便利屋イグニート   作:文ノ雪

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乱戦

「焦るな!所詮相手は三人、数で押し切れ!」

 

ギャングの内の一人がそう言うと、マンションの廊下の道を塞ぐほどのギャングたちが一斉にオリビアたちへ襲い掛かる。

 

「数は多いし道も広くない、こっから降りようにも流石に五階から飛び降りたら死ぬ。一体ずつ倒すしかないな」

「めんどくせぇな、お前の爆炎でどうにかならない?」

「前に裏路地の壁ぶっ壊したばっかだが、最悪家賃払えなくなるぞ?」

 

緊急事態を除き、市街地において攻撃を目的とした魔法を扱うのは厳しく規制されている。違反時には大抵の場合罰金刑が課され、オリビアはそれを何度も経験しているのだ。

 

「所詮相手はギャング!烏合の衆に遅れをとるほど私は弱くありませんよ!」

「あぁ、期待してるぜ!」

「話し合いは十分だ、行くぞ!!」

 

目の前には既にギャングが迫る!

 

「くたば」

「ウラァ!」

「アガッ!?」

 

リリィが先ほど奪い取ったバールで殴りつけノックダウン!

 

「やっぱもっとでかいやつのほうが扱いやすいんだが…ないもの求めてもしゃあねぇ。今回は手加減してこいつで相手してやるよ!」

 

そう言うとギャングたちへ向かって突撃!

 

「食らえ!」

 

ギャングの一人がバットをもって襲い掛かる!ドラゴニュートは体力や力はあるが人体の耐久力は(鱗のある個所を除き)普通の人間と大して変わりはしない、まともに食らえば危ない。リリィの平坦な胸を目掛け殴りかかる。だが!

 

「なッ」

「バットはこう扱う道具じゃねぇだろ?ま、バールもそうなんだがなッ!」

 

バットを軽々と掴み、そして握りつぶした!強靭な怪力を見せると、驚いて止まってるギャングの腹に無慈悲にもバールを叩き込んだ!ギャングは嗚咽しながら倒れこみ再起不能。

 

「さぁ、次はどいつだ?」

「どけ!俺が吹き飛ばしてやる!」

「オレを止めるか?力勝負ならよろこんで受けるぜ!ウォラッ!!」

 

タックルを仕掛けた屈強な体格のギャングを片手で止め、腕を掴むとまるで発泡スチロールを持つかのように軽々と持ち上げ、壁に叩きつけた!屈強なギャングは口と鼻から血を流し気絶した。

 

「死ねぇ!」

「ウオッ!?あっぶねぇだろうがよ!」

 

ナイフを投げ飛ばしたギャングにはお返しとして持っていたバールを投げ飛ばし股間にヒット!ギャングは悶絶し立ちあがることさえできない。

 

「おっと、次の武器は…それを寄越しな!」

 

近くにいたギャングの腹を殴り、持っていたスレッジハンマーを奪い取り、そのまま更に腹めがけぶちかました!

リリィは近くにある物や道具を即席の武器として扱うことに長けており、椅子やハンマー、フォークに小石まであらゆる物を武器にすることができるのだ。リリィは倒れこんだギャングを足で踏んづけながら、目の前のギャングたちに余裕の笑みを見せる。

 

「いつでも来ていいぜ?誰だろうと何人だろうとぶちのめしてやるよ!」

 

 

「セイッ!セイヤッ!!」

 

画面は変わり、フェリクスは腰に携えていた刀めいた機械仕掛けの武器を引き抜き次々とギャングを切り捨てていった。

 

「チッ!オイ!なんでもいい何かもっと長い武器を…」

「セイヤッ!!」

「グアッ!?」

 

迷いも攻撃に警戒する様子を一切見せず、フェリクスはギャングたちの集団に切り込んでいく。並大抵の人間であれば怖気づいてしまう危険な行為だ。

 

「これでも食らえ!」

 

そして危惧した通りに背後からギャングが椅子を持ちあげ叩きこもうとする!だが、フェリクスは瞬時に刀のグリップ部分に備え付けられているトリガーのようなものを引き金を引いた。すると、刀に搭載されているエンジンが起動し、エンジン音に加え刃が桃色に発光!そして!

