もしもモモンガ様が人間だったら 作:15巻まだ?٩(๑•ㅂ•)۶
是非お楽しみください!
都市内には多数の悪魔が次々と人間を襲い、あらゆるものを奪っていた。住処は荒らされ、家族を守った父は悪魔にあっさりと殺された。
立ち向かった衛兵や冒険者はその数に圧倒され、徐々に死体の山を築いていった。
(ガガンボがいくら死んでも興味は無いけど……)
ナーベ、いやナーベラル・ガンマにとって人間がいくら死んでも興味はなかった。人間としてモモンガ様と共に冒険者として活動しているとはいえ、本音を言えば人助けなどには興味は無い。
(でも、モモンガ様はいつも誰かが困っていたら助けるのは当たり前と仰られている)
しかし、彼女は至高の41人に尽くすために存在している。そして最後に残られたその一人が人を助けることを望むのならばナーベラルにとってはそれがすべきことだ。
「「雷撃《ライトニング》」」
悪魔を次々と魔法で葬る。何体も何体も。正確には彼らは同胞な訳だが、これもナザリックのためだ。
「これでこの辺りは掃討であるな」
「ナーベちゃん!俺と一緒にいたいのは分かるけどそろそろモモンさんの所へ行っても大丈夫だぜ」
人間の男が愚かにもナーベに意見を述べた。確かにナーベとしてもモモンガ様の傍を一時も離れたくない。しかし、今回は別だ。
「いいえ、モモンさ〜ん、は貴方達と共に都市の悪魔を掃討せよと仰られました。ならばそれに従うまでです」
「しかし!あの隕石や地鳴りを見たでしょ!」
ペテルはナーベに尚も行くべきだと伝える。しかし、あれらは全てデミウルゴスの仕業だろうと推測しているナーベにとってはあの二人の戦闘では自分はただの足でまといであることを理解している。
「必要ありません。モモン様の命令に従うまでです」
「ダメですよっ!ナーベさん。今行かないとモモンさんが死んでしまいます!」
繰り返しナーベはそれを否定するが、マジックキャスターの少年、いや少女のニニャもナーベにモモンガの加勢を勧める。
「必要ないと言っているでしょう。それにモモン様は絶対に負けません、どんな奴が相手でもね」
だが、ナーベにとってはたとえこれが本当の襲撃で敵が未知数であっても主人が勝つであろうことは揺らがない。彼女は主人の強さを信じているのだ。
――――――――――
「魔将召喚」
悪魔が何かを唱えると一体の凄まじい悪魔が姿を現した。鱗で覆われた肉体。そして鋭い爪が付いた太い腕や蛇の様に長い尾に燃える翼を持つ姿は、まさしく悪魔と呼ぶに相応しい見た目をしており、イビルアイにとってはヤルダバオトと名乗った悪魔と同等の強さに感じられた。
「厄介だな……」
対人戦において数的不利は単純に敵の戦力が2倍になる所では無い。片方と退治している間に片方に回復されることもありうるし、手数の増加は勝敗を分ける要素だ。
「貴方を相手にするにはこれくらいはさせて頂きますよ」
悪魔はそこから更に自身に様々な強化を施し、その本当の姿を現す。
「少し不味いな」
モモンガはイビルアイの方を振り返りながら戦況について眉を顰めた。
「も……モモン……さ……ま。私のことはいい、逃げてくれ!」
イビルアイがいては勝つことは疎か逃げる事すらままならないだろう。イビルアイは自分の命はいいとモモンガに告げる。しかし、モモンガは決してイビルアイを見捨てることは無かった。
「ダメです、貴方も助けて悪魔も倒す。それが私がここにいる理由ですよ」
モモンガは一度剣と盾を起き、イビルアイを持ち上げた。突然の出来事にイビルアイの心臓の鼓動は破裂しそうなほどに加速する。
「も……モモン様!」
モモンガはイビルアイを背中に背負うと剣と盾を再び装備する。
(すまない……!世界中のバード達よ!騎士はか弱い乙女を抱きかかえ、守りながら戦うんだぁ!)
