砂漠に咲くは、鉄の華   作:山崎五郎

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念のため再び警告です。
この作品にガンダムの原作キャラは登場せず、要素や機体のみが登場します。
それに伴い、『ブルアカ』世界の一部改変が入り、キャラ崩壊と受け取られる描写が出る場合があります。


以上の内容が受け入れられない方は、ブラウザバックを推奨いたします。



血と鉄と

 

――――ねぇ、つぎはどうすればいい? ユミカ?

 

 

――――きまってんだろ…。

 

 

 

 

 

 

 

……カ。

 

…ミカ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「起きて、ユミカ

 

「……っあ?

 

 おお、シロ。 どうした?」

 

「ん…どうしたじゃない、またこんなとこでサボって…。

 ミーティング。 セリカがご立腹」

 

「げ、マジか…ったく」

 

 

そうボヤきながら、先ほどまで眠りこけていた金髪翠眼の少女…犬神(いぬがみ)ユミカは身体を起こす。

腕を、背筋を伸ばすとそれに合わせて身体がポキポキと音を鳴らす。

 

 

シロコ先輩! 居ましたか!?」

 

「うん」

 

「どした〜、アヤネ?」

 

「どうしたじゃないです! 早く来てください!

 それとここには勝手に入らないでくださいって何度も言ってるじゃないですか!」

 

「悪ぃ悪ぃ、なんせここ年中いい感じにあったけぇからさ。

 シロ、行くぞー」

 

「うん」

 

 

シロ、と呼ばれた少女。

本名を砂狼(すなおおかみ)シロコという少女は、ユミカとアヤネと呼ばれた少女の後を追う…。

 

その直前、後ろを振り返る。

 

 

そこには、巨大な二本角を持った…白い鉄の悪魔が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

   ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇   

 

 

 

 

 

 

 

時は、宇宙世紀。

人類が増えすぎた人口を宇宙に追いやり、それに不満を抱いた者との間に巨大な戦争が起こった。

 

今の世に『厄祭戦』と語られ伝えられる様になったその戦いから数百年。

人類は地球からその生存圏を広げ、既存惑星への移住のみならず巨大人工衛星生存圏(スペースコロニー)を開発し、そこで産まれ生きる者も現れ始めた。

 

そしてここはスペースコロニーのとある都市。

数百年前、とある時期からその存在が認知された天輪(ヘイロー)を持つ新人類。

 

そんな人々が集まり暮らしているこの場所こそが、学園都市キヴォトスである。

 

 

 

 

 

「………遅い…!」

 

そして、広きキヴォトスのとある学園。

周囲一帯を砂に覆われた学園の、更に一室にて。

頭部から黒い猫耳を生やした少女が、あからさまに苛立ちを見せながらそう呟いた。

 

「まあまあ、セリカちゃん…。

 アヤネちゃんとシロコだって探しに行ったんだしそのうち来るよ。 そんなイライラしないで…」

 

「そうですよセリカちゃん。

 そんな怖い顔したらカワイイ顔が台無しです〜☆」

 

「呑気なこと言ってる場合!?

 ユミカ先輩の遅刻が原因で定例会議が遅れるのもう何度目だと思ってんの!?

 シズカ先輩もノノミ先輩もちょっと甘すぎるわよ!」

 

「う…」 「あら…」

 

セリカの怒りのこもった反論に、二年の(くちなわ)シズカ十六夜(いざよい)ノノミは思わず口ごもってしまった。

 

「んなカリカリすんなよセリカ。

 猫はストレスが溜まると抜け毛が増えるって言うぜ?」

 

「誰が猫よ!!」

 

セリカは机をだん、と叩いて立ち上がりながら怒号を飛ばすも、

発言の張本人…絹織(きぬおり)イルナはわりぃわりぃと軽く受け流してしまった。

 

そんな小芝居の様な会話を黙ってみていたやや筋肉質な少女…酒井(さかい)マナコはおもむろに立ち上がり、一つしかない出入り口に向かって歩き出す。

 

