異世界迷宮の英雄に!   作:チワワ

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ふう……


22-二人の夜はうたかたに

皆で宴の片付けをして、寝る支度をする。

ミンはあまりにテンションが上がったせいか、すぐに寝付いたようだ。幼稚園児かな?

とはいえこの後の事を考えれば、ちょうど良かった。

ここからは未成年お断りの時間だ。

 

「じゃあ、別宅に行こうか」

「はい」

「は、はい」

 

緊張するリビラと、俺とミレーナさんの三人でもう一軒の家へ向かう。

……夜伽をさせるために女の子二人を連れて歩くとか。信じられない話だな……。

これからもこの生活を続けるため、頑張らないとな。

 

こちらの家は個室として四部屋あり、それぞれ既に家具を運んでもらっているので、すぐにでもパーティーメンバーを増やせるようになっている。

俺達三人はリビラが使っている部屋に入った。

 

「じゃあ順番に。リビラは見ててくれ」

「は、はい」

 

俺はミレーナさんを相手に、いつものように始める。

 

……んー。

 

「気になる?」

「も、申し訳ありません……」

 

ミレーナさんはチラチラとリビラの方を見て、集中できない様子だった。

 

まあ普通は他人に見られながらする事じゃないからなあ。

……俺は気にならないが。

多分、知らない人間に囲まれてても気にせずできちゃうだろうなあ。

 

「リビラ、なんかこの位の長い布をくれ」

「は、はい。すぐ持ってきます」

「カズト様……?」

「大丈夫、目を閉じて」

 

ミレーナさんが目を閉じ、その上から布で目隠しをした。

 

「大丈夫だから、俺の事だけ意識して。俺の体だけ感じて」

「わ……わかりました」

 

 

少し問題はあったが、無事にミレーナさんの番を終えた。

……いつもより少しミレーナさんの声が大きかった気がする。

 

隣の部屋でミレーナさんを休ませ、緊張しているリビラにそっと触れる。

 

「今日は初めてだから、無理のないように。痛かったら痛いと言って、良かったらいいと言ってくれ」

「わかりました」

 

 

それから三十分の間、「ここが良いです」「これはそんなにです」「これは良いです」「あっ!」「あ、あ、あ」「ごめんなさい、いいですっ!」とリビラは伝えてくれた。

その後、十五分程は「いい」「いい」「主様っ、いいですっ」「いいっ! いいっ!!」と教えてくれた。

十分程「いい……」「痛い……」「いい……」「痛い……」と交互に言ってきたが、五分の間はずっと「いいっ!」「いいっ!!」「イイッッ!!!」と叫び続け、「いいです、あるじさまぁ……」と最後にこぼして、リビラの夜は終わりを告げた。

 

 

ぐったりしているリビラを俺とミレーナさんの二人で拭いてあげ、ベッドに寝かしつけて、俺達は別宅を出た。

既に日は沈み、辺りは暗くなっている。

 

「今日はありがとう」

「いいえ。これも私の務めですから」

 

虫の声や風の音、そして二人の足音が聞こえる。

 

「カズト様。これからは夜伽の差配は私に任せるとおっしゃっていましたよね」

「ああ」

「もし、夜伽は私が全て行います、と言ったらどうなさいますか?」

「え」

 

俺は思わず足を止めたが、ミレーナさんはそのまま歩いていた。

 

「冗談です」

「……」

 

ミレーナさんは俺の二歩前に進んでいた。

……後ろからは、彼女がどんな顔をしているのかはわからない。

再び足音が二人分になった時にミレーナさんは言った。

 

「では、リビラに全てを任せるのは?」

「それは困るな」

 

彼女がなぜ、そんな事を聞くのかは俺にはわからない。

だから、俺は正直に答える事に努めた。

……俺の夜にミレーナさんがいないのは困る。

 

「……そうですか」

「ああ」

「冗談です」

「ああ」

「リビラと交互になるようにしますね」

「そうだな。後はお互いに体調とかに気を配ってほしい。これからパーティーメンバーが増えた時も同様に」

「かしこまりました」

「明日は、リビラは休ませてやってくれ」

「そうですね」

 

本宅が近づいてくる。

 

「カズト様」

 

家の扉の前でミレーナさんが振り返った。

こちらを見つめる瞳は、何か潤んでいるように見えた。

 

「本日はもう、お休みになりますか?」

 

 

俺達は一時間程してから眠った。

 

 

朝になり、いつも通り部屋のベッドの上で一人で目覚めた。

ジョブの確認を行い、ちゃんと色魔を得ている事を確認する。

まあしばらくは色魔のお世話になる事はないだろうが、あるに越したことはない。

 

