生物学的な位置付け
原作では曖昧にされていますが、本作では明確に『ホモ・サピエンス・サピエンスのメス』すなわち現生人類の女性と設定しています。
進化史
19万5000年前~12万3000年前にかけて続いた「海洋酸素同位体ステージ6」(MIS6)と呼ばれる長い氷期(リス氷期)に、人類の繁殖可能年齢層が数百~1万人程度に減少した時代があり、この時期にウマ娘が生誕した。
食料や土地を巡っての争いが激化し、人類のオスは極端に数を減らしていたこの時代に、メスの突然変異個体が胎児の時点で高い濃度のアンドロゲン(男性ホルモン)を維持したまま誕生。その個体がオスと同程度の身体能力を持っていたため、オスに混じり戦争・狩に参加して自身の優秀さを示したことで、優先的に保護・生殖の対象と見做され、遺伝集団が固定された。世代を重ね、より早く、より強いウマ娘が求められたことで、時速50~60kmでの走行が可能な長い脚と骨格構造、筋力を獲得した。具体的には、以下の遺伝子変異が発生しているが、あくまでも一例に過ぎない。また、体形・髪色・目の色・顔の造形・身体能力などの発現には
・EDAR遺伝子の変異が、高速走行時の情報収集に適した「獣耳」の獲得に関わっている。
・TBXT遺伝子の変異が、高速走行時の舵取り用としての尻尾の再獲得に関わっている。
・MC1R遺伝子の変異が、常人と比較して豊かな髪色のバリエーションに関わっている。
・HERC2遺伝子の変異が、常人より鮮やかで豊かな瞳の色のバリエーションに関わっている。
・HOX遺伝子群の変異が、常人より脚が長く、相対的に胴体と顔が小さい「モデル体型」の獲得に関わっている。
これらの特性は戦争における攻撃・偵察、狩猟による食料の確保、危険からの逃避という面で共同体と個体双方の生存に有利であり、子孫の生存率を上昇させる存在であるために生殖の相手として極めて魅力的とされた。
それにより権力者そのもの、あるいは権力者層の妻・愛人として原始社会に君臨した結果、美の基準・象徴として扱われるようになる。一方で10代から20代にかけては、2500kcal前後という通常の女性の2倍近い基礎代謝を持つ体質により大飯食らいであるため、人口維持のために女性人口比で2%しか出生しない遺伝特性も固定されている。
生誕時期が有史以前であるため文献資料が存在せず、さらに存在の希少性から化石もほぼ発見されていないため、現代にいたるまで生誕の経緯、遺伝子変異の発生原因は未だ解明されていない。
歴史の中のウマ娘
ウマ娘たちは身体能力が高い一方、知能面では他個体と差がないため文明に対するブーストは発生していない。軍事史・交通史・情報通信史・農耕史・食料史・スポーツ文化史・王侯貴族文化史・宗教史・芸能史には影響を与えたものの、女性人口比2%(全人口比1%)という少数派の存在であることから大きな影響はなく、人類の発展史は史実と大差がない。有史以降は文化・文明発展に地域差があったため、各文化圏ごとにウマ娘に対する扱いは大きく異なる。
多くの国家・文化圏においては、産業革命時代まで重要な労働力・軍事力として扱われていた。その一方、産業革命後の機械化社会においては軍・警察の特殊部隊、伝令部隊、輸送部隊、救助隊などに活躍の場が限定され、次第にスポーツ、芸能、ナショナリズムなどの文化領域の担い手としての活躍が求められるようになった点はおおむね共通している。
・ヨーロッパ
キリスト教勢力の拡大により、ヨーロッパ土着信仰に根付いていたウマ娘たちは次第に「人でありながら獣形を帯びた異端者」と見做されるようになる。飢饉や黒死病が蔓延した近世においては「大量の食糧を消費し、共同体の持続を不可能にする存在」「長距離を走り伝染病を振りまく存在」として疎まれて、魔女狩りによって徹底的に弾圧された。これにより、ヨーロッパでは支配者層・宗教指導者層からのウマ娘の追放が発生し、市民階級に多い存在となっている。
アイルランドやオランダなど魔女狩りが発生しなかった地域では逆に保護され、「神の祝福を受けた存在」「重要な労働力」「強大な戦力」として重用された。これがのちのファインモーションの祖国「アイルランド王国」(アイルランドが史実と異なり全島独立・独自王権樹立を果たした姿)の成立に繋がる。
・アメリカ
もともとはヨーロッパ植民地であったアメリカには、魔女狩りを逃れてきたウマ娘たちが多かった。開拓時代からウマ娘たちが開拓の労働力、あるいは牛を使役する"カウガール"、先住民たちとの戦争における戦力として重用されており、開拓には欠かせない存在とされた。さらに、ヨーロッパとは異なりプロテスタントが主な信仰対象となったこともあり、彼女たちに対しての弾圧は発生しなかった。
