2025年12月24日。
大阪駅のホームに、クリスマスの飾り付けが華やかに輝いていた。雪がちらつく夜空の下、桜井あおいは鉄道公安隊の制服を着て、巡回任務を終えたばかりだった。彼女の手には、返還された鉄道公安手帳がしっかりと握られている。
「ふぅ……やっと終わった。クリスマスなのに、仕事ってのもねぇ」
あおいが小さく呟くと、背後から聞き慣れた声が響いた。
「ったく、お前らしい愚痴だな。桜井、メリークリスマス!」
振り返ると、高山直人がニヤニヤしながら立っていた。彼の手には、温かい缶コーヒーが二つ。
「高山! あんた、こんな時間に何してんのよ?」
「何って、お前を迎えに来たんだよ。仕事終わりなら、少し付き合えってさ」
直人が差し出した缶コーヒーを受け取り、あおいは苦笑いを浮かべた。
「まぁ、いいけど。どうせ暇だったし」
二人はホームのベンチに腰掛け、缶コーヒーを手に夜空を見上げた。
「なぁ、桜井。あの事件からもう半年近く経つんだな。なんか、夢みたいだよ」
直人の言葉に、あおいは頷いた。篁唯依の逮捕、リィズの死、まりの救出――あの激動の日々が、確かに遠い記憶になりつつあった。
「うん。でも、私たちの正義はちゃんと届いたよね。リィズの魂も、ドイツで安らかに眠ってる」
「そうだな。香子さんも復職したし、咲代子さんも副隊長としてバリバリやってる。俺たち、結構いいチームだったよな」
「あんた、過去形にしないでよ。今だってチームでしょ」
あおいの軽いツッコミに、直人が笑い声を上げた。
その頃、警視庁のオフィスでは、神長香子が書類を片付けていた。
復職した彼女は、再び警備課で忙しく働いている。デスクには、事件の最終報告書と共に、あおいからの手紙が置かれていた。「ありがとう、神長警視。私、頑張ります」と書かれたその文字に、香子は小さく微笑む。
「桜井、お前ならきっと大丈夫だ。私も負けないように頑張らないとな……イレーナ先輩、やっと…自分の幸せが掴みそうです。天国で見守って下さい」
窓の外に広がる東京の夜景を見ながら、香子は新たな決意を胸に秘めた。
一方、鉄道公安機動隊の副隊長室では、駒木咲代子が部下たちに指示を出していた。
「年末の警備体制、抜かりなく頼む。大阪駅は観光客で溢れるから、気を引き締めて」
「了解、副隊長!」
部下たちが敬礼する中、咲代子はふと、あおいや直人との戦いを思い出した。
「桜井、高山か……あいつらがいると、いつも賑やかだったな。また一緒に働きたいよ」
彼女の口元に、珍しく柔らかな笑みが浮かんだ。
大阪駅の別のホームでは、岩泉翔が札沼まりと一緒にいた。
まりはジャパン食堂の制服を着て、北斗星の食堂車で働く合間に、翔とクリスマスの軽い食事を楽しんでいた。
「翔さん、このケーキ美味しいね! クリスマスってやっぱりいいなぁ」
「お前、元気になってよかったよ。あの時、誘拐されてたなんて信じられなかったからな」
翔のぶっきらぼうな言葉に、まりは笑顔で答えた。
「うん。でも、あおいさんや高山君たちが助けてくれたから、私、今こうやって笑えてるよ。いつか、私も誰かを守れる人になりたいな」
「なら、頑張れよ。俺も応援してやるからさ」
翔が照れ臭そうに言うと、まりは嬉しそうに頷いた。
再び、あおいと直人のいるベンチに戻る。
缶コーヒーを飲み終えたあおいが、ふと呟いた。
「ねぇ、高山。私たち、これからも正義を貫けるかな?」
「お前がそんな弱気なこと言うなんて珍しいな。でも、俺は信じてるよ。お前なら、どんな時でも正しい道を選ぶってさ」
直人の真剣な言葉に、あおいは一瞬驚いたが、すぐに笑った。
「ありがと、高山。あんたがいてくれるなら、私、頑張れるよ」
「当たり前だろ。俺たち、仲間なんだからな」
二人が見つめる夜空に、星が一際強く輝いた。
その時、遠くから聞き覚えのある声が響いてきた。
「ウチ、いい感じのシーン見ちゃったっスねぇ! 桜井ちゃん、直人君、メリークリスマスっスよ~!」
走り鳰が、いつもの不気味な笑みを浮かべて現れた。あおいが立ち上がり、叫ぶ。
「……あんた、また出てきたの!? いい加減にしなさいよ!」
「まぁまぁ、ウチ、ただ挨拶に来ただけっスよ~。またどっかで会ったら、遊ぶっスねぇ!」
「二度と会いたくないって言ってるでしょ!」
鳰が笑いながら去っていくのを、直人が呆れた顔で見送った。
「あいつ、ほんと変わんねぇな……」
「ほんとよね。でも、まぁ、悪い奴じゃないのかもね」
あおいの言葉に、直人が笑い声を上げた。
