セリカ、アヤネに秒で正体を見破られる
Final. あまねく奇跡の始発点編3,4章 OP 遊戯王GX OP4より Precious Time, Glory Days
(イントロ)
ちらばる「オノマト」モンスターと「アストラル」モンスター
(ワスレナイヨー)
駆けるシロコ
(オイツヅケテ)
出現するプレナパテス、デュエルディスクを展開するシロコ
(間奏中)
順番に
《ラーの翼神竜》とホシノ
《ネフティスの鳳凰神》とノノミ
《月光舞猫姫》とセリカ
《法典の大賢者クロウリー》とアヤネ
(テガトドカナクテー)
右にフェードアウトするリオ
左にフェードアウトするヒマリ
髪をかきあげてドヤ顔のアリス
(オキザリノヤクソク)
シロコ。背景に"先生"
(ナンドモ)
飛んでいく《青眼の白龍》とその派生
(イマーカゼガー)
シロコ
(get up)
車を走らせるフウカと美食研究会
(Let's try again)
連邦生徒会役員一同
(ウマレカワル)
"先生"
ガガガガールと「オノマト」モンスターたち
(Precious Time)
《ブラックフェザー・アサルト・ドラゴン》とユカリ
《水晶機巧-フェニキシオン》とユウカ
《時械神サンダイオン》とマルクト
(Let's try again)
《希望皇ホープ》
(イロアセタセカイヲ)
《NO13エーテリック・アメン》で攻撃を仕掛けるクロコ
受け止めてオッドアイを輝かせるシロコ
(ジブンダケノ)
《希望皇ビヨンド・ザ・ホープ》
(オイツヅケテ)
中心にシロコ
周りにウトナピシュティムの本船の搭乗メンバー
◇◇◇
「先輩……う、ううっ……!」
「セリカさん……」
キヴォトスの崩壊から脱出した私たち。慌てて世界を跳躍したのできちんと元の世界に戻れたか不安でしたが、Dホイールのディスプレイに表示される座標を見る限りでは無事戻ってこれたようです。
サイドカーでは慕っていた先輩を失ったテフヌト――とあえて呼称します。こちらの世界のセリカと混同しますので――は涙を零しながらホシノの名を呟き続けます。そんなテフヌトにユカリが寄り添います。
私たちが今いる場所は出発地点だったシャーレの駐車場。まずはDホイールを駐車させて皆をおろします。さすがに長旅を経たままで解散するのも気が引けたので、3人をシャーレの中に連れていきます。
「まずはシャーレの浴場を使って汚れを洗い流すといいでしょう。その間に服は洗濯機にかけておきます。ミレニアム謹製ですからクリーニングに出すのと同じ程度の仕上がりになります」
「ちょっと待ちなさい。何故私までシャーレに招き入れるのです? 私はユウセイ先生の敵だったのですよ?」
「強要はしません。帰りたいのでしたら出口はあちらです」
「……。私とて女ですから匂いや汚れは気になります」
ベアトリーチェもさすがに気にしていたらしく、文句を言いながらも浴室へと向かっていきました。3人分の服と下着を回収して洗濯機へ。洗濯機不可なベアトリーチェのドレスなどは手洗いマシンに任せます。
私は軽くシャワーを浴びて身体と頭を洗って服を着替えます。結構な期間シャーレはおろかこのキヴォトスを不在にしていたので"先生"やリンにさぞ迷惑をかけたことでしょう。謝罪文はモモトークで送りましたが、面と向かって頭を下げなければ。
それにしても……不在着信メッセージが想定より多く入っています。これは一度執務室に戻って本腰入れて処理しなければいけませんか。果たしてこの量を今日一日でさばき切れるのでしょうか。不安ですがやらねばなりません。
「"先生"、戻りまし――」
私が執務室に戻るのと、リンが発砲するのはほぼ同時でした。
私に発砲したわけではありません。リンは相対する者に向けて威嚇射撃したのです。
執務室の入口付近では連邦生徒会のリン、アユム、モモカがおり、少し離れた位置に"先生"が。その奥には……あの黒いドレスを身にまとった少女はシロコでしょうか? しかし私の記憶するシロコより少し大人びているような……。
「侵入者、ですか?」
どうやらアユムが目の前のシロコを侵入者だと判断したらしく、応援が駆けつけてきます。その中にはアビドスのアヤネの姿もありました。彼女は変わってしまったシロコを目の当たりにし、目を見開きます。
「――あ、れ……?」
「……」
