながら答えた。自分の娘が強くなるのは嬉しいけど、それ以外が嫌みたいな感じかな?

 

 その後は戦闘ではないただの父との会話にヤマトが戸惑いながらも返事を返し、たまに私が乱入するを繰り返す。恐らく今だからこんな会話が出来るだけで、原作まで拗れた関係でいればヤマトが覚悟完了してしまうのでこの親子の会話は出来なくなっていただろう。

 

 まぁヤマトが頭おでんのうちは真の和解なんて無理だと思うけど。昨日のおでん話の時点でヤマトのおでんになりたいという意志の強さはわかったので、何があっても最終的にヤマトは侍側に立つと思う。修正は不可能だ。

 

「長話になりそうだし、ちょっと飲み物もらってくる」

 

 すっかり雑談ムードになったので、私達の分の飲み物をもらおうと私は立ち上がる。その際にカイドウはチラッと自分の手元にある酒を見たが、私が顔を顰めたので何も言わずに私を見送った。

 

「さてと、船員さんはどこに……ってうぉぉお⁉︎」

「うぅ、カイドウ様とヤマトぼっちゃんが穏やかに会話をしている…!」

 

 襖を引いて廊下に出れば、すぐ横で号泣する船員がいた。っていうかよく見たら奥にも数人ほど啜り泣いている奴らがいるじゃん。怖っ!

 

 しかも穏やかになんて言うけど、私から見たらまだちょっと空気がピリついてるよ。いや、船員達からしたら戦闘にならずに会話している時点で嬉しいのかもしれないけど。

 

「ズビィ! 話は聞きました。イブキお嬢とヤマトぼっちゃんのお飲み物ですね。すぐにお持ちします」

「うん、ありがとう。でもその涙と鼻水は入れないでね」

 

 私の言葉が聞こえているのかいないのか。涙を流しながら走り去っていった百獣船員を私は見送ることしか出来ないのであった。




オリ主……なんかヤマトの心が原作より弱くなっていることに疑問を感じていたが、自分のせいだと知って慌ててリカバリーに走っている。




 エースと出会う前に加えてオリ主という自分の代わりがいるって知っていたらヤマトの精神って不安定になってそうですよね!ね‼︎
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