もしもモモンガ様が人間だったら 作:15巻まだ?٩(๑•ㅂ•)۶
「ふざけるなっ!」
ナザリック地下大墳墓の第9階層。円卓の間にその声は悲しく響いた。DMMO-RPG、ユグドラシル。栄光を極めたそれはもはや、過去の産物。それは今日終わりを迎えるのだ。
そして、それはギルド、アインズ・ウール・ゴウンも同様。モモンガを除き、全てのメンバーに捨てられた。
「ここはみんなで作りあげたナザリック地下大墳墓だろ、なんでそんな簡単に捨てることが出来る……」
胸の内を吐き出すが、答えは分かっている。ギルド武器スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン。これを作るためにメンバーはかなり無茶をした。みんなリアルがあるのにそれを犠牲にしてくれていたのだ。しかし、そんなこといつまでもできる訳では無い。
そう、みんなリアルがあるのだ。
「そんなに時間をかけたものも、消え去る。みんなが正しいんだ」
そう誰も裏切ってなどいないのだ。
「それは俺にも分かってる」
どれほど情熱を注ごうが、どれほど時間をかけようが、どれほど偉業を成そうがそれは所詮ゲームの中のこと。
このゲームの最上位アイテムのワールドアイテム。その更に上を行く20個のアイテム。20でさえ、今ではマーケットで投げ売りされている。
「ははっ……笑っちゃうよな。あの20でさえ。金貨100枚」
モモンガは先日マーケットで投げ売りされていた、ワールドアイテムの1つ『強欲の種子』を円卓に起き、苦笑する。
「最後にこれでも使って終わりを迎えるとしよう」
墳墓の支配者はひとり宝物殿に転移するのであった。
――――――――――
ナザリック地下大墳墓の最奥。ギルド、アインズ・ウール・ゴウンの秘宝の全てが集まる宝物殿には様々なワールドアイテムや引退したメンバーの装備が飾られている。
「死獣天朱雀、餡ころもっちもち、ぶくぶく茶釜、ペロロンチーノ、弐式炎雷……」
その装備を眺めながら一人一人の名前を呟く。
「……たっち・みー」
最後にこのギルド最強にして、モモンガがアインズ・ウール・ゴウンに入るきっかけになった。男、憧れの男の名前を呟き、その装備を取りだした。
「どうせなら最後にこの装備を使えるビルドを作りたいな」
モモンガは『強欲の種子』を使用し、アバター制作にかかる。
『強欲の種子』の効果は簡単に言うと2つ目のキャラを作ることだ。ユグドラシルではサブキャラを作ることはもちろん可能だが、それは完全な独立したキャラクターになる。つまり、魔法職で始めたプレイヤーが戦士職に転職を考えた場合、全く新しいキャラを育成しなければならない。
しかし、この『強欲の種子』は経験値を引き継ぎ、新たなキャラを作ることが出来る。つまり、新しいキャラを100レベルの状態からスタート出来るのだ。
しかも、クラスの達成条件などは1部ワールドチャンピオンなどを除き、達成せずにクラスにつく事が出来る。
流石はワールドアイテムの中でも破格の性能を誇る20に入るだけあって、その性能はとてつもないものだ。
「つまりオーバーロードと戦士職の切り替えが出来るようになるってことか、強すぎないか?」
つまりモモンガのような魔法職の者が新たに戦士職のキャラを作成した場合、MPが切れるまで魔法職として戦い、MP切れを起こしたら、戦士職として戦うことが出来るのだ。
「しかも種族まで変更できるのか、とはいえ選んでる時間は無いから適当に人間にして」
モモンガはたっち・みーのビルドを思い出しながらクラスを取得する。無論ワールドチャンピオンのクラスを取得することは出来ないため、類似するクラスを取得する。
「流石にワールドチャンピオンは無理だよな、とはいえクラスのペナルティーを取っ払ってくれるのはありがたい」
たっち・みーの鎧はワールドチャンピオンのみしか装備が不可能だが、「完璧なる戦士《パーフェクト・ウォリアー》」のようにクラスのペナルティーを取り払う性質上、装備することが可能になるようだ。
「えーっと、アバターの見た目は時間もないし、自動作成で……うわぁ、なにこれ……」
アバターは鈴木悟という人間を極限まで美化したような見た目で羞恥心に襲われる。
「でも、やっぱりたっちさんの装備はかっこいいな。こうかな?」
「「ワールドブレイク《次元断切》」」
モモンガはたっち・みーのように剣を振るが、当然技は出ない。
「ははっ……まあ最後に楽しかったし……良しとするか」
力なく笑ったモモンガは目を閉じ、サービスの終わりを迎えるべく、椅子に座り込んだ。
「本当に楽しかったんだ……」
お読み頂きありがとうございました。
というわけでぶっ壊れアイテムにより、人間とオーバーロード。2つの形態を手に入れたモモンガ様のお話です。オーバーロードの二次創作は書いていて楽しいですね。
誤字等あるかもです。