「た、頼む‼︎ 見逃してくれ‼︎ お前のことは誰にも言わない!おれはここから逃げたいだけなんだ‼︎ おれには妻や子ども──」
「ごめんねェ、今回は無理」
退路を塞がれ、私に必死の命乞いをする海兵の喉を武装色を纏った爪で斬り裂く。斬られたと気付いた海兵は血が流れる喉を押さえて悲鳴をあげようとするが、口からはゴポゴポと血が溢れて空気が漏れるような音が鳴るだけ。
やがてもがいていた海兵は力尽き、場に静寂が戻ってくる。
「これで15人。はぁ、意外と多いな。やっぱり怖いのか」
戦場となっている広場以外なら身を潜めるのに最適なんて思っていたけど、死ぬのが怖くなった海兵達が戦争が終わるまで身を潜めようと結構逃げてくる。
それで私と出会ってしまい、戦う、逃げる、命乞いの三つに反応がわかれる。まぁ私からの返答は騒がれる前に殺す一択なんだけど。
今しがた殺した海兵の銃から弾を数個程抜き取り、定位置に戻って座ると足が地面に届かなくなる大きさの木箱に座り戦場の観察を続ける。私が動こうと思っている場面まではまだまだ時間があるのでどうせなら白ひげの傷を軽くしてやろうと思って絶好のポジションで待機しているのだ。少しの間ヤマトが世話になったお礼としてはこれで充分だろ。
そうやって待っていると、白ひげ海賊団の後方から海軍の別軍……パシフィスタというバーソロミュー・くまの姿を模した兵器達が現れて白ひげ海賊団を追い立て始めた。
それから間をおかずにモビー・ディック号の船首に立つ白ひげの横に一人の男が現れた。その男は白ひげと何かを話しながら自身の武器である大太刀を引き抜く。それなのに白ひげは警戒する素振りすら見せない。
「どれだけ息子を信頼してんだか……。んー、弾道よし、障害物無し。うん、届く」
原作ならこの後大太刀は白ひげの胸部を貫いただろう。しかし残念ながらここには私がいる。
片手でコイントスをするかのように海兵から奪った弾を指に載せ、狙いを定めながら武装色を纏った親指に力を込める。その際に指に載せた弾にも武装色を纏わせておく。そうしないと多分親指の威力に負けて弾が砕けそうだし。
「ん、ここ」
男が大太刀を白ひげに突き刺そうとしたタイミングで準備した指弾を放つ。放たれた弾は真っ直ぐに突き進んで大太刀の刀身、その根元に命中し、男の手から大太刀を弾き飛ばした。
出来れば刀身を砕いておきたかったのだけど……まぁ結果は同じだしいいか。
最低限の目的は果たしたのでついでに処理もしといてやろうと大太刀を握っていた手を押さえて呆然としている男の側頭部を狙って同じように弾を放ったのだが、流石にそれは白ひげに防がれてしまった。
弾道から大まかな位置は絞り込んでいたのか、こちらを睨みつける白ひげ。しかし弾を撃ったのが私だと気付くと予想外と言いたげな表情に変わった。
そんな白ひげに対して私はもう攻撃しないと伝えるために彼に見えるように手に持っていた銃弾を全て落とし、ついでに人差し指を唇の前に添えて"静かに"とジェスチャーする。
それが正しく伝わったのかはわからないが、白ひげは私を一睨みした後、駆けつけたマルコに拘束されて喚いている男に視線を戻した。
多分あの睨みつけは私が男…えっと、スクアードを殺そうとしたことに怒っているのかな。自分を攻撃しても息子なら許すとか、懐が深いと言うべきなのか親バカと言うべきなのか。
まぁ何はともあれ私の存在は白ひげに伝わった。この情報をどう使うのかは白ひげの自由だ。
さてと、やることはやったので私はもう一度潜伏しましょうかね。少し前から何かを探す海兵達がここら周辺を囲むように動いているし。恐らくスクアードの一連の流れを見た誰かがここに何かが潜んでいることに気付いて正体を暴けみたいな指示を出したのだろう。
まだ見つかりたくないので海兵が私の姿を見つける前にささっと穴を掘り、椅子代わりにしていた木箱を穴の上に移動させてから地中を掘って別の場所に移動。穴から出て再び戦場の状況を見ると、白ひげが傘下の海賊に逃げ道を与えるために凍りついて壁となっていた津波を能力で破壊したところだった。
