Z-ONE先生のブルーアーカイブ5D's   作:福留しゅん

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Z-ONE、デルタアクセルシンクロする

 ◆三人称視点◆

 

 シロコはZ-ONEのフィールドががら空きになったことですかさずリアルダイレクトアタックを開始。Z-ONEは《シールド・ウィング》を召喚して何とか攻撃を凌ぐも、彼を守るシンクロモンスターがいないため、シロコはZ-ONEのDホイールへと疾走する。

 

「逃さない」

「そうはさせません」

 

 Z-ONEは機皇帝対策のためDホイールに装備させたキャノン砲を発射。まさかのDホイールからの攻撃に不意を突かれたシロコは大きく飛んで回避に成功した。その代わりにZ-ONEとの間合いを離されてしまう。Dホイールの破壊を試みるが《シールド・ウィング》が破壊されるに留まった。

 

 その間にZ-ONEは《エンジェル・リフト》により《フォーミュラ・シンクロン》を蘇生。《レベル・スティーラー》を蘇生させて場の《スターダスト・ウォリアー》のレベルを1つ下げた。

 

 更に《レベル・スティーラー》をリリースし、《ホイール・シンクロン》をアドバンス召喚。《ホイール・シンクロン》のレベルを《レベル・スティーラー》の効果で1つ下げて《レベル・スティーラー》を蘇生。合計レベル5で《ジャンク・スピーダー》をシンクロ召喚する。

 

「墓地の《ホイール・シンクロン》を除外して《スターダスト・ウォリアー》のレベルを更に4つ下げます」

「これで合計レベルは12……。まさか、外にいるドラゴンみたいなやつを……!」

「すぅー……ふぅー……。トップクリアマインド!」

 

 Z-ONEはシロコを振り切る勢いで加速を開始する。この現象はシロコもこのキヴォトスで発生した出来事の情報をゲマトリアから入手しているため、知っている。知っている筈だが、ただのアクセルシンクロではないと直感で分かった。

 

「何をするつもり……!?」

「レベル5となった《スターダスト・ウォリアー》とレベル5《ジャンク・スピーダー》に、レベル2シンクロチューナー《フォーミュラ・シンクロン》をチューニング! 集いし星が絆を繋ぎ、祈りと共に――」

「ん、アクセルシンクロなら加速を妨害すればいい。来て、色彩の尖兵」

 

 突如として壁を破砕して現れたのはデカグラマトン1番目の預言者ケテル。しかしただのケテルではない。虚妄のサンクトゥム防衛のために出現したビナーたちと同じく色彩が反転した複製体、色彩化ケテルだ。

 

 他の預言者と違ってケテルは中型のロボット。故にアトラ・ハシースの箱舟の中でも無理なく運用できる。奇襲攻撃に対処するには減速するか《スターダスト・ウォリアー》で迎撃しなければいけない。

 

 そう見込んでZ-ONEが減速するのを待ち構えていたシロコだったが、Z-ONEの加速はそんなケテルの強襲すらかいくぐるほどだった。巧みなハンドルさばきはかつてロードバイク乗りだったシロコすら舌を巻くほどだった。

 

「――未来へ駆ける! 光さす道となれ! デルタアクセルシンクロォ!!」

 

 Z-ONEが3体のシンクロモンスターとともに光となり、追走するシロコの前から消えていった。そして次の瞬間にはシロコの背後に出現、瞬く間に彼女を抜き去っていく。Z-ONEが従えたモンスターは1体だけとなっていた。

 

「生来せよ、《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》!」

 

 それはかつてZ-ONEの世界における不動遊星が到達した境地により召喚された救世の竜。どこまでも孤高でどこまでも美麗。一体どれほどの人が不動遊星とこの竜に希望と未来を見出したことだろうか。

 

 機皇帝対策には《シューティング・スター・ドラゴン》で充分だったのでZ-ONE自身がこの竜を召喚したことは指をおる程度しか無かったが、対面して改めて思い知った。Z-ONEが対峙した不動遊星が見つけ出した絆の竜とは在り方が全く異なると。

 

(ジャック・アトラスや十六夜アキらは本来の時間軸にもいたでしょうに。本来の不動遊星は一体どのような道を駆け抜けていったのでしょうか……)

 

 感慨にふけるのもつかの間。Z-ONEはタイヤをすべらせてUターン。今度はシロコ目掛けて疾走する。対するシロコは《エクシーズ・リボーン》を発動して《エーテリック・マヘス》を蘇生。迎え撃つ算段を立てていた。

 

「私は《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》で《エーテリック・マヘス》を……」

「ん、《マヘス》で反撃する」

「――対象に効果発動。《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》をコストで除外し、《エーテリック・マヘス》の攻撃を無効化してバトルを終了させます」

「え?」

 

 《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》が蜃気楼のように消えると《エーテリック・マヘス》は沈静化。その間にZ-ONEはシロコをすり抜けてそのまま疾走。シロコとの戦闘で離れた遊星ギアへと戻っていく。

 

 シロコもまた追いかけようと反転するが、通路の遠く向こうから別の戦闘音が聞こえてきた。シロコがデュエルディスクを介してアトラ・ハシースの箱舟内の状況を確認すると、"先生"が生徒を連れてこちらに向かっているようだ。

