エンカウント率ぅ   作:フドル

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誤字脱字報告ありがとうございます‼︎

難産だった……


こんな教育なんていらないと思うけど世界観がががが

 トンテンカン、トンテンカンと音を文字にするならそんな感じの音色が鬼ヶ島のあちこちで響いている。

 

 この音は金槌が釘を打つ音で、現在百獣海賊団に所属する船大工を始めとしたメンバー総動員でカイドウによって損傷した屋敷の修復に取り組んでおり、そのメンバーの中には当然私もいる。というか自分から立候補した。屋敷のあちこちを壊したのはカイドウだけど、私が逃げ回ったせいで被害が広がったので直すのを手伝うのは当然だろう。

 

 修理班のリーダーが言うには幸いカイドウの身体が触れた場所が破壊されて穴が空いただけなのでその周囲を取り替えるだけで良いらしく、屋敷の建て直しをするまではいかないようだ。7年もかけて建てた屋敷があんなことでオジャンになるとか割と真面目に笑えないので本当によかった。

 

 ちなみにヤマトを生贄(囮)にしてほとぼりが冷めるまで隠れていた私は宴が終わった後にキングからそれはもうコッテリと叱られた。キングの正論という言葉の暴力でボコボコにされ、反論すら許されず1時間くらい叱られた。後半からは涙目になっていたかもしれない。

 

 それでやっと解放され、ヘロヘロ状態で今日はもう寝ようと寝室に向かえば、寝室の前に誰かが立っているのに気付いた。

 

 その人物はヤマトだった。ヤマトは私に気付くと笑みを浮かべて近付いてくる。だから丁度良いと私も囮に使った件を謝ろうとしたのだ。きっとヤマトのことだから『ビックリしたよ〜! 次はもうしないでよね!』みたいな軽いお叱りが飛んでくると思ったのだ。

 

 結果から言うと全然違った。ヤマトは私に正座を強要すると、その場で説教を開始した。いつもと全く様子の違うヤマトに私は目を白黒させるしかない。

 

 どうやらヤマトのこれは子どもの頃に私の母親が船員を説教していたのを見て覚えたらしい。道理で私の身体が硬直して言葉を吐けないわけだ。今世の母親には数回しか叱られたことがなかったのに身体はこの気配には逆らうなと刻み込まれていたようだ。

 

 しかし自分のやり方とは合わないみたいで、10分くらいしたら大きく息を吐いていつものヤマトに戻ってくれた。私がホッと安堵の息を吐いたのは言うまでもないだろう。

 

 いつもの雰囲気に戻ったヤマトはカイドウの涎でベタベタの身体を綺麗にするために温泉へ向かうようで、私も強制的に連れて行かれた。その道中は有無を言わさずに私を抱き上げてヤマトは移動していたが、あれは多分私にも自身の現在の匂いを嗅がせようとしていたのだと思う。だってカイドウの涎が乾いたせいで全身臭かったし。

 

 まぁカイドウ譲りの肺活量で温泉に着くまでは一度も呼吸をしてないから大きなダメージはなかったんですがね‼︎

 

 ……最終的にバレて匂いを嗅ぐまで離さないと後頭部を押さえられて顔を胸に押し付けられた。なので諦めて呼吸しようとするが、胸のせいで息が出来なかった。いや、真面目に無理だった。巨乳に押さえつけられると息が出来ないなんてフィクションだと思っていたのにその幻想は粉々に砕け散った。

 

 ちなみになんとか離してもらって嗅いだ乾いた涎の匂いは……うん、臭かった。

 

 

 

 

「あっ……」

「ちょっ、イブキお嬢⁉︎」

「ごめん!」

 

 キツかった匂いを思い出してしまったからか、金槌に込める力加減を間違えてしまい、釘ごと壁に穴を空けてしまった。その際の音で私のやらかしに気付いた船大工の船員にすかさず謝罪をする。

 

「ほんっとうに気を付けてくださいね⁉︎」

「うん、気をつけるよ」

 

 すかさず私が破壊してしまった壁の破損具合を確かめ、直せると判断した船員は軽く私に注意だけして自分の作業に戻る。その姿を見送った私も気を取り直して作業に戻るが、しばらくすると破壊した際の埃を吸ってしまったのか鼻がムズムズし始めた。

 

 あ、これダメだ。クシャミが出る。

 

「は、は、はっくち‼︎ ……あっ」

「ちょーー‼︎ イブキお嬢⁉︎」

「いや、うん。……本当にごめんなさい」

 

