エンカウント率ぅ   作:フドル

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誤字脱字報告ありがとうございます‼︎

仕事前とかに投稿すると酷い誤字脱字がなかったかと休憩時間になるまでずっと不安になる。


世界を揺るがす歌姫のライブ

 仮加入したウタを連れてエレジアから旅立った私達はまずウタの第一目的であるシャンクスが率いる赤髪海賊団と接触することを目標にした。

 

 とはいえウタも探し出してまですぐに赤髪海賊団に会うのは心の準備がどうたらこうたらで遠慮していたので、私達は今まで通り島を巡りながらのんびりと赤髪海賊団の情報を集めることに。

 

 私の頭の片隅には人数が増えたことで諸々の出費も増えるという懸念点があったが、ウタが路上で歌えばあっという間にそこがライブ会場になり、空き缶でも置いておけば観客からお金が勝手に投げ込まれるのでぶっちゃけ私とヤマトの二人だった時よりも収入が増えている。屋台の売り上げが路上ライブに負けた時は流石に悔しかったが。悔し過ぎてコラボメニューを作ってたあたりちょっと迷走してた感はある。

 

 本来なら稼ぐ手段が増えたと喜ぶべきなのだが路上ライブは得ばかりではない。ウタはまだ無名なので金の匂いを嗅ぎ取った奴らが群がってくるのだ。それが人攫いとかのウタ本人を売ろうとする奴らだったら問答無用でぶっ飛ばすだけなのでいいのだが、ウタの歌声に感動してスカウトにくる人達は穏便に暴力で解決し辛いので困る。

 

 それに加えてウタ本人は能力を使わないとそこそこ身体能力が高い程度なのでそこらの海賊相手でも負ける可能性があって目が離せない。かといってウタが能力を使うと巻き込まれが多発して悪い意味で注目を集めそうだ。なので変に目立って他勢力に狙われることになるのならウタの能力は使用しない方がいいだろう。そんな理由で普段はウタの能力使用を禁止しているがそうなればウタの自衛能力は当然下がる。

 

 勿論いついかなる時でも禁止しているわけではなく、一人の時や私達ではどうしようもない敵が現れた場合は使用しても大丈夫としている。その時に私達がいるならヤマトが歌を聴いてウタワールドでウタの護衛。私は鼓膜を破ってウタワールドには行かず現実のウタを護衛する手筈となっている。

 

 そんな諸々のことを決めてからウタのライブ活動が始まったわけだけど、盛況すぎて怖いレベルだ。ウタ自身が稼いだお金で配信出来る電伝虫を購入して世界に歌を届けるようになってからは飛躍的にウタの名前が世間に知れ渡った。

 

 それはウタにも予想外だったらしく、私達とは別の理由でウタはお面をつけるハメになった。そのせいで私達3人はみんなお面をつけていて側から見たらただの怪しい集団だ。ちなみに私が能面、ヤマトが般若、ウタが狐である。

 

 まぁ歌だけでよくここまで人気になれるものだ。ヤマトなんてウタに触発されて一度路上ライブをしたのに全然人気が出なかったぞ。そのせいで私がヤマトを慰めることになったし。

 

 ウタが人気になり過ぎているおかげでライブ中の護衛も大変だ。私は度が過ぎるファンが出てきたら金棒で地面を砕いて威嚇するし、ウタ狙いの人攫いが来たら金棒で殴り飛ばしているのでファンも大人しいが、ヤマトは言葉と身体で押さえようとするのでヤマトを乗り越えてウタに話しかけようとするファンが多い。そこまでいけばヤマトも実力行使に移るので心配はしていないけど。

 

 そんな私達もファンの間ではすっかり馴染んでいる。一部は天竜人へ手を出した賞金首の二人じゃないかと怪しむ人もいるが、お面という最強アイテムで私とヤマトは顔を隠しているため確信まではされていないようだ。

 

 流石お面だ。隠密性バッチリである。正直に言えばすぐにバレると思っていた。効果を疑っていた私を許してくれ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私達は島に着くとそれぞれ自由に行動するか、屋台を開いたり鍛錬したり模擬戦したり絡んできた海賊を倒したりして日々を過ごし、最後にウタがライブをしてから島を発つのが基本的な流れだ。

 

 熱心なファンはウタのライブを生で見るために追いかけたりするみたいだが、私達は月歩で空を走って適当な島に行くので追いついてきた人は今のところ皆無だ。そのため配信でライブ予定の島を教えてほしいなんて言う人は結構多い。