 

「セイヤァァァ!!」

 

フェリクスは大きなシャウトと共に椅子もろともギャングを切り裂いた!

 

「あ、あれはAKW!?それもあんな一瞬でエンジンを!?」

「クソっ!銃でもなきゃどうにもならないぞ!」

 

AKW、正式名称は起動式近接兵器。従来の剣や槍に斧などの近接戦で使われた武器を機械化させた兵器である。特殊なエンジンが搭載され、レバーやトリガーといったエンジンを起動させ刃などの攻撃部分に出力を起こし強力な一撃を与えることができるのだ。

 

「散々ナメたマネしてくれたケジメをつけさせてやる…私の一撃を冥土の土産にしてやるよ!!セイヤァァ!!」

 

フェリクスは決して許しはしない。シュヴァルツアクスのメンツを守る為にも彼女は自身の身を顧みず再びギャングたちへ突撃を再開させた!

 

 

「オラァ!」

 

そこからさらに別の視点に移る。オリビアは迫ろうとしたギャングの頭を殴り飛ばし、その背後に後ろにいたギャングに接近し飛び蹴りをかます。

 

「さぁどうするよ、このままじゃ痛い目に合うだけじゃすまないぞ」

「なめんじゃねぇぞこの女!」

 

怒りに満ちたギャングの一人が鉄パイプで殴りかかろうとするが、オリビアは右手で鉄パイプを殴り返し、そして。

 

「爆ぜろ!」

 

拳を当てた場所から爆炎が発生!鉄パイプはスクラップと化した。

 

「な、なにが起きたんだおい!?」

「魔法だ!一瞬だが鉄パイプに刻印が浮かんだのが見えた!」

「ギャングの割にはよく知ってるじゃないか、褒美としてその身で味合わせてもいいんだぞ?」

「チッ!一番危険なのはアイツだ!囲んで殴れ!」

 

奥の方でリーダーと思わしきギャングが指揮を促し、ギャングたちもそれに従いオリビアへ一斉に襲い掛かる!

 

「奴が司令塔か、ならつぶすのはアイツからか」

 

オリビアも同じく駆け出した、だが迫りくるギャングを殴るわけでもない。

 

「ハァッ!」

 

壁に向かってジャンプし壁を蹴り上げる、そしてそのまま勢いよく向かってきたギャングたちを飛び越えた。彼女の狙いは当然。

 

「何ッ!?」

「ウオリャァァ!!」

 

脚に炎を纏わせ、鋭い飛び蹴りを指揮を執っていたギャングの頭にぶつける!耐えれるわけもなく気絶した。

 

「テメッ!よくもやりやがったな!」

 

先ほどオリビアを襲おうとしたギャングたちは向きを変え再び迫ろうとした。

 

「ウラァ!」

「グアァツ!?」

 

その後ろから大きな机が投げ飛ばされ一網打尽!ギャングたちは何が起きたか理解することなく意識を失った。当然、投げたのはリリィだ。

 

「ナイスアシスト!助かったよリリィ」

「こっちも大方片付いたぜ」

 

リリィが後ろへ親指を刺す。そこには先ほどまで戦ったギャングたちが全員倒れ伏している光景が広がっていた。

 

「オリビアさーん!リリィさーん!大丈夫ですか!」

 

その奥からフェリクスが駆け寄った。着物は血で染まっているが気にも止めていない。

 

「あぁ、大丈夫だぜ。増援も来なさそうだし、ひとまず戦闘終了ってとこだな」

「そうだが、悪いが二人とも、私と一緒に切り捨てたり重症のギャングたちを集めてくれないか?」

「いいですけど、何するんですか?」

「回復魔法で治す、死なれたら面倒だからな」

 

 

 

それからしばらくはギャングたちの怪我を治し回復させていった。全員気絶しておりしばらくは起き上がる気配すらない、あるギャングを除いて。

 

