RAILJACK   作:マブラマ

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北朝鮮の野望

大阪駅 大阪中央鉄道公安室 第二警戒班

綾瀬圭太が制服の襟を整えながら立ち上がった。

「さて、そろそろパトロールでも行きますか」

「ちょっと待て綾瀬!」

相原班長が慌てて呼び止めると、圭太が怪訝な顔で振り返った。

「何ですか、相原班長?」

「お前、鉄道公安機動隊に志願してたよな?」

「はぁ……それで?」

「チャンスが巡ってきたんや! これは一度きりしかないで! あの五能瞳隊長と一緒に行動できるかもしれへんで!」

「えっ!? あの五能瞳隊長と!!?」

圭太の目が一気に輝いた。

「そうや! そんな訳でこれ、新幹線の乗車券な」

相原班長がニヤリと笑って乗車券を差し出すと、圭太が目を丸くした。

「えっ!? 今日から転属!? 班長! まだ心の準備が……」

「あ、急に用事思い出したわ。ほな、さいなら!」

相原班長がさっさと退散すると、圭太は乗車券を手に呆然と立ち尽くした後、急に拳を握った。

「ちょっ……五能隊長と一緒に戦うなんて光栄だ!!」

やる気がみなぎり、彼は新幹線ホームへと急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神戸駅 神戸鉄道公安室 第四警戒班

赤井川が中野太郎の肩をポンポンと叩いて呼びかけた。

「中野。中野。ちょっと話聞いてや」

「何ですか?」

太郎が眠そうな目をこすりながら振り返ると、赤井川が得意げに新幹線の乗車券を見せつけた。

「手に入れたんや、東京行きの新幹線乗車券」

「赤井川さんが行くんですか?」

「アホな事抜かすな。自分が行くんや! ほな、これが乗車券な。一枚しかあらへんから頑張ってこい!」

「ちょっと待って! どーいうことかさっぱりわかんない。え!? 乗車券が一枚しかないってこれは……」

「そや、五能瞳隊長のいる所でテロ組織と戦うんや!」

「……(嫌だな……でも断り切れないし……)」

太郎は渋々乗車券を受け取り、心の中でため息をついた。赤井川がニヤニヤしながら背中を叩く。

「五能隊長と一緒なら怖いもんなしや! 行ってこい!」

「(怖いのはテロ組織よりそのノリだよ……)」

仕方なく新幹線ホームへと向かう太郎の背中は、どこか重そうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜…

「こちら、金橋。任務を実行します」

無線越しにキム・ファンジュが静かに報告すると、応答が返ってきた。

《うむ、では幸運を祈る。祖国統一の為に!》

「祖国統一の為に」

ファンジュは武智乙哉を装い、次の標的となる女性を鋏で襲おうとしていた。

女性Cが背後に気配を感じた瞬間――

「(後ろから付けられてる?)」

「족발 놈 죽어라!!(豚足野郎死ね!!)」

「キャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

女性の悲鳴が夜の静寂を切り裂いた。

「そこまでだ!」

五能瞳教官が颯爽と現れ、ファンジュの前に立ちはだかった。

「!!?」

「まさか、お前があの武智乙哉って女性を装い冤罪を着せようとしてたとはな……そうでしょ? 朝鮮人民軍偵察総局の諜報員。金橋洋子……いや、キム・ファンジュ!」

「!!!(何故わかった……!!?)」

ファンジュの瞳が驚愕に揺れる中、五能教官があおいに叫んだ。

「桜井、彼女を保護し安全な所まで避難しろ! ここは私が引き受ける!」

「ですが教官は!?」

「何をしている!? 早く行け!! お客様の安全を第一にするのがあなた達の仕事でしょ!!」

あおいは迷いを振り切り、女性Cを連れてその場を離れた。

「すみません教官。あとは任せます!」

五能教官はS&W M29拳銃を手に、ファンジュに銃口を向けた。

「それでいいのよ……桜井」

ファンジュも鋏を捨て、トカレフ拳銃に持ち替え、五能教官と対峙した。

「もう、お前達日本人に偽ったりは二度としないわ」

「その台詞、信用できると思ってるのか!?」

「……だろうな。私が北朝鮮の諜報員である限り、南朝鮮に天誅を下し、そして祖国統一の為に死んでもらう!」

「!!」

バァーーン!

バァーーン!

二発の銃声が夜空に響き、ためらいなく弾丸が放たれた。

「……」

「……」

「(何故だ!? 何故死なない!!?)」

ファンジュが愕然とする中、五能教官が静かに呟いた。

「急所が外れたようだな。少し腹部が痛むがな」

「な……お前……何故そこまで! 何故痛みを抱えながら耐えるの!!」

「私は鉄道公安機動隊の隊長だからだ! こんな傷ぐらいで!」

「(止めを刺すか!? いや待て。あの女、鉄道公安機動隊の隊長って言ってたな。まぁ私には関係ないことだ。どの道ここで死ぬのも時間の問題だな)」

ファンジュが次の行動を考える中、五能教官の意識が遠のき、目の前が真っ白になった。

 

To be continued

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