 

「っていうことでシャボンディ諸島っていう場所で告知ライブをしてみようかなって……めっちゃ嫌そう⁉︎」

「シャボンディ諸島かぁ……」

 

 ウタもファンの声には可能な限り応えてあげたいと思っているのか、1日が終わって宿で休んでいる時に自分の考えを話してくれた。しかし素直に場所が悪い。

 

 もう未来が見えたもん。ライブ中に天竜人が乱入してきて私かヤマトのどっちかがぶっ飛ばして海軍大将襲来だ。

 

 そろそろわっしの出番かァ〜〜なんて幻聴が頭の中を通り抜け、私の顔がしわくちゃになる。今はお面もつけていないのでウタの反応通り凄く嫌そうな顔を今の私はしているんだろうな。

 

 だって仕方ないじゃん‼︎ 大将の相手なんて私だけの時以外はしたくないの‼︎ あいつら青雉以外は相手の動きが鈍るならって理由で平気な顔して私以外を狙うだろうし。

 

 ゴードンが私達を信頼してウタを預けてくれた以上、私達は赤髪海賊団とウタが出会うまでの間、ウタを守る義務がある。

 

 かといってウタの頼みを危ないからと否定するのも違うよなぁ。せっかくエレジアの外へ出たのだから可能な限りウタの好きなことをさせてあげたいとも思う。

 

「良いよ、シャボンディ諸島では告知して人を集めてからライブやろっか」

「本当⁉︎ ん〜っ、やったぁ‼︎ 流石イブキだね‼︎」

「何やってるの? 僕も交ぜてよ‼︎」

「ちょっ、ヤマおぶぅ⁉︎」

 

 抱きついてきたウタにされるがままになっているとそれに気付いたヤマトが飛び込んできた。やられたらやり返す精神でみんながみんなに反撃してもみくちゃになり、誰かが笑い出したのを皮切りに三人で笑い合う。

 

 それからしばらく三人で遊び、この中で一番体力がないウタが疲れて眠ったところで終了。疲れを明日に持ち越すのはいけないという理由でヤマトにも就寝を促し、みんなが寝てからこっそりと電伝虫を持って私は部屋を出た。

 

 保険はいくらあっても困らないからね。今のうちにシャボンディ諸島ライブへ向けての出来る限りの準備は進めておこうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日、島を発つ前のライブでウタが宣言した次のライブはシャボンディ諸島でするという告知は瞬く間に世界中へ拡散された。新聞にもウタの告知は掲載され、人々はそれぞれの思惑をもってシャボンディ諸島へ向かう。

 

 たった数ヶ月活動しただけでこれだけの人気が出るのはウタの歌声にそれだけの魅力があるということだろう。

 

 人が来るのだからと普段より練習に励むウタを尻目に私は一部が凍りついて未だに解けていない場所を見て顔をしわくちゃにさせながらシャボンディ諸島のどこでライブをするかを決める。大量に人が来るのはわかっているのでどうせなら巨大なステージでライブをさせてあげたいが、私では土地の使用許可云々がわからないのでそこら辺のことは素直に協力者に頼むこととした。

 

 ちなみに協力者は王下七武海の一人であるドンキホーテ・ドフラミンゴの息がかかった者だ。カイドウに定期連絡をした際にシャボンディ諸島ならドフラミンゴを頼れと言われ連絡先も教えられたので連絡すれば、既にカイドウが手を回してくれたのか電話先のドフラミンゴは私の名前を聞くと快く協力を約束してくれた。

 

 派遣されてきた人も金の匂いを嗅ぎ取ってきた他の商人みたいな欲望に塗れた目じゃないのが好印象だ。その代わり思わずウタとヤマトが声をかけてしまうレベルで何かに怯えていたけど。あんなに身体が震えるなんてドフラミンゴから何を言われたんだろ?可哀想に。

 

 そんな彼の協力によってスムーズにライブ会場は用意された。その頃には他の商人達がウタグッズを作り販売しており、ファン達はそれを買ってライブに備えている。私も一通り見てみたが、よくもまぁ短期間でこんなに多種類のウタグッズを作れたものだと感心するレベルだ。出費が痛いがウタを応援する意も込めて幾つか購入しておく。

 

 そうやってシャボンディ諸島がライブの準備を整えているうちに日が流れていき、とうとうライブ当日となった。天候は曇りだがライブ会場の熱気は凄まじく、ウタの登場を今か今かとファン達は待ち構えている。

