とある幻想の四重響奏 -Quartet of a Imagine-   作:独楽と布団中の図書館

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早速登場オリキャラ一人目。
上条さんも最初から誰コレ状態。
キャラクターについては幻想御手編終了後に説明を載せるつもりです。

2014/12/04追記:やはりキャラクター紹介については完結した後に乗せようと思います。なけなしの文章力で頑張って補完していくつもりです。


Phase01 -LEVEL Upper-
01. Open Everyday


 何気ない、それこそいつも通りかもしれない平穏な日常。

 

 

 

 

■Open Everyday■

 

 

 

 

 ―――――…………、

 

 

 

 

 

「――――――――、」

 

 

 

 

 見慣れた天井を真っ先に視認した。

 エアコンの稼働音に、外から聞こえる鳥の鳴き声。

 上体を起こせば、自分の部屋が視界に飛び込んできた。勉強机とそれに対応する椅子があるだけの殺風景な部屋。娯楽用品などといったものはない。一応、窓の植木鉢には白い花――アネモネが咲いているが、それはつい先日「殺風景過ぎる、味気が無さ過ぎる。現役高校生としてどうなのよ」と言って同居人が置いていったものだ。そこはかとなく世話を押し付けられた気がしないでもない。

 

 

「……眩しい」

 

 

 窓から差し込む朝日の眩しさに、思わず布団に潜りなおしたくなる衝動を抑え、ベッドから起き上がる。

 洗面台に向かうために廊下を出れば、サウナみたいな熱気が部屋に押し寄せた。部屋の冷気が逃げ切らないうちに扉を閉めて、さっさと洗面台に入る。顔を洗えば冷えた水が眠気や気だるさごと汗を流してくれる。気持ちがいい。

 だがまだジトっとした熱が落ち切らない。寝汗がすごい。覚えていないがうなされていたらしい。安眠した時の解放感とは程遠い。

 

「シャワーでも浴びるか……」

 

 

 

 

 

………………。

…………。

……。

 

 

 

 

 

 

 数分で入浴を終え、制服に着替える。冷水に冷えた身体に、空気の熱が布越しに程良く伝わってくる。底冷えしない程度に温度を調整してリビングのエアコンをつけた。

 ダイニングチェアに腰かけ、置いてあったリモコンに手を伸ばす。

 

 

『――強い日差しは今週いっぱいがピークで、日中は熱中症にならないように注意しましょう。また―――』

 

 

 それとなくニュース番組を見れば、左上に5:17分の文字。いつも通りの時間だ。いつも7時過ぎに起きてくる同居人に言ったら、「ちょ、早すぎ。爺さんか」と驚かれ呆れられた。たしかに、起床時刻は平均よりやや早いかもしれない。

 アナウンサーの朝礼じみた解説を聞きながら、玄関のポストから持ってきた新聞を開く。開けば、でかでかと占いの文字が。気にも留めずページをめくる。内容は学生向きのものばかりで、第七学区の高校で授業中に熱中症で何人か倒れた、だとか。昨日7月16日、第七学区の銀行強盗を駆けつけた高位能力者の風紀委員が拘束だとか。軽い内容ばかりだった。ただ、読んでいる分には退屈しないので、朝食を作り始めるまでに新聞を読み終えるのが日課となっていた。

 二時間程で読み終えて時間を見れば、ちょうど7:20を回ったところだった。

 

 

 朝食は何にしようか、と悩んでいればドアを開けて同居人が眠そうにパジャマ姿で出てくる。

 

 

「あふあふ……、おはよ~…………ふわ」

 

 

 欠伸を織り交ぜたなんとも眠気を誘う挨拶だ。声どおりの締まらない顔で欠伸を噛み殺しているのは上条柚姫(カミジョウ ユズキ)。妹だ。血は繋がっていない。赤み掛かった黒髪は腰のあたりまで伸びているのだが、ところどころ跳ねているため使い古したモップみたいになっている。知り合い曰く可愛いらしい顔立ちは、寝起きのせいでふわふわと眠そうだ。

 

「おにいちゃ~ん、テレビ欄ちょーだぁい……」

 

 彼女の思考は目下今日の番組に向いているらしく、言われた通りに引き抜いて渡せばうつらうつらと読み始めた。さすがに呆れて溜息を零した。

 

「顔洗ってこい。舵漕いでるぞ」

「んー…………」

 

