エンカウント率ぅ   作:フドル

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誤字脱字報告ありがとうございます‼︎


あなたの後ろに這い寄る7カイドウ

 おはようございます。今日は良い天気ですね。どこまでも澄み渡る青空! 太陽光を反射してキラキラと煌めく海! 朝の空気と混じって香る潮風の匂いは気持ちをスッキリさせます。

 

 そしてそれら全てを台無しにしてしまうレベルでピリついた船のこの空気‼︎ 夜中に敵襲でもあったのか船の甲板は見覚えのある破壊痕が残っており、修復に勤しんでいる船大工があちこちにいますね!

 

「おれの馬鹿な息子が悪かったな」

「う、うん」

 

 それをやった犯人は〜なんと私‼︎ ……いや、そんなことある? 破壊痕的に確実に獣型になっただろ。そんなに殺したい誰かがいたのか?

 

 私からするとぐっすり眠って気持ちよく起床。みんなおはよう良い朝ですねみたいな気分で起きたのに、部屋にいたヤマトは私が起きたことに気付くなり部屋の外へ飛び出していくし、そしたらエースとかマルコを筆頭に白ひげの船員達がゾロゾロと部屋の中に入ってきてあれよあれよと甲板に連れてこられて白ひげの前だ。

 

 出会った船員達には申し訳なさそうな顔で見られるし、白ひげから謝罪されるし、エースやサッチは白ひげを庇うしでわちゃわちゃしている。

 

 一応話は聞いたよ? ティーチが酔った私を殺そうとしたってさ。それで私がティーチを逆にボコボコにして撃退したらしい。白ひげ側だと事情がわからなかったから獣型になって船を潰しそうになった私を鎮圧したと教えられたけど……うん、何にも覚えてない‼︎

 

 とりあえず知っているフリで白ひげの言葉には頷いているけど、置いて行かれている感が凄い。えっ?これ私どうしたらいいの?

 

「ティーチの内心を見抜けなかったおれの失態だ……」

「オヤジは悪くねェよ‼︎ 悪いのは少しなら大丈夫だとイブキから目を離したおれだ‼︎」

 

 シリアスな顔をしながらも内心は疑問符でいっぱいの私を他所にティーチの考えを理解出来てなかったと嘆く白ひげ。その様子を見た頭に包帯を巻いたサッチは私の方へ振り返り、滑り込むように縋り付いてきた。

 

「頼むイブキ! ケジメはおれの命で勘弁してくれないか⁉︎」

「……???」

 

 何言ってんだコイツら? ケジメってなんの話? 頼むから誰か一から全て教えてくれる読者に優しい解説役を用意してくれ。こんなに船員がいるんだから一人ぐらいそんな役割の人がいてもいいだろ。早く来てくれないと話に追いつけないどころかスタート地点から動くことも出来ないから。私が。

 

 そんな期待を込めて周囲をチラッと見てみるけど、白ひげ関係者はみんな悔しそうに俯いたりティーチに向けた怒りを露わにしているだけだ。

 

「やめろサッチ。カイドウにはおれが話をつける」

「で、でもよぉオヤジ……」

 

 なんでここでカイドウ? 娘を殺されかけたから連絡するみたいな感じ?

 

 ……あ‼︎ もしかしてあのすっごく至極当然な拒否理由に白ひげがそうなったらおれの首をくれてやるって言い返したやつのことを言ってるのか!

 

 成程、やっとみんながこんなになっている理由を納得出来たぞ。つまりティーチがやらかしたせいでみんなは白ひげが死ぬと思っているのか。完全に理解したぞ。

 

 でもカイドウのあの発言って男と女の性的な何かが起きた場合どうするつもりだって言っているのであって私達が殺されたりしたら云々は言ってないと思うけど。あの人のことだから私達が白ひげの誰かに殺されたら油断したり弱かった私達が悪いってだけで話は済むし、娘が死んだ責任は〜なんて言わずに即座に報復戦争をするだけだと思う。

 

 まぁ私の推測なのでカイドウがどういった意図で言ったのかはわからないけど、白ひげ達が思っているほど悪い方向のものじゃないのは確か。ぶっちゃけ私は無事だから白ひげ達も知らんぷりしとけばいいと思うけど。……本音を言うと全く記憶にないから許せる許せないのライン決めが出来ない。っていうかここにいない一番責任を負うべきティーチはどこいったのさ。

 

