Z-ONE先生のブルーアーカイブ5D's   作:福留しゅん

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"先生"、カイザーPMC理事を成敗する

 ◆三人称視点◆

 

 カイザーコーポレーション。

 キヴォトスにおいて様々な事業を展開する一大財閥である。

 

 グループ会社は多岐に渡り、金融業のカイザーローン、建築業のカイザーコンストラクション、重工業のカイザーインダストリーなどが有名だが、カイザーコーポレーションを語るなら民間軍事会社であるカイザーPMCも外せない。

 

 キヴォトスでデュエルモンスターズが普及している状況下において、カイザーグループもまた有効活用している。カイザーPMCといえば【マシンナーズ】、【サイバー流】が主流、それがキヴォトスでの共通認識だ。

 

 そんなカイザーグループだが、借金で苦しむアビドス高等学校から自治区の土地を買い占めている。それが"先生"の出張に端を発してアビドス高等学校側にバレた結果、カイザーPMCとアビドス高等学校の衝突に発展した。

 

 なお、法に照らせばカイザーグループの方が正しいのは明白だが、無理が通れば道理が引っ込むならぬデュエルで勝てば道理が引っ込むの心である。なお"先生"曰く「遊戯王ではよくあること」だ。

 

「北方に、少数ですが兵力を確認!」

「む、北方……!?」

 

 ゲヘナの風紀委員のヒナ、イオリ、チナツがカイザーPMCの増援として呼び戻される部隊の前に立ち塞がる。その正体が判明して一筋縄ではいかない相手だと判断、カイザーPMCの部隊は次々と《マシンナーズ・フォートレス》や《サイバー・ドラゴン》を召喚する。

 

「シンクロ召喚。来なさい、《魔王龍べエルゼ》」

「儀式召喚! 行くぞ、《終焉の覇王デミス》!」

「《堕天使ナース-レフィキュル》を召喚します」

「では私も遠隔ながら、エクシーズ召喚。ランク8、《魔鍵憑神-アシュタルトゥ》」

 

 風紀委員達も各々のエースモンスターを召喚。徹底抗戦の構えを見せた。

 結果、北方からの増援部隊は足止めを喰らい、決戦の場には行けなかった。

 

 突き進むアビドス高等学校の生徒達と"先生"の前に次々とカイザーPMCの兵士達やモンスターが立ちはだかるが、そんな行く手を阻むものを蹴散らすようにミサイルが降り注ぐ。そんな中、兵士達を蹴散らす最上級の天使族モンスターが一体。

 

"あれは……《マスター・ヒュペリオン》だね"

「えっ!? 《マスター・ヒュペリオン》って言ったら……!」

「ん、トリニティで最も使われるテーマ【代行者】デッキのエースモンスターだね」

 

 シロコの発言は間違っていなかったが、キヴォトスにおける【代行者】デッキ使いの第一人者といえば、ほとんどの者は同じ名を挙げることだろう。それほど彼女はトリニティで基本中の基本とも言えるデッキを使いこなす。

 

「"先生"には恩を売っておいて損はありませんからね」

 

 その人物こそトリニティのティーパーティーホスト、桐藤ナギサだった。

 アビドス高等学校の生徒と接触したヒフミの要望を受けての行動だ。

 

 なお、《マスター・ヒュペリオン》の使い手は無論ナギサ一人ではないため、本件をカイザーグループに咎められた場合は知らず存ぜずを貫き通す方針である。

 

 そういったゲヘナとトリニティの援護も貰いながら、"先生"達一行はアビドス高等学校の副生徒会長ホシノが囚われた場所へとたどり着いた。そこは砂に埋もれた学校の校舎、旧アビドス高等学校本館だった。

 

「よくぞここまで来たものだ、アビドス対策委員会」

 

 そんな一行の前にカイザーPMCの兵士達を引き連れてカイザーPMC理事が姿を見せる。カイザーPMCは動かせる全兵力を集結させ、総力戦に持ち込む作戦だった。シロコ達はホシノを救出するために強行突破の構えだったが、そこに新たな助っ人が姿を見せた。

 

「ふん。こっそり助太刀しようと思ったのに、そう上手くはいかなかったわね」

「じゃーん! やっほ~☆」

「……」

「お、お邪魔します!」

「ここは私たちに任せて、先に行きなさい!」

 

 便利屋68がカイザーPMC兵士達の相手を引き受けたため、シロコ達は先へと向かう。もう少しでホシノの位置まで到達するところだったが、彼女達の前にカイザーPMC理事が再び立ちはだかった。

