もしもモモンガ様が人間だったら   作:15巻まだ?٩(๑•ㅂ•)۶

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今回はあの方の登場回です。
是非お楽しみください!


第16話:王女の見た世界

 

くだらない。どいつもこいつも。どうしてこの世界にはこんなにもバカしか居ないのだろうか。

 

 幼い頃からラナーはそう感じてきた。リ・エスティーゼ王国に第3王女として生まれ、今まで生きてきたが"人間"には一度も出会ったことがない。知性のない猿ばかりだ。だが、猿どもは数だけは多く、一丁前にラナーの人生を蝕んだ。

 

 誰にも受け入れられない、自身よりも遥かに劣るものに気味悪がられる、このことはラナーの精神を蝕み、彼女を苦しめた。

 

 そして彼女次第に食べること、生きることを拒むようになった。

 

 そんな彼女を変えたのはある昔話だった。そこで語られるのはありふれた英雄譚。しかし、ある話がラナーの心を引き付けた。

 六大神、八欲王、そして十三英雄。神や英雄として語られる彼らの話を聞き、ラナーは気付いた。彼らは明らかにこの世界の人間では無い。自身と同じこの世界の異物なのだと。ラナーはそこに自身と同じ人間を見出した。

 

 彼らに出会うことそれがラナーを生かしたのだ。

 

しかし、そんな彼らは既に息絶えた存在、もはやラナーの望みは叶うべくもない。そう思っていた。

 

 だが、先日のガゼフの一件が全てを変えた。

 

(騎士モモン。彼は明らかにこっち側の人間。すぐにでも会って話しがしたいわ)

 

 だが、残念かな。今のラナーに彼と会うのは難しい。というのも彼が王都に来たのはつい先週のことで未だ国王たるランポッサさえもガゼフの礼の挨拶がまだなのだ。

 

 国王を差し置き、先に会うことなど許されない。

 

 そこでラナーは蒼の薔薇を使った。自身を心配して来るラキュースを唆し、冒険者としての試験を彼女に担当させるように仕向けたのだ。

 

 そしてラキュースというパイプを通し、モモンと接触する。それがラナーの狙いだった。

 

「ああ……モモン様……貴方に会える日を私は心待ちにしております……」

 

 月夜に照らされながら、ラナーは悦に浸るのだった。

 

 

 ――――――――――――――――

 

 

「さてデミウルゴスそろそろ皆を集めた理由を教えてくれないかしら」

 

ナザリック第9階層の会議室にて守護者たちは一同に会していた。今回の招集はデミウルゴスからのもので、アルベドをはじめてとする全メンバーには要件は話されていなかった。

 

「ああ、そうだね、私も色々な準備で多忙な身。手早く済ませるとしよう」

 

 デミウルゴスには何か企みがあるのか。それとも元からか彼の様子は怪しげだ。

 

「この世界に転移した初日のことだ……」

 

 デミウルゴスは転移した初日に夜空をモモンガと眺めたことを話し始める。

 星空デートとも思える内容に嫉妬の声が出るが、デミウルゴスが男なのが幸いし、大事には至らない。

 

「そこでモモンガ様は仰られたのだよ。"私がここに来たのはまだ誰も手にしていない宝石箱を手にするためだと"、そしてこうも仰られた」

 

 デミウルゴスは少し溜め、モモンガの言葉を皆に共有する。

 

「"世界征服なんて面白いかもしれないな"と」

 

 守護者たちにざわめきが走る。そして、アルベドはその話を聞き、何か話が繋がったようだ。

 

「なるほどね……つまり……そういうことね」

 

「ああ……そうだとも……アルベド」

 

 アルベドの気付きにデミウルゴスもピンと来るものがあるようで、2人は意味不明の会話を繰り広げる。

 

「だからモモンガ様はモモンとして活動されているのね」

 

「その通りだとも、全く恐ろしい御方だよ。かの方の叡智には私たちでは遠く及ばないね」

 

 デミウルゴスは主を思い出し、感動に打ち震える。一方他の守護者たちはここまでの会話を全く理解できないでいた。

 

「アルベド、デミウルゴス。どういうことでありんすか?」

 

「そうだよ、2人だけで進めないでよ」

 

