Vol.4 カルバノグの兎編2章 OP 遊戯王ZEXAL OP3より 魂ドライブ
(ススメススメ)
"先生"とアロナ
(間奏)
"先生"、アロナ、RABBIT小隊の4名
ヴァルキューレの4名
(ナアトモヨ)
"先生"とアロナ
(ナアトモヨ)
暗い中で座るゼアル先生→横たわるクロコ
(フリカエル)
リン、モモカ、アユムの3人
(ボクラー)
シッテムの箱の教室から外を見下ろすプラナ→Z-ONE
(ヨミガエレ)
クルミ→ニコ
(トキハナテ)
"先生"とアロナ→究極体ZEXAL化
(ススメススメ)
ユキノ
(トモニユコウ)
カヤ、背後にはシルエット状態の《極神聖帝オーディン》
(ハシレハシレ)
"先生"とZ-ONEとクロコ(背後にゼアル先生)
(トモニユコウ)
ミヤコ→ユキノ→RABBIT小隊→FOX小隊の順
(ドンナトキモ)
"先生"とアロナ
背後にはジェネラルとカヤ
◆三人称視点◆
連邦生徒会会議室。ここではD.U.区を初めとするキヴォトス中の様々な課題について議論が行われていた。その日もまたカイザーコーポレーションによるサンクトゥムタワー占拠を初めとする問題について討論され、既に開始から八時間半もの時間が経過していた。
「……どうやら、これ以上議論を続けるのは難しそうですね」
そんな一向に片付いていかない議題に辟易したのか、防衛室長のカヤが口火を切った。
「首席行政官。今日はここまでにして、後日再開するのはいかがですか? みなさんも、少し考える時間が必要でしょうから」
「……分かりました。本日は一旦閉会としましょう」
結局この日も大した進展も見られずに中断となった。会議室から出て疲れからため息を漏らしたリンにカヤが声をかける。
「議論する場だというのに、揃いも揃って自分の言いたいことばかり……。全員の意見を調整する首席行政官の心中お察しします」
「仕方ありません。こうなったのは私の責任でもありますから」
「……わざわざ役員の同意を求める必要はあるのでしょうか?」
カヤは問う。リンは現在連邦生徒会首席行政官であるが同時に連邦生徒会長の代行でもある。ならその権威を行使すれば手間取ることなく仕事をこなせるのではないか、と。
これに対してリン、それは毒杯のようなもので、自分の意見を押し通すために権威を掲げて他人を抑圧することはできない、と反論する。あくまで自分は連邦生徒会長不在の連邦生徒会をまとめる役を全うするだけだ、と。
「……やはり、あなたには連邦生徒会長代行の資格がありません」
「……。防衛室長、これはいったい?」
そんなリンに対して、カヤは銃を突き付けた。
「今、このキヴォトスの治安が悪化の一途を辿っているのも、この前カイザーグループにしてやられたのも、全部リンが悪いのですよ」
「と、言うと?」
「原因を辿れば連邦生徒会長の失踪が発端ですね。あなたは連邦生徒会の威信をかけて彼女の捜索にリソースを費やした。防衛室傘下のヴァルキューレもかなりの人数が割り当てられました。なら代わりに会長がいなくなって宙ぶらりんになったSRTを使わせてくれと言ったら、なんとSRTを解散させたじゃないですか」
「……連邦生徒会には会長が必要です。最優先事項にするのは当然でしょう」
「そのせいでキヴォトスは滅びかけました。責任も取らずにのうのうとしているリンに代行の座に居座り続ける能力があると自分で思っているんですか?」
「……未だ行方不明の彼女の居場所を守るのが首席行政官の役目です」
「ええ。「首席行政官」としては私も評価しますよ。「連邦生徒会長代行」にふさわしくない、と言っているんです」
窓の外は雨が降りしきる。風も吹いているのか、雨が窓に打ち付けられ、静寂な廊下を雨と風の音が支配する。リンはカヤを見つめ、カヤはリンに銃を向けながら見据える。
