異世界迷宮の英雄に!   作:チワワ

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21-飯テロは異世界に必要だ

夕飯の準備はみんなで頑張りました。

 

ウサギの肉は柔らかくなるようトントンと叩き、ペッパーと香草をかけてシェーマ焼きに。

もちろん俺のリクエストだ。

誰だって原作と同じご飯とか食べたいよな?

 

干した小魚をゴリゴリとすり潰し、ゆっくり煮込む。

出汁をしっかりとって、その後で野菜と、ツミレになった魚肉を入れて魚介スープの出来上がり。

日本人の俺は出汁の香りでほっとする。

 

小麦粉とニセ小麦粉は半分ずつ混ぜ、水と卵を加えてしっかり練る。

ちょっと黒っぽいが、お好み焼きの生地だ。

ソースはミートソース。ヤギ肉と野菜をミンチにしてミレーナさんに昼から煮込んでもらっていた。

 

ヤギ肉をミンチにすると聞いてミレーナさんがびっくりしていた。

高級肉はステーキにするのが常識、わざわざミンチにするなんて……という気持ちは分かる。日本でもハンバーグよりステーキという意見の方がきっと多いに違いない。

でもソースが無いお好み焼きはちょっとな〜。

なので、今回はミレーナさんにソース作りをお願いした。

グツグツと煮詰まったソースは絶品だ。

 

そしてデザートは異世界転生には必須の、プリンだ。

転生ものの話の読者でプリンを作れないやつはいないだろう。いたらすぐに練習するように。

 

材料は卵と牛乳と砂糖。

卵を何個か適当に割って適当に牛乳を入れて砂糖はちょっと多めに入れて適当に混ぜたら目の粗い布で濾して器に入れる。

日本にいた頃は100均で適当に茶濾しを買って使っていたが、布は流石に初めてだ。

あと器にアルミホイルで蓋をするが、これも布を使った。

そうしたら後は蒸す。蒸し器がなくても鍋に水入れてふたをすれば十分だ。

水が沸騰したら弱火でじっくり温めるといいぞ。すが入らないのと、沸騰で器が倒れるのを防ぐためにね。

 

プリン本体はこれだけだが、プリンと言えば底にある黒い液体。すなわちカラメルが必須だ。

俺はカラメル作りは面倒なのでシロップだの蜂蜜だので誤魔化していたが、異世界ではそうそう手に入らない。

いや砂糖だって普通は手に入らないが、この世界ではコボルトスクロースというドロップ品のおかげで何とかなる。

なので頑張ってカラメルも作った。

まあ作るのは簡単だ。砂糖を熱して色が黒く変わったら水を投入して溶かす。これだけ。

面倒なのは片付けの時だな。カラメルは冷えると鍋にこびりつくので洗うのが大変なんだ。

とりあえず今は考えず、片付けは後で頑張ります……。

 

後は固まったプリンを冷蔵庫で冷やすだけだが、冷蔵庫は無いからな。

今回は最初にプリンを作って、他の料理を作る間に自然に冷えるのを待つだけで食べる事にする。

 

 

以上が今回の祝いのご馳走の全てだ。

作っている最中はミンとリビラがこれは何かとソワソワしっぱなしだったが、秘密の一言で黙らせた。

 

「さて、みんな今日はありがとう。これで祝いの食事が出来上がった」

「祝い?」

「何か祝うことがあったのですか?」

 

何も知らないミンとリビラが疑問の声を上げる。

俺は、内密だが、と前置きをして話し出す。

 

「俺はパーティーメンバーのジョブを変える事が出来る。もちろん無制限とはいかず、ジョブの習得条件を満たしている事が前提だが。

つまりエレーヌの神殿と同じらしいな」

 

ミレーナさんとミンは知っている話だったが、知らないリビラには衝撃だったようだ。

たが本題はこれからなので、そのまま俺は続けた。

 

「竜騎士の習得条件は一対一で魔物と戦い、倒すこと……だよな?」

 

リビラに確認すると、ハッと思い至ったようだ。

俺はもったいつけながら、重々しく聞こえるように言った。

 

「そう……。リビラ、お前は今日から竜騎士になった。おめでとう」

 

リビラは呆然としていたが、三人で拍手すると我に返った。

 