「さて、聞きたいことはたくさんあるが、質問してもいいんだな?」

「…チッ」

 

オリビアに蹴り飛ばされたリーダーと思わしきギャングは屈辱そうな表情をしていた。腕を縛り付け、三人で囲み抵抗する気さえ起こさせないようしている。

 

「私たちはここ最近出回っている麻薬の調査をしている。ここに住んでいるカチュアって学園の生徒がその製造に加担してると聞いてね。今、彼女はどこにいる?」

「知らねぇな…テメェらは一体何者…」

 

ギャングが質問を飛ばそうとした瞬間、頭のすぐ隣に刃が飛んできた。壁に突き刺さりエンジン音が直に聞こえてくる。

 

「お前に質問する権利があると思ってるのか?エェ!?次ふざけたことしたらその口を切り落とすぞコラァ!」

「落ち着けフェリクス、口切り落としたら喋れなくなるだろ」

「そん時は執筆でもさせればいい、それに死にさえしなければ私も治せる」

 

あまりにも慣れてる様子にギャングは冷や汗を流した。

 

「さて、知らないと言ったが…本当なんだな」

「あ、あぁ…俺たちはただテメェらが入っていった部屋に入ろうとする輩がいないか監視し、場合によっては始末する、そう命令されただけだ」

「フム、命令ということはお前たちの上司にあたる奴がいるんだな?誰だそいつは」

「……ローテ・ヘンドラーのキュリアって女だ」

「ローテ・ヘンドラー…!」

 

フェリクスはわなわなと振るえ持っていたAKWの柄を強く握りしめる。

 

「フェリクスは知ってるのか?」

「…はい、ローテ・ヘンドラーは飲食店や風俗などの経営から、麻薬や武器の密売を行っているマフィア組織。私たちシュヴァルツアクスと何度か抗争したことのある相手です」

「ライバル組織ってわけか」

 

ローテ・ヘンドラー。グロリア帝国内だけでなく、その従属国にまで勢力を伸ばしていた昔から存在しており、アステール大戦時には敵国だろうと違法製造した武器を密売していたという噂まである悪名高い組織だ。シュヴァルツアクスとは敵対関係にあり、フェリクス自身も何度かその構成員と戦ったこともある。

 

「確かキュリアという奴もローテ・ヘンドラーでも次期アンダーボスとして名高いカポです。風俗やカジノのなどの経営に加担してると言われてます」

「なるほど、だいたいはわかった。それで?他に麻薬に関して知ってることはないのか?どうやって他人様の縄張りに気づかせず麻薬を売っていたかとか」

「知らん…本当に知らねぇ、俺たちはただここに来た奴を始末することしか聞いてない。まず麻薬ってなんのことだよ…」

「…これ以上は質問しても無駄だな。だが、いい収穫はあった」

「なぁ、そろそろこいつをほどいてく」

「オラァ!」

 

オリビアはギャングの言葉を無視し殴り飛ばす。ギャングは他の仲間と同じように気を失った。気絶したのを確認したオリビアは縄を解いて動けるようにしてあげた。

 

「もうここにもこいつらにも用はないな」

「となると次はキュリアのもとにカチコミに行きますか?」

「いや、今日はここまでとしようぜ。戦って疲れたしもうすぐ夜だ」

 

空を見上げれば夕日が沈もうとしており、暗くなるにつれ冷たい風が吹き始めている。

 

「そうだな、焦って急いでも仕方ない。一息つけるのも重要だ」

「私としては今すぐにでもケジメをつけさせに行きたいですが…わかりました、オリビアさんたちがそういうならそうします」

「よし!せっかく新しい仲間もいるんだ、こういう時こそ飲まねぇとな!」

「ただ飲みたいだけだろお前は…まぁいいか。フェリクスも行くか?」

「ハイ!お酒はあまり飲みませんけど賑やかなところに行くのは大好きですよ!」

「決まったな!じゃあ行きつけの店に行こうぜ!」

 

三人はそのままマンションを下り、夜の街へと向かっていった。




戦闘シーンを書くのはとても楽しいことです
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