Z-ONE先生のブルーアーカイブ5D's   作:福留しゅん

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リオ、デルタアクセルシンクロに成功する

 ◆三人称視点◆

 

「ユウセイ先生のIDなら「アトラ・ハシースの箱舟」に正規にアクセス出来る。なるほど、主やユウセイ先生の予測通りでしたね」

 

 粗方の雑魚を蹴散らしたマルクトはコンソールを操作して次元エンジンを停止させた。マルクトへハッキングを仕掛けた白い少女は今なおデカグラマトンと他の預言者たちが食い止めている。まだ保つだろう。

 

 視線を送った先ではちょうどユウカがノノミ*ミメシス相手にとどめの一撃を放っているところだった。《水晶機巧-グリオンガンド》のダイレクトアタックでノノミ*ミメシスは機能を停止。力なくその場に崩れ落ちた。

 

 そして2人は"先生"たちと合流し、第3の次元エンジンのもとへと向かう。

 

「へえ。デルタアクセルシンクロ、ねぇ」

「そうそう! ユウセイ先生の《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》、すっごく格好良かったんだから!」

「でもアリスちゃんの《コズミック・クェーサー・ドラゴン》も凄かったよ。みんな良く言う神にも匹敵する一撃って感じでさ」

「もしかしたらアリスはクリアマインドを教えたリオ会長を超えちゃったんじゃない?」

「師匠超えはゲームでもよくある展開ですけど、リオ師匠ならアリスより先を走ってるに違いありません!」

 

 マルクトがほぼ一方的に敵を蹂躙するのでゲーム開発部とユウカは進行中も雑談するほど余裕があった。もっぱらZ-ONEと同行したユウカがこれまでの経緯をモモイたちに聞く形だ。

 

 アクセルシンクロには先がある、とZ-ONEは断言した。ユウカは半信半疑だったがリオが正しいと確信していたようなので何も言わなかった。アリスが証明したことは喜ばしかったが、進化の加速がやや早いのでは?との不安もよぎった。

 

「「TG」のデルタアクセル・シンクロモンスターかぁ。どんな感じなんだろ?」

「機械族のデッキだから大きな機械竜がどーんと現れるとか?」

「それじゃあ《サイバー・ドラゴン》と被っちゃうよ……。巨大ロボットとか?」

「はい! アリスはリオ師匠のデルタアクセル・シンクロモンスターには勇ましく勇者パースしてほしいです!」

「いっそロボットを引き潰せるぐらい巨大バイクでも……」

 

 モモイたちが好き放題言い合っていると、通路の奥から衝突音や銃声が聞こえてくる。それも急速な勢いで第3次元エンジンへと向かう"先生"たちへと近づいているようだった。

 

 やがて"先生"たちの視界にも音の発生源が見えてきた。Dホイールを走らせるリオと彼女を追走するもう一人のシロコ。彼女たちが激しい攻防を繰り広げているようだが、シロコを振り切る勢いでリオが更に加速を始めた。

 

「トップクリアマインド! レベル5《TGオーバー・ドラグナー》とレベル5《TGハイパー・ライブラリアン》にレベル2シンクロチューナー《TGマイティ・ストライカー》をチューニング!」

「3体のシンクロモンスターでシンクロ召喚……! じゃあリオも……!」

「リミッター開放、レベルマックス。レギュレーターオープン・オールクリアー。無限の力、時空を突き破り、未知なる世界を開け!」

 

 リオはデュエルディスクにセットされた3枚のシンクロモンスターのカードを墓地に送り、エクストラデッキからカードを1枚取り出した。その白紙のカードは加速が限界を突破した直後、書き換わる。

 

「デルタアクセル、承認!」

 

 リオと3体のシンクロモンスターの姿が消え、空間を超えてシロコの背後に出現。瞬く間に追い抜いていく。リオの傍らには1体の鋼鉄の機械戦士が控え、巨大なハルバードを回転させてから構えを取る。奇しくもアリスが予測したような勇者パースだ。