 

「……。時間切れ。一時退却する」

 

 "先生"たちが姿を見せた頃にはシロコは空間跳躍を終え、その場からいなくなっていた。取り残された色彩化ケテルはアリスのスーパーノヴァから放たれた一撃で粉砕。本物と同じく背後にワイヤーを射出して撤退した。

 

「うっわぁ、すっごい戦闘跡!」

"ユウセイ、随分と派手に戦ってるみたいだね"

「最初の次元エンジンまでまだ先です。急ぎましょう」

 

 ゲーム開発部一同と引率の"先生"が姿を見せ、破壊された色彩の尖兵を避けながら進んでいく。Z-ONEが粗方蹴散らしてしまったので"先生"たちは特に激しい戦闘もせずに第1エリアの次元エンジンまで到達した。

 

 そこで"先生"が目撃したのは、ちょうどZ-ONEが次元エンジンを停止させているところだった。そんなZ-ONEの傍らで彼を守るように飛ぶ《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》を見たアリスは歓声を上げる。

 

「見てくださいケイ! アリスの《コズミック・クェーサー・ドラゴン》そっくりです!」

「アレはデルタアクセル・シンクロモンスターの《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》。かつて不動遊星というデュエリストが従えていたシンクロの極致です。ユウセイ先生も以前ミレニアムで私たちにカードだけ見せてくれましたか」

「へええ、これがユウセイ先生のデルタアクセル・シンクロモンスターなんだー」

「やっぱりユウセイ先生は凄いです!」

 

 機皇の天敵であるアクセルシンクロモンスターを超えた存在を前にしてもケイは落ち着いている。3体の機皇神がアクセルシンクロキラーとして設計されたように、アリスやケイはデルタアクセル・シンクロキラーとして"会長"に設計されている。Z-ONEや"会長"がいた世界で過去に確認された2体、《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》やもう1体のデルタアクセル・シンクロモンスターが立ちはだかろうとアリスやケイの敵ではない。そんな確信があってのことだ。

 

 《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》ではしゃぐアリスやモモイたちに気づいたZ-ONEは次元エンジンの操作パネルから離れ、"先生"たちへと歩み寄る。その間にデュエルディスクにセットしっぱなしだったカードを回収。《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》の姿は消えた。

 

「お疲れ様でした、"先生"。無事にやってこれたようで安心しました」

"アリスたちみんなのおかげだよ。ユウセイの方こそお疲れ様。激しく戦ったみたいだけれど、大丈夫だった?"

「問題ありません……と言いたかったのですが、あのシロコが現れてだいぶ苦戦しました。何とか退けられましたが、おそらく彼女はまだ本気を出していません」

"……それは気をつけないとね。次元エンジンは壊さないでも停止出来るんだ"

「遊星ギアの停止コマンドでしたら私のIDでも受け付けますからね。「名もなき神々」が我々の技術を参考にする際、ブラックボックスがそのままになっていたのは幸いでした」

 

 "先生"は周囲に視線を走らせ……見つけた。広大な第1次元エンジンエリアで激しい戦闘を繰り広げているもう一人のセリカことテフヌトとセリカ*ミメシス。単純な戦闘能力ではテフヌトの方が遥かに勝っていたが、その分セリカ*ミメシスは色彩の尖兵による物量作戦で押し返している。

 

「テフヌトの護衛は私がしますので、"先生"たちは次のエリアに進んでください。リオたちの方にもう一人のシロコが現れれば対処しきれなくなるかもしれません。ですがくれぐれも無茶はしないように」

"分かったよ。でもユウセイこそ気をつけてね。ユウセイったらまっさきに自分を天秤にかけそうだしさ"

 

 "先生"たちがその場をあとにし、残るはZ-ONE、テフヌトのみとなる。テフヌトは"先生"がいなくなったのを視界の端で確認し、初めてデュエルディスクを展開した。これまでセリカ*ミメシス側がデュエルモンスターズのモンスターも召喚していたにもかかわらず、だ。

 

「《マジックカード「クロス・ソウル」》を発動するわ。そっちのモンスター3体を生贄に捧げる」

 

 セリカ*ミメシスのそばには無尽蔵にポップする雑兵がいる。そのうちの3体をリリース素材にされたところで痛くも痒くもないのだが、3体同時にリリースして召喚されるモンスターが現れるとなると警戒に値する。

 

 しかし、セリカ*ミメシスは真の意味では知らない。3体のモンスターを生贄に捧げて降臨する存在のことを。そしてアビドスにとってそんな神々がどれほど重要な位置にいるかなど。

 

 それも当然だ。ホシノはラーを手足のように扱うしシロコやノノミは神などに頼らない。もし神を崇め奉れなどと言われたところでピンとこない。だから神がどれほどの存在かセリカは実感がわかないでいる。それは良い時代の流れであり……、

 

「降臨しなさい。《邪神ドレッド・ルート》」

 

 致命傷に繋がりかねない悪い事態でもあった。




《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》の初登場は本概念のラストデュエルを予定していたのですが、筆が乗ったらこうなりました。

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