「とりあえずティーチもここに連れてきて、そこから話を進めようよ」

「……逃げたよい」

「……はい?」

「ティーチはこの船から逃げたよい。見張りの二人を瀕死にさせてな。見張りを担当したアイツらは決して弱かったわけじゃない。今も治療は続けているが、助かるかはわからないよい」

 

 私がボコボコにしたからまだ気絶してるのかと軽い気持ちで問いかけたら、マルコから重いボディブローみたいな返事が返ってきた。余程悔しいのかマルコは強く拳を握りしめており、爪が食い込んでいるのか拳からは血が流れている。

 

 ふむ、見張りが弱くないって言っているのにやられたってことは完全に油断してたのだろう。もしかするとティーチのことを疑ってなくてその隙を突かれたのかもしれない。

 

 とはいえそれは私にとってどうでもいいことだ。今の問題は一番責任を取らないといけない奴が逃げたこと。そうなるとケジメを取る対象は白ひげになるのだけど、流石に部下のケジメを取って死ねはやりすぎだしなぁ。

 

 私に当時の記憶が全くないのも痛い。そのせいで今回の規模の大きさがわからないから自分の物差しで納得のいく決着の付け方が出来ない。

 

 カイドウなら部下を殺して謝罪で終了だけど、白ひげにそれが出来るとは思えないのに加えてそもそも対象が逃げてる。うーん、どうしたものか。

 

「白ひげ達はティーチを追うんだよね?」

「あぁ、ティーチには必ずケジメをつけさせる」

「じゃあティーチを捕まえたらそっちでケジメをつけさせた後に彼の身柄を私に頂戴。それで今回は納得する」

「……殺すのか?」

「それは彼次第」

 

 我ながら甘い判断だなと思いつつ、白ひげに今回の落とし所を伝えると覇気を漏らしながら白ひげが一言問いかけてきた。

 

 うん、殺すけど? なんて言えば戦闘になりそうなので明言は避けておく。でもティーチが私の命を狙ったことは確定なので、取り敢えず殺す方針でいくことは確定。どうせヤミヤミの実を狙って私の前にまた現れるのだから基本的には殺しにいって、その時の状況次第でトドメを刺すかどうかを考えればいっか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここら辺ならティーチが逃走出来る島は一つしかないということで早速その島に向かい、白ひげ船員による大捜索が始まった。

 

 が、ティーチと思われる男は船を買って既に島を出ていると島民達から話を聞いたことで白ひげ海賊団は早急に補給を済ませて出航していった。今回はみんなでティーチを探しているからかエースも一人で飛び出したりはせず、共に行動しているようだ。

 

 私達は事前に話した通りにこの島で白ひげ海賊団と別れた。私が再びティーチに狙われる可能性があると考えたエースは護衛として自分が私達と行動を共にすると白ひげに伝えていたが、私が却下して船に叩き戻したので今は私とヤマトの二人だ。ぶっちゃけエースがいるとティーチを殺す時に絶対揉めるからいないほうがいい。

 

「ん〜! 久しぶりの二人だけど、取り敢えず屋台を開いてお詫びで貰った肉を売っちゃおっか」

「イブキは働き者だね。いっぱいお金を貰ったのに」

「お金は使うだけだといつの間にか無くなっているからね。稼げる時に稼いでおかないと」

 

 船に蔓延していたピリピリとした嫌な空気から抜け出せた解放感に伸びをした後、お詫びとして奢ってもらった肉を使って屋台の準備をする私。そんな私を見てヤマトはこれまたお詫びとして渡された私の手元に置いてあるティーチが貯めていたお金が入ったバッグを見てそんなことを呟くが、手伝うことに異論はないようで屋台の組み立てを手伝ってくれる。

 

 ヤマトが言った通り、ティーチが白ひげの船に置いていったお金は渡してきたマルコの言葉を信じるなら5000万ベリーという大金だ。しかしお金は稼げる時に稼いでおかないと勿体無い。今回は材料費が無料で手に入ったから余計に勿体無い。あと肉を腐らせるのも勿体無い。

 

 そんな理由で開店した屋台だけど、やはり繁盛した。看板娘のヤマトが客引きとしてあまりにも有能すぎる。ヤマトの顔だけに惹かれた悪い客もヤマト自身で勝手に撃退してくれるし、ただ撃退するだけじゃなくてキチンと串焼きを買わせてから帰らせるので売上も上がる。これには私もニッコリでヤマトの給料をアップせざるを得ない。

 

 エースとの姉弟自慢から姉の自覚が芽生えたのかヤマトは妹を手伝っただけと受け取りを拒否してくるが、働きにはそれ相応の報酬を与える必要があると私は考えているので無理矢理渡している。