「ところで話は変わりますが、リンは会長が何故いなくなったか分かりますか?」
「さあ? 手紙には書かれていませんでしたから」
「言い方を変えます。リンは会長が何に向き合っていたか存じていますか?」
「……質問の意図が分かりかねますが」
カヤは銃を持っていないもう片方の手でカードを取り出し、リンに見せた。それはカヤのフェイバリットカードである《極神皇ロキ》、三極神の一角だった。そしてカヤは自分の目を大きく見開き、瞳のルーンを見せつける。
「私は神の加護もあって、会長が世界を改変してもある程度の記憶を継承出来ているんです」
「世界を改変? 会長が? 突拍子もない話ですね」
「「ヌメロン・コード」にアクセス出来る超人なら可能です。そうして彼女はキヴォトスが滅亡する度にやり直して、やり直して、やり直し続けた。結果としてシャーレの先生に全部委ねることが最善だと結論付けて、自分は姿を消したんです。これが真実ですよ」
「……つまり、シャーレの先生が上手くやっているうちは、いくら探そうが彼女を見つけ出すことは無理だ、と言いたいんですか?」
「ですから、連邦生徒会長の帰還を前提とする暫定体制の維持は無益です。速やかに新体制を構築し、ふさわしい人物が代行を務めるべきでしょう」
カヤは《極神皇ロキ》を持つ手でリンを指差す。
「リンだって私の三極神や会長の夢幻虚神に匹敵する神のカードの所有者ですよね。これまで頑なに出そうとしていませんが、私のルーンの瞳は誤魔化せません。なら、リンだって世界改変前に何が起こったかは幾ばくか記憶を継承している筈です」
それはZ-ONEの世界でイリアステルが歴史を操作したことで世界が改変された際、シグナーである不動遊星たちとルーンの所有者であるチームラグナロクのメンバーのみ改変前を覚えていたことと同じだった。
その話をカヤはZ-ONEから聞いていないが、カヤは自分に起きたならリンや他の神のカードを持つ生徒会役員数名にも起こっているだろうと推測している。キヴォトスが何度も滅亡した前回までの経験を得ている、と。
「随分と私を買っているのですね。でしたらこれまでの私の行動が会長が望んだ最善の選択肢だったかもしれませんよ」
「結果論です、と断定するには判断材料がありませんか。エデン条約やSRTを無責任にかなぐり捨てたことといい、まるでそうしないとキヴォトスが滅んでしまうと知っていての所業だと思っていたのですが」
「では、今カヤが私に銃を向けているのも、そうしないとキヴォトスが滅んでしまうからですか?」
「さあ?」
「「さあ?」?」
カヤは《極神皇ロキ》のカードを胸ポケットにしまい、代わりに片手で器用にタブレットを操作する。すると画面に表示されたのはツリー表示されたこれまでのキヴォトスの歴史だった。その殆どが途中でバツ印が付いている。
「ご覧の通り、「アトラ・ハシースの箱舟」攻略成功にこぎつけるまでに大半の世界で失敗に終わっていますので」
そこにはエデン条約締結の際に覇王龍ズァークが出現した世界線、名もなき神々の王女が覚醒した世界線、カイザーがキヴォトスを掌握したものの虚妄のサンクトゥム出現になすすべがなかった世界線など、様々な可能性が記されていた。
「……カヤのクーデターでキヴォトスにどのような影響が出るか、のデータが揃っていない、と。ならどうして今回このような真似を?」
「会長が戻ってきていない。つまりキヴォトスの危機はまだ終わっていないってことです」
「……!」
アトラ・ハシースの箱舟での決戦を終えてもなお連邦生徒会は行方が分からない連邦生徒会長を探し続けたが、依然として手がかりすら掴めていない。もはや神隠しにでも遭ったと結論付けた方が納得できるほどだ。