そのことに傘下の海賊達は士気を上げ、白ひげ本人も動き出した。まずは小手調べと言いたげに能力で衝撃波を飛ばして……。
あれ?なんか拳の突き出す方向こっちじゃない? いやいや、白ひげが私を攻撃するわけないでしょ。って言いたいのだけど、誰にも気付かれずに場所変更したばっかりだわハッハッハ。
ほわぁぁぁぁぁ⁉︎⁉︎⁉︎ 原作には存在しないと思う攻撃の衝撃波が飛んでくるぅぅぅ‼︎‼︎ あ、これ躱せないわ。
回避を諦めたと同時に白ひげの放った衝撃波が私の隠れ場所に到達し、周囲の建物を砕きながら私ごと吹き飛ばす。
死ぬわボケェ⁉︎ いや、死なないけどさ‼︎ もう傷は再生したけどさ‼︎‼︎ ……はぁ、奥に行きすぎて目的地からは遠のいたけど、海軍側の警戒範囲からも抜けたと思うので今回はヨシとしよう。誰も吹き飛んでいく瓦礫には視線を向けないだろうから私が大移動したことにも気付いていないはず。普通に考えて白ひげの攻撃に巻き込まれて移動している奴がいるなんて思考するわけないか。
感謝すべきか怒るべきか判断に困りながら私の上に積み重なった瓦礫を怪しまれないように時間をかけて慎重に動かして瓦礫の山から這い出ると、いつの間にか沿岸部を遮るように防護壁が出現しており、リトルオーズJr.の活躍で唯一稼働出来ていなかった隙間に白ひげ海賊団の切り札である
見ていないうちに状況が結構進んでるなぁ。そろそろ私も準備しないと。白ひげ達が大暴れしているから海軍も余裕が無さそう。だから先程よりは動きやすい。
人獣型になって地を這うように移動しながら目的地へ急ぐ。息を潜め、気配は薄く、獲物を狩る獣のように。その間にも状況は刻一刻と変わり続けている。
白ひげが持病によって血を吐いたことで意識が目の前の敵から逸れたマルコは隙を突かれて海楼石の手錠をかけられ、ジョズは青雉に凍らされ、白ひげ本人も赤犬から手痛い一撃をもらった。
このチャンスを見逃さず、海軍は一気に畳み掛けようと白ひげに総攻撃をするが最強と言われた男がその程度で倒れる筈がなく、むしろ暴れて化け物振りを披露することに。
既に広場に入り込まれ、いつまでもエース奪還を防ぐことは難しいと考えた海軍はエースの処刑を執行しようとした。当然そんなことを白ひげが見逃すことはなかったが、ここで再び持病の発作で動きが止まってしまう。
振り上げられた処刑刀。阻止出来る者がいないと分かってしまったからか白ひげ海賊団の船員達が悲鳴をあげた。
「やめろォォォォ‼︎‼︎」
「……ッ⁉︎」
しかしエースの処刑はルフィの無自覚な覇王色の覇気によって防がれた。私を含めて周りがポンポン使っているから勘違いしそうになるが覇王色の覇気は持っている者が滅多にいない覇気だ。少なくともその存在を知る者が思わず注目してしまう程には。
あぁ、上出来だ。ルフィが覇王色を発動したことで私が考えていたエース奪還は完遂出来る。
ゆっくりと這って移動していた身体を起き上がらせる。周りは私の存在に気付いていない。ルフィに夢中だ。手を伸ばせば届く位置に私がいるというのに、エースもセンゴクも一切背後を振り返ろうとはしない。処刑台にいたガープも少し前に防衛に降りてしまった。思わず笑ってしまうほど今のこの場の守りは薄い。紙切れみたいだ。
「"
「何ッ⁉︎」
牙から毒液を滴らせて隙だらけのセンゴクへ背後から襲いかかる。私の声が耳に入るなり即座に攻撃態勢を取りながら振り返った反応速度は素直に凄いと思うが、既に手遅れだ。
センゴクに抱きつき、彼の肩に牙を突き立てる。咄嗟に武装色を纏って防御したみたいだがそれは予想済み。硬くなった彼の皮膚を武装色を纏う私の牙が食い破り、毒をセンゴクの体内へ注入する。
「ぐ、グゥァァァァア‼︎‼︎」
『元帥‼︎⁉︎』
