Z-ONE先生のブルーアーカイブ5D's   作:福留しゅん

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カンナ、新テーマで事件を解決する

「これは……あまりに無法すぎますね」

 

 試作した新テーマである【K9】デッキのテストプレイのためD.U.区の街へと足を運んだカンナと私は、早速カヤの新政策で不満を爆発させた者が起こす騒動の現場に遭遇。カヤが鎮圧のために【K9】デッキを使用したのですが……、

 

「作戦を開始する。私の先攻! 私は《K9-04号 咒》を自身の効果で妥協召喚する。《K9-04号 咒》の効果を発動し、デッキから《K9-66a号 ヨクル》を特殊召喚し、効果で《K9-66b号 ランタン》をデッキからサーチする」

 

「私はレベル5の《K9-04号 咒》と《K9-66a号 ヨクル》でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚! 出動せよ、ランク5! 《K9-17号 "Ripper"》!」

 

「《K9-17号 "Ripper"》の効果を発動。オーバーレイユニットを1つ使い、《K9-17号 イヅナ》をサーチ。手札の《K9-66b号 ランタン》の効果を発動し、《K9-66b号 ランタン》と墓地の《K9-04号 咒》を特殊召喚する」

 

「《K9-66b号 ランタン》の効果を発動、永続魔法カード《"Case of K9"》をデッキからサーチし、そのまま発動する。効果で2枚目の《K9-66a号 ヨクル》をサーチする」

 

「《K9-04号 咒》のもう一つの効果を発動する。《"Case of K9"》を墓地に送り、おまえの手札を確認させてもらう。さあ、直ちに提示しろ」

 

「……手札誘発カードは無しか。では《K9-04号 咒》と《K9-17号 "Ripper"》をリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン。召喚条件はカード名が異なるモンスター2体。リンク召喚! リンク2、《アーティファクト-ダグザ》!」

 

「手札の《K9-66a号 ヨクル》の効果を発動! このカードと《K9-17号 イヅナ》を見せ、2体を特殊召喚。特殊召喚に成功した《K9-17号 イヅナ》の効果を発動し、デッキから《K9-00号 ルプス》を墓地に送る」

 

「フィールドで効果が発動されたことで《アーティファクト-ダグザ》の効果を発動する。デッキから《アーティファクト-ミョルニル》を魔法&罠ゾーンにセット。《アーティファクト-ダグザ》と《K9-66b号 ランタン》をリンクマーカーにセット。リンク召喚、《閃刀姫-アザレア》。効果で自身と《ミョルニル》を破壊する」

 

「更に、レベル5の《K9-66a号 ヨクル》と《K9-17号 イヅナ》でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚! 現れろ、ランク5! 《召煌女クインクエリ》!」

 

「《召煌女クインクエリ》の効果を発動。《アーティファクト-ミョルニル》を相手のフィールドに特殊召喚する」

 

 自分でデザインしておきながら何ですが、これは酷い。

 1枚初動で相手の特殊召喚をロックする盤面を構築できるとは。

 

 「K9」をサーチする手段は豊富なため、この光景は頻繁に見れるでしょう。

 加えて、残った手札で自分の盤面を固くすれば言う事無しです。

 もし手札誘発カードがあった場合は展開ルートを変えればいいだけです。

 

 それと、ここはキヴォトスであり、純粋なデュエルではない点が事態に拍車をかけます。リアルファイト中に相手をロックすればこちらはモンスターを出し放題で相手は自分だけで戦う破目になる、一方的な展開が待っています。

 

「これでお前たちのモンスターの特殊召喚は封じた。容疑者を確保しろ!」

 

 案の定カンナは自分のターン終了宣言をしないままに部下に容疑者の拘束を命じました。ヴァルキューレの生徒が次々と召喚する《ゴヨウ・ガーディアン》を初めとする「ゴヨウ」モンスターたちから飛ばされた十手が相手をぐるぐる巻きに拘束。逮捕していきます。

 

 容疑者は口々に「卑怯だぞ!」や「なんだよそのインチキモンスターは!」などとカンナを非難しますが、カンナは涼しい顔で部下たちと会話を続けます。護送車で運ばれていく容疑者を見送り、カンナは肩から力を抜きました。

 

「この【K9】がヴァルキューレで標準採用されるようになれば、D.U.区の環境は一変するでしょう。ただ……」

「ただ?」

「インフレが更にインフレを招き、環境がスピードオーバーにならなければ……と心配せずにはいられません」

「……そうですね」

 

