RAILJACK   作:マブラマ

31 / 63
増援までの死闘

東京新幹線車両センター

増援が来るまであと10分。

立っているのもそろそろ疲れてくる頃合いだが、そんな甘い考えは許されない。敵はテロリストだ。待ってくれるはずがない。

しえなとパンムンが睨み合い、鋭い視線が空気中で火花を散らした。

「ヨムジュ同志が倒れたのは予定通りだ! だがお前たちには節穴を掘ってやった!」

パンムンが得意げに胸を張って叫ぶ。しえなは眉をピクリと動かし、冷たく返した。

「節穴!? どういう意味だ!?」

内心、パンムンは一瞬焦った。

「(何も考えずに口走っちまったが……まぁいい。今頃ファンジュがどこかで武智乙哉になりすましてるはずだ。クックックッ……これも俺の完璧な計画の一部だぜ! 出世街道まっしぐらだ!)」

パンムンは凄みある笑みを浮かべる。

そこへ、あおいが鋭い声で割って入る。

「何ニヤニヤしてるのか知らないけどさ、無駄な抵抗はやめた方が身のためだよ、アンタ!」

彼女の強気な口調に、パンムンは一歩引くどころか、余裕の笑みを浮かべた。

「まぁそう怒んなさんなって。俺はこう見えても紳士的な軍人なんだぜ?」

しえなは心の中で盛大にため息をつく。

「(あっさり自分でバラしてる……こいつ、真正のバカ確定だな)」

と呆れ顔を隠して唇を噛んだ。

「パンムン同志、ファンジュ同志が……」

実行隊員Cが緊張した声で報告を始めると、パンムンが目を細めて頷いた。

「何だ? ……そうか、無事に成田に着いたんだな」

「ハッ」

「これで……」

ブーッブーッブーッブーッブーッ(携帯電話のバイブレータ音)

ポケットから取り出した電話に、パンムンが低く応じる。

「俺だ」

《パンムン同志、無事に成田に着きました》

ファンジュの声がスピーカー越しに響くと、パンムンは満足げに頷いた。

「そうか、よし! よくやった! 証拠はちゃんと隠ぺいしたんだな?」

《はい、銃と鋏も跡形もなくバッチリ隠ぺいしました。日本の警察の捜査からは逃れられるかと》

「鬘と覆面はどうした?」

《…………空港のゴミ箱に捨てました。後処理が面倒でして》

「バカか、貴様はぁぁぁ!!」

パンムンの怒鳴り声が車両センターに響き渡る。

「日本の警察がそんな甘っちょろいわけないだろ! 今の時代、技術が発達してるんだぞ!我々より隅々まで調べ上げられるんだ! 分かってんのか!?」

《も、申し訳ございません! パンムン同志!》

ファンジュの謝罪に、パンムンは苛立ちを抑えきれず吐き捨てた。

「もういい! あとは俺たちが処理する。貴様はモスクワに隠居しろ! 当分祖国には戻ってくるな! 指示があるまでじっとしてろ!」

《ハッ!》

「以上だ! 通信終了!」

ブチッ(携帯電話を叩き切る音)

実行隊員Cが恐る恐る尋ねる。

「どうします、パンムン同志?」

パンムンは冷酷に一言。

「殺せ」

「しかし、相手は学生で……」

「学生だから何だ! さっさと殺せと言ってるだろ!!」

「……」

実行隊員Cが銃を握る手をかすかに震わせる中、しえなの瞳が鋭く光った。

増援までの時間が刻一刻と迫っている。彼女の頭脳がフル回転を始めていた。

 

To be continued

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。