毒を入れるついでに肩も噛み砕いてやろうと顎に力を込めれば、噛まれても顔を顰めるだけだったセンゴクが声をあげた。その声は戦場によく響き、振り返った海兵達は驚愕して隙だらけとなる。さっき発作を起こした白ひげとは逆だね。
「あれは…イブキ⁉︎」
「あいつ、いつの間に来ていたんだ⁉︎」
だというのに白ひげ側も私に驚いて動きが止まっちゃってるよ。おら、動け攻撃しろ。止まらず暴れまくってる白ひげを見習えよ馬鹿どもが。
「舐め、るなぁぁぁぁ‼︎‼︎」
「むっ、"
噛みつきを継続しつつ白ひげ側の反応に呆れていれば、センゴクの手が私の頭を鷲掴みにした。能力を使い大きくなっていく彼の身体に手を何度も突き刺すが、あまり効いている様子はない。仕込んだ毒の効果が出るのはまだなので、いつの日か私が黄猿のレーザーを身体に糸が通った程度の傷と言ったのと同じことが起きているのだろう。
そんなことを考えているうちに頭が引っ張られ、センゴクが大きくなったせいで自力で引き抜くことが出来なくなっていた私の牙が無理矢理引き抜かれた。その際に彼の肉を抉り取ってしまったが、センゴクは怯むことなく私を掴んだまま腕を大きく振りかぶり、投擲の構えを取る。
まぁここは大人しく投げられようか。変に粘ってセンゴクに周りを確認されても面倒臭い。目的はしっかり達成済みだから白ひげ側に投げてくれるならコチラとしては万々歳だ。
視界に映る景色がブレ、遠ざかっていく処刑台をぼーっと見つめていれば背中に衝撃。どうやら全力で投げてくれたようで、石畳では私を受け止めきれずに上半身が少し埋まってしまった。
ダメージは無いが、のんびりしていると追撃が来そうなのでサッサと這い出る。埋まってしまった上半身を出して周りを見れば、海兵が密集している場所に投げられたようで私を囲んで多数の海兵が武器を構えていた。
「『龍の子』イブキ……⁉︎ 何故貴様がここにいる‼︎⁉︎」
「龍の子だと⁉︎」
「まさか白ひげは百獣と…⁉︎」
「カイドウの娘〜〜‼︎⁉︎」
「⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎ フ、フッフッフッフ!フッフッフッフ‼︎」
よく顔が見えるようになったからか、私が誰か気付いた海兵が叫んだことで情報伝達は素早く行われた。驚く者、百獣が来ると恐れる者、過去に負けた存在の娘に怒りを露わにする者、なんか滅茶苦茶びっくりしてもう笑うしかないって言いたげな……あ、ドフラミンゴじゃん。やっほー。
「いや、待て。アイツの尻尾に巻き付かれているのは誰だ?」
「まさか……‼︎」
「そのまさかだよ。海楼石の手錠をかけても処刑台と繋ぐ鎖が普通の鉄なんて笑っちゃうね。簡単に破壊出来たよ」
「ひ、火拳のエースが奪われたァァァ‼︎‼︎」
騒めきがさらに大きく、強くなる。最悪は鎖を繋ぐ処刑台の鉄骨ごとエースを持っていくつもりだったのだけど、もっと簡単に済んで助かった。
「落ち着けェ! まだコイツらは我らに包囲されたままだ。それに火拳のエースには海楼石の手錠がかけられている。撃ち抜けば死ぬぞ‼︎」
慌てふためく海兵達だったが、冷静な者が指示を出したことで落ち着きを取り戻す。実際その通りなので、私はこれからエースを守りながら安全な場所まで逃げないと駄目なんだよねぇ。とっとと空を走れば楽だけど、絶対に黄猿が来るからやめておいたほうがいいだろうなぁ。エースを守りながら黄猿の相手は無理。
「エース、手錠が私に触れないように注意してね。一気にここから白ひげ側に行くよ」
「イブキ……なんでここに……。 おれのことはいいから──」
「ふん、姉弟自慢対決に私は勝ちたいの。まぁでもエースが敗北を認めるなら置いていくけど?」
「……馬鹿言え、ヤマトも魅力的だがルフィはもっと上だ」
「はぁー? 聞き捨てならないよそれは。宣戦布告だ。私の秘蔵お姉ちゃん自慢コレクションでメッタメタにしてやる」