「ちょっ!? マナコ先輩までどこ行くつもりよ!?」

 

「トレーニング。

 犬神達がまだ来ていないならどうせ始められないだろう」

 

「お、確かに。 そーゆーことならアタシも同行させてもらうぜマナコ!」

 

「ちょっ…二人とも待ってよ!」

 

「いーじゃねぇかシズカ!どーせユミカの野郎まだ来やしねーんだから…」

 

「悪ぃ皆、遅れた」

 

噂をすれば何とやら、と言うべきか。

ユミカと彼女を探しに行っていたシロコとアヤネも到着し、アビドス高等学校の生徒は全員(・・)この場に揃った。

 

「げ、何だよもう来たのかぁ!?

 ったく、こーゆー時に限ってタイミング悪いよなぁお前…」

 

「そりゃどうも。 ま、お前らにとって悪いタイミングってんなら他の連中にとってはちょうどよかったっつー事だろ?」

 

「……そもそもユミカ先輩が遅れなければこうはなってなかったんだけど?」

 

「え。 あー、いや、その…すいませんでした」

 

セリカの『私は怒っています』と言わんばかりの気迫を感じる言葉に、ユミカはタジタジになって謝る他無かった。

その様子を見ていた者らはある者たちは苦笑いし、ある者はけらけらと笑い、ある者はやれやれとため息をこぼした。

 

「んん〜…?

 おぉ〜皆揃ったみたいだね〜? じゃ、会議始めちゃおっか?」

 

と、そんな騒がしさの中で机に突っ伏して眠り続けていた桃色の髪の少女…アビドス唯一の三年生徒である小鳥遊(たかなし)ホシノが緩やかに呟いた。

 

「おお、そうだな、ホシノ先輩の言う通りだ!

 さっさと会議始めちまおうじゃねぇの、なあ?」

 

「だから誰のせいで…!」

 

「ん、セリカそこまで。

 そんなに怒ると抜け毛が増える」

 

「シロコ先輩までそれ!?

 だから誰のせいで怒ってると思ってんのよ!!」

 

 

 

   ◇   ◇   ◇   

 

 

「えー、それではこれより定例会議を始めたいと思います。

 まずは直近の大きな事件を…」

 

アビドス廃校対策委員会による定例会議が始まった。

現在この場にいるのは九名。

 

三年にして実質的な生徒会長である小鳥遊ホシノ。

二年の砂狼シロコ・犬神ユミカ・蛇シズカ・十六夜ノノミ・酒井マナコ。

一年の黒見セリカ・絹織イルナ、そしてこの定例会議の進行役を務めている奥空(おくそら)アヤネ

 

以上九名がアビドスの全校生徒(・・・・)

唯一の部活動にして生徒会組織、アビドス廃校対策委員会のメンバー。

 

……そう、全校生徒。

アビドス高等学校は他学校の一クラスにも満たない生徒しか所属しておらず、もはや学校としての体を保ててはいない。

 

かつて、アビドスはキヴォトス最古にして最大規模の学園だった。

自治区の殆どが砂漠というキヴォトスに置いても異質な土地でありながら、シンボルであったオアシスでは他学園の自治区から多くの人々が訪れるほどの大きな祭りが催され、最盛期には70人もの生徒会長が覇権をかけ争っていたという逸話が残っていたほどだった。

 

しかし、数十年前から多発するようになった砂嵐によりオアシスは枯れ、学園の本館は砂に埋もれ、それらをどうにかしようと多額の借金をしてまで解決を試みた。

 

が、事態は好転するどころか寧ろ悪化。

砂嵐は止むことはなく、多額の借金は利息によってかさみ続け、そんな状況に未来を見いだせなくなった者たちは大人子供を問わずアビドスを去っていった。

 

現在、アビドスの残った面々が利用しているのは別館にあたる場所。 対策委員会の会議はさらにその一室で行われるのが決まりとなっている。

かつてはこの部屋で『アビドス砂祭り』という大規模な祭りのために会議が行われていたらしく、そういうことに使うのにはうってつけだった。

 

(しっかし、なあ)