夜が更ける中、あおいは仲間たちの顔を思い浮かべた。
香子の冷静な瞳、咲代子の頼もしさ、翔のぶっきらぼうな優しさ、まりの純粋な笑顔。そして、直人の変わらない支え。リィズの遺志も、彼女の心にしっかりと刻まれている。
「未来の正義か……私たちなら、きっと守れるよね」
あおいの呟きに、星空が静かに応えるように輝いた。雪が舞う大阪の夜に、彼らの新たな物語が、また始まろうとしていた。
事件を乗り越えたあおいたちは、それぞれの場所で未来へと歩み続ける。星空の下、彼らの絆は永遠に――。
Lalala Love Somebody tonight
Lalala… Love Somebody for life
And I will never never...Let the love go
I wanna Love Somebody tonight
あの日見た夢の続きを今も
憶えているから
あてもなく過ごす日々を
どうにかこうにか切り抜けた
大切な人を忘れないように
生きるのもムズカシイさ
僕らはせめて同じ時代を
生きていることを感じたい
僕をみつけた時から
求め続けていることは
ひとつだけ
Lalala Love Somebody tonight
Lalala… Love Somebody for life
And I will never never...Let the love go
I wanna Love Somebody tonight
また逢える日の約束をしよう
言葉が足んなくったて
響き合ったね 同じリズムで
どんなに遠くに離れても
風に耳を澄ませば
聴こえ続けている詩は
ひとつだけ Yes!
Lalala I wanna Love Somebody tonight
いつも敗けないように
心に誓おう
誰かを愛せたとき
この胸は踊るよ
Yah! Yah! Yah!
Lalala Love Somebody tonight
Lalala… Love Somebody for life
And I will never never...Let the love go
I wanna Love Somebody tonight
Lalala Love Somebody tonight
Lalala… Love Somebody for life
And I will never never...Let the love go
I wanna Love Somebody tonight
Lalala Love Somebody tonight
Lalala… Love Somebody for life
And I will never never...Let the love go
I wanna Love Somebody tonight
Lalala Love Somebody tonight
Lalala… Love Somebody for life
And I will never never...Let the love go
I wanna Love Somebody tonight
Lalala Love Somebody tonight
2025年12月24日、大阪駅のホームはクリスマスの喧騒に包まれていた。
桜井あおいと高山直人がベンチで缶コーヒーを飲み終えた頃、遠くから走り鳰が不気味な笑みを浮かべて去っていったばかりだ。あおいが呆れた顔で呟く。
「ったく、鳰って奴はどこまでも馴れ馴れしいよね……」
「まぁ、あいつのペースに巻き込まれなきゃ大丈夫だろ」
直人が笑うと、突然、ホームの端から聞き慣れた声が響いた。
「ボクの出番がないじゃないか……ぐすん」
振り返ると、そこには三つ編みの髪を揺らす女性が立っていた。SAT(特殊急襲部隊)の隊長制服を着た剣持しえなだ。彼女は少し涙目で、頬を膨らませている。
「剣持さん!? あんた、こんなとこで何してんの!?」
あおいが驚いて立ち上がると、しえなは鼻をすすりながら訴えた。
「何って、ボクだってあの事件に絡みたかったんだよ! リィズだの篁だの、黒幕だので大騒ぎだったのに、SATの隊長であるボクが蚊帳の外なんてひどすぎるじゃないか……ぐすん」
「いやいや、あの時はそんな余裕なかったし……」
直人が苦笑いする中、別の声が割り込んできた。
「首藤さんも出番なかったよ。まぁ、あたしには関係ないけどね」
