もしもモモンガ様が人間だったら   作:15巻まだ?٩(๑•ㅂ•)۶

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今回はイビルアイが出てくる回です。試しにモモンガ様の心境を多めに入れて書いてみました!是非お楽しみください。




第18話:仮面と騎士

 

モモンガはエ・ランテルへ向かう準備のために御者を雇い、ガゼフに挨拶を行っていた。

 

「エ・ランテルへ?」

 

「ええ……まあ……」

 

 王都に来てまだまだ日が浅いうちに謎のエ・ランテルへの向かうというのはガゼフからしたら疑問に満ちた行動だった。

 

「何かあったか……モモン殿」

 

 ガゼフは真っ直ぐ目を見つめて問いかける。きっと彼に話せば全力で力になってくれるのだろう。しかし、モモンガとしてはこれ以上ガゼフにお世話になる訳には行かない。

 

「いえ……ただエ・ランテルも見てみたいと思っただけですよ」

 

「……そうか……まあモモン殿が決められたのならば異論は無い。どのくらいで帰ってこられるのだ?陛下もそろそろモモン殿に直接感謝を述べたいと仰られていたぞ」

 

 国王直々の感謝など宮廷でのマナーを知らないモモンガからしたら最も避けたい話だ。

 しかし、ここで断っては下手すると不敬罪で逮捕されてしまうかもしれない。

 

「転移のアイテムがありますから、それはいつでも構いません」

 

「そんなアイテムまで持っているとはさすがだなモモン殿」

 

 仕方がないが国王からの謝礼は受けるしかない。

 

 (ナザリックにそういうマナーに詳しいやつっていたかなぁ……アルベドは……まあ無難に知ってそうだし……シャルティアは……ああっ!だめだめ……デミウルゴスは……まあ知ってるだろう)

 

「では、ガゼフ殿またの機会に」

 

「ああ」

 

 何とかガゼフとの挨拶を済ませ、モモンガは王国を離れる準備を完了させた。そして、関所へと向かい、通ろうとすると検問にかけられる。

 

「何かあったのか?」

 

 きっと何か不審な点でも見つけたのだろう。しかし、モモンガ達からは何も見えない。渋滞は現実でもよくあったことだとモモンガは気長に待つことにした。

 

「ガガンボの分際でモモンさ〜んをお待たせするとはすぐに動かさせて来ます」

 

 しかし、ナーベは強行突破を試みる。流石にそれは許されることでは無い。

 

「待て待て、ナーベ。きっと何か事情があっての事だ」

 

 (そんなことをしたら捕まってしまいますよ、ナーベさん。本当にしっかりしてくれよぉ)

 

「はっ、仰せのままに」

 

 聞き分けがいいのは嬉しいがならば初めから考えて欲しいものだ。とはいえ暫く待っても動かない馬車に乗っていると流石に原因が気になってくる。

 

 するとタイミング良く御者の男がモモンガ達の席へと歩いてくるのが見えた。

 何かあったのか、男から聞こえてきたのは衝撃の名前だった。

 

「モモンさん、蒼の薔薇の方がお話があるそうです」

 

「はっ…………?」

 

 またか、モモンガはそう思った。

 

 あの試験以来、蒼の薔薇の2人には会ってはないが、冒険者組合へ行くたびに蒼の薔薇とはそういう関係だとかヒソヒソと噂をされていたため、もはやその名前にはうんざりである。

 

 (誰がガガーランに喰われただっ!せめてラキュースさんにしてくれよ……!こちとら童貞なんだぞ……!)

 

 モモンガの心の中にはナザリック地下大墳墓の支配者にはあまりにも相応しくない考えが浮かんでいた。

 

「蒼の薔薇の……?どなたですか?」

 

「あれは……確か……そうそう!イビルアイさんですよ!ほら仮面の……」

 

「仮面……?」

 

 以前の2人ならばまだこの場で偶々あって声をかけたということで分からなくもないが、イビルアイという人物とは聞いたことがない。

 

「何用だ?」

 

「危険ですね、殺しますか?」

 

 危険なのは確かだが、最高位冒険者を殺したらどうなるのか本当にこの娘は分かっているのか。

 

「ナーベ、だから直ぐに殺すと短絡的な方法をとるのはよせ」

 

「も……申し訳ありません」

 

 とはいえ、困ったものだ。冒険者組合で仕事が全く取れない件もしかり、名指しの依頼もなかったことも然り、これは本当に蒼の薔薇に目をつけられた可能性が出てきた。

 

「それで蒼の薔薇の方は今どちらに?」

 

「関所の取り調べ室です、良ければ案内しますよ」

 

 御者の男に従い、モモンはナーベを残し、取り調べ室へと向かう。

 

 

 

 ――――――――――

 

 

 モモンガは御者の男に案内された部屋に到着するとノックをし、部屋の中へと足を踏み入れようとした。

 

「しつれいしま……あっ……すみません……入る部屋間違えました……」

 

 モモンガは扉をそっと閉じる。うん。きっと部屋を間違えたのだ。流石に最高位冒険者があんなちびっ子なはずはない。

 

 (え……でも、仮面の女って御者の人言ってたよな??)