 

「対策委員会……ずっとお前たちが目障りだった。あれほど懲らしめたのに、徹底的に苦しめたのに、毎日毎日楽しそうに! お前たちのせいで私の計画があぁぁっ!!」

「ふん、あんたみたいな下劣で浅はかなやつが何をしようと、私たちの心は折れたりはしないわよ!」

「ホシノ先輩を返してもらうよ」

「あなたみたいな大人に私たちは負けません!」

「はあっ、はあっ、はあっ……! はあーっ……」

 

 怒りに身を任せてシロコ達対策委員会一行に兵士や兵器、モンスター達をけしかけようとしたが、カイザーPMC理事は深呼吸をして落ち着きを取り戻す。その様子を見た"先生"はシロコ達に一旦止まるよう指示を出した。

 

「こうなっては仕方がない。私自らが相手してやろう。言っておくが私のデュエルは君たちのようなお遊戯とは違うぞ」

 

 その宣言と同時にカイザーPMC理事は左腕にデュエルディスクを装着する。

 

「相手フィールドには既に《サイバー・ドラゴン》が3体以上……来ます、先生!」

「魔法カード《パワー・ボンド》を発動。フィールド上の《サイバー・ドラゴン》3体を融合し、《サイバー・エンド・ドラゴン》を融合召喚する!」

 

 アロナの警告の直後、3体の《サイバー・ドラゴン》が合体し、三つ首の巨大な機械竜である《サイバー・エンド・ドラゴン》が召喚、咆哮を上げた。カイザーPMC十八番の戦術だが、単純だからこそ圧倒的な破壊力を誇る。

 

「エターナル・エヴォリューション・バースト!」

「《攻撃の無力化》を発動して、その攻撃を無効にする……!」

 

 三つの口から放たれた攻撃が着弾する寸前、シロコが罠カードを発動して吸収、難を逃れる。しかしその間もカイザーPMC兵士達は従えていた《サイバー・ドラゴン》を次々と融合させ、《サイバー・エンド・ドラゴン》を召喚していく。

 

「力こそパワー! 見たまえ、この圧倒的な兵力を。我々カイザーグループは《サイバー・エンド・ドラゴン》を初めとする強力なモンスターの使役を一般の兵士でも可能としている」

「ええ、確かにそれがカイザーPMCの厄介なところですね」

「確か数年前に恐れられたゲヘナの雷帝が従えた《降雷皇ハモン》が攻撃力4,000だったか? アビドスの生徒会長の《オシリスの天空竜》もせいぜい攻撃力6,000が限度。だが、この《サイバー・エンド・ドラゴン》は攻撃力8,000! どう足掻こうが太刀打ちできまい」

「ん、でも耐性は無いから《ミラフォ》で返り討ち」

「防御札ならいくらでもある。何しろこの人数差だからな」

 

 カイザーPMC兵士達もデュエルディスクを構える状態。このまま乱戦になれば数多の《サイバー・エンド・ドラゴン》による集中砲火で一網打尽にされてしまう。ノノミとセリカも覚悟を決めてシロコに続いてデュエルディスクを展開させるが……、

 

"私はEXデッキの《ガガガガマジシャン》を見せて《ガガガガンバラナイト》を特殊召喚。その効果で手札の《ガガガマジシャン》を特殊召喚する"

 

 いち早くモンスターを展開し始めたのは"先生"だった。

 これまで生徒の後ろで指揮を取っていた"先生"自らの参戦にカイザーPMC理事は「ほう」と声をこぼす。

 

"私はレベル4の《ガガガガンバラナイト》と《ガガガマジシャン》でオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚!"

 

 2体のモンスターが異次元の渦の中へと消えていき、「No.」特有のニュートラル体と呼ばれる収納形態が現れる。すぐさまニュートラル体は展開されていき、一体の戦士が登場した。

 

"現れろNo.39! 光の使者《希望皇ホープ》!"

 

 キヴォトスにおいて「No.」は一般的なモンスターエクシーズとして普及している。その中でも《希望皇ホープ》は最もメジャーと言って差し支えない。無論、その攻撃力守備力や効果は知り尽くされている。

 

「どんなランク4モンスターエクシーズを出すかと思ったらそいつか。《ダブル・アップ・チャンス》を使っても攻撃力はせいぜい5,000。我々の《サイバー・エンド・ドラゴン》には遠く及ばん」

"それはどうかな?"