 

「随行なさい、《TGハルバード・キャノン》!」

 

 リオはDホイールにブレーキをかけたうえでタイヤを滑らせて急停止。"先生"たちのすぐ前で止まった。シロコも勢いに任せて突撃しようとはせず、リオと距離を置いて速度を落とす。

 

「そっちがその気ならこっちも《RUM-アストラル・フォース》を発動する。ランクアップ・エクシーズ・チェンジ。現れて、NOランク10。《エーテリック・ホルス》」

「《TGハルバード・キャノン》の効果を発動。《エーテリック・ホルス》の特殊召喚を無効にして破壊するわ。クローズサモン!」

 

 《TGハルバード・キャノン》は胸にエネルギーを収束させ、ビーム砲を放った。召喚されたばかりのモンスターエクシーズに命中、爆破四散する。爆風に飲み込まれたシロコは目元を覆いながらも足を踏ん張って耐える。

 

「召喚無効効果……。ん、なら罠カード《昇華螺旋》を発動。墓地の《ホルス》を除外してランクが2つ高いモンスターエクシーズを特殊召喚する。現れて、NOランク12。《エーテリック・マヘス》」

「残念だったわね。《TGハルバード・キャノン》の効果はシンクロ召喚の素材にしたモンスターの数だけ発動できるの」

「複数回妨害……!?」

「《エーテリック・マヘス》の特殊召喚も無効にして破壊するわ。クローズサモン!」

 

 《TGハルバード・キャノン》は再び胸にエネルギーを収束させて放たれたビーム砲は更にランクアップしたモンスターエクシーズを登場の直後に撃墜する。そんな最上級ランクのモンスターエクシーズを処理してもリオは油断も容赦もしない。

 

「《TGハルバード・キャノン》でダイレクトアタック!」

 

 《TGハルバード・キャノン》が変形を始め、ハルバードがまるで砲塔のようになりシロコへと向けられる。そしてエネルギー充填も無しにエネルギー砲を速射する。

 

 シロコは手札から何かしようとしたが、《TGハルバード・キャノン》の召喚無効効果はあと1回残されている。そのためシロコは対抗するのを諦めて空間を割った先へと飛び込んだ。空間の割れ目が消えたところをエネルギー砲は通過する。

 

 リオは周囲一帯をスキャンして残存勢力が無いこと、そしてシロコの撤退を確認し、デュエルディスクからカードを回収する。主攻の《TGハルバード・キャノン》と護衛の《TGトライデント・ランチャー》が消えたところでヘルメットを脱ぐ。汗で濡れた顔に後ろにあげていた前髪が垂れた。

 

「……逃げられたわね」

「さすがリオ師匠です!」

 

 そんなリオの耳に真っ先に入ってきたのはアリスの感嘆だった。純真に目を輝かせてリオを見つめている。リオは思わずたじろぎそうになったが、Dホイールに乗ったままなので上半身だけ若干ひいただけになった。

 

「リオ師匠もトップクリアマインドの奥義に到達したんですね!」

「ええ。アクセルシンクロを超えたシンクロ……デルタアクセルシンクロ。ユウセイ先生が言っていたことは本当だったわ。アクセルシンクロが到達点だとばかり考えていたけれど、まだその先に新しい世界が広がっていたなんてね」 

 

 リオが召喚した《TGハルバード・キャノン》はZ-ONEから渡された2枚のカードのうちの1枚だ。あの時はまだ白紙のカードでしかなかったが、デルタアクセルに成功して書き換わっている。もう1枚の召喚にも成功しているが、2体並べるより堅実に《TGハルバード・キャノン》と使い分ける方がいいだろうと判断している。

 

「……? ちょっと待ってちょうだい。私「も」?」

「ぱんぱかぱーん! アリスも勇者の奥義を習得しました!」

「アリスの召喚した《コズミック・クェーサー・ドラゴン》は今私たちをここまで運んだ船、「ウトナピシュティム」の傍にいます」

「あ、それとさっきユウセイ先生の《コズミック・ブレイザー・ドラゴン》も見てきたよ! すっごく格好良かったんだから!」

「……! なるほどね。だからあのシロコは私がデルタアクセルシンクロをしてあんな反応を見せていたのね」

 

