「♪〜」
鼻歌を歌いながら、私は街を歩いていた
向かう先は何でも屋をしている邪兎屋の事務所
そこに私が逢いに行く子がいる
「おっ久しぶりーー!!アンビーちゅあん!!」
開けた瞬間に名前を呼んだ人物、アンビーに抱きつこうとした瞬間、一瞬で座っていたソファーから飛び上がって回避された
そのままソファーに倒れ込むことになる
「ぷぎゅ!!」
「あんたよく懲りずにそれやるよな」
「
「とりあえず起きてから喋ってくれ···」
機械人のビリーの発言に返すとごもっともな返答が返ってきた
起き上がり、持ってきていたプレゼントを渡す
ビリーにはそろそろ切らした頃だろうから高級ガンオイルを
「私にもあるんでしょうね?」
「ほら、ニコにはネイル道具。あとファンデもね」
「あぁ〜これ欲しかったやつ〜!!」
邪兎屋の社長であるニコにはネイル道具とファンデをプレゼント
そしてアンビーには···!!
「アンビーちゃんには高級料理店の割引クーポンと大好物のハンバーガーの引換券セット!!」
「おいそれ、くっそ高い料理屋がたまにしか出してねぇレア物じゃねぇか!?」
「こっちは要らない。ハンバーガーは貰う」
「やぁん、こっちはもうアンビーちゃんの名前で購入済みだから受け取り拒否は出来ないぞ☆」
アンビーにそう言って持たせると苦虫を噛み潰したような顔になった
基本ハンバーガーしか食べないので心配しての事である
「ちなみに高級料理店のクーポンは5人までなら適応されるから私も呼んで欲しいな☆」
「呼ばないから」
素っ気ない声で返されるが私はそんなこと気にしないで話を続ける
「あ、そうそう。そう言えば依頼してたアレはどうなったかしら、ニコ?」
「この間片したわよ!!」
「ソレとビリー」
「こっちも終わってるぜ」
「アンビーちゃ」
「終わってる」
数週間前、それぞれに発注していた仕事は終わっていた
この子達は本当に優秀だ。特にアンビーちゃんは!!
「あのさぁ、ピンチの時に仕事依頼してくるのはありがたいんだけど報酬の件···」
「足りてるでしょ?」
「毎回毎回多すぎない!?」
「必要経費分も含めた額だけど?」
このやり取りも既に何回もしている
この子達、必要経費分の計算込みで渡してもかなり少額で目的をクリアするほど優秀なのだ
いや、訂正。邪兎屋が軌道に乗るまで貧乏生活だったから致し方なしか
「ギリギリ追い出されてないだけありがたく思いなさいよ〜?」
「ぐぐぐ···」
それでもカツカツなのはニコの性格が起因しているけどまぁその点は良いか。面白い子だし
「ちょっと部屋借りるわよニコ」
「ちょっ、離して···!!」
「相変わらずすげー力してるよな。アンビーが離れられない強さかよ」
「アンビー。諦めて連れていかれて」
「イヤ···!!」
パタン。と扉を閉めて私はアンビーの頭をポンポンと撫でる
うぅ〜!!と怒って唸り声を上げているが気にせず、少し全体を見て
「また大きくなったわねぇ〜♡服のサイズあげようか?」
「いらない」
「ピッチピチのまま外出ると色んな人に目をつけられるわよ〜?悪い人とか変態とか」
「変態なら私の前にいるわ」
「あら、私おねぇちゃんよ?」
「姉を名乗る不審者ね」
この間(6か月前)に会いに来た時より体が成長していた
服のサイズはまだ大丈夫と言えるが···
「ブラのサイズは合わなくなってきてるでしょ?」
「う···」
「今度ニコと一緒に買いに行きなさい♪お金ならジャンジャン出したげるわ♡」
「・・・」
スン···とした顔になった瞬間、私はアンビーを抱きしめようとして
「ぷぎゃん!!」
蹴っ飛ばされた。勢いよく扉が開きその先の壁にぶち当たる
「この光景も見慣れたわね」
「よく死なねぇと感心してるぜ親分」
その発言を聞いてから立ち上がり、アンビーを見る
すました顔から一転して恥ずかしさと怒りで顔が真っ赤だ☆
「次は蹴り飛ばすだけじゃ済まないわよ···!!」
「さすがに次は死んじゃうなー♪」
そう言ってからソファーに座り、ニコに言う
「今度アンビー連れて服屋で服買いなさい。金は後で私が出したげるわ。気に入ったのがあったら買ってもいいわよ」
「それは有難いわ!!」
「それとビリー。左腕の関節フレーム。パルク品使ってるのはいいけどそれすぐ壊れるから早めに交換しなさい。前に渡したパーツショップのリストの奴はどこも信用できる良いとこだからそこで買えって何度も言ってるでしょ」
「お、おう···でも高ぇのがなぁ···」
「高いのは品質と信頼の証よ。あんたはアンビーの次に必要な邪兎屋の戦闘力の双翼なんだからそれくらいどうにかしなさいな」
ついでにビリーも窘めつつ、私はアンビーに向き直して言った
「剣の手入れ、したげるから一晩貸しなさい。前と同じようにキレイに砥いであげるわ」
「···ん」
「確かに受けとったわ」
「私から、依頼」
「何かな?」
「戦闘時に効率落ちてるから···」
「刀身への蓄電量増加と切断力向上のための措置をしとくわ。依頼はまだあるかな?なんでも聞いてあげる!!」
「もうない」
剣を受け取り、依頼を聞いて私は席を立つ
そして帰り際に忘れていた事があったのを思い出して3人に声をかける
「明日昼頃来るけどみんないるかしら?」
「いるわね」
「いるな」
「いる」
言質はとったので私は別れの挨拶をしてアンビーから預かった剣を持ち帰る
そして
「さぁて、やりますか」
私の一番の得意分野と言っていい、刃物の砥ぎ作業を始めた
機械は使わず、人の手で刃物を砥ぐ
対応として蓄電量増加と切断力向上。そちらは別の人に依頼をした。
既に部屋にいて横で作業を見ている
「相変わらず刃物を砥ぐのが上手いな。作業内容は蓄電量増加と切断力向上か」
「えぇ、お願いするわね」
「失敗したら?」
「アナタの首を飛ばすわ。それにそもそも失敗したことないでしょ」
「それはそうだな。作業が終わったら呼んでくれ。俺は寝る」
その言葉を聞きながら私は作業を続けた
アンビーが使い慣れた剣を預かれる事への喜びと、だからこそ私がやらかしては行けない事への緊張が作業へ集中するやる気になっている
3時間かけて刀身を前の時より切れやすくした
今なら恐らく特殊合金ですら両断しうる切断力になっているだろう
キラリと光を反射する刀身にウットリしながら、ソレを綺麗に組みなおしてバトンタッチして残りの作業を任せた
翌日、出来上がりを見たアンビーが驚いていたのは言うまでもない
主人公のバトルシーンはしばらくありません