もしもモモンガ様が人間だったら 作:15巻まだ?٩(๑•ㅂ•)۶
周辺地理を調べあげたところ、どうやらこのナザリック地下大墳墓はユグドラシルとは全くの別の土地へと転移したことが判明した。辺りにはモモンガの知る現実世界とは全く異なり、緑豊かな森や平地が存在し、さらに奥地には人間の集落を発見することが出来た。
「よし、操作には一先ず慣れてきたな」
現地に赴くにあたり、まずは情報収集のため、このミラー・オブ・リモート・ビューイングを操作する。初めはこの操作に慣れなかったが、慣れれば外の様子を偵察するのに最適だ。
勿論守りの魔法は欠かさない。
「何だこれは……」
そこに映し出された村はとても平穏とは言い難いものだった。辺り一面は血の海とかし、村人の死体が転がる。村人を守るはずの騎士は逆に村人に剣を立て、次々と彼らを殺めていく。
「これは……不快だな……」
自身の胸の内が思わず、吐き出される。オーバーロードの自分であればそんなことは思わなかったりするのだろうか。しかし、人間の形態のモモンガにとって、この光景は耐え難いものだった。
「モモンガ様、ご許可を頂ければ、直ちに軍を向かわせ抹殺致しますがいかが致しますか?」
そんな一言を聞いてか、傍付きのメイドのナーベラル・ガンマは問いかける。
「……いや、それには及ばない……私が行くとしよう」
しかし、まだこの世界の人類がどれほどの力を持っているかは計り知れない。返り討ちに遭う可能性を考えれば、軍団では被害が大きくなりかねない。
「では、アルベド様に連絡を」
「いや、それには及ばない。私ひとりで十分だ」
確かにアルベドはタンクとして優秀だが、それを待っていては彼らは全滅してしまうだろう。故にモモンガはそれを退ける。
「お待ちください、御身お独りでは危険です」
「ならば、お前が来い。ナーベラル・ガンマ」
モモンガはたっち・みーの鎧を身にまとい、聖剣を装備する。白銀に輝くその鎧とモモンガの人間のアバターの見た目も相まって勇者のようだ。
(たっちさん、貴方の力お借りします)
「では行くぞ「転移門《ゲート》」」
モモンガはナーベラルと共に門へと消えていった。
――――――――
なぜなぜなぜなぜ。
妹のネムを連れて走りながら、姉のエンリは今日の惨劇に思考を巡らせる。いつもと同じ日常が、今日も続くはずだったのに。母は目の前で殺され、父も生存は絶望的だ。
「おい逃げるな、娘!」
騎士の鎧を着た2人の男は今も尚、エンリ達を追いかける。その顔はゲスに歪み、嫌悪感を覚える。
「良くしてくれれば、命は助けてやるぞ、村娘」
彼らに捕まる訳には行かない。最悪自分がどうなっても構わないが、ネムだけは何とか逃がさないと。息が上がり苦しみが増すが、足を止めることは出来ない。
しかし、まだ幼いネムでは騎士の鎧を着ているとはいえ、成人男性よりも早く走り続けることは出来ない。
ネムが足を滑らせ、バランスを崩し、その場に倒れ込む。
「ネム!」
「おねぇちゃん……!」
「ぐへへ、ここまでのようだなぁぁ」
男は倒れたネムに追いつくと、腕を掴み、剣を突き立てた。
「いたぃ!」
「おい、村娘。妹がどうなるかはお前次第だぞ?」
「はぁ、程々にしとけよ」
男はいつもこの手法でやっているのだろう。相方の男は少々呆れ気味に見守る。しかし、もはやこの最低な男に抗うすべはない。そう身構えたとき。
自身の背後から物々しい音と共に、地獄の門が開いた。
「な……なん……だ?」
騎士の一人がその光景に思わず、剣を持つ手を震わせる。エンリはゆっくりと後ろを振り返る。
地獄の門から出るのは悪魔か死神か、そんな風に覚悟を決める。エンリを裏切るように登場したのは白銀の鎧を纏った騎士と豪華なメイド服を身に纏う黒髪のメイドだ。
「「悪を断ち切る斬撃《イビルブレイク》」」
騎士の一人が剣を振るうと剣は光り、前方に光の斬撃を飛ばす。後方にいた男は直撃し、胴体と身体が真っ二つだ。光の斬撃は留まるところを知らず、そのまま森の木々を薙ぎ倒しながら進む。
「ば、ばけもの……」
「おいおい、今の私は立派な騎士だぞ、やれナーベ」
「はっ!「雷撃《ライトニング》」」
続く、ナーベと呼ばれたメイドの雷撃でネムを捕まえていた騎士の心臓が見事に撃ち抜かれる。
「弱いな」
あんな雷に撃ち抜かれたら死んでしまうのは当然だと思うが、男は少し驚いたようだ。男は視線をエンリとネムへと移す。メイドの女性もとても美人だが、騎士の男も負けず劣らずだ。
「さて、怪我をしているのか」
男はネムの傷を見ると魔法を唱える。
「「重傷治癒《ヘビーリカバー》」」
ネムが騎士の剣に突き立てられたことによって出来た傷がみるみると回復する。
「ありがとうございます……!」
「あ……ありがとうございます……」
ネムに続き、エンリも感謝の言葉を述べる。
「いや、誰かが困っていたら助けるのは当たり前……ですからね」
まさに聖騎士、御伽噺から飛び出てきたような存在にエンリは息を飲む。しかし、そう言う男はどこか寂しげだ。
「あ……あの、お名前を!」
そのままどこかに行ってしまいそうに感じたエンリは咄嗟に恩人に名前を問う。
「なまえ……私の名はモモン……ただの旅のものだ……」
エンリ目線だと王子様にしか見えないモモンガ様なのでした。
モモンガ様の出した技は完全に想像で作ったものなので、ご容赦ください。多分これからも想像でいっぱい技を作ると思います。
お読み頂きありがとうございました。