2025年12月24日、大阪駅のホームはクリスマスの喧騒と仲間たちの笑い声で溢れていた。
剣持しえな、武智乙哉、首藤涼、神長香子、走り鳰、そして桜井あおい、高山直人、岩泉翔、札沼まりが集まり、賑やかな時間を過ごしている中、突然、穏やかな声がその場に響いた。
「お久しぶりです。武智さん、剣持さん、神長さん、走りさん」
一同が振り返ると、そこに立っていたのは一ノ瀬晴だった。黒組卒業生の一人で、赤茶色でツインテールのようなくせ毛のの髪と柔らかな笑顔が印象的な女性だ。彼女は以前、北斗星の乗客として直人とあおいに話しかけたことがあったが、それ以降音沙汰がなく、皆の記憶からも少し薄れかけていた存在だった。
「あれ、一ノ瀬さん!? お前、生きてたのか!?」
直人が驚いて立ち上がると、晴はクスッと笑って手を振った。
「生きてるに決まってるじゃないですか、直人さん。あおいさんもお元気そうで何よりです」
「あ、うん……お久しぶり。一ノ瀬さん、何でこんなタイミングで?」
あおいが少し戸惑いながら尋ねると、晴は背負っていた大きな袋を下ろし、中から10人分の卒業証書が入った筒を取り出した。
「遅くなりましたが、皆さんの卒業証書を持ってきましたよ!」
晴の明るい声に、一同が目を丸くする。彼女は袋から一つずつ筒を取り出し、しえな、乙哉、香子、鳰、涼に手渡していった。
「ボクの卒業証書!? 一ノ瀬、こんな大事なもん今までどこに持ってたんだよ!?」
しえなが筒を受け取りながら目を潤ませると、晴は少し申し訳なさそうに頭をかいた。
「ごめんね、剣持さん。実は黒組の卒業証書、晴が預かってたんだけど、ちょっと事情があって渡すタイミングを逃してて……でも、クリスマスだし、みんなに会えるかなって思って持ってきたんだ」
乙哉が自分の卒業証書を手に、少し複雑な表情で呟く。
「あたしの分まであるなんてね……あの頃は切り裂きジャックなんて呼ばれてたのに、卒業証書もらえるなんて思わなかったよ」
「武智さんだって黒組の一人だよ。過去がどうであれ、ちゃんと卒業したんだからね」
晴の優しい言葉に、乙哉は珍しく照れ臭そうに目を逸らした。
香子は卒業証書を手に、懐かしそうに微笑んだ。
「一ノ瀬、ありがとう。あの頃の思い出が蘇るよ。私たち、結構無茶してたな」
「そうですね、神長さん。でも、その無茶が今に繋がってるんだと思いますよ」
晴の言葉に、香子は頷き、証書をそっと胸に抱えた。
走り鳰はいつもの不気味な笑みを浮かべながら、筒を受け取った。
「ウチの分まであるなんて、嬉しいっスねぇ! 一ノ瀬ちゃん、ナイスタイミングっスよ~。これで黒組コンプリートっスか?」
「走りさん、やめてよ、その気持ち悪い笑顔……でも、うん、ほぼコンプリートだね。残りの5人分は、また別の機会に渡すよ」
晴が少し困った顔で言うと、あおいが首をかしげた。
「残りの5人って、他にも黒組の卒業生がいるの?」
「うん、黒組は結構大所帯だったからね。いつか紹介するよ、あおいさん」
晴がウィンクすると、あおいは苦笑いを浮かべた。
最後に、首藤涼が卒業証書を受け取り、穏やかに呟いた。
「ワシの分まであるとはのう……明治生まれのワシが卒業証書なんてもらう日が来るとは、感慨深いものじゃよ」
「首藤さん、長い年月生きてきた分、この証書も特別ですよね。受け取ってください」
晴の言葉に、涼は静かに微笑み、証書を手に持った。
「で、一ノ瀬。お前、卒業証書持ってきただけじゃなくて、何か企んでるだろ?」
香子の鋭いツッコミに、晴は少し慌てて笑った。
「バレちゃった? 実はね、みんなでクリスマスパーティーでもできないかなって思って。せっかく黒組の仲間が集まったんだし、直人さんたちも一緒でいいよね?」
「パーティー!? ボク、賛成! クリスマスだし、楽しい方がいいよ!」
しえなが目を輝かせると、まりがケーキの箱を掲げて飛び跳ねた。
「私、ケーキ持ってるよ! 一緒に食べよう!」
「いいね、まりっち。なら、あたしも何か飲み物でも買ってくるよ」
乙哉が立ち上がると、涼が穏やかに言う。
「ワシも何か菓子でも持ってこようかのう。明治の味を思い出してな」
「明治の味って何だよ……?」
翔が呆れた顔で呟くと、一同が笑い声を上げた。
香子が全体を見渡し、優しく言った。
「一ノ瀬、いいアイデアだよ。私も参加する。桜井、高山、岩泉も一緒にどうだ?」
「もちろん! クリスマスだし、賑やかでいいよね」
あおいが笑うと、直人と翔も頷いた。
そこに、鳰が再び割り込んできた。
「ウチ、パーティー大歓迎っスよ~! 黒組の絆、もっと深めるっスねぇ!」
「あんたは静かにしてなさいよ!」
あおいとしえなが同時に叫び、ホームが再び笑いに包まれた。
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夜が深まる中、大阪駅のホームの一角で、黒組卒業生とあおい達による即席のクリスマスパーティーが始まった。
まりと乙哉が配るケーキ、涼が持ってきた謎の古風なお菓子、晴が用意した温かい飲み物が並び、しえなが「ボクが主役でもいいよね!」と騒ぎ、香子がそれをなだめる。鳰は相変わらず不気味な笑顔で場を掻き回し、直人と翔がそれを冷やかす。あおいはその光景を見ながら、そっと呟いた。
「なんか、すごい仲間が増えたね。リィズも、こんな賑やかなクリスマス、喜んでくれるかな?」
隣で直人が笑って答えた。
「絶対喜ぶさ。お前が正義貫いたおかげで、こうやってみんな笑えてるんだからな」
「うん……ありがとう、高山」
あおいの瞳に、星空と仲間たちの笑顔が映り込んだ。
クリスマスの夜、黒組の絆と新たな友情が、大阪の空に響き合い、未来へと続いていく――。
一ノ瀬晴の登場で、黒組の絆がさらに広がり、クリスマスの夜が温かく締めくくられた。彼らの物語は、まだまだ終わりそうにない。
Ende