「おはよう」

 

朝の挨拶を三人と交わし、魔法で水の補充をする。

これからは別宅の方も毎日水を入れ替えないと。

ワープを使ってさっさと補充を終える。

 

既に三人共に起きていたので、俺はリビラに問いかけた。

 

「リビラ、体の調子はどうだ?」

「あ、ええと……」

 

恥ずかしそうにリビラは上目遣いで見てきた。

 

「少し、歩き辛いです……」

「……そうか。迷宮は昼食後から入る。ミレーナさん、午前中は無理させない程度に頼む」

「かしこまりました」

 

 

そんな会話を交わしながら朝食の用意をしていると、扉をノックする音が聞こえた。

 

「おはようございます、カズト様。ダーリョです」

 

村長の声だ。

ミンが扉を開ける。

 

「✕✕✕✕✕✕」

「✕✕✕✕✕✕」

 

二人はこのあたりの言葉で喋っている。

俺もこの辺の言葉を学んでおかないとな。どこかで学習の時間を決めるか……。

そんな事を考えていたら、玄関まで呼ばれた。

 

「カズト様。お待たせしていました風呂場が出来ました」

「お、そうなのか」

 

確か、頼んだ時は十日かかるといった話だったように思う。もう十日も経ったのか。

 

「もう使えるようにはしてありますが、せっかくですので、明日は祝いの席を設けたいと思います。いかがでしょうか?」

 

上棟式とか竣工式とか、そういうのだろうか?

家を新築したわけでもないが、そういう事なら受けさせてもらうか。

 

「わかった。それはいつ頃やるんだ?」

「昼食時に執り行いたいと思います」

「昼食時ということは、食事もつくのか? ありがたいが、大丈夫か?」

「はい。カズト様のおかげで余裕が出来ました。気にせずお越しいただければ幸いです」

「わかった。楽しみにしている」

 

出席を確認すると、村長は満足そうに帰っていった。

しかし、風呂か……。ふむ。

 

「……風呂場とは?」

「カズト様が、魔法でお湯を出すので風呂場を作ってほしいとおっしゃって。村の皆で空き家を改築したのです」

「そ、そうなのですか……」

 

後ろでリビラとミレーナさんがコソコソと話して、リビラが引いていた。貴族しか入れないという風呂を作らせたと聞けば、そりゃ引くわな……。

違うんだよ。日本人は風呂が好きなんだ。別に貴族ぶってるとかそういうつもりじゃないんだよ……。

 

「ミン、リビラ。今日は予定を変更して、昼食の後は迷宮行きは止める」

「そうなんですか?」

「僕は構いませんが、どうなさるのですか?」

「なあに。皆でちょっとした理科の実験だ」

 

 

いつものヤギ狩りを終える。

今日は一人だったのでちょっと寂しさを感じてしまったが、いつもと移動を変えてみたので少し気分は晴れた。

 

軽くだが、小走りで移動したのだ。

 

不意打ちを受けたところで一階層の魔物に負けることはないので、移動時間を縮めることで戦闘回数を増やそうと思ったのだ。

平均して1回の戦闘までに一分程度しか縮まっていないだろうが、チリも積もれば山となる。

普段より多く狩ることに成功した。

体が慣れてきたら、もっと速く移動して、もっと数を稼げるだろう。

 

……早く力をつけて、そして早く稼いで、もっともっと深く迷宮に潜るんだ。

 

 

昼食を終えて、皆を集めたところで俺は宣言した。

 

「今日は石鹸作りに挑戦したいと思う」

 

今まで時間を取らずに来てしまったが、錬金術師のジョブにもなる。

風呂が出来たというなら、いいきっかけだ。

 

「石鹸……ですか?」

「石鹸てなに?」

「主様は作れるのですか?」

「正直、俺は作った事がない。が、作り方だけは何となく知っている。なので皆で試しながら作れば誰かは上手く作れると思ってな」

 

ミチオ君のおかげで材料は判明している。

重曹であるシェルパウダーを煮込んで溶かし、コイチの実のふすまを入れるのだ。

ふすまって何だろう? と原作を読んだ時は思ったが、つまり実の皮の部分だな。

ミチオ君は米ぬかで作った経験があるとあったし、近い部分を使ったのだろう。

 

こういう理科の実験って、なんか楽しいよな。

皆でわいのわいのと言いながら作った。

 

明日までには固まらないだろうが、入浴の時には液体石鹸として使ってみようと思う。




今更なんですが、カラメルソースってカラメル化反応の産物でそれって化学反応……。
プリンは錬金術の成果……?

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モチベーション低下した時のカンフル剤です。
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