もしもモモンガ様が人間だったら   作:15巻まだ?٩(๑•ㅂ•)۶

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今回はゆったりと宿屋で休息を取る回と某国が動き始める回です。
それではお楽しみください。


第13話:宿屋と会議室

 

この世界に転移してからずっと働き詰めでいたが、モモンガは全く疲労することも睡眠を取ることもない。

 

 それも全てこの「維持する指輪《リング・オブ・サステナンス》」によるものだ。この指輪は食事・睡眠が不要になるが、元々人間のモモンガとしては流石にそろそろ休みたい頃合いだ。

 

 ガゼフからのお礼として、そして冒険者組合長の厚意でこの都市では2番目に豪華な宿に身を置いている。2番目なのは宿代を聞いたモモンガが流石に遠慮した為である。

 

「さてと、ナーベよ。私は食事を頼むこととするが、お前はどうする?」

 

 配下のナーベも当然、「維持する指輪《リング・オブ・サステナンス》」を装備させているが流石にご飯も食わせないようでは社畜のヘロヘロさんに申し訳が立たない。

 

 (みんなに誇れるようないい会社、いや組織にしないとな)

 

「私はこの指輪がありますから不要です」

 

 ナーベから帰ってきた返答は想定通りのものだった。

 

 (まあ誰も社長と一緒に食事なんてしたくないよなぁ)

 

「それよりもお食事をなさるのならばナザリックに帰還してはいかがでしょう、料理長もモモンガ様に食事を提供する機会を心待ちにしております」

 

 確かにナザリックの食事にも興味はあるが、食事に行けば守護者やメイドを初めとしたもの達が大集合してしまうことは容易に想像できた。

 

 (それじゃあ、休まらないんだよなぁ)

 

「いや、それはまたの機会にしよう」

 

「はっ、差し出がましいことを申し出ました、お許しを」

 

 ナーベはモモンガに謝罪するが、大したことでは無いとモモンガは返答する。

 

 

 ――――――――――――――

 

 

(うぉぉぉ!!!美味そぉぉぉぉ!!)

 

 モモンガは、いや、鈴木悟はこの世界に来て最も興奮していた。それは並べられた料理を眺めての事だ。

 

 (ハーブ香る鶏のローストに根菜のグリル添え。それに黒パンと熟成チーズの盛り合わせ。あとは……)

 

 とてもリアルでは味わったこともないような料理の数々に思わず涎が垂れそうになるが、流石にナーベの手前そうはいかない。

 

 (てか食事のマナー的なこと全く分からないんだが……)

 

「ナーベよ、私はこれより食事と睡眠を取る。お前も自由に休息を取れ」

 

 休息を取らせ、何とか1人での食事を楽しもうとするが、そうはいかない。

 

「感謝致します、モモンガ様。ですが、御身にお仕えし、尽くすことこそ、無情の喜び。我々には休息は不要です」

 

 ナーベは食事に続けて、休息も不要と述べる。

 

 (ですよねぇぇ……)

 

 もはや仕方がないとモモンガは自身の信じる最大限のマナーについての知識を思い出しながら、食事を始める。

 

「……うめぇぇぇ…………」

 

 匂いの時点で想像がついていたが、口に含むと昔食べていた栄養を摂るだけのための加工品やサプリメントとは異なり、本物の食事に思わず、声が漏れる。

 

 幸い極めて声量を抑えられたそれは、ナーベの耳に入ることは無い。しかし、それを見たナーベは気に入らなかったと感じたのか口を開く。

 

「やはり、このような下賎な物は御身には恐れ多いです。ナザリックから食事を持ってこさせましょう」

 

「必要ない、思ったより美味いと感じていただけだ。そう、非常に……非常に…良い食事だ」

 

「はっ、それが御身のご希望ならば」

 

 モモンガはそこからまるで誰かに取られないために食事を急いで口に運んだ。

 

 

 ――――――――

 

 ここはスレイン法国、神聖国首都。

その中心にそびえる大聖堂の奥、選ばれし者しか入れぬ秘匿の会議室。

そこにはこの国を纏め、導く、神官長たちが静かに座していた。

 

重厚な扉が閉じられたその空間は、沈黙に満ちていた。

いや、沈黙ではない。緊張だった。

 

「……では、改めて確認しよう。陽光聖典隊長、ニグン・グリッド・ルーイン、彼が語った“神”の存在についてだ」

 

神官長の一人がそう口火を切ると、周囲の者たちが僅かに身を乗り出す。

 

「白銀の騎士……モモンと名乗った男が、我らが召喚した最高位天使を、一撃で、屠ったと?」

 

「その通り。さらに、神官隊が召喚したすべての天使――第二位階から第四位階までを含めた全てを、彼の者は物理攻撃で撃破した」

 

「魔法ではないのか?」

 

「いや。魔法ではない。斬撃だ。しかも、報告によれば対天使特化や属性反転などのスキル行使もなし。ただの、斬撃である」

 

「あり得ん……それは六大神の御力に等しい」

 

「……いや、否。それ以上の可能性すらある」

 

低く、年老いた声が響いた。

 

「ニグンの報告では、あのモモンなる存在は自らを神とは称さなかった。だが、ニグンが貴方こそ我らの神ではないかと問うた時、明確に否定もしなかった……」

 

「黙認した、ということですか」

 

「むしろ……その問いに興味を示したのだ」

 

静かな空気が凍る。

 

「彼は我々の神の名を問うた。そして六大神とやらに伝えよ。もしこの村を再び襲えば、このモモンが相手になるとなと告げた」

 

「まるで……」

 

「まるで、同じ位階の存在”に対する警告だ」

 

どこからか喉を鳴らす音が響いた。乾いた唾を飲み込む音。

 

「それがもし、事実だとすれば……?」

 

「ならば……我らは、第七の神を見たのかもしれぬな」

 

誰かの呟きが、会議の中心に落ちた。

 

長い沈黙の後、主神官長は一言、短く結論を下す。

 

「――調査を続行せよ。神を名乗る者の真意と、力の源泉を暴け。だが、決して直接接触するな。第二次接触の権限は六色のみにある。よいな?」

 

「「「はっ」」」

 

会議室の空気が再び張り詰める。

 

第七の神

その言葉が、重く彼らの胸に落ちた。

 

そして――スレイン法国の深淵が、静かに動き始めていた。

 




日頃から加工品やサプリメントしか食べたことの無いモモンガからすれば宿屋での食事はとてつもない感動だと思いますね。

そして某国はモモンガ様を勝手に神として動き始めて居ます笑

お読み頂きありがとうございました!
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