 聞き分け良く、ゆっくりと立ち上がって目を擦りながら洗面台に消えていく。ほどなくして浴室から「わひゃぁっ!!? 冷ひゃいっ!! ぉわうきゃぁああああああ!!」という悲鳴と何かがぶつかるよう盛大な音が聞こえてくる。さて、とキッチンに向かえば、先ほどとは別の理由でぐったりとした柚姫が姿を現した。猫背でふらふらと歩く様はさながら幽霊だ。髪が跳ねているから尚更落ち武者染みて見える。

 

「なんか、失礼なこと考えてなかった……?」

「別に」

「考えてた」

「考えてない」

「…………ぶー」

「拗ねるな」

 

 ダイニングキッチン越しにそんな会話をして作業に取り掛かる。メニューはトーストとベーコンエッグにトマトサラダ。柚姫用のデザートは、冷蔵庫に果物が余っていたから適当な大きさに切ってヨーグルトに入れてメープルシロップをかけて完成。途中で「ホットミルク飲みたい~」と注文が出たのでミルクを温める。どうやらシャワーを浴びようとして冷水を思い切り被ってしまったらしく、ぐずぐずと鼻をすすっている。早く鼻をかめ。

 

「ほら、出来たぞ」

「わー、美味しそー。いただきま~す………ぐず」

「だから鼻をかめ」

 

 言ってティッシュ箱を渡してやる。それをふらふらとした動きで受け取る。何故だろう、シャワー浴びたはずなのに今だに覚醒しきっていないようだ。……いつものことか。

 

「ん~~……、――――、……ありがと」

「ったく、風引くなよ」

「ん……、おいしー」

 

 いいながらトーストにバターをかけてぽりぽり齧っている。ネズミみたいだな、と思いつつトーストを手早く完食する。ブラックコーヒーを口にしながらのんびりと時間を過ごす。8時まで後数分。時間は大丈夫だろうかと心配していれば、どうやら食べ終わったらしい。目は完全にさめたようで、「わーい、フルーツぅ~」とかいいつつスプーンを咥えている。

 

「柚姫」

「ん~、なぁに~?」

「食べながら喋るな――――、じゃなくてな、テレビの左上見ろ」

「え~、なんで?…………――――、ってもう8時じゃん!? ちょ、早く言ってってばー!」

 

 「ひゃー」と言いながら、ヨーグルトをかき込んでいく。心なし涙目なのが可哀そうだが、こればかりは仕方ない。のんびりしていたお前が悪い。

 

「ごちそうさま!」

「お粗末様。食器は俺が片付けとくから」

 

 最後まで聞かず彼女は部屋に戻ってしまう。それほどまでに慌てていたらしい。部屋から「わー!」とか「きゃー!」とか聞こえてきたが、様子を見ようとして彼女のあられもない姿と遭遇してしまったことは数知れず、ここはあえて無視を決め込んだ。

 ほどなくして彼女が飛び出してくる。ばたばたと洗面台に向かっていったから、あとは髪を整えるくらいだろう。

 

 だからこちらも準備しなければ。

 

 制服に着替えているから、後は鞄を持ってくるだけだ。自室の扉を開けて入る。中はエアコンの冷気も入らずに熱いままだ。

 

 目的のものは勉強机の上。勉強机というよりかはパソコンデスクと言ったほうが正しいような、ガラスとアルミで作られた台の上に黒皮の鞄は置いてあった。

 と、その横に置いてあったものが目に入る。

 

「……そう言えば片付けていなかったな」

 

 鞄と一緒に置いてあったものは学生証。どうやら制服に入れ忘れていたらしい。

 

 ここで生活するために必要な、身分を証明してくれる必需品。書かれている内容は、俺の場合はこうだ。

 

 氏名、上条当麻(かみじょうとうま)。年齢、十六歳・十二月二十五日生まれ。高校二年生。身長は177cm、体重は58kg。住所は第七学区。能力強度、無能力者(レベル0)。通っている高校はどこにでもあるような、本当に普通の高校だ。そして学生証に貼られている顔写真に写っているのは、ところどころ跳ねた黒髪が特徴的な、男女という性別の特徴の違いが少々曖昧な男子生徒の顔。

 

 

 その内容が、表向きの俺の生活の全てだ。

 

 

「…………」

 

 

 ふと、自分は何を考えているのだろう、と思い至った。そんなこと、態々確認しなおすことでもない。

 確かに時々、自分の立っている足場が不明瞭になるような感覚に襲われることはあるが、今そんなことを考えていても仕方が無い。

 

「……行くか」

 

 学生証をズボンに仕舞いこんで、鞄を持って外に出た。

 

 

 




九割オリキャラの上条さんのイメージは、原作の彼を縦に伸ばして髪も少々伸ばした感じです。
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