 

「ウタ、準備は大丈夫?」

「バッチシ‼︎ 最っ高のライブにしてみせるから二人とも私の歌を楽しんでね?」

「勿論だよ‼︎」

 

 開始時刻が近くなり、舞台袖で待機するウタと少しばかり会話する。これから私達はウタを狙う有象無象から彼女を守らなければならないが、ライブのお祭り感にあてられたのかヤマトはかなり興奮しているみたいだ。ウタの言葉に風圧が発生しそうな勢いで首を縦に振っている。

 

 そんなことをしているうちに開始時刻となったのか、ドフラミンゴ配下のオバワクさんが私達に合図を出してくる。

 

「じゃあ行こっか。イブキは今回もお願い」

「わかってるよ。何が出てきても対処は私に任せてね」

 

 ライブ前の最後の会話をしてから舞台へ私が先に出る。私が出てきたことで熱狂していた観客達の話し声が次第に静かになっていく。その間に私は舞台より一段低い私専用の場所に陣取り、金棒を突き刺してその場で待機。

 

 私が準備を終えたタイミングで舞台を照らす照明が一度落ち、再点灯すると舞台の中心にはウタが立っていた。

 

 前口上は必要ないと言わんばかりに早速ウタが歌い出し、彼女の歌声がシャボンディ諸島へ響き渡る。それは彼女がウタ本人だと何よりも示しており、会場はすぐさま熱狂の渦に包まれた。

 

 あーあ、このまま何事もなくライブが終わればいいんだけど多分無理なんだろうなぁ。ライブが始まる前にオバワクさんから怪しい動きをしている海賊とか海軍がいるよって教えられたからなぁ。

 

 海賊はお金、海軍は人々を熱狂させる歌姫ウタをそんな海賊達から守って恩を売りたいってところか? この感じだとどこかに革命軍も潜んでいるかもね。

 

 まぁぶっちゃけ天竜人じゃないならなんでもいいか。アイツらは出てきた時点でどう対処してもライブを中断するしかないから本当にクソ。

 

 でも一人が死んで四人が瀕死の重傷を負ったシャボンディ諸島には流石にもう来ないよな。うん、きっとそうだよ。そうに違いない。

 

 

 

 

 

 

 天竜人はシャボンディ諸島には来ない。私がそう断じた時点でフラグは立っていたのだろう。

 

 ライブは終盤。本来なら盛り上がりは最高潮に達しているはずの会場が今では静まり返っている。

 

 何故か?その理由はライブ中にもかかわらず舞台に入り込んできたゴミ野郎のせいである。

 

「むふ〜ん、乗り物が遅くてハナタレタ聖に先を越された時はヒヤッとしたが、わちきの勝ちだえ!」

 

 天竜人の声をマイクが拾い、シャボンディ諸島にその存在を知らしめる。もしかすると今頃他の場所では騒ぎになっているかもしれない。

 

 私だって警戒はしていた。その証拠にもう片方の舞台袖では垂れた鼻水が印象に残る天竜人が護衛達と共に気絶している。私が覇王色を彼らに浴びせたからだ。

 

 しかしたった数人、それも他の人達を巻き込まないように覇王色を放つことは難しく、私だとかなり意識を集中しなければならない。それによって他のところへ意識が向かなくなったタイミングで反対の舞台袖から別の天竜人が登場だ。これが隙を生じぬ二段構えってやつだな。してやられたよ、本当に。

 

 舞台袖から現れた天竜人を見るなり観客のほぼ全てが口を閉ざして奴の顔を見ないように土下座する。もうこうなった時点でライブなんて続けられるわけがない。

 

「ごめんウタ、ライブは中断するしかないみたい。事前に打ち合わせた通りでお願い」

「……わかった。イブキは──」

「私はちょっとゴミ掃除をするから」

 

 天竜人とウタの間に挟まる位置へ移動し、非常に心苦しく思いながらもライブの中断を告げる。いつものウタなら天竜人も仲良く私の歌を聴けば良いなんて言いそうだが、事前に何度も天竜人がどういった存在かを教えていたのでウタは変に食い下がらず、ヤマトと合流するために素直に舞台袖へ引っ込んでくれた。

 

「なんだえ? お前は?」

「ここは舞台上で関係者以外は立ち入り禁止。天竜人用のVIP席を用意しているからそっちでライブを楽しんで」

 

