◆三人称視点◆
「攻撃力1,000……。特別な効果は持たないようですが、私のシンクロモンスターに対抗出来ると?」
「ん、もちろん。これからランクアップしていく。その前に永続魔法《ランク・ドミネーション》を発動。これでランクを持たないモンスターは攻撃出来ない」
「……!?」
すぐさま迎撃態勢に入っていた《ジャンク・アーチャー》の動きが止まる。まるで空気が固まって拘束されたかのように。解放されたのは《ジャンク・アーチャー》が矢じりを《エーテリック・アヌビス》から逸らしたからだ。
Z-ONEともう一人のシロコが戦っている間も色彩の尖兵がZ-ONEの前に立ちふさがる。そんな機械兵やユスティナ聖徒会の複製を退けるのは多次元バリアを突破した際にアクセルシンクロ召喚した《スターダスト・ウォリアー》だ。
(《スターダスト・ウォリアー》をシロコへの攻撃に回せませんか……)
行く手を遮る敵を蹴散らすことでZ-ONEはDホイールを走らせられる。逆を言えば走り続けなければ瞬く間にシロコにインファイトに持ち込まれてZ-ONEは敗北するだろう。《スターダスト・ウォリアー》は次々に湧いてくる雑兵狩りに専念させるしかない。
「次に永続魔法《ランクアップ・アドバンテージ》を発動。これでエクシーズ召喚する度に1枚ドローできる。更に私は《RUM-アストラル・フォース》を発動。ランクアップ・エクシーズ・チェンジ。現れて、NOランク6。《エーテリック・アポピス》」
ランクアップされて出現する新たなモンスターエクシーズ。これでもまだ攻撃力を増した《ジャンク・ウォリアー》で対処できるランクだ。しかし、永続魔法の効果でドロ―しようとデッキトップに手を置くシロコの目はこれで終わらせないと語る。
「最強のデュエリストのデュエルは全て必然。ドローカードさえもデュエリストが創造する」
Z-ONEがシロコの宣言にぎょっとしたのも無理はない。それは"先生"やアロナが見せたドローカードの創造。万物の根源・設計図であるヌメロン・コードへのアクセスを意味するからだ。
「シャイニング・ドロー」
シロコのドローはまるで流星のように光を帯びてカードが引かれた。そしてシロコはそのドローカードの表面に視線すら向けず、そのまま魔法・罠ゾーンに置いて発動する。
「私は《RUM-アストラル・フォース》を発動」
「さらなるランク・アップ……!?」
「私はアポピスでオーバーレイネットワークを再構築。ランクアップ・エクシーズ・チェンジ。現れて、NOランク8。《エーテリック・セベク》」
攻撃力3,000は自身の効果で攻撃力を増した《ジャンク・ウォリアー》でぎりぎり処理できる値。これ以上ランクアップされては対処しきれない。Z-ONEはランク8である今のうちに処理するべく動く。
「私は《ジャンク・アーチャー》の効果発動。ディメンジョン・シュート!」
「ん、させない。そのモンスターは処理する」
「《くず鉄のかかし》でその攻撃は防ぎます」
「それもさせない。火力支援で行く」
シロコの攻撃を防ぐくず鉄のかかしが弾丸の雨あられを受けて砕け散った。除外から帰ってきたアヤネの軍用ヘリがガトリングガンで狙撃したのだ。その隙にシロコがノノミの重火器の銃口を《ジャンク・ウォリアー》へ向ける。
「ん、シロコ、行く」
「罠カード《シンクロ・アウト》を発動。《ジャンク・ウォリアー》を帰還させ、墓地よりシンクロ素材を特殊召喚します」
シロコが放った弾丸は《ジャンク・ウォリアー》がいた空間をすり抜けて壁に穴を開けていく。消えたシンクロモンスターに代わって出現したのは《クイック・シンクロン》と《スピード・ウォリアー》だった。
リリース・エスケープは不動遊星の時代には攻撃の巻き戻しが処理されるようになったので相手の攻撃には通じないが、デュエルではないリアルファイトになれば話は別。シロコを翻弄する形になる。
「手札から《ブースト・ウォリアー》を特殊召喚。レベル1《ブースト・ウォリアー》とレベル2《スピード・ウォリアー》にレベル5《クイック・シンクロン》をチューニング。シンクロ召喚! 粉砕せよ、《ジャンク・デストロイヤー》!」
「新たなシンクロモンスター……でも《セベク》の敵じゃない」
「《ジャンク・デストロイヤー》の効果でシンクロ素材となった非チューナー2体分までシロコのフィールドのカードを破壊します。タイダル・エナジー!」
「《エーテリック・セベク》の効果を発動。オーバーレイユニットを1つ取り除いて、手札からまたシャイニングドローした3枚目の《RUM-アストラル・フォース》を発動する」