 クシャミの際に振るわれた金槌によって先程よりも遥かに大きくなった穴を前に、私が取れる手段は謝ることだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 流石にこれ以上任せるのは不安だと思ったのか、カイドウから呼び出しがかかっていると私に伝言を伝えにきた船員にこれ幸いと船大工はここは任せて早くカイドウ様のところに行ってきてくださいと言われたことで私はお役御免となってしまった。まぁ元から人数は足りていたので、私がいなくなっても問題はない。寧ろ力加減を間違えると壁を破壊してしまう人物がいない方が修理は捗るのかもしれない。

 

「それで、なんの用事で呼んだの?」

「いきなり本題か。ウォロロロロ、まぁいいだろう」

 

 他にやることなんてないし、早速カイドウがいる部屋へ向かって話を聞きにいけば、仕事をしていたカイドウは机の上に束ねていた紙を幾つか掴んで私に渡してくる。

 

 今朝でキチンと仲直り?をしたからか、カイドウはいつも通りの自然体だ。謝罪も最初は朝っぱらからダメ親父臭を漂わせながら酒を飲んでいたので後回しにしようと思っていたのだが、ここで言わなきゃこの後も私の性格的にズルズルと後回しにしそうだと思ったのであの時どう思ってあんな言葉や反応をしてしまったのかを一切隠さず正直に伝えて謝ったらあっさりと許してくれた。

 

「これは?」

「ヤマトのことだ。どうせイブキと合わせて鬼ヶ島から出ていくだろう。どこへ行こうがおれには知ったこっちゃねェが、最初はそこへ誘導しろ」

 

 謝った時のカイドウは甘え上戸だったので滅茶苦茶大変だったなぁとその時のことを思い返しながらカイドウに渡された紙を見ると、紙はどうやら地図のようだ。そのことから誘導しろと指示された場所は地図に唯一赤丸で囲まれた島のことだろう。

 

「別に構わないけど……理由を聞いてもいい?」

「ウォロロロロ、教育だ。あいつは甘すぎる。外でぶらつくなら人の醜さを見せておいた方がいいと判断した」

「ふーん、よくわからないけど私は介入していいの?」

「あぁ、それはイブキに任せる。だが……タイミングは間違えるなよ?」

「ん、わかった」

 

 

 その後、カイドウの予想通りに私が鬼ヶ島を出ようとするとヤマトはついてきた。なので予定通りにカイドウが指示した島へ偶然を装ってヤマトを連れて向かう。

 

 しかし島の様子を見てから私はヤマトを連れてきたことを後悔した。

 

「……酷い」

 

 ヤマトが思わずといった様子で言葉を漏らす。あちこちに黒煙が立ち上り、焦げ臭い匂いが私達がいる場所まで届く。無事な建造物は片手で数えられる数しかなく、住む場所がなくなった島民達は項垂れた様子で地べたに座っている。

 

 カイドウが指定した島は、誰かに襲われたであろう島だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございます…! ありがとうございます…!」

「はいはい、わかったから」

 

 案の定、ヤマトはこの惨状を見逃さずに島へ一直線だ。といっても何をすればいいのかなんてさっぱりわかってないようで、私に意見を聞いてきたのでとりあえず炊き出しから始めた。不本意だが無料で。

 

 何度も頭を下げる老婆が列から外れるとすぐ次がくる。その際にズラリと並んだ列が見えてしまい、思わず内心でため息を吐いた。

 

 島民が言うには襲撃者に立ち向かった勇敢な者は死亡し、生き残った人達のなかで判断の早い人がこの島に見切りをつけて去ったらしい。つまり島民の総数は減っているのだが、それでも私達が持ち込んだ備蓄ではギリギリだ。

 

 さらに勇敢な者や島を捨てて逃げる判断が出来る賢い人がいなくなったことで現在のこの島にいるのは大まかに分けて船旅に身体が耐えられない老人、この島に愛着があって離れたくない人、そして現状のヤバさを理解しておらず逃げるかどうかの判断すら出来ない愚者の三つだ。ちなみに子どもはこの中に入れていない。

 

 め、面倒くせぇ〜! 今はまだなんとかなっているが、絶対後からトラブルの元になるぞ。特に三つ目の愚者共。総数的にコイツらが一番多いから余計にだ。かといってやる気満々のヤマトを置いて去るわけにもいかない。

 