 

ユミカはふぅ、と小さく息を吐き外を眺めた。

かろうじて形を守っているグラウンドと校門の向こうには、あいも変わらずの砂の地平が広がっている。

 

(アビドスを盛り上げようと祭りについて話してた部屋が、今じゃ“潰れないようになんとかしよう”の部屋になってるわけか…。

 その時の連中が聞いたらどんな顔するんだろうな)

 

「ユミカ先輩! 聞いてますか?」

 

「ん? …おお、わりぃボーっとしてた」

 

砂だらけの世界で、借金を返すために奔走し、こうして時折話し合う。 これが、彼女たちにとっての日常だった。

 

 

 

   ◇   ◇   ◇   

 

 

 

会議が終わり、下校も近づいた時刻。

アビドスの校門前に、1台のワゴン車が停車している。

車体の側面には『KAISER LOAN』の文字と独特なロゴが描かれていた。

 

「カイザーローンとお取引頂き、毎度ありがとうございます!

 この調子で行くと、完済まであと309年と二ヶ月ですね!

 では、また来月伺います!」

 

そう言うとスーツ姿のロボットはワゴンに乗り込み去っていった。

 

「……あと300年だってよ」

 

「ん、道は遠い」

 

「…それでもやるしかねぇだろ。

 それに…生きていける場所があるだけ、あの時よりはマシってもんだ。 なぁ、シロ」

 

「ん、そうだね」

 

その会話を聞いてホシノ、ノノミ、シズカは物憂げな表情を浮かべ、マナコも僅かに顔をしかめた。

アヤネ、セリカ、イルナの一年生トリオは何がなんやらという顔を浮かべており、何か三人の知らぬ事情があるらしい。

が、雰囲気から下手に触れないほうがいいと判断したのか、三人とも追及しようとはしなかった。

 

 

 

   ◇   ◇   ◇   

 

 

 

下校時刻。

殆どのメンバーが自宅への帰路につく中、ユミカはシズカと共に地下駐車場で整備点検を行なっていた。

 

 

「オッケー、問題なし。

 今日も帰っていいよ、ユミカ」

 

「いつも付き合わせちまってわりぃな、シズカ。

 数はそれほど少ないとは言え、これを俺一人でどうこうってのはさすがに無理だからよ…」

 

「気にしないで。

 元々アヤネちゃんが来る前は私一人でメカニック担当だったし、これぐらい慣れたもんだよ。

 ここで経験を積んでおけば何かに役立つかもだしね」

 

「…そう言ってもらえると、ありがてぇ」

 

 

自嘲気味に笑いながらユミカは頭を掻く。

シズカは整備していた、独特な形をした戦車から降りてきた。

 

 

「…“生きていける場所がある”、かぁ」

 

「ん? どうかしたか?」

 

「いや、やっぱり二人は強いなぁってさ。

 真っ当に大人を頼れないって意味では同じでも、育ってきた環境が…いや、ごめん」

 

「気にすんなよ、今更。

 褒められた生き方してこなかったのは事実だし、無理矢理でも止めてくれたホシノ先輩には感謝してんだ。

 それに、俺らにだって意地ってモンはある。 カッコ悪いとこは見せらんねぇよ」

 

「シロコには、かな?」

 

「……フッ、まあな」

 

「…苦労するね、次期委員長」

 

「“暫定”だろ、そりゃ。

 寧ろ色々考えたらお前のほうが…」

 

「いやいや、私にそんなだいそれた事は…

 それこそ副会長とか、補佐役とかソッチのほうが向いてるよ、我ながらさ」

 

「……そうかい。 んじゃ、俺もそろそろ帰るとしますかね」

 

「うん、また明日」

 

 

そう言って、先ほどまで点検していたうちの一台に乗り込む。

ユミカもまた、自宅への帰路についたのだった。

 

 




犬神ユミカ CV:沢城◯ゆき

(くちなわ)シズカ CV:和◯あず未

絹織イルナ CV:の◯ちゆり

酒井マナコ CV:高◯知葉
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