背負われたイビルアイの脳内は今までくだらないと聞き流してきた英雄譚が高速で再生される。勿論騎士はモモンガで、姫は言わずもがな。
「そんな足でまといを抱えて私たち二人が相手に出来るとでも?」
悪魔はその様子が好ましくは無いようで、イビルアイに直接攻撃を仕掛ける。しかし、モモンガは悪魔の攻撃を剣で受け流し、もう一方の召喚された悪魔へと飛びかかる。
「うぉぉぉ!」
憤怒を体現したような悪魔、いや魔将はまるで歓喜するかのような雄叫びを上げ、モモンガへと拳を振るう。
余りにも重厚な拳をモモンガは空中という条件の下でも、弾き返し、魔将の体勢を崩した。
「魔将如きがたっちさんに憧れた俺に勝てるとでも!「悪を断ち切る斬撃《イビルブレイク》」」
モモンガから発せられた神聖な斬撃は魔将を正面から切り伏せる。あまりに強力な一撃故に一撃で魔将が塵となって消え失せた。
「ガハッ……」
そして魔将のダメージが共感覚として伝わったのか、悪魔が地に伏せる。
「ヤルダバオト。ここまでだな」
切り札を撃退し、モモンガはヤルダバオトに刃を向ける。ヤルダバオトはこちらを睨みつけるが、その目には歓喜が見えるようにイビルアイには感じられた。
「本当に貴方はお強い」
「お前もな……だが残念だったな。私の方が相性的に有利なのだよ」
互いに褒め合う精神は冒険者との間にもない訳では無い。実力を認め合うことでお互い一種の経緯を抱き、高め合う仲間と認めることを表すのだ。しかし、悪魔とさえも高め合う存在と見なしているとは流石はモモンガだとイビルアイは思った。
「降参とは行きませんね……」
「残念ながらな」
「ええ、非常に残念です。モモンさん、貴方のお仲間が死ぬのは見たくありませんね」
「なに?」
悪魔はニヤリと笑うとモモンガの背後に視線を移した。そこには先程の魔将の拳が迫っていたのだ。
そう、消滅したと思っていたのはブラフで油断を誘っていたのだ。
「ぐっ……!」
モモンガはヤルダバオトに背を向け、攻撃を受け止めると魔将に改めてトドメを刺した。
「流石はモモンさん、これすらも対応されるとは」
しかし、その隙はヤルダバオトにとっては態勢を立て直すには十分だった。
「お前も私が魔将を即座に倒すのは織り込み済みだったのだろう?」
「ええ、私どもの目的は先程部下が達成したと報告がありましたから、撤退する機会を窺っていたのです」
両者の圧倒的な実力とそれに基づく戦闘は、数百年生きたイビルアイにとっても理解出来ないものだった。
「さて、モモンさん。貴方とはまたどこかでお会いすることになるでしょう」
「そうだな」
「それまで息災で」
悪魔はそれだけ言い残し、瞬時に姿を消した。
「行ったな」
同時にエ・ランテルを囲っていた炎は全て消え去り、悪魔たちも塵となって消えた。
「やったぁぁ!勝った!勝った!流石はモモン様だぁ!」
イビルアイは勝利を言い訳に、ここぞとばかりにモモンガへの抱きつきを強める。確かどこかで男は戦いの興奮を女を抱いて鎮めるという。
鎧越しでは感触は伝わらないと判断し、鎧の着いていない頭の部分に身体を押し付け、女をアピールする。数日前の自分が見たら叫び出しそうな行為だが、今は違う。モモンガに意識してもらうことが大切だ。
「ちょっと!イビルアイさん……くっつきすぎですよ……」
モモンガも少し照れているが満更では無い様子に思わず、仮面の中で笑みが零れる。
「モモンさん!」
だがそんな時間も長くは続かず、冒険者達が都市庁舎へと集合し始める。
「貴方が首魁を倒した冒険者ですか?」
「ええ……まあ……」
衛兵や冒険者はこの危機から街を救った英雄の存在に興味津々だ。だが、当のモモンガは英雄として担がれるのにあまり乗り気では無いのか消極的な返事をする。
「モモン様、ここは盛大に名乗るべきですよ!」
「いやでも……恥ずかしいな」
イビルアイはそんなモモンガに英雄としてするべき行動を伝授する。しかし、なおも渋るモモンガにイビルアイは痺れを切らす。
「もぉ、私がやりますから最後は頼みますね!」
イビルアイは皆の方をむくとモモンガに手を向ける。
「彼は新しいアダマンタイト級冒険者アインズ・ウール・ゴウンのモモン様、この都市を悪魔から守ったものだ!敵の首魁は彼が退けた!」
彼の功績を伝えると衛兵や冒険者のモモンガを見る目に尊敬が芽ばえる。
「さぁ!モモン様!勝どきをあげてください!」
イビルアイはそれらを全て終え最後の閉めをモモンガへと振る。モモンガは頭を掻きながらも、勝どきを上げた。
「あ……ああ、うぉおおおお!」
「モモン様の勝利だ!」
都市の英雄モモンが誕生した瞬間だった。
魔将が撃破されてデミウルゴスがダメージを食らうなんて全く酷い演技ですが、ここでやられたフリしとかないと戦闘が長引くとデミウルゴスも判断したため、モモンガ様も察してそれに乗った形になりますね。
ここからは戦後処理とナザリックの話を書きたいと思います!
それが終わったら王都戻るかな?
お読み頂きありがとうございました!
クレマンティーヌはどうすべきか
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生きる(逃亡
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生きる(ナザリック送り、実験
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死ぬ(逃亡先で
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死ぬ(ナザリック勢により