異世界迷宮の英雄に!   作:チワワ

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11-久しぶりの迷宮

村で迎える二日ぶりの朝だ。

太陽より早いここでの朝も、もうずいぶん慣れた。

 

今日の俺はミンと共に水瓶を用意し、魔法で水の用意をすることから始まった。

ボーナスポイントはMP回復と複数ジョブを中心にしているし、ミンは英雄をつけている。

MP枯渇におちいる事もなく、楽に水瓶をいっぱいにできた。

普段なら1時間はかかる仕事が十五分程度になったとミンは喜んでいたが、水瓶を魔法に適した形にすれば更に早く終わりそうだ。今度村長に頼んでみるか。

 

その後は三人で料理。

俺はミチオ君の様に料理上手ではないので出来る事は野菜を切る事ぐらいだが、ささやかな手伝いでも皆でやれば大変さが減る。

質素ではあるが、穏やかな朝食の時間だった。

 

 

「それじゃ、迷宮に行こうか」

「はい」

 

ボーナスポイントは、キャラクター再設定、鑑定、武器6、フォースジョブ、詠唱省略、経験値10倍。街で魔結晶は買ったので、今日からは結晶化促進4倍。最後に、ミンに渡す防具として体防具1、頭防具1。

まずはこれで様子見だ。

ミンには盗賊が持っていた鉄の剣も渡している。

 

ジョブは俺が探索者、剣士、僧侶、魔法使い。ミンは英雄。ミレーナさんは探索者。

 

「今日は慣れる事が目的だからな。気楽に行こう」

「そうなんですか? わかりました」

「じゃあミレーナさん、行ってきます」

「お気をつけて。ミンも」

「はい、お母さん」

 

ワープで迷宮の中に直接跳ぶ。

無味乾燥な石壁にも懐かしさを感じる。

 

「この迷宮の第一層はエスケープゴートが出る。HP……体力を半分ほど失うと逃げ出すが、まあ見ていろ」

「はい」

 

あたりをうろつき、10分程で一匹見つける。

見つけるのに結構時間がかかったな? もっとすぐに会敵すると思ったが……まあいいか。

 

当然ながら、振り下ろした剣は一撃でエスケープゴートを倒した。

 

「すごい! 一撃で倒した!」

「まあ武器のおかげだな。十匹くらい倒したら、その次はミンも戦ってみるか」

「はい!」

 

1時間半ほどかけて十匹倒し、いよいよミンの番になった。

まずは鉄の剣で戦わせる。

 

「ぐうっ」

 

三度、四度と切りつけるが、その間にミンも体当たりを一発もらってしまった。

手当てのスキルを発動させる。

 

「ありがとうございます!」

 

怯む様子もなくミンがもう一撃加えると、エスケープゴートは逃げ出した。

 

「ファイアーボール」

 

そろそろかと待機していたので、すぐにエスケープゴートは倒れた。

 

「うん、いい感じだ」

「ありがとうございます」

「どうだった? 戦えそうか?」

 

尋ねると、ミンははっきりうなずいた。

 

「はい、カズト様のおかげです。全然辛くなかったです」

「防具と僧侶のスキルのおかげだな。もう一回だけ同じ戦い方をしよう」

 

次も同じ様にミンが一撃もらいながら、だがしっかり仕留める事に成功する。

 

「じゃあ次はデュランダルを使って戦ってみるか」

「良いのですか? 高い武器じゃないんです……?」

「高いな。だが必要な時には使ってもらう。だから今の内に慣れておけ」

「はい。頑張ります」

 

10歳のミンには両手剣のデュランダルは大分大きく見えたが、振るのに問題はない様だ。

デュランダルを持って戦うと、ミンも一撃でエスケープゴートを倒した。

 

……一撃か。

 

首を振って余計な考えを振り払う。

 

「いい感じだな。あと二回くらいデュランダルを使って戦ってくれ」

「はい」

 

本当は俺が倒さないと魔結晶や経験値に無駄が出るが……まあ慣れるまでの数回なら誤差だろ。

 

特に危険もなく二回の戦いは終わった。

 

「次は魔法で敵を倒す練習になる。基本的にはこの戦い方を主体にしていくぞ」

 

デュランダルをしまい、浮いたポイントを経験値取得と結晶化促進、MP回復速度に割り振る。

ミンには鉄の剣を渡し、敵が近づいた時に足止めだけ心がけ、敵の攻撃を防ぐ事だけを考えるようにさせる。

 