 ウタにはゴミ掃除と言ったけど彼を殴ればライブは完全に終わる。だからぎこちないと理解しながらも笑みを浮かべてこの場を穏便に収めようとした。しかし──。

 

「何を言っているえ? それよりお前、早く歌姫をここへ連れて来るんだえ」

 

 予想は出来ていたけど天竜人には人々の楽しみを理解出来なかったようだ。

 

 ふー、落ち着け私。多分今の表情は凄いことになっていると思うけど落ち着け。舞台袖だ。そこまで天竜人を誘導してからぶちのめせば隠せる。そのあと適当に理由をつけて天竜人は帰ったことにしてライブを続ければいい。

 

 こめかみ辺りの血管が浮かび上がっているような気がするし、口端がヒクヒクして笑みを浮かべるのも難しくなっているがなんとか舞台袖まで行くように誘導しようと私は天竜人の機嫌が良くなるような言葉を考えようとした。

 

「もういいえ、役立たずは死んどくえ」

 

 だがすぐにウタを連れてこようとしない時点で天竜人からすると苛立つのだろう。私の気持ちなど考えもせず天竜人はピストルを構えると私に向けて発砲した。

 

「ギャーー⁉︎ 痛いえ‼︎」

「あ、やっちゃった」

 

 穏便に済ませるにはこの弾は何もせずに受け止めるべきなのだが、私は飛んできた弾丸を無意識に金棒で弾いて天竜人に打ち返していた。それが胴体に当たったらしく天竜人は奴隷の乗り物から転げ落ちて舞台の上でのたうち回る。

 

「あー、もういっか。どうせみんなが頑張って準備を整えたライブを台無しにしたケジメはつけてもらうつもりだったし」

「貴様‼︎ なんて罪深き──」

「はいはい、どいてねー」

 

 主人を攻撃されたことで武器を構えた護衛達を一纏めにぶっ飛ばす。初めからこうしておけば良かったんだ。いらないストレスを溜めたな。

 

「お、お前⁉︎ こんなことしてタダで済むと思ってるのかえ⁉︎」

「さぁ? そんなこと私にはわからないよ。じゃあ殺すね?」

「い、今すぐ土下座して謝るのなら許してやるえ⁉︎」

「なんで土下座する必要があるのさ? じゃあ殺すね?」

「ちょっ、待つえ‼︎」

「待たないよ。じゃあ殺すね?」

「接続詞の意味わかってるのかえ‼︎⁉︎」

 

 鬱憤を晴らすかのように金棒をブンブン振りながら天竜人へ近付けば天竜人は舞台の上を這って逃げる。その時々でピストルを撃って抵抗してくるが、海楼石の弾丸じゃない時点でそんなもの豆鉄砲でしかない。

 

「待てー‼︎ 止まるえ‼︎止まっ──」

「"雷鳴蛇衝(ボ・ネク)"‼︎」

「デェーー‼︎⁉︎」

 

 ピストルの弾も尽き、カチカチと空撃ちの音が響く。最後の抵抗として私に制止するように手の平を向ける天竜人だったがそんなもんで私が止まるわけがなく、天竜人の頭上へ金棒を振り下ろした。

 

 結果天竜人は潰された空き缶のように縮んだが、舞台にめり込んだことで衝撃が逃げたのか死んではいない。そのため追撃としてもう一度金棒を振り下ろし、天竜人を舞台の下へ完全にめり込ませた。

 

「しまった。コイツらは生命力がおかしいんだった。確実に殺したいなら首を斬るべきだったな……」

 

 舞台をぶち抜いて地面に埋まった天竜人を舞台上から見てやってしまったと片手で頭を抱える。……まぁスッキリしたしいいか。ついでに覇王色で気絶させたもう片方の天竜人も起きたら五月蝿そうだから埋めておこうか。

 

 私が手を出した時点で観客は逃げていなくなっており、先程までの熱狂が嘘みたいに思えるほど静かな会場を移動して舞台袖に転がっている天竜人の足を掴んで引き摺ってもう片方が作った穴の中へ放り捨てておく。

 

「イブキ‼︎ 大変だよもう海軍が来てる‼︎」

「んー、大丈夫だよヤマト。こっちも来てくれたから」

 

 後は穴を埋めるだけとなったタイミングでヤマトがウタと一緒に舞台へ上がり込んできた。ヤマトに教えてもらった情報は本来なら慌てて対処しなければならないことだが、今回に限っては保険がある。来てくれるか不安だったけど、どうやらちゃんと来てくれたようだ。