 

 そんなこんなで数時間経ち、キリの良いところで閉店。後は使ったものを洗って明日の分の仕込みをしようと道具の準備をしていたところだった。

 

 いつものように雲を貫いて空から人が落ちてくる。それは当然のように私の屋台の前に落ちてきたが、私は反応することなくそのまま準備を進める。

 

「イブキ! 何か落ちてきたよ⁉︎」

「どうせカイドウでしょ。いちいち驚いていてもキリがないし、勝手によじ登ってくるからほっといていいよ」

「もしかしてまた呼んだの?」

「いや、これは本当にただの自然エンカウント」

「え、えんかうんと?」

 

 この方法でカイドウと2回目のエンカウントをするヤマトは驚きながら私に報告してくるが、私は用意を進めながら返事だけ返す。そんな外の海ではカイドウが落ちてくるのは常識と言わんばかりの態度を取る私にヤマトは困惑しながら穴と私を交互に見ている。

 

 案の定、落ちてきたのはカイドウだったので後で食べようと思っていた作り置きの串焼きをまだ片付けずに残っていた机の上に置く。ぶっちゃけカイドウが来てくれたのは私にとっても都合が良い。

 

「ウォロロロロ、久しぶりだな」

「うん、久しぶり。今回は私からもカイドウに用があったから丁度良かった。私的には早速本題に入りたいところだけど、まずはこの串焼きを食べてゆっくりしなよ」

 

 穴から出てきたカイドウはお馴染みのセリフを私とヤマトに向けて放つ。それにいつものセリフを返しつつもカイドウに私からも用件があることを伝えるが、いきなり本題というのもナンセンスなのでまずは一息ついてもらう。

 

「で、話ってなんだ?」

「実は白ひげの場所にいる時に手に入れた悪魔の実があってね? ヤミヤミの実って呼ばれる自然系の実なんだけど……1億ベリーくらいで買い取ってくれない?」

「自然系か。ウォロロロロ、おれの海賊団には合わねェ実だが……良いだろう。8億ベリーで買ってやる」

「えっ、そんなに高くて良いの?」

「構わねェ、むしろまだ安いくらいだ」

 

 用意した串焼きをある程度食べたところでカイドウは私の本題を聞いてきたので直球でいらないヤミヤミの実を1億ベリーで買って欲しいとお願いしたところ、悩む素振りもなく8億ベリーで買い取ると返事が返ってきた。

 

 思っていたより高い売値に私が驚けば、カイドウはなんてこともないように言う。その太っ腹ぶりには思わず私も驚きの声が出た。

 

「金はどうする? また部下どもに持ってこさせるか?」

「ううん、そっちで貯金しといて欲しい。百獣海賊団の金庫に私が自由に使えるお金が8億ベリーあるって感じにしといてくれたら良いや。取り敢えず取引成立ってことで、はい、ヤミヤミの実だよ」

「……あぁ、確かに受け取った」

 

 8億なんて任せられる部下も可哀想だろと思いつつ、百獣海賊団で管理して欲しいとお願いしておく。8億ベリーもあれば絶対に財布の紐がゆるくなるからね。あくまでも8億あるから安心って感じにしておきたい。

 

 カイドウからの了承も貰えたので、ヤミヤミの実を渡す。カイドウは自分からすればあまりにも小さい容器を器用に開け、中にある実をしっかりと確認すると容器ごと懐に納めた。

 

「……イブキの串焼きは酒が欲しくなる。無いのか?」

「私の屋台はお酒を扱ってません。遠いけど酒屋があるからそこから買ってきてよ」

 

 私の用件が終わり、残った串焼きを食べていたカイドウが酒が欲しいとぼやくのでこの島の地図を引っ張り出してきて酒屋の位置を指差しカイドウに買いに行けと伝えたら、面倒臭いと言いたげな顔をしていたけどやっぱり飲みたいのか席から立って素直に買いに行った。前回よりかは距離が遠いので戻ってくるまではしばらく時間がかかるだろう。

 

「……で、ヤマトは何をやっているの?」

「塩を撒いてる‼︎」

「あまり無駄遣いしないでよ。やるなら豪快に鷲掴みするんじゃなくて、指先でパラパラ撒く程度にしといて」

 

 カイドウの姿が遠のいていくと屋台に隠れていたヤマトが山盛りの塩を持って姿を現し、豪快に塩を地面に撒く。他の調味料よりかは比較的楽に買えるけどそんな用途で使うのは勿体無いので注意すれば、ヤマトはションボリしながらも人差し指と親指で塩を摘んでパラパラと撒き始めた。