 シャルティアに続き、アウラも2人に苦言を呈する。するとデミウルゴスは守護者たちに向き直り、モモンガの計画を話し始めた。

 

「シャルティア、モモンガ様のこの世界での一連の行動を覚えているかね?」

 

「え、ええ。まずは村でナントカ法国のナントカ聖典を倒しんした」

 

「スレイン法国の陽光聖典だね」

 

 シャルティアの曖昧な振り返りをデミウルゴスが補足する。

 

「それから戦士の男、ガゼフ・ストロノーフについて行き、王都へ潜入。今はナーベラルと冒険者として活動されていんす」

 

「そうだね、大まかには」

 

 シャルティアの振り返りに満足したのか、デミウルゴスは再び説明を始める。

 

「そして現在冒険として活動され、即座に最高位まで上り詰めた」

 

「流石はモモンガ様でありんす」

 

「で、でも……人間の尺度でモモンガ様のお力を測るなんて不敬です……」

 

 確かにと守護者たちは思った。しかし現在のモモンガは人の身、自分たちとは人間についての感じ方が違うかもしれないため、どうすべきかは分からない。

 

「まあそれは今回は置いておくとして、ここからが本題なのだがね」

 

 デミウルゴスは逸れた話を軌道修正し、本題へと入る。

 

「恐らくだが、モモンガ様はモモンとして正義をもって人々を支配しようとされていると思うのだよ」

 

「正義で人々を支配?」

 

 デミウルゴスの言っていることが理解出来ず、アウラは首を傾げた。アルベド以外は皆同様だ。

 

「カルネ村がその最初の例ね。」

 

 しかしアルベドは異なりデミウルゴスの話を理解出来るようだ。

 

「そうだね、アルベド」

 

 デミウルゴスはアルベドに同意し、解説を始める。デミウルゴスが考えるモモンガの筋書きはこうだ。

 まずは英雄モモンとして各地を救い、崇拝者を増やす。カルネ村はその最初の実験段階の村で、何故カルネ村を選んだかの理由はガゼフ・ストロノーフだという。

 

「王国戦士長とのコネクションは王家に接触するのに1番手っ取り早い。いやはやカルネ村の救出にそのような意味があったとは流石はモモンガ様。至高の41人の纏め役。」

 

 そして、そこから王族へと接触し、からなず領主になるはずだとデミウルゴスは語る。

 

「未だ具体的な手法までは分かりかねますが、近々我々に命令が下される日が来るでしょう、冒険者モモンの英雄譚の一部とするために悪役を演ぜよと」

 

 そのためにモモンガは配下のものを使い、都市を危機に陥れるだろう。そしてそれを助けて市民の信頼を得る。そうやってやっていくうちに住民がモモンガが支配者となることを望むだろう。都市が独立するか、王が領地を授けるかのどちらかになるだろうと。

 

「加えて、先日モモンガ様が敢えて見逃された男。ニグンとやらが本国に通達した結果、スレイン法国内でモモンガ様を崇める声が上がっている」

 

「つまりモモンガ様はカルネ村を助けるのが目的ではなく、王国と法国その2つとの接触が目的だったってこと?」

 

 結果だけ見ればそういうことである。モモンガがカルネ村を助けたことにより、モモンガは王国では王族との繋がりを持ち始め、法国では新たな神との疑惑が出始めている。このまま行けばいずれ両国ともモモンガの元にひれ伏すだろう。

 

「流石はモモンガ様。ここまでお考えだったとは」

 

 デミウルゴスは再び感動に打ち震える。

 

「つまり、モモンガ様は正義によって、世界を征服しようとしているのだよ」

 

 会議室に歓声が響き渡り、デミウルゴスは話を続けた。

 

「単なる侵略で世界を手にすることは簡単です。しかし、モモンガ様は敢えて困難な方を選ばれた、」

 

 デミウルゴスはために溜め、最後の一言を言い放った。

 

「つまりこの世界の住民全てをモモンガ様の信者にしようとお考えなのだよ」

 

 

なんともまあ偶然とは恐ろしいものである。




悲しきかなラナーに好意を持たれて困るモモンガ様が見たくてクライム君には消えてもらいました。
クライムファンの方申し訳ない!

そしてようやく守護者たちのお家芸の深読みが始まりました。

お読み頂きありがとうございました!
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