 シンクロ召喚の加速で世界が滅亡した経験を経た私には痛いほど分かります。しかし現在のヴァルキューレが頼りないのもまた事実。この【K9】がキヴォトスの抑止力になることを願うばかりです。

 

 さて、テストプレイを見る限り【K9】デッキの調整はこの程度でいいでしょう。あとはカヤに報告し、正式に採用してもらえば彼女からの依頼は達成です。この出来ならきっと彼女も満足してくれるはずです。

 

 

 ◆三人称視点◆

 

「SRT特殊学園FOX小隊隊長ユキノ、参りました」

「ご苦労さまです。休んで構いません」

 

 作戦行動よりも膨大な事務処理に追われていたユキノはカヤから呼ばれて連邦生徒会サンクトゥムタワーに足を運んでいた。カヤに敬礼したユキノは椅子には座らずにそのまま起立してカヤの言葉を待つ。

 

「では次の作戦を伝えます。まずはこちらを」

「これは……子ウサギ駅の図面ですか」

「明日0900、カイザーコンストラクションの貨物列車が子ウサギ駅の2番ホームに停車し、<A.N.T.I.O.C.H.>サーモバリック弾を降ろす……という建前になっています」

「……!」

 

 ユキノは息を呑んだ。

 

 <A.N.T.I.O.C.H.>サーモバリック弾、それはFOX小隊がSRTとしての最初の公開作戦で無力化した弾頭。市民の安全を考えてD.U.郊外で保管していた大量破壊兵器を市街地に運搬する。明確にキヴォトスの安全を脅かす行為だ。

 

「カイザーが現段階で街中でテロ行為をするメリットは無いと考えますが」

「ええ、故にカイザーはこう主張することでしょう。「思い通りにならないことに焦ったカヤはカイザーに命令して、地下サイロで爆破させた。彼女は逆らう者はこうなると見せつけ、キヴォトスを恐怖で支配しようとしていたのだろう」、と」

「……。防衛室長がカイザーと手を切らせないようにするための策だと?」

「建前は、と言いました。カイザーは鉄道網が整った駅地下に基地を設けることで軍事行動に出やすくし、それを放棄してでもこの作戦をやる価値がある、と見せかけたいようですが、彼らの真の目的は別にあります」

 

 カヤが机の上に広げたのは地下サイロの内部構造図。ただの軍事施設にしてはおかしなほど広い空間があり、その区画の中央には巨大な設備が築かれていた。映像資料でしか見たことないが、まるでミレニアムのモーメントのようだ。

 

「カイザーはこの設備で研究に取り組んでいるようです。そして何らかの実験を行おうとしている。成功すれば良し。失敗すれば先程のシナリオにもとづいて私からの指示だったと言い張る方針のようです」

「では今度の任務はSRTで地下サイロに潜入し、制圧しろということですか?」

「正確には違います。今回はヴァルキューレとの合同作戦です。カイザーが計画している大規模なテロ行為を未然に防ぐ、との建前で正面から突入してもらいます」

 

 作戦の概要は把握した。既に作戦開始まで24時間を切っている。迅速に準備を整えて配置につかなければ間に合わなくなる。ヴァルキューレとの連携も重要だから打ち合わせの場も早急に設けなければならない。

 

 しかし、と作戦行動には不要な懸案が頭に浮かんだ。カヤとカイザーは互いにビジネスパートナー。それをカヤから一方的に手を切るとなればカイザーは必ず報復してくるだろう。例えばカヤの汚職を暴露して道連れにするとか。

 

 ユキノは雑念を振り切り、作戦を受諾した。

 

「承知しました。それでは私は現時刻を持って作戦を開始します」

「あ、一つ条件があったのを忘れていました。誰でも構わないのでシャーレの先生に引率してもらうように」

「シャーレの先生に、ですか。迅速な作戦行動の足手まといになると思われますが、大人の立会が必要になることを想定しているのでしょうか?」

「実際に現場に行けば分かるでしょう」

 

 これ以上カヤからの説明は無いと判断し、ユキノは踵を返す。

 そしてそのまま退室しようとしたのだが、その前に部屋の中にZ-ONEとカンナが入ってきた。

 

「ベストタイミングですよ。さすがです、ユウセイ先生」

 

 カヤはこれを想定していたのか、愛想笑いではない笑みをこぼした。




◇尾刃カンナ(※情報が更新されました)
《極神皇トール》を返上したため、使用デッキは【K9】に変更。
純構築ではなく相性の良いカードをデッキに入れているため、完成度は高い。
ゲーム開発部が冗談半分で開発した【VS】と組み合わせて【K9VS】を構築するのはそう遠くない未来の話。

ご意見、ご感想お待ちしています。
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