「ほ……本当に、僕が竜騎士に……?」

「ああ。今までの努力が、今日、実を結んだな」

「おめでとうございます」

「おめでとうです」

「あ……ありがとう……ございます……」

 

リビラは未だ衝撃冷めやらぬといった様子だった。

 

「というわけで今日の夕飯は祝いだ。なので主役はリビラなんだが……少し待ってくれ」

 

出来上がった料理をおあずけさせるのは鬼畜の所業だが、俺は部屋に戻った。

荷物を漁り、鏡を取り出す。日本ならそこらの雑貨屋で買えるような、シンプルな卓上用スタンド付きミラーだ。

 

「これはミレーナさんとミン、二人に。好きにしていい。必要なら換金しても構わない」

 

三人の動きが止まり、目線が鏡に集中した。

 

「これは……ペルマスク産の鏡、ですか? 僕も初めて見ました」

「すごい。きれい」

「……よろしいのですか?」

「二人は良くやってくれている。俺からの気持ちだ」

 

流石は女の子と言うべきか。

三人は鏡の角度を変えたりスタンドの具合を確かめたりと、興味津々のようだ。

 

「……僕はペルマスクの鏡は貴族と縁が無いと買えないと聞いたのですが……?」

「カズト様、貴族?」

 

リビラは慎重に、ミンはズバリと聞いてきた。

 

「俺はただの自由民だよ。単に故郷では金を出せば買えたというだけだ」

 

嘘は言ってない。日本では代金を払えば買える。

子供の小遣いでも買える額だがな。

 

「こっちで換金出来るかと思って持ってきたが、売る相手が中々見つかりそうに無いからな。

だったら家で使うほうが有意義だし……まあ受け取ってくれ」

 

だんだん恥ずかしくなって、俺は切り上げた。

ミレーナさんが大事そうに懐に抱きしめているのを見ながら俺は続けた。

 

「さ、食事にしよう。ほれリビラ、お前の竜騎士祝いだぞ」

 

そう言って俺は食べ始める。

 

 

うむ、ミートソースお好み焼きも悪くないな。

もちもち生地も高級小麦粉であるコボルトフラワーのおかげで甘みがあるが、その上に乗ったミートソースのパンチが効いてる。美味い。

日本でこんな食べ方してるやつがいたら三度見されるかもしれんが、中濃だのウスターのソースだのは売ってないし、作るにもどういう材料をどのくらい混ぜればいいかわからん。

 

「美味しい……」

「カズト様、美味しい!」

「こんな豪華な食事を……!」

 

皆にも好評だしな。

一人一枚程度だが、満足しているように見える。

 

ウサギ肉のシェーマ焼きも、ヤギ肉とは違った肉の味がいい。

ヤギ肉にはやはり独特の臭み……いや、ここは野性味のある味と言おうか。そういったものがあったが、ウサギ肉は高級地鶏のようにあっさりしながらも旨味が溢れている。

そしてそのあっさりさはシェーマという辛味のあるハーブと混ざり、最高の味わいだ。

 

「こっちも美味しい……」

「カズト様、これも美味しいよ!」

「奴隷なのにウサギの肉をいただけるなんて……」

 

スープは箸休め。

魚介スープは普段から飲んでいるが、今日は文字通り一味違う。

小魚の出汁が薄く香りを発して上品に感じさせているし、長時間煮込んだ野菜から染み出した味が深みを作り出している。

ミレーナさんが手間をかけてくれたおかげで、会心の出来栄えのスープになった。ありがとう。

 

「なんだかほっとしますね……」

「いつもより美味しい!」

「なんとも言えない良いスープです……」

 

最後はデザートのプリン。

んー……これは普通かな。やはり普通の卵と牛乳だしな。そこまでは美味くないか。ちょっとすが入ってるし、上手く出来たわけでもないなー。俺はプッチンするプリンの方が好きかなー。

 

「カズト様……! これ、凄く美味しいですね……!」

「もうないの、カズト様?! 一個だけ?!」

「滑らかで甘い……! こんな食べ物は見たことも聞いた事も……!!」

 

いや大好評だな?! 一番興奮してないか??

女子は甘い物が好きということか、それともこの世界ではこういったデザートが本当に珍しいということか……。

 

まあ皆が幸せそうならオッケーか。




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ところでライ麦粉がまだ残ってるんだけど楽に消費できるレシピ誰か知らない…?
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