「カイドウも酷いこと思いつくなぁ。ヤマト、乗り越えてくれればいいけど……」

 

 カイドウが考えた教育のシナリオ。その最終段階を理解してしまった私は感謝されて笑顔を浮かべるヤマトを尻目に深くため息を吐き、次の者に焼いた肉を渡すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

『おれだ。ヤマトはどうだ?』

「とっても頑張ってるよ。そのおかげでカイドウの考えた結果になりそう」

『ウォロロロロ、そうか』

 

 時刻は深夜。外海の見張りでもヤマトを頼ろうとする当直の奴らを追い返し、ここに来てから働きすぎなヤマトを無理矢理眠らせた私はカイドウと定期連絡のために電伝虫を持って外へ出ていた。

 

 役に立てて嬉しいのかわからないが、ヤマトはこの島を復興させるために精力的に動いている。主な仕事は瓦礫の片付けや建材の確保に建築の手伝い。常人よりも筋力があるからか、ヤマトが手伝いをしている作業は他の人達の作業よりも遥かに進むスピードが速い。そして手伝っている作業が終われば他の滞っている場所へ手伝いに行くというのを繰り返している。

 

 真面目に復興を目指している者達からすると、ヤマトの働きはとても頼もしく見えることだろう。現に老人や島に愛着があって残っていた人達はヤマトを最大限労っている。

 

 が、残りの愚者共はヤマトに感謝こそしつつも、次第にほっとけばヤマトが勝手にやってくれるのでは?と考える人が増えてきた。要するにヤマトの善意に甘え始めた。

 

 結果、彼らが担当する場所の作業スピードは極端に落ち、作業中にサボる姿を見ることも増えてきた。その癖無料の炊き出しにはキチンと来る。

 

 その中でも私達のことを舐めている奴は炊き出しが終わって暫く経ってから飯をくれと私達の仮住まいに訪れ、自分の分が無いことを知ると怒ったりする。まぁ残念ながらご飯関連は私の管轄だ。私はヤマトと違って甘くは無いのでおとといきやがれと問答無用で帰らせた。具体的に言うと胸ぐらを掴んで外へぶん投げた。

 

『手伝いが必要なら人員を送るが?』

「いらない。その人員って被害を更に大きくする襲撃役でしょ? そんなことしなくてもあいつらはもうヤマトの無償の善意に毒されてる。後は今の環境がどれか一つでも崩れると勝手に爆発すると思うよ。そうなれば私も動くけど……文句はないよね?」

『最初に言ったとおりだ。好きにしろ』

 

 あぁ、嫌だ嫌だ。こんな世界じゃなかったら絶対反対していたのにな。でもヤマトの心を成長させるためだ。やり方が荒っぽくて最悪ヤマトの心に癒えない傷を残す可能性があるとしても、ヤマトの優しさを知っているからこそやらなくてはならない。

 

「あ、そうだ。一つだけ聞きたいことがあるんだけど……。ここの島って百獣海賊団が襲ったの? 略奪のために襲ったならまだ納得するけど、ヤマトの教育のためだけに準備したっていうなら……私は怒るよ?」

 

 覇気が漏れ、周囲の木々が揺れる。電伝虫越しだからこの覇気はカイドウに届くことはないだろうが、この私の問いかけに嘘は許さないということはしっかりと届いたのか少し間をあけてから私の持つ電伝虫が口を開く。

 

『……その問いに対する答えは【違う】だ。部下どもが向かう頃には島は既に他の海賊どもによってああなっていた』

「その海賊は? どうせ捕まえているんでしょ?」

『アイツらはなぁ……。反骨心はあったが弱かった。どいつもこいつも心を折る前に死んだ』

「……そ、わかった。素直に教えてくれてありがとう」

 

 その時のことを思い出しているのか期待外れだと言いたげなため息と共に吐き出された言葉に嘘は混じってない……と思う。だから私も漏れた覇気を鎮めてカイドウにお礼を伝えた。

 

 その後は30分程雑談を交わし、ヤマトに何度も無償の手伝いはやめておいた方がいいって伝えているのに聞いてくれないとか、ヤマトがいるから私のことを舐め腐っている島民を半殺しにしか出来ないなどの愚痴を話す。しかし愚痴り始めて一時間くらいでカイドウからそろそろ寝ろと言われたことで渋々その日は解散するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カイドウと連絡を取った次の日、早速私は行動に移ることにした。

 