・東アジア
中華文明とそれに影響を受けた地域では、武芸・書画・宮廷儀礼・楽舞に秀でたウマ娘たちは宮廷文化と一体化し、民間信仰にまで溶け込む形で“風雅と力の象徴”として受容されていた。一方で狩猟・軍事においても有用であることから、貴族だけではなく武家においても重要な存在としてみなされ、多くのウマ娘武将、あるいはウマ娘部隊を従えた有力武将の台頭に繋がる。武家においては、補給線が短い東アジアの地形に適した中距離高速偵察・高速進撃を重視したエリート部隊としての運用が多く、速度を重視する傾向にあった。
これにより、宮廷では「最も美しく優雅なウマ娘」を抱えることが名誉とされ、武家では「最も強いウマ娘、あいるは最も多くのウマ娘」を抱えることが名誉だと見なされる風潮が根付くことになった。平和な時代になってからは美貌への注目度も高まり、平民階級にもウマ娘が嫁として迎えられる事例が増え、社会全体にウマ娘が存在する国家が形成された。
・中南米及びアフリカ
列強国の植民地として搾取されてきた歴史が長く、情勢も不安定な国が多いことからウマ娘は支配層に多く、さらに固有のウマ娘よりも近代に宗主国となった欧米諸国の血統が混じったウマ娘が多くなっている。
インカ文明では貴族層に多くウマ娘が存在したが、「知識は庶民のためのものではない」という社会哲学に基づき貴族層が労働階級の指揮者層を兼ねていたこともあり、ウマ娘達が道路・神殿・要塞などの建築及び軍隊の中核戦力として動員されている。また、急峻な地形を一般人より速く移動可能な中速大量輸送手段としても活用された。アステカ文明では、大量の物資を抱えて諸国を巡り偵察も兼ねる商人、土木工事に従事する労働者層、帝国支配を支える軍隊に多くウマ娘が存在した。戦争で武功を上げたウマ娘が貴族に登用された例もあるほか、身体能力が神聖視され、神への贈り物として"人身御供"の対象とされた記録も多い。
アフリカでは農耕・狩猟部族社会において身体能力が絶対視された期間が長く、これにより女性優位の社会が形成されている。持久力特化型のウマ娘が優遇される傾向にあり、速度特化型のウマ娘に対する評価は低い。そのため、速度特化型はアスリートとしての栄達を求めて欧米へと渡る例が多い。
・遊牧文化圏
中東アジア~中央アジアに広がる遊牧文化圏では労働力として重用され、上流階級として扱われてきた歴史が長い。
イスラム世界においてはラクダと並ぶ商隊の輸送力として重宝され、ウマ娘は「王族の象徴」「特別な花嫁」「優れた血統の母」と見做されている。そのため、ウマ娘は丁重に扱われ社会地位も高い一方、政略結婚の対象ともされ、西洋社会との価値観の違いから批判を招くこともある。
モンゴルなどの中央アジア遊牧文化圏においては交通手段・輸送手段・文化と国家の象徴そのものとして扱われ、他文化圏と比較してもウマ娘の生誕率・人口比率が有意に高い。一方で、粗食に耐え、軽装備で長距離を走破する軍事力、または荷物を抱えての遠距離持続型の輸送労働力としての実用性が他文化圏よりも重視されてきた歴史的経緯から、体躯は小さく、長距離中速機動・持久力特化型の傾向が強いため、速度を重視する競バには向かない。
・共産圏
血統と特権階級の否定という共産主義の教条と正面衝突することになるウマ娘という存在は極めて都合が悪く、一時期は徹底した弾圧の対象とされた。ルイセンコ主義の台頭によって粛清の対象とされたり、あるいは遺伝子実験の対象とされたりと悲惨な運命をたどる。中国では大躍進政策時代のルイセンコ主義の採用とその結果としての大飢饉により、粛清・口減らしの対象ともされた。一方、時代が下るとスポーツ・芸術分野における国威発揚効果が認められたことから再評価が始まり、優遇されるようになる。冷戦期の宇宙開発時代においては、国家英雄とファーストペンギンを兼ねた存在として優先的に宇宙飛行士として選抜されている。
北朝鮮においては抗日戦争の英雄とその末裔として崇められ、核心階層においてはウマ娘の割合が有意に高い。一方で動揺階層・敵対階層では食糧事情の貧弱さから、ウマ娘は出生した瞬間に口減らしの対象とされることが多い。口減らしを逃れた場合は地方役人または喜び組への「献上」によって経済安定を得るための人的資源として扱われることが多い。例外は抗日戦争の逸話から神聖視されている白毛・葦毛のウマ娘であり、誕生した瞬間にウマ娘本人は核心階層への編入が決定され、家族は出身成分とは無関係に国家に対する絶対的忠誠の宣誓を代償に経済的安定を約束されるが、敵対階層の場合は首都平壌への居住だけは認められない。
共産趣味者の間では、北朝鮮のウマ娘たちの口から飛び出る政治罵倒やマスゲームが絶好の観察対象として愛好されている。