 

 私が作っておいた保険が空から落ちてきて……あ、天竜人の穴に落ちた。穴が人型に作り直されたわ。

 

「まさか、イブキ……」

「保険はあって困るものじゃないでしょ?」

 

 人型になった穴の形状を見てヤマトは落ちてきた人が誰か気付いたのか私に視線を向けるのでお面を外してウインクを返す。私達で抑止力になり得ないならなれる存在を呼ぶしかないでしょ。

 

 そんなやり取りをしているうちに穴に手がかけられ、カイドウが姿を現した。しかしその表情はなんだか不機嫌そうだ。

 

「久しぶりカイドウ。先に言っておくけど今回のそれはわざとじゃないからね」

「あぁ、久しぶりだなイブキ。ヤマトもさらに強くなったみてェじゃねェか」

「……僕はおでんになるからね」

「ウォロロロロ、まだそれを言っているのか」

 

 とりあえず舞台袖に置いてあったタオルを渡すと、カイドウは落ちた際に自身の身体に付着したと思われる赤い液体を拭きながら私を見て変な表情になるものの、ヤマトを見ると好戦的な笑みを浮かべた。ヤマトのおでん発言を聞けば顔を顰めたが、前よりは強くなっているからかいつものように強くあたることはなかった。

 

「それよりカイドウ、不機嫌そうだけどやっぱり嫌だった?」

「違ェ、ここに来る前に何が目的かわからねェが赤髪の船を見つけた。赤髪の小僧と視線があったからここまでくるだろうな」

「シャンクスが⁉︎」

「あぁ?」

 

 カイドウの言葉に反応したのは勿論ウタ。彼女の思わず出た声にカイドウが鋭い視線を向けたので遮るように私は身体を割り込ませる。まぁ小さいから全然視線を隠せてないんだけど!

 

「改めて紹介するよ。この子はウタ。私とヤマトの友達だよ」

「そうだ! ウタに手を出したら僕は許さないぞ‼︎」

「ウォロロロロ、コイツがか」

 

 私の紹介でカイドウの睨むような視線が値踏みするような視線へと変化したが、今は友達が云々なんて言っている場合ではないのだ。

 

 一度だけ手を叩いてみんなの視線を私に集めた後、カイドウへ今の状況を伝える。その結果、予想通りカイドウは楽しげな笑みを浮かべた。味方となれば頼もしい限りである。使わずに飾っておく感覚で呼んだ最強をまさか使うことになるとは思わなかったけど。

 

 これで仮に交戦するとしても海軍の戦力はカイドウに向かうだろうからウタの安全は確保しやすくなった。ひとまず安心と言っていいはずだ。

 

「……それよりもだイブキ。その格好はなんだ?」

 

 そんな感じで戦うぞムードになっていたところにカイドウが私の全身を見ながら質問してくる。

 

「友達のライブを応援するには必要でしょ?」

「……そうか」

 

 なんだよ、全身ウタグッズの何が悪いんだよ。歌にそこまで興味がなくても応援するのは当然でしょうがとカイドウに視線を向ければ返す言葉が見つからなかったのかカイドウは話を切り上げて海軍が来るであろう方向を見た。

 

 それを面白がったヤマトが私の背中にまわり込んで私が背負っているウタグッズの電源を押すと、起動した装置は辺りに陽気な音楽とライトを撒き散らしながらUTAという文字を浮かび上がらせるのだった。




オリ主……歌は聴くけどそこに込められた意味などは考察しないタイプ。カイドウを呼んだ理由は保険もあるけど大々的に告知したなら赤髪も来るだろうからついでに引き摺り出そうと考えたから。娘の近くに虐殺も厭わない最強生物がいたら勿論出てくるよなぁ?今回はカイドウから赤髪がいると教えられたので来なかったら赤髪に対する好感度が一気に下がる。

 ちなみにカイドウに天竜人の血を拭くためのタオルを渡したが、水滴程度の少量しかついてないのでまだ天竜人は生きているんだろうなぁと内心で呆れている。






 何も思いつかなかったけどなんか書いとけ精神で適当な次回予告、本当にこうなるかは現時点では不明。

「現れた最強、対抗するは大将。場を収めようとする父親が入り混じる戦場へ子龍達に守られながら歌姫は声を響かせる。彼女の歌声は暴れる怪物達に届くのか。次回、『頂上ライブ』」
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