「私がリンに取って代わる目的は主に3つ。その内の1つがキヴォトスの治安を速やかに回復させることです。いつまで大人の責任におんぶ抱っこのままシャーレの先生に負担を押し付け続けるつもりですか?」
「それ、は……」
「"先生"は大人、子どもと明確に区切っていますが、私たちはもう一年足らずで大人の仲間入りする年ですよ。リンは子どものまま大人になるつもりですか?」
リンの背後から連邦生徒会役員が複数名現れる。明らかにリンの助太刀に来たのではない、という雰囲気でリンに詰め寄り、左右から挟むような形でリンを囲む。リンは左右に視線を移しながらも特に抵抗はしなかった。
「と、いうわけでリンには望み通り引き続き首席行政官の責務を全うしてもらうことにして、連邦生徒会長代行としては退場してもらいます」
「そうですか。ここまで強行するぐらいですから、既に他の役員の支持は得ているのでしょうね。でしたら私からは特に何も言うことはありません」
「おや。わがままを言って権力にしがみつくことはさすがにしないとは思っていましたが、予想より潔いですね。お手並み拝見のつもりですか?」
「連邦生徒会長として相応しい能力がある人がいたなら喜んで席を譲りましたよ。しかしそんな超人は会長を除いて他にいません。私やカヤ、貴女を含めてもね」
「っ……。私は超人ではない、と?」
「そうです。それはカヤ自身が一番良く分かっているでしょう」
リンは左右の連邦生徒会役員に距離を離すよう厳しめの声で求め、役員たちは気圧されて数歩退く。それからリンは両手を軽く上げ、大人しく連邦生徒会役員に連行されることに同意すると意思表示した。
「いいですよ。私を引き続き首席行政官にするつもりなら私はカヤを補佐します」
「本当ですか! リンが片腕になってくれるなら私も心強いですよ! いやー、分かってもらえて嬉しいですね。他の役員どもにも見習ってほしいぐらいです」
「では一点だけカヤに引き継ぎを。こればかりはレポートや日誌ではなく、直に伝えなくてはいけません」
「? 分かりました。聞きましょう」
リンは周囲に視線を走らせ、この場に自分を連れて行こうとする連邦生徒会役員以外は自分とカヤの二人きりであることを確認する。そのうえで彼女はカヤへと歩み寄った。依然として銃は向けていたが、カヤもリンに発砲しようとはしなかった。
「……今の連邦生徒会長は、キヴォトスの「敵」です」
「……!?」
一体何を言っているのか。カヤはすぐには理解できなかった。
冗談か、それとも自分を動揺させようとする嘘か疑ったが、違うと直に断じた。
リンの目は本気だ。リンは明確に連邦生徒会長に敵意を向けていた。
「連邦生徒会長が姿を見せたら、速やかに貴女の神で排除するように」
「待ちなさいリン! あなたは一体何を知って……!」
リンはそれ以上何も語らず、大人しく連邦生徒会役員に連行されていった。
一人残されたカヤは自分の思惑通りことが進んでいたにも関わらず、まるで自分が敗北者になったような気分になった。
「連邦生徒会長がキヴォトスの「敵」? 一体何を血迷ったことを。彼女ほどキヴォトスを愛し、キヴォトスを想っている人などいませんよ」
なら、連邦生徒会長の身に何かが起きた?
それをリンは知っている?
いくら考えようとカヤは結論にたどり着けない。
自分の神に問いかけても神はこれ以上何も教えてくれない。
「……やはり私の神だけでは不十分。計画は進めなければいけませんか」
カヤはひとりごちて踵を返し、連邦生徒会長室へと向かった。
これからやることは山積みだ。悩んでいる暇などない。
なぜなら、自分こそ連邦生徒会長という超人の後釜に相応しいのだから。
カルバノグ2編の評価は今も議論されてますが、少なくとも隣国の当時の情勢だったり原語版だったりを理解しないと不十分らしいです。難しい。
ご意見、ご感想お待ちしています。