 

 これなら大して塩は減らないだろうと考えつつ、せっせと塩撒きをするヤマトの姿を眺めていると、カイドウが歩いて行った方角から人影が見えた。もしかしてもうカイドウが戻ってきたのかとその人影を注視して見れば、とっくに逃げたと言われていたティーチの姿がそこにはあった。

 

「昨日──」

 

 何か話すつもりなのか近付いてきたティーチが口を開くが、取り敢えず机に立てかけておいた金棒を握って駆け出してティーチに向けて金棒を振るう。まさかいきなり金棒で殴りかかってくるとは思ってなかったのかティーチは碌な回避も出来ずに横腹へ金棒がめり込んだ。

 

 そのまま金棒を振り切ると簡単にティーチは吹っ飛んでいく。とはいえティーチのタフさなら立ち上がってくるだろう。

 

「いきなりだな! くそっ‼︎」

 

 案の定ティーチは悪態をつきながら立ち上がってきたので追撃しようと姿勢を低くして金棒を構えると、ティーチは待ったと言わんばかりに手のひらを私に向けた。

 

「待て‼︎ おれの目的はヤミヤミの実だが今回は奪うつもりはねェ。1億ベリー相当のアテが出来たんだ」

「……続けて」

 

 いつもなら無視して突っ込むところだけど、ティーチの後ろの通路から酒樽を持ったカイドウの姿が見え始めたのでそのまま話を続けさせる。すると私が食い付いたと思ったのか、ティーチはアテが何かを話し始めた。

 

 内容はこの島に悪魔の実を持っている人がいるらしく、そいつの悪魔の実を手に入れてくるからヤミヤミの実と交換して欲しいみたいなことだった。

 

 まぁ、私は最低値の1億でヤミヤミの実を売るって宣言したので、どの悪魔の実を交換条件にしても一応大丈夫。大丈夫だけど……もうヤミヤミの実は手元にないんだよね!

 

「どうだイブキ。これなら釣り合うだろ?」

「んー、私がまだ持っていたらそれで良いと思うよ」

「ゼハハハハ‼︎ そうだろう? ……待て、今なんていった?」

「あ、気付いた? もうヤミヤミの実は売っちゃったんだよね」

 

 私が交換条件に応じるような反応をしたことでティーチは気が良さそうに笑ったが直後に私の言い方に違和感を感じたのだろう。笑みを引っ込めて真顔で問いかけてきたのでコチラも素直に答えてやる。

 

「おい!どこのどいつに売ったんだ⁉︎ 答えやがれ‼︎」

「あなたの背後にいる人」

「おう、おれの客か?」

 

 ヤミヤミの実を新たに手に入れた人が食ってしまう焦りか、それとも私が簡単に実を手放したことに対する怒りか、どちらとも取れる表情でティーチが叫ぶので彼の背後まで近付いて来ていたカイドウのことを教えてやるとティーチは勢いよく背後へ振り返り、カイドウの巨体を見上げてポカンと口を開く。

 

「か、カイドウ…!」

「白ひげのとこのガキがなんでここにいやがる」

「私がさっきカイドウに売ったヤミヤミの実が欲しくて船を降りて追いかけてきたんだって。まぁ、その辺の話は実を手放した私には関係ないから後は二人で納得のいく取引にしたらいいと思うよ」

 

 白ひげの船員がいることに不機嫌なカイドウと、そんなカイドウを相手にしなければならないと知って冷や汗を垂らすティーチを置いて私は屋台の方へ向かう。理由は勿論道具の片付けを続けるためだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「す、すごい。氷にこんな可能性があるなんて…!」

「僕も初めて知ったよ…! 氷って凄いんだね‼︎」

 

 油汚れが一つもないピッカピカの道具達を見てヤマトとキャッキャしながらチラッと椅子に座ったティーチとカイドウの方へ視線を向けると、二人の話もそれなりに進んでいるようだ。

 

 最初は私に持ちかけた話をカイドウにもしていたティーチだったが、私の価値観とカイドウの価値観は違うのでカイドウはそれを拒否。これに焦ったティーチは必死にカイドウの興味を引こうとしていた。

 

 最終的にはヤミヤミの実は借りとして、ティーチは幻獣種の悪魔の実を手に入れた際にカイドウへ渡すことを条件に交渉は成立した。私も今のヤミヤミの実の所有者はカイドウなのでこの決定に文句を言うつもりは全くない。

 