「何だと……?」

 

 しかし、スズミが以前説明したようにその先、ランクアップまで出来る者は限られている。カードの効果に生徒の持つ神秘が合わないのか。ともあれ、そんな環境下なため、キヴォトスではランクアップ後のモンスターエクシーズについてはあまり良く知られていない。

 

"アロナ。さっそく使わせてもらうよ"

「はい、先生! ヌメロンの力の一端、使って下さい!」

 

 "先生"が持つタブレットからの返事はカイザーPMC理事に聞こえはしなかった。それどころか"先生"の傍にいたシロコ達アビドス高等学校の対策委員一同も先生が独り言を言っているようにしか思えなかった。

 

 故に、今のアロナの発言がキヴォトスでどれほどの意味を持つか。それが分かるものはこの場には誰一人としていなかった。"先生"にも、当のアロナ自身にすら。

 

"私は《RUM-ヌメロン・フォース》を発動! 《希望皇ホープ》1体でオーバーレイ・ネットワークを再構築、カオス・エクシーズ・チェンジ!"

「な、何だと!?」

"現れろCNo.39! 希望に輝く魂よ、森羅万象を網羅し、未来を導く力となれ! 《希望皇ホープレイ・ヴィクトリー》!"

 

 そのため、カイザーPMC理事は当然のこと、アビドス生徒一同もまた《希望皇ホープ》のランクアップ先を見るのは初めてのことだった。装甲を纏った《希望皇ホープ》は目にしたものに全く違った印象を覚えさせた。

 

「だ、だが! 攻撃力8,000の《サイバー・エンド・ドラゴン》に敵うものか!」

"《希望皇ホープレイ・ヴィクトリー》の効果発動! 攻撃宣言時、オーバーレイユニットを1つ取り除き、相手モンスターの攻撃力分攻撃力をアップする! ビクトリー・チャージ!"

「ぐっ……! なら伏せていた速攻魔法《リミッター解除》を――」

"無駄だよ。《ホープレイ・ヴィクトリー》が攻撃する場合、相手は魔法・罠カードを発動できないからね"

「ば、馬鹿な!?」

 

 《ホープレイ・ヴィクトリー》からもう2本の腕が生え、計4振りの剣で《サイバー・エンド・ドラゴン》に斬りかかる。Vの字を2つ書くように一閃。三つ首機械竜の巨体が切り裂かれた。

 

"いっけぇ《ホープレイ・ヴィクトリー》! ホープ剣・ダブルビクトリースラッシュだ!"

「ぐあああぁぁっ!!」

 

 デュエルではない戦闘だったため爆散した《サイバー・エンド・ドラゴン》の爆風をもろに食らったカイザーPMC理事は、絶叫を上げて大きく吹っ飛ばされる。砂の地面を勢いよく転がっていき、最後には倒れ伏した。

 

 カイザーPMCの主力モンスターが撃破されたことを受けてカイザーPMCの兵士達に動揺が走る。それとは逆にシロコ達アビドス対策委員会の生徒は活路が開かれたことを喜び、勢いづいた。

 

"さあ、このまま立ちはだかる連中を退けてホシノを助けよう"

「「「はいっ!!」」」

 

 この後の顛末は語るまでもないだろう。

 シロコ達は無事にホシノを救出し、アビドス高等学校は日常を取り戻す。

 しかし彼女達の道はこれで終わりではない。再び走り出したばかりなのだ。




◇"先生"
使用デッキは【オノマトペ】
エースモンスターは《希望皇ホープ》
切り札は《希望皇ホープレイ・ヴィクトリー》、他ホープの各ランクアップ形態

◇カイザーPMC理事
使用デッキは【サイバー流】
エースモンスターは《サイバー・エンド・ドラゴン》
切り札は《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》

◇火宮チナツ
使用デッキは【シモッチバーン】
しかし《シモッチによる副作用》を使うのはまれで、《堕天使ナース-レフィキュル》を多用する。ちなみにリアルファイト時は自身のEXスキルやノーマルスキルを相手にかけることでダメージを与えられる。

◇天雨アコ
使用デッキは【魔鍵】
エースモンスター兼切り札は《魔鍵憑神-アシュタルトゥ》

◇アロナ
使用デッキは【■■■■(アニメ版)】
エースモンスターは《********■■■■■■■■■■(アニメ版)》
切り札は《*********■■■■■■■■■■■■■■■■■(アニメ版)》

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