「ハッ! ルフィはおれを助けるためにここまで来たんだ。この自慢に勝てんのか?」
「撃てェ‼︎‼︎」
エースと額をぶつけ合ってヤマトの方が、いやルフィがと喧嘩していれば、周囲の海兵達が一斉に攻撃してきた。まぁ見聞色で撃ってくるとは分かっていたので銃弾の弾道を見切って回避しつつ包囲する海兵達へ肉薄する。
「邪魔しないでよ。死にたいの?」
「ヒッ……!」
囲む海兵の一人に鼻先が触れる距離で視線を合わせて牙を見せれば、海兵は怯えた声を漏らす。その間に彼の両腕を掴んで力一杯握ることで粉砕し、無力化してから胸ぐらを掴んで背後から撃ってくる海兵からの盾として使用する。
「待て!撃つな! 海兵が盾にされた‼︎」
「いや、アイツごと撃て‼︎」
「貴様‼︎ 何を言っている⁉︎」
「お前こそ何を言っている⁉︎ これは戦争なんだぞ! ここで火拳を逃せばこれまでに死んだ仲間達は無駄死にだ‼︎ それならあの海兵を殺す結果になったとしても逃げるアイツらを殺すしかない‼︎」
ふーむ、海兵を盾にしたら攻撃がマシになるかと思ったが、覚悟が決まっている海兵のせいで失敗に終わった。しかも彼の言葉で周りも覚悟が決まったから誰を盾にしてもこれ以降は止まらないかなぁ。
っていうかなんで彼らは私が逃げるだけだと考えているのか。白ひげ側に行くと言っただけで戦わないとは一言も言っていないが?
なんか癪に障ったので戦うかと金棒を引き抜き、構える。そして私が急に金棒を構えた姿を見てボケッとしている海兵達に向かって急加速で接近して思いっきり薙ぎ払った。
「"雷鳴八卦"‼︎」
『ぎゃぁぁぁ‼︎』
「く、来るぞォォ‼︎」
攻撃に巻き込まれた海兵達が空を舞うが、気にせず次へ。攻撃は躱して、敵は砕いて、ダメージにならないものは受け止めて。激しく動き回りながら次へ、次へ、更に次へ。
「駄目だ……止めれない……」
「誰か援護を頼む‼︎ 龍の子を止めてくれェ‼︎」
畳みかけるために白ひげへ戦力を集中していたからか、私の周りにいるのは雑魚ばかり。中にはしっかりと銃撃したり斬りかかってくる者もいるが、エースに当たりそうなものだけを弾いて突き進む。
「この程度じゃ私もエースも傷一つつかないよ‼︎」
「おい、おいイブキ……」
「む? どうしたのエース──」
視界一杯にいる海兵を次々と薙ぎ倒しているとだんだん無双系のゲームをやっている気分になり、思わず笑いそうになってしまうが、海兵達の悲鳴に混じって何故か弱っているような声でエースが私に呼びかけるので振り返ってみれば、私の尻尾に巻き付かれたままだが頭部がタンコブ塗れとなったエースがピクピクと身体を震わせていた。
「エースゥ⁉︎ 一体誰がいつどんな攻撃を⁉︎」
『お前だよ‼︎⁉︎』
私の索敵をすり抜けてエースを傷つける者がいるなんてと驚愕した私にノリの良い周囲の海兵とすぐ近くまで近付いてきていた白ひげ船員達が一斉に息のあったツッコミを入れてくるが、私には全く心当たりがない。なんで移動しているだけでエースがボロボロになるんだよ。
「イブキ…、お前やヤマトは知らなさそうだから言っとくがな……生身の人間は石畳に身体を打ったり擦ったりすると傷付くんだ……」
「えっ?あー、ごめんね?」
た、確かに何度か移動途中でエースを石畳にぶつけていた気がする……。うん、これは私が悪いので素直に両手を合わせ、頭を斜めに傾けて謝罪する。言い訳してもいいなら言わせてもらうが、この身体は本当に頑丈でエースが言った程度のことじゃ傷付かないからすっかり忘れていた。20年近くこの身体だからね、仕方ないね。……取り敢えず尻尾を一周巻きから三周巻きにしておこう。
エースの致し方ない負傷はあったが、そのおかげで白ひげ陣営の近くまでは来ている。そこそこ近い位置からゴムのように伸びた腕が海兵をぶっ飛ばしたので、ルフィもコチラに合流しようとしているのだろう。