 まずは徐々に炊き出しの食料配分を減らし、何かあったのかと減少の理由を聞いてきた者には周辺に獲物が少なくなってきたと伝える。そしてそれを数日続けてから、今度は獲物がいなかったと伝えてその日の炊き出しを無しにした。

 

 最初はまぁ仕方ないと島民達も納得するが、炊き出しが数日も連続で行われなければ予想通り一部から不満は出てくる。一部と言っても何も考えていない馬鹿野郎共が主で、その他の人達は私達を頼りすぎるわけにはいかないと残っていた食料をやりくりしているのだけど。

 

 しかし馬鹿野郎共は私に文句を言えば半殺しにされると知っているので強く出れない。なら誰に不満の矛先を向けるか。当然私と仲が良く、手を出してこないヤマトだ。

 

 

 

 

 

 その日は唐突に訪れた。私とヤマトの分だけのご飯を隣島から調達した帰り道。後少しでこの島に来た当初に貸してもらえた家に着くタイミングで、家の前に人が集まっていることに気付いた。

 

 様子を見てみると、どうやらヤマト対島民(馬鹿野郎共だけ)みたいな構図になっており、島民達はヤマトへ口々に不満をぶつけている。

 

 主な内容は飯関連。次に自分達が暮らせる家を建てて欲しいという要求。正直どれもこれも知らんがな案件なのだが、ヤマトは訳がわからないと思っていそうな表情をしながらも島民達の不満にキチンと応えようとしている。しかし食料関係の文句には言葉が詰まるようだ。

 

 だって食料はまだまだあるし。私とヤマトだけなら数日は空腹にならない程度には備蓄してある。残念ながら私に自己犠牲なんていう高等な考えはないからね。

 

 ヤマトが自分の食料を譲ってしまわないか心配だったが、事前に言い含めてた上で島民達に食料を譲ったとわかれば私はすぐにこの島から出ていくと脅したのでヤマトは一度も島民達に食料だけは渡さなかった。

 

 そうこうしているうちにヤマトがお腹を空かせていないことを島民の一人が指摘。そこから家にはまだ食料があるはずだと騒ぎ始め、私達の家に押し入ろうとする始末。当然ヤマトは止めようとするが、島民達は遠慮なしにヤマトへ罵詈雑言を放つ。

 

 ……ここらが潮時だろう。カイドウが望んだ結果をヤマトは今ので得たはずだ。

 

「…ヤマト」

「イブキ⁉︎」

 

 隠れていた場所から姿を見せて、島民達を止めていたヤマトに声をかければヤマトは助かったと言いたげに私へ笑みを浮かべた。それと同時に私が来たことに気付いたのだろう。家に押し入ろうとしていた島民達が途端に二の足を踏み始める。

 

 しかし数は力だ。これだけの仲間がいるならと私に怯んで一度弱くなった島民達の勢いが再び強くなり始める。

 

「ごめんイブキ! みんなを落ち着かせるのを手伝って‼︎」

「わかった。後は私に任せて。……ごめんね」

「……えっ?」

 

 そんな島民達にヤマトが視線を向けた隙を突いて、私はヤマトの腕を掴んで彼女の腕に能力で変化させた牙を突き立てた。

 

 送り込むのは強力な麻痺毒。さらに眠気を出す毒も送り込んでおく。少なくともこれから起こる光景をヤマトには見せたくはないから。

 

 腕から牙を抜くと、ヤマトは少しよろめいた後に地面へ倒れ込んだ。その姿を見届け、背中に背負っていた金棒を引き抜きながら島民達へ近付く。

 

 とりあえずこの騒ぎを起こした首謀者は殺す。覇気なんて楽な手段は使ってやるものか。撲殺してやる。

 

 考えを纏め、島民達の先頭に突っ込もうとして足を踏み込んだ私だったが、その一歩は誰かが私の足首を掴んだことで失敗した。今この場でそんなことを出来る人なんて一人しかいない。

 

「ヤマト? なんで……?」

「イブキ、駄目だ。殺すのだけは……」

 

 見下ろす私の視線にヤマトは毒で朦朧としつつも真剣な視線を私に向け、それだけを伝えてから気絶した。足首を掴む握力も弱く、私なら簡単に解ける。でも私にはどうしても足首を掴むヤマトの手を解くことは出来なかった。

 

 ……はぁ〜。負けだ負け。こんな頼み方をされたら私はもう彼らを殺せない。コイツなら大丈夫だと舐められた件は野生で生きていた身としては殺す一択なのだけど、ヤマトに免じて今回だけは見逃す。