 

 ならば正しいのか。モモンガの中で疑問が浮かび上がる。勢いで閉めてしまったが、もしかしたら背が小さいだけで、普通に大人の女性かもしれない。

 

 モモンガはそう考え、再び扉を開ける。

 

「失礼します……」

 

 やはり中には仮面を付けた少女と思われる人が取り調べの椅子に座っている。

 

「あ……すみません……やっぱり……部屋を……」

 

「合っているぞ」

 

 合っているらしい。彼女が蒼の薔薇のイビルアイとでも言うのだろうか。あまりにも幼すぎる。

 

「ええっと……イビルアイ……さんであってますか?」

 

 一応社会人として人違いなど失礼なことは出来ないとモモンガは確認を取る。どうやら合っていたようでイビルアイからは肯定の返答が帰る。

 

「それで……えっと……」

 

「確かに鎧は一級品……いや、私でも見たことがないほどだな」

 

 仲間の鎧を褒められ、モモンガの中で少しこの少女の好感度が上昇する。

 

「ええ……まあこれは本当に……ほんとうにレアな鎧ですから」

 

 本当に、ほんとにレアな鎧だ。ユグドラシルでも所有者はほとんど居ないほどに。

 

「まあそれはよい。私がここに来たのはモモンお前に聞きたいことがあったからだ」

 

「聞きたいことですか?」

 

 モモンガは首を傾げる。確かに先輩の顔を立てなかったのは悪かったとは思うが、態々文句を付けに来るほどか。

 

 それともやはり蒼の薔薇に実力を認めてもらうためとはいえ、ギガントバジリスクを一撃とはやりすぎだったのか。

 

「仲間がお前がギガントバジリスクを一撃で葬ったと聞いた、本当のことか?」

 

 イビルアイの口から吐き出された疑問はモモンガの想定通りのものだった。

 

 (やっぱりかぁぁ、戦士長のガゼフであの強さだものな……やりすぎた……)

 

 先輩たる蒼の薔薇の手前、そして尊敬するべきたっち・みーの鎧を来ている手前、張り切りすぎてしまったのだ。

 

「ええ、本当ですよ。とは言ってもあれは様々なマジックアイテムを使ってのことですが」

 

 モモンガは伝家の宝刀を抜くことにした。その名もマジックアイテムだから!俺はそんなにすごくないから!作戦である。実際にラキュースさんたちもこれで大抵の事は納得してくれていた。

 

「ほぉ……マジックアイテムか……どんなのだ?」

 

「ええっと……」

 

 イビルアイは前のめりにその詳細を聞くがモモンガはそんなアイテム持っているはずもない。とりあえず適当にはぐらかす以外に方法は無い。

 

「使い切りのアイテムで……一撃だけ威力をものすごく上げてくれるアイテム……です……」

 

 何ともまあご都合主義のとんでもアイテムだ。これは流石に怪しまれたかと思ったが、以外にもイビルアイは納得したようだった。

 

 (あぶねぇぇ……流石は伝家の宝刀……困った時のマジックアイテムだな……)

 

「まあその件に関しては納得した。それでモモン、お前はこれからどこへ向かうつもりなのだ?」

 

 しかし尚もイビルアイの質問は続く。

 

「エ・ランテルに……」

 

「エ・ランテルに?何をしに行くのだ?」

 

 流石に貴方のパーティーに圧をかけられて仕事が出来ないさそうなので拠点を移します。なんて言えるはずもなく、モモンガは口篭る。

 

「か……観光に……」

 

「観光?」

 

 流石にこれはイビルアイにとっても不審だったようで警戒が強まる。

 

「嘘をつけ、他になにかやることがあるのだろう?」

 

「あはは、バレてしまいましたか……」

 

 もはや絶体絶命だ。このままでは怪しさフルMAXだ。王国戦士長の危機に突如現れた謎の剣士。その時点で胡散臭さMAXなのに、更に意味もなく交易都市エ・ランテルへと赴こうとしているのだ。明らかになにか企んでいる人の動きだ。モモンガは頭をフル回転して言い訳を考える。

 

「ええ……その知り合いがあちらにいるので……」

 

「知り合い?なんて名だ?」

 

 フル回転させた割にはあまりにもお粗末な回答にモモンガは死を覚悟する。まあもうアンデットなので死んでいるが。

 

 (誰か、エ・ランテルに知り合い居なかったか……いるわけないよなぁ一回も行ったことないんだし……はっ!そうだ!)

 

「ンフィーレア・バレアレという方です。ご存知ありませんか?」

 

「ンフィーレア……どこかで聞いた名だな」

 

 奇跡的にエンリ・エモットから聞いていた話を思い出し何とか話を繋げることに成功したモモンガは内心ガッツポーズを取る。

 

「薬師をしている少年なのですが、1度挨拶に伺おうと思っていたのです」

 

「そうか」

 

 これで何とか友人に会いに行くだけという最低限の言い訳はついただろう。証拠にイビルアイも納得した様子である。

 

「ええ……ですから私はこれで失礼します」

 

 モモンガはこの期を逃さず、即座に撤退を選択する。

 

 しかし

 

「それ、私も着いて行かせて貰おう」

 

 モモンガの蒼の薔薇からの逃亡作戦は失敗に終わるのだった。

 

 




イビルアイはプレイヤーについてどの程度まで知っているのでしょうか。

デミウルゴスを見た時に化け物って一瞬で見抜いていたので、今回のモモンガを見た時にそうなってもおかしくないかなって思ったんですけど、それだと進行に支障が出るのとモモンガさんの性格ならば力を隠すアイテムをつけてるかなって感じなのでこうしました。


お読み頂きありがとうございました!
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