私がエースを連れていくからルフィは後方で大人しく休んでろって言いたいが、それを言っても止まる男ではないだろうから言うのは元から諦めている。どうせ来るんだったらこのまま合流して私が更に動きやすくなるように思いついた方法に協力してもらった方がいい。
「エース‼︎」
「ルフィ‼︎」
「やっほ、久しぶり」
「…やっぱりイブミだった!」
「イブキね」
素直にルフィが協力してくれると嬉しいのだけど。なんて考えながらエースを石畳にぶつけないように海兵を薙ぎ倒しつつ進んでいれば、とうとうルフィ達との合流を果たした。ルフィの周りには白ひげ海賊団の船員達がいたが、彼らは一言私に感謝の言葉を伝えると隣を通り過ぎて私の背後から押し寄せてくる海兵達を攻撃する。
これでエースの生存率は更に上がった。この後に起きることで海兵は確実に動揺するだろうから、その隙にどうにか……って感じかな。
「ガープ中将⁉︎」
「センゴク元帥がガープ中将に攻撃した⁉︎」
残る不安要素は大将達。その中でも黄猿と赤犬をどうしようかと悩んでいれば、処刑台辺りから破壊音が響き海兵達が動揺する。そりゃあ突然仲間割れを起こせばびっくりするよね。
「ヴァナタ、処刑台で暴れている方を噛んでたわね? 何をしたの?」
「んー、簡単だよ。毒を仕込んだ」
期待通りに動き始めたセンゴクを眺めていれば、ルフィと共に来ていた一度見たら確かに忘れようのない顔面をしたイワンコフが私に問いかけてきた。別に隠すことではないので答えてやると毒の症状も聞きたいのか無言で続きを促してくるので、それも素直に答えてやる。別に知ったところでどうしようもないだろうし。
「毒の効果は筋力増強。疲れ知らず。痛覚喪失。不眠。幻覚。幻聴。凶暴化と破壊衝動。最後に思考能力の極端な低下だね」
「それは……ヴァナタ、えげつないことするわね」
どれだけ暴れても疲れないが、疲労は身体に溜まる。限界を越えた筋力は己自身を破壊し、思考が低下する上に幻覚や幻聴で敵味方の識別はほぼ不可能。センゴクからすると何故ここに自分がいるのかわからず、ボヤけた何かが眼下で蠢いていてその内の一つが近くに来たので湧き上がる破壊衝動のままに攻撃したって感じだ。
さらに意識を毒によって強制的に覚醒させ続けているので気絶による無力化も出来ない。今のセンゴクは死ぬその時まで暴れて近くにあるものを攻撃するバーサーカーだ。味方陣営にいればクッソ邪魔だけど、敵陣営にぶち込むなら問題ない。
「解毒剤は私自身。あちらとしては予想外の事態だけど……どう対処するのかな?」
牙を舌でチロっと舐めながら暴れるセンゴクを押さえようとするガープの姿を眺めていれば、いつの間にか周りが静かになっていた。不思議に思って辺りを見渡せば、イワンコフを筆頭にしたみんながドン引きしているような表情で私を見ていたのだった。いや、なんでさ。
オリ主……敵の頭を無力化するのは当たり前だよなぁ‼︎しただけなのにそれはやりすぎじゃね?みたいにドン引きされて大変不服。仕方ないじゃん、噛み付いている間は毒入れ放題なんだから。
ドフラミンゴ……関わらないのが一番だがオリ主が死亡したり治らない怪我を負えばそれはそれで対処出来る位置にいた自分がカイドウから何を言われるかわからないので、いつでも横槍を入れることが出来る場所でオリ主の方を見ないで済む立ち回りをしつつクロコダイルと戦闘中。
フッフッフ、どこへ行くんだ?お前の相手はおれだ。逃げるなよ鰐野郎。(逃げたら場所的に次の相手が高確率でオリ主になるため)
センゴクの実力がまだ正確にわからないのが辛い。あの程度の奇襲なら余裕で対処出来ましたみたいなことがなければ良いのだけど……。原作だとクロコダイルが処刑人に攻撃したのをスルーしていたから大丈夫だと思いたい。多分自分に向けた攻撃なら察知していたけど他人だったから反応が遅れた、みたいな。
あ、ちなみにMr.3はオリ主に忘れられたのでそのまま放置されてます。