そして主人公の家庭問題···
「♪〜」
ある日、私は六分街で買い物をしていた
そういえば、と思い出してバッグを覗くと
「返しに行きますか〜」
レンタルしていたビデオのカセットが入っていた
返却期日が明後日になっていたので丁度いいかと中に入る
「アキラくーん。リンちゃーん?いる〜?」
「ここにいるよ」
「お、いたいた。今日はアキラくんが店番?」
「まぁそんなところかな」
品出しの最中で屈んでいて見えなかったが、店番はアキラくんがしていたようだ。
この兄妹はビデオ屋というある種の絶滅危惧種な商売をしているが上手く回っているようだ
「はいコレ、借りてたやつ」
「確かに返してもらいました。この間みたいに弁償してもらわなくて助かるよ」
「イヤアレハマジデゴメンナサイ」
少し前、私は過去最高にやらかして2人にガン詰めされた
その時の2人のキレ顔はマジで怖かった
というのも、カセットを見事にパァにして弁償する事になったからだ
なお、私のツテで借りていたカセットの初回購入者特典付きのレアモノで弁償した
それで何とか出禁にならなかったのだ
「あ、今少し話せるかな?」
「···どうやら、別口かな?」
今は店に私とアキラくんしかいない。
バレるリスクがあるとしたら外で壁に耳か高性能マイクを付けられてる時くらいだ
「ソレで、話というのは?」
「まぁ端的に言うと邪兎屋宛で私から仕事の発注ね。あ、依頼者の事は内密に」
「内密にする程の要件···と」
「まぁね〜。それともう1つ」
「···何かな?」
「万が一ピンチになったら、私へ連絡して。一応現地の近くでスタンバイしておくわ」
ソレにアキラくんが目を見開いた
「ホロウに飛び込む事になるけど、大丈夫なのかい?」
「問題ないわよ〜?それとも見た目華奢だから出来ないとお思い?」
「いや、そんなことは無いけど···」
あー、これ別のこと考えてる顔だ。私には分かるぞ少年?
「それに私、親と仲悪いしね。多少ヤンチャしても見て見ぬふりするわよ。クソ親なら」
「親を悪く言うものじゃないと思うな···」
呆れながらアキラくんはそう言って私からデータの入ったメモリを受け取った
それを確認して私は告げる
「報酬は何時ものルートで送るわ。邪兎屋側には別ルートでお願い」
「分かった」
「それじゃあよろしくね、
いつの間にか帰ってきていたリンちゃんにも顔を向け、私はそう言って店内に戻る
そしてそのまま店を出て、家に戻った
「遅かったではないか」
「···なんの用」
家の前には忌み嫌う親がいた、黒塗りの高級車でお抱えのSPまで来てる
ビシッとしたスーツはシワを見るのも難しいほど整えられている
ウキウキした気分で帰ってきたのに一気にサイアクな気分だ
「会社に戻れ」
「嫌よ」
「拒否権は無い」
「・・・」
冷徹に私を見下ろしながら父親が言ってくる
母親も同じ目だ
「既に成人した娘にいつまでも干渉してる暇あったら仕事頑張れば?」
「あぁ、だからこそ定職につかず怠惰で自堕落な生活をしている娘に仕事を与えてやろうとしている」
「研究所で毎日機械弄るより人と交流した方が私には楽しいのだけど?」
「定職に着いてから言えるセリフだな」
10秒、睨み合いが続いた
先に口を開いのは私だった
「拒否するわ」
「ならば仕方ない」
父親がパチン!!と指を鳴らした
近くにいたSPが近づく。周囲を警戒していると···
「ソイツらは囮だ」
その言葉と同時に、身体に強い衝撃を受けた
同時に一気に睡魔が襲う。
この親···やりやがった···!!
「狙撃型···麻酔銃···!!」
地面に倒れ、身体を動かせない私をSPが抱き上げる
「すみません、お嬢様」
「お前ら···」
覚えとけ。とは言えず私はそのまま意識を失った
次に目を覚ませば···
「またこの部屋だ」
嫌というほど見慣れた天井が目の前に拡がっていた
親の経営する会社の研究所にある私専用の部屋、という名の監禁室だ
服すらも研究所の服に変えられている
サイアクな気分が超サイアクな気分になった
「お目覚めですか、お嬢様」
「···イヤミ?」
かつてのお目付け役の人までいる
コレは逃げ出すの難しいか···
「逃げ出すのは難しいと思われます」
「クッソ、思考読むなよ···」
「顔に出ておりましたよ、お嬢様」
考えを読まれたが顔に出ていたとあれば何も言い返せない
ため息を吐きつつ意識を変える
しばらく仕事漬けの日々か···
「早速ですが主様から仕事を承っております」
「どうせ軍に納品する装甲服の新作作れでしょ」
「はい、そのように承っております」
「ケッ、つまんねぇ仕事だわ」
クソ親の会社は軍へ納品する装甲服や弾薬の製造をになっている重要な企業の一つだ
特に装甲服に関しては長年制式採用が続いている
「それと、以前試作されておりましたパワードスーツを実用化せよとのご命令が」
「あぁ?誰がするかそんなの」
「実用化しなかった場合、所有されてます口座が全て···」
「あぁクソ!!口座を人質にしやがって!!イヤ、モノ質か」
逃げおおせる前に作っていた試作のパワードスーツ
モノを運んだり、整備可能なモノとして開発をしていたシロモノ
数年経つがまだ実用化は諦めてなかったようだ、諦めろよ私いねぇと作れない仕様にしてんだぞ
「やればいいんでしょ、やればさぁ!!」
「諦めも大切ですよ」
「クソ親に伝えて。装甲服は2日で新デザインと既存のものから7%アップした性能で作る。パワードスーツは実用化不可能とね。私が不可能と言ったら不可能なのはわかるでしょ?」
「はい、お嬢様はできない事は念押する癖が御座いますから」
「ぐぐぐぐ···」
お目付け役がそういうと私は何も言えなくなる
私の癖だし、言い返せないような言い方をするからだ
「装甲服はコストも安くするわ。それを条件に私を解放しろとも伝えて。どうせ退職させないとか言うだろうけど」
「退職に関しては直接交渉されればよろしいかと···」
「ちっ···」
最終的にはそうなるか···と嫌々ながら仕事を開始した
何だかんだ甘い主人公である