RAILJACK   作:マブラマ

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未来の正義

大阪駅のホームに、秋の柔らかな陽光が差し込んでいた。

桜井あおいは、改札口の喧騒を背に、胸に抱えた鉄道公安手帳をそっと撫でた。篁唯依の逮捕から数週間が経ち、彼女の手帳は正式に返還されたのだ。手帳の革の感触に、あおいは小さく微笑む。

「やっと戻ってきた……これでまた、ちゃんと戦えるよ」

隣に立つ高山直人が、ニッコリと笑って肩を叩いた。

「お前らしいな、桜井。手帳がなくても正義を貫いてたけど、やっぱりそれ持ってる方がしっくりくるぜ」

「ふん、余計なお世話よ」

あおいは軽く睨んだが、その瞳には感謝の光が宿っていた。

そこに、駒木咲代子と岩泉翔がやってくる。咲代子はいつもの冷静な口調で言う。

「桜井、手帳の返還、おめでとう。これでまた一緒に働けるな。副隊長として、あなたの活躍に期待してる」

「ったく、こんな大事になる前に返してやればよかったのにな。まぁ、お前ならまた無茶するんだろうけどよ」

翔の皮肉に、あおいは笑って反論した。

「無茶って言うなら、あんたも大概でしょ。資材置き場で黒装束に突っ込んだの、誰だっけ?」

「う、うるせぇ!」

二人の軽い言い合いに、直人と咲代子が笑い声を上げる。その和やかな空気の中、一人の女性がゆっくりと近づいてきた。

「みんな、楽しそうだな」

神長香子だった。彼女は警視庁の制服をまとい、穏やかな笑みを浮かべている。あおいが驚いて声を上げた。

「神長警視! 復職したって本当だったんだ!」

「ああ。本庁の命令で、正式に復帰した。篁唯依の事件が明るみに出たことで、警視庁も私を切り捨てるわけにはいかなかったみたいだ」

香子の言葉に、直人が拳を突き上げる。

「やったぜ! これでまた一緒に戦える!」

「そうだな。でも、今度はもっと慎重に動かないと。君たちにも迷惑はかけられない」

香子の優しい視線に、あおいは胸が熱くなるのを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、遠くドイツのベルリンでは、静かな墓地に秋風が吹いていた。

リィズ・ホーエンシュタインの亡魂は、祖国へと送られ、義兄のテオドールとその妻アイリスディーナの手によって丁寧に弔われた。墓石には、彼女の名と「安らかに眠れ」というシンプルな言葉が刻まれている。

「リィズ……君は間違った道を歩んだかもしれないが、最後には真実を伝えた。それでいいよな?」

テオドールの声は低く、哀しみに満ちていた。アイリスディーナが彼の肩に手を置き、静かに言う。

「彼女は自分の正義を貫いたんだ。ダチュラの闇に囚われながらも、最後に光を見つけられた。それがリィズの救いだ」

二人は墓前に白い花を供え、静かに祈りを捧げた。ベルリンの空に、雲がゆっくりと流れていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大阪に戻ったあおいは、鉄道公安室で新たな任務の準備をしていた。

机の上には、万博の警備計画書と、リィズの事件に関する最終報告書が置かれている。あおいは報告書を手に取り、そっと呟いた。

「リィズ……あんたの死は無駄じゃなかったよ。私たちが黒幕を捕まえた。あんたの遺志、ちゃんと受け取ったから」

その時、ドアが開き、札沼まりが顔を覗かせた。

「あおい! 高山君! やっと会えた!」

まりはすっかり元気を取り戻し、明るい笑顔で駆け寄ってくる。彼女はジャパン食堂の制服を着て、北斗星の食堂車で働く準備をしていた。

「札沼! すっかり元気じゃん!」

直人が笑うと、まりは少し照れながら頷いた。

「うん。あの時は本当に怖かったけど、みんなが助けてくれたから。私、これからも頑張るよ。いつか、あおいたちみたいに誰かを守れる人になりたいな」

その純粋な言葉に、あおいは心から微笑んだ。

「まりなら、きっとできるよ。私も負けないように頑張るから、約束ね」

「うん、約束!」

二人が握手を交わす姿を、直人と咲代子、翔が見守る。そこに、香子も加わった。

「いいチームだ。私も負けないように頑張らないとな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、あおいは大阪駅のホームで一人、夜空を見上げていた。

星が瞬く空の下、彼女の心にはリィズの顔や、篁唯依の冷たい笑み、仲間たちの支えが浮かんでいた。

「正義って、簡単じゃない。でも、仲間と一緒なら、どんな闇も乗り越えられるよね」

あおいの呟きに、風が優しく答えるように吹き抜ける。その時、遠くから聞き覚えのある声が響いた。

「いい雰囲気ぶち壊すの嫌いっスけど、最後に一言だけっスよ~!」

走り鳰だった。彼はいつもの不気味な笑みを浮かべ、ホームの端に立っている。

「…あんた、まだうろついてたの!?」

あおいの叫びに、鳰は肩をすくめて笑った。

「まぁまぁ、ウチ、ただ見送りに来ただけっス。桜井ちゃん、なかなかやるっスねぇ。またどっかで会ったら、遊ぶっスよ~!」

「二度と会いたくないわよ!」

あおいの怒鳴り声に、鳰は手を振って闇の中へと消えていった。あおいは呆れたように笑い、改めて空を見上げた。

「未来の正義、か……。私、絶対に諦めないよ」

彼女の声は、星空に吸い込まれるように響き、夜の大阪に新たな希望を刻んだ。

 

大阪万博の混乱を乗り越え、あおいたちは正義を貫いた。リィズの魂は故郷で安らぎ、仲間たちの絆はさらに強くなった。これからも、彼らの戦いは続く――未来の正義のために。

 

 

Der Kampf zwischen Takayama Naoto, Sakurai Aoi und anderen Mitgliedern des 4. Wachteams geht weiter.

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