 

 まぁそれはそれとして、自分達が何をしようとしたかは理解してもらうけどね。

 

 片手で握っていた金棒の先端を地面に向け、力を込めて叩きつけるようにして突き刺す。突き刺さったところを起点として周囲に蜘蛛の巣のようなヒビが入り、その際の振動で数人の島民が転んだが、それを無視して私は腰の位置にまで下がった金棒の根元に両手を置いて島民達を睨みつけた。

 

「とりあえず、おはなししようか。……逃げるなよ? 逃げた奴はヤマトの慈悲を無駄にした者として今度こそ処分するからな?」

 

 まずは自分達は可哀想な被害者という認識から叩き直してやろうか。それと私達はとっても悪い賞金首だということも教えないとね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん」

「あ、ヤマト。起きた?」

 

 場面は変わって海の上。ヤマトを背負って月歩で移動していると、毒から回復したヤマトが目を覚ました。

 

 しばらくは寝惚けた様子で周囲を見渡していたヤマトだったが、次第に意識を失う直前の記憶が戻ったのだろう。慌てた様子で何処かへ飛び出そうとしたので腕に力を込めてヤマトが私から離れられないように押さえつける。

 

「心配しなくても島民達は誰も殺してないよ。でも私達と彼らの間には修復のしようがないレベルで大きな亀裂が出来た。だから島を出た。……不安なら一度戻って彼らの様子を自分の目で見てみる?」

「……いや、僕はイブキを信じる」

 

 私の言葉に安心したのか、それとも私が自分を離すつもりがないと理解したからか、ヤマトは再び私に身体を預けるようにもたれかかった。それからしばらくは何かを言いたげに口を開いたり閉じたりを繰り返す。

 

「ねぇ、イブキ。僕は何かを間違えたのかな?」

 

 やがて意を決して彼女の口から吐き出された言葉は、酷く震えていた。

 

 ……うん、まぁ疑問に思うよね。しかし問題ない。今回は絶対に聞いてくるとわかっていたので私もなんて答えようかしっかりと考えている。

 

「んー、ヤマトは手を貸しすぎたんだと思うよ。率直に言えばやりすぎ」

「それは悪いことなの?」

「状況次第。ただの訪問者である私達は何もかもを失って蹲っている彼らが再び自分達で歩いていけるように手を引いたり背中を押してやる程度の手伝いに留めるべきだった。なのにヤマトは彼らを丸ごと背負っちゃったから、彼らはヤマトに頼りっきりになった。ヤマトのやり方を悪いと言うつもりはないよ? 実際完全に復興するまで手伝うつもりならその方法でも問題はないだろうし」

 

 私が酔って潰してしまった島を白ひげ海賊団が復興した時もそうだ。彼らは建物の建て直しは手伝っていたけど食料関係は最初から一切手を貸さなかった。

 

 だからあの島の島民達はまず食料関係から手を出して、余裕が出来た人から白ひげ達を手伝い始めて徐々に立ち直っていった。

 

「無償の善意はタチの悪い毒だよヤマト。しかもお先真っ暗で心が弱りきっている人達には猛毒になるおまけ付き」

「そっか……。やっとイブキが言っていた意味がわかったよ。イブキは物知りだね」

「……色々と見てきたからね」

 

 今回知ったことをしっかりと覚えるためなのか、ヤマトはそれきり黙り込んでしまった。

 

 正直他の荷物もあるから起きたなら自分で走って欲しいところだけど……まぁ、今回は仕方ないか。

 

 お腹側に背負ってしまったせいで踏み出す足の邪魔をする荷物を蹴り飛ばさないように注意を払いつつ、ヤマトをしっかりと背負い直して次の目的地に向けて私は走るのだった。




オリ主……カイドウの教育に不満タラタラだけど、ヤマトの優しさにつけ込む輩がいるかもしれないし、その時にヤマトが自分を守れるようにと手伝うことにした。割と本気で島民(馬鹿野郎どものみ)にはキレていたのでヤマトが止めなければあの時に半分以上がこの世から去っていた。獣に背中を見せて逃げてはならない。
野生生活のせいで舐められることが我慢出来ない。それが自分より格下だとすれば尚更。





オリ主は覇王色で一気に格下を黙らせるよりか金棒で1番近い敵を殴り殺して黙らせる方が好きです。手っ取り早いし。まぁ好きなだけで数が多くて相手にするのが面倒な時は普通に覇王色を放ちますが。
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