「……し、シロコ……先輩……?」
目の前のシロコはアヤネに何も答えず、空間を歪めてワープゲートを形成します。その中へと入り込むシロコ。そんなシロコの名を呼びながら"先生"はシロコが消えた空間へと飛び込んでいきました。
慌てふためく連邦生徒会役員一同。しかし彼女たちの心配はすぐさま解消されることになります。程なく"先生"が向こう側から追い出されたことで。尻餅をついて尻をさする"先生"にアヤネがすがるような眼差しを送ります。
「せ、"先生"……シロコ先輩は……いったい……」
「つ、通路が……消えて、しまいました……」
私が駆け寄った時にはシロコが開いたワープゲートは閉じてしまいました。これでは転移先がどこかを観測出来ません。シャーレのオフィスにセンサーを張り巡らしているわけでもありませんし。
「っ……! シロコ先輩ー!!」
皆の心境を代表するようにアヤネの声がシャーレの中でこだましました。
成長したシロコの目は全てを諦め、絶望に染まっていました。それはまるで世界の滅亡を見届けた私たちイリアステルの4名にも似ていましたが、決して諦めなかった私たちとはまるで違いました。彼女はまるで救いを求めるようで……。
あと、彼女が発する雰囲気はこれまでのシロコとは全く異なっていました。死人として彷徨うユメや反転したホシノとも違います。強いて挙げるならアリウスで対峙したベアトリーチェが一番近いです。
だとしたらあのシロコは……。
「ユウセイ先生、一体何が……!?」
服を洗濯中のため私が用意したジャージ姿で現れたユカリ、そしてテフヌト。テフヌトは廊下からシャーレ執務室の中を覗き、アヤネの姿を視界に入れるなり、慌てて隠れようとします。しかしユカリの声に振り向いたアヤネがテフヌトを目撃してしまいます。
「せ……セリカちゃん……?」
名前を呼ばれたテフヌトは身体をびくっと反応させました。
新しい包帯で顔を含めた全身を多い、片方の目元のみ露出させた状態でもなおアヤネはテフヌトの正体を言い当てたのです。
「……。ごめん、人違い。黒見セリカだったら今アビドスにいるんじゃない?」
「っ! 何で、何でそんなこと言うんですか!」
踵を返して足早に立ち去ろうとするテフヌトへと駆け寄ったアヤネが彼女の手を取りました。テフヌトはアヤネの手を振りほどこうとはせず、今にも泣きそうなアヤネを見つめ返します。
「私がセリカちゃんを見間違えると思ってるんですか? どんなに変わってもセリカちゃんはセリカちゃんです……!」
「アヤネちゃん……」
困ったようだったテフヌトは観念し、アヤネに握られていない手をあげて降参だと意思表示しました。
仲良きことは美しいことかな。とはモモイがやっていたゲームでのセリフでしたが、今はそんなことを言っている場合ではありません。
"ユウセイ。どうやら私たちは互いに情報のすり合わせが必要みたいだね"
「そのようです。それもあまり猶予がないようで」
帰ってきたばかりですが、連邦生徒会のリンたちがシャーレに集合していることといい、先程のシロコといい、疲れが見て取れる"先生"といい、どうやらいない間に色々と起こったようです。
私たちシャーレにいた者たちは会議室に集まり、まずは私が滅亡した別世界のキヴォトスを旅したことを明かしました。そのキヴォトスは世界が崩壊してアーカイブ化されてしまったことも。
そして、唯一の生き残りがここにいるセリカだけとなり、彼女に全てを託してホシノが亡くなったことも告げました。あえて隠した情報はキヴォトスに上書きされた蜃気楼の街やベアトリーチェについて。これは"先生"とだけ後で共有しましょう。
「キヴォトスが滅亡……? 何が原因で? まさかこちらのように虚妄のサンクトゥムが出現して?」
「虚妄のサンクトゥム? ごめん、それが何かは分からない。少なくともアビドスは「セト」にやられた。"先生"が意識不明の間に色々な異変が重なって、最初にホシノ先輩が。次に私が、その次にアヤネちゃんが、最後にノノミ先輩が。私たちが無力だったからシロコ先輩を一人きりにしちゃって……」
キヴォトスで希望の象徴だった"先生"が不在だったために各所で発生した異変に対処できず、各学園は個々で対処するしかなく、やがて連鎖的に崩壊していった。そう考えるのが妥当なのですが、だとしてもアレほど徹底的になるでしょうか?
