Re:ナツミシュバルツは友達が欲しい 作:戻ってきたミュウ
―――俺の名はナツキ・スバル。無知蒙昧にして天下不滅の無一文!
…だったんだが、コンビニ行く途中でトラックに撥ねられ目が覚めたらあら不思議!
「お喜びください!可愛い女の子です!」
最近流行りの?
異世界転生ってやつで、女の子になっちゃったわけよ
名前はナツミ・シュバルツ。何で異世界に
身分としてはそこそこらしいが、アストレア家という代々優秀な騎士を排出する名門貴族の分家とか何とかで上流階級と遜色ない暮らしを送れているそうだ。
ファザーは内政官をやっているらしく、中々屋敷に帰って来ないが、マザーは暇さえあれば茶会を開いて談笑を楽しんでいた。
と言うわけで、今日も今日とてナツミちゃん(さんちゃい)はマザーに連れられ、いかにもな茶会に参加させられているわけだが、
兎に角アレだ。
…………無茶苦茶孤立した。
今回は親御さんの集まりみたいな茶会で、小さい子は近くで遊んできなさ~いって、きゃっきゃっきゃっと戯れる中、俺だけがマザーの膝上でふんぞり返ってお菓子を頬張っている。
まぁナツミ様はお母さんっ子なのね!
うちの子は、中々かまってくれなくて羨ましいわ。
あー、はいはい。お世辞ですね(わかりマス)
前世引きこもりな社会不適合者は、こんな歳になっても友達一人作らず親のすね齧って生きているんですよ。
性の戸惑いってやつもあるけど、同世代の奴と話すのがトラウマって……それどころの話ではないのだ。
「□▽♡□▽□◇◇」
「▽♡□◇◇◇□」
「◇◇▽」
コイツら何言ってるか分からねぇ!!!!!
日本語や英語、中国語やヒンドゥー語に掠りもしない異世界言語でペチャクチャと会話する、頭を抱えたくなる光景が目の前にはあった。
この異世界に誕生してから早三年。当たり前のように異世界言語を話している両親に絶望しつつ、何とか自己流で言語を学んで簡単な文章ぐらいなら読めるようになったのがごく最近だ。
ヒヤリングはさることながら二言語以上を発音するのは大変困難な状況である。
言葉さえ分かれば直ぐにでもあのちびっ子達の輪に入り、リーダー格へと上り詰め、尊敬と畏敬の念を集める女王様になれるのだが流石に言葉を理解出来ず、喋れもしないナツミちゃん3歳が仲良くなるには難易度が高すぎた。
それでも……一人ぐらい友達作らねぇとヤバイな。
ファーストライフに後悔がないといえば嘘になるが、折角訪れたセカンドライフ。マザーが俺を頻繁に茶会に参加させるのは家族以外とも交流を持って欲しいという親心から来るわけで、そんな期待に応えたいとは思ってしまう。
その為にも言語習得だ!とマザーの豊満な胸に頭を預けながら、親同士の会話に耳を傾ける。
しかし、かなしきかな。あまりにもフワフワ過ぎる極上の枕に包まれてナツミちゃんの意識は瞬く間に夢の彼方へ...……
「レディ、よろしければ散歩などどうでしょう」
あぁん?誰だ、この後頭部に伝わるパイ乙の感触を妨害せんとする不届き者はーて、ユリウスやん。
「――いく!」
お菓子をパクっと飲み込んだ俺は手をとった。
他の奴なら付いていかねぇけど、こいつ七歳の子供の癖して魔法使えるめっちゃすごい奴なんだよ。
キラキラして手のひらから炎出したり氷を作ったり、見ているだけで飽きないわ、俺がヒヤリングが得意でないことも何となく察しているらしく、会話をする時は分かりやすいジャスチャーを交えてくれる出来るやつ。また微精霊とのやり取りの応用とかで、会話できなくても俺が何を考えているか分かるという、まさに完璧超人ってやつだ。
「ゆりうす!きょうは、なにをみせてくれるんだ!」
「そうですね、イア」
ユリウスの回りをクルクルと動く微精霊がナツミの前で止まり、首を傾げるナツミに彼は離れた場所にある石を指差して一言。
「ナツミ様あれに人差し指をお向け下さい」
「おおう?」
言われるがまま指を向ける。するとイアと呼ばれる微精霊がナツミの人差し指にくっついた。
「はぅ!?ゆりうす!こ、これって!?」
「――ええ、ご想像の通りかと」
前世オタクな俺は直感する。
――絶対『霊丸』的な奴やないかコレ!!!
「れい…がん!」
勢いよくナツミの人差し指から射出するイア。
石に突撃してドカンッと派手に爆発しやがった。
「ふわあああ!!!」
オタク死す(イアは死んでなかった)。胸の高鳴りを抑えられないナツミはその日、熱を出した。
「ゆりうす……まじお前やべぇわ……さいこうだわ」
――てか、よくよく考えたら友達いたわ。(ユリウスだけだけど)