「俺にはパーティーメンバーを含め、戦いで早く人を成長をさせる力、魔結晶に多く魔力を貯める力がある。俺が止めをさすのはそのためだ」

「そうなんですか。凄いですカズト様」

 

おお、流石ですご主人様、略してさすごしゅだ。

んん~、これはちょっと気持ちいい。

これからも「凄いですカズト様」を言わせていこう。

 

「内密にな」

 

 

エスケープゴートは魔法三発で倒せた。

そしてそれは、敵が近づく前に倒してしまえるという事で……。

 

「カズト様、私は何をすれば……」

 

ミンがする事がなく、戸惑っていた。

 

まあ一階層だとこうなるか。

 

「あー、そうだな。まあ迷宮の基本はそろそろ押さえたし、次は一階層のボスのパーンと戦うか」

「! はい、わかりました」

 

ボスと聞いて緊張したのだろう。ミンが顔を引き締めた。

 

 

パーンはデュランダルを出して無傷で倒した。

 

 

「……」

 

俺は何とも言えない表情のミンから目を逸らした。

だって……パーンは魔法使うからデュランダルを使わないと……。

 

「二階層に行こう」

「はい」

 

 

「二階層からは敵が二匹出てくる事がある。そして出てくるのは二階層の敵と一階層の敵だ。一階層の敵も、二階層で出る時は相応に強くなっている事に注意しろ。まあデュランダルで一撃、魔法でも三発なのは変わりないと思う」

「わかりました。

二階層の敵は何が出るのですか?」

「俺も今日が初めての二階層で、知らない。ミンは何か知っているか?」

「ごめんなさい。わかりません」

「そうか。とりあえずデュランダルを出して、俺が戦う。二匹いたら一匹は引きつけてくれ」

「はい」

 

二階層の敵は何が出るか。

できればまずは一匹で来てくれると助かるが……。

 

そんな俺の願いを聞いてくれたのか、すぐにエスケープゴートと違う影を一つ見つける事に成功した。

 

鑑定!

 

ニートアント Lv2

 

「アリだーーー!!」

「えっ?!」

 

あまりの驚きに、叫んでしまった。

ミンもびっくりしてる。

 

「うぉぉぉ!」

 

スキルを使われる前にすぐに近づき、デュランダルを振るう。

予想通り一撃だ。良かった。

 

「ミン、撤退する! 1回迷宮の外に出るぞ!!」

「えっ!? わ、わかりました」

 

 

「ニートアントってのは毒を持ってる。攻撃を受けても毒になることがあるし、毒になるスキルを使ってくる事もある。厄介な奴だよ」

「そうだったんですか」

 

一階層がエスケープゴートで二階層がニートアント。

……この迷宮は本当に厄介だな。

いや低階層では毒になる可能性が低いし、ラッキーと言えるのか?

でもたとえ低確率でも、もし毒になったらヤバいわけだし。

 

もし一人で戦っていて毒になったら危なかったかも知れない。

ミンが一緒に迷宮に入ってくれて本当に良かった。

 

「それ以前に毒消し丸を買い忘れたし。失敗だ……」

「どうしましょう……」

 

うーむ。

 

「今日の所は俺一人でパーンを狩り続ける事にする。昼食の後でワープで街に行き、ドロップ品を売って薬を買ってくる。二階層は午後から挑もう」

 

とりあえずこんなところかなあ。

ニートアントは水魔法が弱点だったはずだ。

魔法で二発なら近づいてくる前に倒せるし、スキルを使ってきても二匹同時はありえないだろう。

恐らく毒消し丸の準備も必要ないくらいの戦いになるはず。

後は……万が一モンスターハウスを見つけたら、即座にワープで撤退するか。

 

 

午前中はひたすらにパーンを狩り続けた。

なにせスキルを使ってとはいえたったの二発で倒せる。アイテムボックスのかなりのところまでドロップ品で埋められた。

昼食の後でトレイアの街に行き、ギルドで売ると三千ナール程の金額になった。

 

買う方は毒消し丸を十個、ついでにMPを回復出来る強壮丸を十個購入した。しめて千六百ナール。

今日のところは抗麻痺丸や柔化丸は買わない事にする。

 

これで準備は整った。

昼食の後は二階層でニートアントと対決だ。

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