東京駅新幹線ホームでの騒動は、まだ終わりを迎えていなかった。線路に飛び降りた自殺願望男を制圧した剣持しえなは、駅員Aに淡々と告げる。
「今、公安隊の人を呼びましたので、そちらに任せたほうが――」
「いえ、直接連行します」
「えぇっ?」
駅員Aが目を丸くすると、しえなは冷静に続けた。
「これ以上、駅にいる人たちに迷惑をかけたくないので、直接警察署へ連行します」
「警察は勘弁してくれ!! な? な? 俺、これから真面目に働いて真っ当な生き方するから、それだけは勘弁してくれぇ!! お願いだよ!」
自殺願望男が泣きながら嘆願するが、しえなの表情は氷のように冷たい。
「どんな理由があろうが、線路に勝手に降りてそのど真ん中で奇声を発した時点で罪になるのよ!」
カチャリと手錠をかけた瞬間、男の顔が絶望に染まる。しえなは彼を引っ張り、そのまま駅から立ち去ろうとした――その時だった。
「キャアアアアアアッ!! 痴漢よぉぉぉぉっ!!!」
ホームの反対側から、女性Aの叫び声が響き渡った。通勤客でごった返す中、今度は痴漢事件が発生したのだ。まさに鉄道公安隊の出番だが、しえなは振り返りもせず近くの警官に一言。
「あとは頼んだぞ!」
「えっ、ちょっと剣持警視?」
警官Aが慌てて呼び止めるが、しえなはすでに自殺願望男を連れて遠ざかっていた。
一方、騒ぎの中心では、痴漢魔が悪びれもせず舌打ちしていた。
「くそっ!! ちょっと触りすぎたか……!!」
その背後から、冷ややかな声が響く。
「そのようね」
「!!」
振り向いた痴漢魔の視界に飛び込んできたのは、ニューナンブM60(模造品)を手に持つ桜井あおいだった。
「アンタみたいな痴漢は……」
あおいの目が鋭く光った瞬間、痴漢魔が慌てて両手を上げる。
「わぁーっ、わかった!! 降参だ! 降参する!! 何もしないからその物騒なモンを下ろせ!!」
「……」
あおいが銃口を下ろしかけたその時、鋭い声が飛んできた。
「信じるな! その痴漢男に!!」
「!!」
振り向くと、そこには剣持しえなが立っていた。自殺願望男を警官に引き渡し、戻ってきたらしい。
「へへへ、バレちゃ仕方ねぇ。アンタらの体を全部触らせてもらうぜ!!」
痴漢魔がニヤリと笑い、あおいに襲いかかった瞬間――
「うおおおおおおおおおおおっ!!」
ドガァッ!
「グフゥォォォォォォォッ!!!」
岩泉翔が全力で突進し、痴漢魔を一撃で吹っ飛ばした。続いて、高山直人が駆け寄る。
「大丈夫か、桜井!!」
「平気よ! このくらい」
あおいが軽く笑う中、痴漢魔は地面でうめき声を上げていた。
「ギギギッ……」
這うように逃げようとするが、しえながその前に立ちはだかる。
「逃げられないよ」
「ゲッ……!!」
あおいが追い打ちをかけるように冷たく言い放つ。
「大人しく観念することね」
痴漢魔は涙目で震え上がり、ついに抵抗を諦めた。
騒動が収まり、ホームに静寂が戻ったその時、しえなとあおいの視線が交錯した。
そして、二人の間に未だに火花を散らしている。
「……次はお前らに負けないからな」
しえなが小さく呟くと、あおいはニヤリと笑った。
「こっちもそのつもりよ、SATの隊長さん♪」
痴漢魔を捕まえたことで一時休戦となったものの、この因縁はまだまだ終わりそうにない。
To be continued