ポニーテールの女性、武智乙哉がしえなの隣に現れた。彼女は北斗星の食堂車でまりと一緒に働く従業員だが、その過去は「21世紀の切り裂きジャック」と呼ばれた快楽殺人鬼という異色の経歴を持つ。あおいが少し身構えながら言う。
「武智さん、あんたまで何でここに? まりと一緒に食堂車にいるんじゃなかったの?」
「今日は休憩時間だからね。まりっちが『クリスマスだからみんなに会いたい』って言うから、ついてきただけさ。で、首藤さんも一緒だったってわけ」
乙哉が肩をすくめると、その背後からもう一人の女性がゆっくりと歩み寄ってきた。
「ワシは別に構わないんじゃよ。騒がしいのは苦手じゃしな」
首藤涼だ。明治生まれで、ハイランダー症候群により歳を取らず若い姿のままの彼女は、穏やかな口調で話す。あおいと直人、翔は彼女を初めて見るため、目を丸くした。
「え、誰!? このお婆ちゃん口調の若い女の人!?」
翔が思わず叫ぶと、涼はクスリと笑った。
「ワシは首藤涼じゃよ。香子や走り、剣持や武智と同じ明星学園黒組の卒業生じゃ。おぬしらとは初対面じゃな」
「明星学園黒組……って、あの事件で出てきた名前!?」
あおいの驚きに、しえなが得意げに胸を張る。
「そうさ! ボクたち黒組はエリート揃いなんだよ。神長は警備課で活躍してるし、走りは公安でうろついてるし、武智は……まぁ、昔は怖かったけど今はいい子だしね!」
「昔の話を持ち出さないでよ~、しえなちゃん。あたしだって更生したんだからさ」
乙哉が少しムッとしながら言うと、涼が穏やかに仲裁した。
「まぁまぁ、仲良くするんじゃよ。ワシはただ、懐かしい顔を見に来ただけじゃからな」
その時、ホームの反対側から聞き慣れた声が響いた。
「やけに賑やかだな。黒組の同窓会でも始まったのか?」
神長香子が現れ、微笑みながら一行を見渡す。しえなが目を輝かせて駆け寄った。
「神長! やっと会えた! ボク、ずっと出番なくて寂しかったんだから!」
「はいはい、分かったから落ち着け、剣持。私も忙しかったんだよ」
香子が苦笑いすると、乙哉がまりの手を引きながら近づいてきた。
「神長さん、お久しぶり! まりも一緒だよ」
「神長さん! メリークリスマス!」
まりの明るい声に、香子も優しく笑った。
直人が状況を整理するように呟く。
「えっと、剣持さんはSATの隊長で、武智さんは元殺人鬼で今は札沼の同僚で、涼さんは明治生まれの不老不死? で、みんな神長さんや走り警視と同じ黒組出身……頭こんがらがってきたぞ」
「ボクたちをそんな簡単にまとめないでよ、高山! もっと複雑で魅力的なんだから!」
しえなが抗議すると、あおいが呆れた顔で言った。
「複雑すぎてわけ分かんないよ……でも、なんか賑やかでいいね」
その時、再びあの不気味な声がホームに響いた。
「ウチ、こんな面白そうな集まり見逃すわけないっスよ~! メリークリスマスっスねぇ!」
走り鳰が現れ、いつものニヤニヤ笑いを浮かべる。あおいが即座に叫んだ。
「またあんたか! いい加減にしなさいよ!」
「まぁまぁ、ウチ、黒組の仲間たちに会いに来ただけっスよ~。しえなちゃん、乙哉さん、涼さん、お久しぶりっスねぇ!」
「……走り、ボクのことちゃん付けで呼ぶな! 気持ち悪いよ!」
しえなが顔をしかめると、乙哉が冷たく言い放つ。
「あたしもやめてよ。あんたのその笑顔、見てるだけでゾッとするからさ」
「ワシは別に構わんよ。走りも変わらんのう」
涼の穏やかな言葉に、鳰は肩をすくめて笑った。
「ウチ、愛されてるっスねぇ! さてさて、クリスマスだし、みんなで遊ぶっスか?」
「遊ぶわけないでしょ!」
あおいとしえなが同時に叫び、一同が笑い声を上げた。
夜が更ける中、大阪駅のホームは賑やかな声で溢れていた。
香子が黒組の仲間たちを懐かしそうに見つめ、あおいと直人、翔がその輪に加わる。まりがケーキを手にみんなに配り、乙哉が少し照れながら手伝う。涼は静かに微笑み、しえなは「ボクももっと活躍したい!」と駄々をこね、鳰は相変わらずの不気味な笑顔で場を掻き回す。
「なんか、変な集まりになっちゃったね」
あおいの呟きに、直人が笑った。
「でも、これが俺たちらしいだろ。過去も未来も、仲間と一緒ならなんでも乗り越えられるさ」
「うん、そうだね」
あおいが頷くと、星空の下で仲間たちの笑顔が輝いた。
クリスマスの夜、彼らの新たな物語は、まだまだ終わりそうにない――。
黒組の隠れたメンバーたちが加わり、クリスマスの夜がさらに賑やかに。新たな絆と共に、彼らの未来は続いていく。