 積もる話は行きながら、ということで"先生"一行は次元エンジンへと向かった。ちょうどユカリがアヤネ*ミメシスのモンスターを《BF-フルアーマード・ウィング》で破壊して勝利しているところだった。

 

 リオが次元エンジンのコンソールを操作して機能を停止させる。そしてZ-ONEのID権限によりロックを掛け、再起動出来なくした。リオやヒマリはおろかデカグラマトンだろうと「アトラ・ハシースの箱舟」のクラッキングは容易ではないだろう。

 

「ユウセイ先生がアリスの保管されていた区画に入れたのはアリスの基本設計者の同僚だったからなのね。おかげで箱舟でもそこそこの事が出来て便利よ」

「ところでリオ。何故次元エンジンを破壊せずに停止させているのですか? これではもう一人のシロコが空間転移でコンソールをいじれば再起動されてしまいます」

「ヒマリは次元エンジンを破壊したうえでクラックングを仕掛け、「アトラ・ハシースの箱舟」を自爆させようとしているんでしょう? デカグラマトンも懸念していたけれど、私もあまり賛同できないわ」

「どうしてですか?」

 

 リオはおしゃべりもそこそこにユカリにDホイールの座席に乗るように促した。ヒマリは次元エンジンを破壊しないリオの処置が半端だと非難するが、そんなヒマリをリオは逆に否定する。

 

「「アトラ・ハシースの箱舟」を掌握して運用する何者かへの対策よ。プレナパテスかもしれないし、三人目がいるのかもしれない。少なくとももう一人のシロコではないわ。マル、貴女を乗っ取ろうとしているでしょうクラッカーは今どうなっているのかしら?」

「主と他の預言者が交戦中です。主の予測通り一筋縄ではいかないもようです」

「……。誘い込んだLINK VRAINSの様子、映像で映せない?」

「容易いことです」

 

 マルクトは自分の武装に搭載したソリッドビジョン機能を起動し、中の映像をミニスケールで投影した。そこではデカグラマトン2番目の預言者コクマーが熱線を吐き出していた。対峙するのは4体の影人、そして後方に2体の影人、後列に黒の制服を来た謎の白い少女がいる。

 

 合計6体の影人の動きはモモイたちやリオ、そしてユカリに見覚えがあった。コクマーの火炎を防いでいるのは百鬼夜行のシズコで、呼び出したターレットで攻撃しているのはミレニアムのウタハだ。メインアタッカーはトリニティのサオリだろうか。

 

「解析完了。敵が召喚した影人はキヴォトスの生徒が再現された情報体です。あの人型には物理現象を起こせるほど超圧縮された膨大なデータが詰まっています。"先生"がビナーたちにやったように生徒を指揮して預言者たちを攻略しているのかと」

「マル。その白い少女を拡大してちょうだい」

「了解。縮尺スケールを5倍にします」

「……! ……。これは正直、当たってほしくなかった最悪の可能性よ」

 

 マルクトにクラッキングを仕掛けた謎の白い少女の容姿を目の当たりにしたリオは思わず悲観的意見をつぶやき、通信越しで確認したヒマリは思わず頭を抱えてうなだれてしまった。

 

 謎の白い少女のアバターは、まるでLINK VRAINSであのZ-ONEとデュエルを繰り広げた少女、"先生"の持つオーパーツのタブレット「シッテムの箱」に常駐するメインシステムのアロナそっくりではないか。

 

「私たちはシッテムの箱の同型機、または姉妹機も敵に回しているのね」

 

 リオもヒマリも、発覚した敵に全く勝てる気がしなかった。




アビドス生徒のミネシス体がセリフの無い尺稼ぎモブキャラになってますが、次の戦いをやらせたいのです。

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