「でもこの人、寝てるイブキを殺そうとしたよ」

「……あァ⁉︎」

 

 でもヤマトは納得がいかなかったようだ。頬を膨らませながら気に入らないと言いたげな様子のヤマトの言葉を聞いたカイドウはティーチに渡そうとしていたヤミヤミの実を懐に戻し、額の血管を浮き上がらせて立ち上がった。カイドウから放たれる怒気はかなりのもので、それを真正面から受けているティーチはたまったものじゃないだろう。

 

「気が変わった。取引は無しだ…‼︎」

「ま──」

 

 ティーチは慌てて立ち上がろうとしたが、それよりも速い速度でカイドウの金棒がティーチの頭部目掛けて振るわれた。刺激が強い光景になるのはほぼ確定なので、今のうちに私はヤマトの背中にくっついて両手でヤマトの視界を隠しておく。

 

「イブキ⁉︎ 何も見えないよ‼︎」

「ヤマトは見ちゃダメ。ちょっと刺激が強すぎるから」

 

 漫画風に言えば『バキ‼︎』とか『ガン‼︎』などの擬音が大量に付けられるだろう光景が繰り広げられている。そんなものを見せたらヤマトの少し上がりつつあるカイドウに対する親密度が再び最低値まで戻ってしまいそうなので見せない方がいいだろう。私でもちょっとうわぁってなるもん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでカイドウって今回はなんのために来たの? 遊んでくれるなら喜んで挑むけど」

「いや、そうじゃねェ。もうすぐ金色神楽が行われる日だからな。お前達も参加させるために迎えに来た」

「金色神楽? なにそれ?」

 

 ピクピクと動く生きているか分からないほどボロボロなティーチの頬を不良品で使えない串焼きの棒でつつきながらカイドウに今更な問いかけをすれば、そんな言葉が返ってきた。金色神楽と言われてもピンと来ず、何をするのか素直に聞けば、カイドウが内容を話し始めた。

 

 金色神楽は年に一度の大宴会で、百獣海賊団が鬼ヶ島に集まって色々とするらしく、その時にみんな集まっているから海賊団としてこれからの方針なども伝えるようだ。

 

 つまり年に一度ある報告会みたいなものってこと? なんか百獣海賊団って名前の会社みたいだな。

 

 まぁ宴で美味しいものが食べられるなら行く一択だ。あとそろそろみんなのところに顔を出しとかないと心配されそう。

 

 ワノ国までは乗せていってくれるらしいので、龍となったカイドウの身体をよじ登ってカイドウのマントに掴まる。試しに匂いを嗅いでみたけど前回ほどは臭くない。

 

「手錠は自分で壊せるようになったんだからいつでも鬼ヶ島から出れるしヤマトも行こうよ!」

「ぼ、僕は──」

「カイドウのマントは前より臭くないから飛行中も辛くないよ‼︎」

「僕はカイドウの命令で行くんじゃなくてイブキが心配で行くんだからな‼︎」

「………………あぁ、それでいい」

 

 あの鬼ヶ島へ戻るということでヤマトは嫌がったが、私の誘いで行くつもりになったようだ。ただ、タイミングが悪く、マントはそんなに臭くないよ発言をした後にヤマトが行くって言っちゃったせいでカイドウが臭いから行きたくなかったみたいになっちゃった。

 

 さりげなく自身の腋などに顔を寄せて鼻をスンスンさせるカイドウを他所にヤマトは慣れた動きで龍の身体に登ってくる。もしかすると子どもの時は龍となったカイドウの身体に登ったりして遊んだことがあったのかもしれない。

 

「そういえばティーチはどうするの? そのまま放置?」

「いや、連れていく。白ひげの船を降りたならおれが貰ってもいいはずだ。心を折れば良い戦力になる」

 

 私達の準備が完了したことをカイドウは確認すると、ティーチを片手で掴んで身体を浮き上がらせた。高度と速度はどんどんと上がっていき、雲を突き抜けてから真っ直ぐに私達を乗せてカイドウは目的地に向けて飛んでいくのだった。




オリ主……記憶がないので中途半端な対応しか出来ていない。かといって記憶がないから気にしないなんて言ったらオリ主に不都合なことがあれば酔わせればいいじゃんと周囲が考える可能性もあるので知ったフリで取り敢えず行動はする。

殺されかけたというヤマトの言葉にカイドウが怒ったので内心ちょっと嬉しかったり……。




 ちなみにオリ主に酔った時の記憶が残っていた場合、カイドウにやられてボロボロなティーチにも容赦なくトドメを刺します。
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