「え? ちょっと待ってください。セリカちゃんもって、今セリカちゃんは生きてるじゃないですか」
「違う。私は生きてないし死んでもいない。魂を現世に繋ぎ止めてるだけ。誘拐されて用済みになった私は……このカードが無くちゃもう駄目なの」
テフヌトがポケットから取り出したのは1枚のカードでした。
それはユメが操る《邪神イレイザー》、もう一つの世界でホシノが召喚した《邪神アバター》といった邪神と全く同じ力を秘めていました。
《邪神ドレッド・ルート》
ここでのイレイザーとアバターの在り方から察するに、これは《オベリスクの巨神兵》、すなわちセトの力が反転した邪神なのでしょう。多大な犠牲を払って「セト」を退治して得たカードなのでしょうか。
「そ、そんな……」
アビドスの皆が命を落としたことに衝撃を受けたアヤネが口元を手で押さえて震えました。それを見たテフヌトが慌てふためきながらアヤネを励まします。過酷な体験を経てもセリカはセリカのままなようで、少し安心しました。
「それで、滅びたキヴォトスを回って集めたカードが《未来皇ホープ》4枚……。これに何の意味があるか教えていただいても?」
「分からない。この《未来皇ホープ》がシロコ先輩たちを救う切り札になるって連邦生徒会長が言ってて……」
テフヌトの証言を聞いた私やユカリを除いた一同は騒然とします。あちらでは連邦生徒会長が失踪していないのもさることながら、シロコの名が出た途端にこの反応になったのは、先程姿を見せた大人びたシロコとも関係があるのでしょうか。
「そちらの連邦生徒会長がそのようなことを?」
「うん。「プレナパテス」ってやつに使えばいいらしいけれど、詳しくは教えてもらってないわ」
"プレナパテス!"
今度声を上げたのは意外なことに"先生"でした。
初めて聞く名詞に困惑する私たちをよそに"先生"は納得した様子でした。
……どうやら今回の私たちの異世界での旅はこちらとも関わるようです。
次に"先生"からこちらで起きていた異変について説明してもらいました。カイザーによるサンクトゥム占拠、虚妄のサンクトゥムの出現、先程姿を見せたシロコ、そして裏で糸を引いてるとされる「プレナパテス」のことを。
プレナパテス、または色彩の嚮導者。
"先生"はゲマトリアに属する黒服から教えてもらったそうです。
「色彩」の意志を代弁する存在、計画を遂行する実行者。黒服はその正体に心当たりがあるだろうとはベアトリーチェの憶測ですが、《未来皇ホープ》から察したとすれば、その者はもしかすると……。
「え、と。じゃああのシロコ先輩はこちらのシロコ先輩じゃなくてそちらのシロコ先輩ってことですか?」
"さしずめ並行同位体って言ったところだね"
そして、先ほど姿を見せたシロコはテフヌトの世界で「色彩」と接触。恐怖の領域へと反転した彼女は、命ある全てのものをあの世へと導く死の神アヌビスとなり、あの世界に殺戮と破壊をふりまき、終焉をもたらしたのです。
この世界に到来した「色彩」はここでもありとあらゆる神秘と恐怖、そして崇高を吸収し、やがてキヴォトスに存在する全ての神秘を恐怖へと反転させることでしょう。すなわちあのシロコと同じように。
"なら、私たちはそれを食い止めるだけだよ"
"先生"が私たちの方針、意志を代弁してくれました。
どんな困難、危機が立ちはだかろうと"先生"は諦めません。
それが生徒たちに見せる大人の背中というものなのでしょう。
私も負けてはいられません。
どんな現象にも必ずや要因があり、解明すれば解決への糸口が掴めます。
科学者であろうとデュエリストであろうと少ないチャンスを物にしてこそ勝利するものなのですから。
◇シロコ*テラー
使用デッキはメインは「アストラル」モンスター、エクストラは「エーテリック」モンスターで占められる【アストラル】
エースモンスターは《NO4エーテリック・アヌビス》
切り札は《NO10エーテリック・ホルス》、《NO13エーテリック・アメン》
しかし彼女にはとっておきのカードがある
本来シロコのデッキだった【青眼】はマフラーと共に失っている
◇セリカ*テラー(テフヌト)
使用デッキはセリカと同じ【ムーンライト】
エースモンスターは《月光舞猫姫》
切り札は《月光舞獅子神姫》(セリカの切り札は《月光舞獅子姫》)
ただしデッキ内に命を繋ぎ止める《邪神ドレッド・ルート》が入っている
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