もしもモモンガ様が人間だったら   作:15巻まだ?٩(๑•ㅂ•)۶

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第5話:村の英雄

 

慎重であることは良い事だ。モモンガは常にそう思うし、そうしてきた。しかし、これは一体どういうことか。余りにも騎士が弱すぎる。

 

 自身のたっち・みーに憧れて名付けた新しいスキル「悪を断ち切る斬撃《イビルブレイク》」は確かにたっち・みーの「次元断切《ワールドブレイク》」には劣るものの、第十位階魔法「現断《リアリティ・スラッシュ》」よりは強力だ。

 

 それでやられるのはまだ理解出来るが、ナーベラル、いやナーベの魔法「雷撃《ライトニング》」でも一撃とはどれほど弱いのだ。

 

(第三位階って初心者でも耐えれるんじゃないか?)

 

 余りにも非力な騎士たちに疑問が浮かぶが、とはいえ注意は怠るべきでは無い。

 

 メッセージでアルベドへ援軍の要請を飛ばし、隠密能力に長けたもの達を要請する。

 

「さて、娘よ」

 

「エンリ!エンリ・エモットです!」

 

「そ……そうか、エンリよ」

 

 やけに食い気味に名前を主張するエンリに少し引き気味になりながらもモモンガは話を続ける。

 

「この騎士たちは何者だ?」

 

「帝国……の騎士たちだと思います」

 

 モモンガが問いかけるとエンリは周辺国の事情についてとてもざっくりとだが話し始めた。

 

 エンリ達のいる国はリ・エステーゼ王国。そして今回襲ってきたのがバハルス帝国。両国は隣接するが故に領土を取り合い、常に争ってきたのだという。とはいえこのように辺境の村村を襲ってくる例は今までまずなかったという。

 

「ほぉ……」

 

「それで……モモンさんはどちらからいらしたのですか?あまりこの辺では見ない髪色ですよね」

 

 話を終えるとエンリはモモンの素性を問う。村に恩を売るような良いタイミングで現れたことから黒幕ではないかと疑っているのだろう。

 

 (まずい……えっと、こういう時は大体……)

 

「東方のずっと向こうにある国からだ」

 

 日本は大体こう答えておけ、それは先人の知恵だ。

 

「そうなんですね」

 

「それよりも村を救いに行かなければならない、お喋りはこの辺にしよう」

 

 そう言うとモモンガはエンリに多様な防御魔法を掛け、アイテムを投げた。

 

「これがあれば一先ずは大丈夫だろう」

 

 モモンガはエンリ達に背を向ける。

 

「あの!…………助けて下さりありがとうございました!」

 

「どうか、どうか村をよろしくお願いします」

 

 エンリは地面に額を擦り付け、必死にモモンガへと懇願する。モモンガの回答はシンプルだ。

 

「ええ、誰かが困っていたら助けるのは当たり前、ですからね」

 

 あの日の彼のように。

 

 

 ――――――――――――――

 

 

「しねぇ!!」

 

 次々と襲いかかる騎士達に村人達は為す術がない。次から次へと村人の死体の山が積み重なっていく。騎士たちへ誘導され中央へと村人が集められるが、きっと彼らもこの後皆殺しにあうのだろう。

 

「神よ、お助けを……」

 

 村人の1人が発する言葉にみな同意だ。しかし、皮肉にも彼らを襲撃するのは神を1番に信仰する国家だ。

 

「これで全員か?」

 

 騎士の隊長が部下へと確認をとると部下が頷く。

 

「そうか……ではやれ」

 

 隊長の命令により、周囲を警戒していた騎士たちがこちらへと歩みを進める。その手に握られた剣は血で汚れており、そしてその血は次の瞬間には自分たちの物になるのだろう。

 

 そんな絶望に満ちた村人にドンッッという轟音と共に一筋の光が差し込む。

 

「なん……だ?」

 

 凄まじい地響きと共に舞う砂埃。そしてその先には2人の人影が見える。

 

「初めまして皆さん、私の名はモモン、村を守りに来ました」

 

 白銀の鎧を身に纏う男は剣を一振し、砂埃を吹き飛ばすと名を名乗った。

 

「な……何者だ!」

 

 騎士の1人が警戒し、剣を向けると次の瞬間彼の胴体を雷が貫いた。

 

「至高の御身にその口の利き方は何?」

 

 相方の女が魔法を放ったのだ。美しい容姿に切れ長の目が涼し気な、女は氷のように冷たい目を騎士に向ける。

 

「だ……第三位階……?」

 

「み……ミスリル……いや、アダマンタイトか?」

 

 放たれた魔法はごく一部の限られた人間しか使用することが出来ない第三位階魔法だ。

 

「やめよ、ナーベ」

 

 男は再び魔法を放とうとする女を制止すると、騎士たちへ向き直る。

 

「さて、君たち今逃亡するならば見逃してやるがどうする?」

 

 男は剣を騎士たちへ向け、最後の警告を行う。冗談では無い、ただ村人を襲うだけの任務のはずなのに第三位階魔法を行使するような冒険者達の相手など割に合わないにも程がある。

 

「ひ……ひぃ、わ、分かった。て……撤退しろ!」

 

 隊長の言葉を皮切りに騎士たちは村人を解放し、ちりじりとなる。

 

「おお……」

 

 戦うことなくあれだけの騎士を退けたことに村人達の間で感嘆の声が広がる。

 村長は中でも立ち上がり、男へ足を向ける。

 

「あなた……貴方様は一体?」

 

「たまたまここを通りかかった旅のものです、エンリという村娘が助けを要請してきましたのでお力をお貸しに来ました、と言っても貸すまでも無かったようですがね」

 

 村長の問いに対し、端的に答える。すると村長はエンリの無事を安心してか少しほっとしたような表情へと変わる。しかし、直ぐに村長の表情は硬くなる。

 

 (ああ……まあそうだよな、襲撃から村を守ったから報酬を要求しなきゃ変だよな)

 

 完全な善意で助けることなどゲームの中の事でしかない。もしここが本当に異世界だとするならば当然、金銭的要求は発生して然るべきだ。

 

「それでモモン様、この村を救ってくださったお礼に何かさせていただけないでしょうか?」

 

「では、この周辺の地理についての情報と多少の金銭を頂きたいですね」

 

 モモンガは村長に提案すると少ないが是非と少し安心したように答えた。

 




ナーベラルもう少し暴れるかな?と思いつつ、このくらいにしておきました笑

お読み頂きありがとうございました。
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