《ジャンク・デストロイヤー》が胸部から放った津波の一撃でシロコの場の《ランク・ドミネーション》は洗い流された。しかし肝心の《エーテリック・セベク》はある一種のリリース・エスケープで逃げられてしまう。
「ランクアップ・エクシーズ・チェンジ。現れて、NOランク10。《エーテリック・ホルス》」
「そこです。私は《スターダスト・ウォリアー》の効果を発動。このカードを除外し、《エーテリック・ホルス》の特殊召喚を無効にし、破壊します」
「……!」
先陣を切っていた《スターダスト・ウォリアー》が光と化すとエクシーズ召喚された《エーテリック・ホルス》へと疾走、一刀両断した。爆発四散する《エーテリック・ホルス》を背に《スターダスト・ウォリアー》は光の粒子と化して消えた。
「《ジャンク・デストロイヤー》でダイレクトアタックします。デストロイ・ナックル!」
「ん、罠カード《昇華螺旋》を発動。墓地の《ホルス》を除外してランクが2つ高いモンスターエクシーズを特殊召喚する。現れて、NOランク12。《エーテリック・マヘス》」
「攻撃力4,000……」
「迎え撃って、《マヘス》」
《エーテリック・マヘス》が全身から放った閃光により《ジャンク・デストロイヤー》は熱殺され、爆破した。衝撃でZ-ONEの乗るDホイールが激しく揺らされるが、何とかバランスを保って走行し続ける。
Z-ONEはデュエルディスクで《エーテリック・マヘス》のテキストを確認。本来オーバーレイユニットになっているモンスターをフィールドに特殊召喚する効果を持っていることを把握し、《スターダスト・ウォリアー》の効果発動タイミングは間違っていなかったことを確信した。
シロコは《スターダスト・ウォリアー》の代わりに前を行く《ジャンク・ウォリアー》に向けてシロコのドローンを射出。無防備なその背中に向けて攻撃を開始した。《ジャンク・ウォリアー》は前方の色彩の尖兵にかかりっきりで後ろを振り向く余裕すらない。
「《シンクロ・ビリーバー》を手札から特殊召喚し、その攻撃を無効にします」
「……! ん、防がれた」
シロコの動きが阻害されて程なく、《スターダスト・ウォリアー》が帰還して代役を務めていた《ジャンク・ウォリアー》とバトンタッチする。再びZ-ONEと並走し、《ジャンク・ウォリアー》はシロコのランク12モンスターの前に立ちふさがる。
「チューナーモンスター《ジャンク・チェンジャー》を召喚。《ジャンク・ウォリアー》がフィールドにいるので効果でレベルを1つ上げます」
「合計レベルは10……来る」
「私はレベル5《ジャンク・ウォリアー》とレベル1《シンクロ・ビリーバー》にレベル4《ジャンク・チェンジャー》をチューニング。集いし輝きが空へと巡り、一筋の閃光と共に闇夜を切り裂く。光差す道となれ」
また新たなアクセルシンクロモンスター召喚に向けて加速するとシロコは予想していたが、ここにきて普通の超大型シンクロモンスターのシンクロ召喚。何が出現するかはシロコには想像も出来なかった。
「シンクロ召喚! いでよ、《サテライト・ウォリアー》!」
出現したのは4枚のソーラーパネルを背負った白と黄金に彩られた戦士。全身鎧といった風貌にも見えるが、その実まるで宇宙から大地を見下ろす観測衛星のように太陽光を吸収しない作りをしているようだった。
「ん、どんなモンスターを召喚しても《マヘス》の敵じゃない」
「そのモンスターエクシーズには退場してもらいましょう。《サテライト・ウォリアー》の効果を発動し、墓地のシンクロモンスターの数だけそちらのフィールドのカードを破壊します」
「……! なら、その前に《サテライト・ウォリアー》を粉砕する」
シロコが虚空より取り出した武器はZ-ONEにも見覚えがあった。確かヒナが愛用していたマシンガン、終幕:デストロイヤーではなかったか。アビドス生徒の遺品とも言うべき武器や軍用機を使っていたので所持していても不思議ではなかったが、これは完全にZ-ONEの予測を超えていた。
「まのんとろっぽ、だったっけ?」
シロコの放った一撃は《サテライト・ウォリアー》の胴体を引き千切り、爆破炎上した。しかし《サテライト・ウォリアー》もまた《エーテリック・マヘス》と魔法カードの破壊に成功し、退場となった。
本来はもっと簡潔に済ますはずだったZ-ONEとクロコの戦い。書き始めたらきりがなかったです。
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