Z-ONE先生のブルーアーカイブ5D's   作:福留しゅん

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カヤ、三極神の力を結集させる

 ◆三人称視点◆

 

 

「《No.86 H-Cロンゴミニアント》の効果を発動します! オーバーレイユニットを5つ以上持つ時、相手フィールドのカードを全て破壊します! 聖槍、抜錨!」

 

 SRTのミヤコが召喚したモンスターエクシーズが己の槍を投擲すると、D.U.区の天を覆っていたモンスターの群れが次々と撃ち落とされていく。爆発は昼に咲く花火のように連続して空を明るくした。

 

 天空に浮かぶ碧色の巨大な結界が不気味に輝き、《ロンゴミニアント》を激しく照らし出す。しかし《ロンゴミニアント》はそれをもろともせずに突き進む。結界から無尽蔵に湧き出るモンスターも次々と《ロンゴミニアント》が葬り去っていく。

 

 オレイカルコス、それがD.U.区に発生した異変の名称である。オレイカルコスの結界により凶暴化したモンスターたちをヴァルキューレ、SRTが共同して駆除にあたっている。そして、そんなオレイカルコスのモンスターを従える個体が1つ。

 

「んー。デュエルだと最強ロンゴミニアント1体出せば勝ったも同然だけど、実戦だとそうもいかないな」

「神のカードではありませんから、そこまで広範囲に効果を発揮できるほどではありません」

「でもこれでやっとあのでかい的を狙いやすくなったよ。一斉砲撃する?」

「いや、私がやる。《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》の効果で相手フィールドのモンスターは全てドラゴン族扱いにする。《バスター・ブレイダー》で攻撃だ。ドラゴンバスターブレード!」

 

 迫りくるモンスターをかいくぐったバスター・ブレイダーが《オレイカルコス・シュノロス》を両断。大爆発をあげた。これで厄介だった大物が片付き、後は掃討作戦を地道に続ければ良い。ヴァルキューレ生の何人かはそう考えた。

 

 しかし、そんな楽観とは裏腹に、オレイカルコスの三重結界がこれまでにないほどに強く輝き、中央から摩天楼を彷彿とさせるほど巨大な禍々しき蛇が滑るように姿を表した。

 

「データベースと照合……うん、間違いない。アレは《邪神ゲー》だね」

「神かぁ。そうなると当然あのでかいのの効果はカードテキスト通りじゃないんだよな」

「オレイカルコスのモンスターはエノク語で書かれていて、既に解明されています。《邪神ゲー》の効果は……えっ!? 攻撃力無限大……!?」

「ひゃぅっ……!? か、勝てっこありませんよぉ……!」

 

 蛇に睨まれた蛙とはまさにこのこと。邪神に睨まれたヴァルキューレの生徒たちはすくみ上がり、金縛りにあったかのように動けなくなる。邪神が口から吐き出す瘴気により最強ロンゴミニアントも容易く葬り去られ、再び結界より無数のモンスターが湧き出した。

 

 無限大の力を持つ邪神へ敵うすべがない。ヴァルキューレ生、SRT生の銃弾、砲弾をもろともせず、召喚するモンスターは次々と蹴散らされ、邪神はその巨体を地上に下ろそうとしていた。

 

 そんな時、D.U.区の大空に流星が輝いた。

 

 その流星はオレイカルコスのモンスターを次々と倒しながら飛翔し続ける。ミユがスコープでその正体を確認。その白き身体をしたスマートな竜は今やキヴォトスにおいて誰もが知っていた。

 

「《スターダスト・ドラゴン》……!」

「スターダスト? ですがユウセイ先生はまず別の自治区に向かったのでは?」

「んーちょっと待ってー。……あー、ありゃちょっと違うみたい」

「《スターダスト・ドラゴン》と似て非なるモンスター? じゃあ、もしかしてあのドラゴンは……」

 

 モエも双眼鏡でその姿を確認。ドラゴンには《スターダスト・ドラゴン》には無い紋様が描かれている。そしてドラゴンに騎乗するのはZ-ONEではなく、2人の生徒だった。

 

 そのドラゴンは《閃珖竜スターダスト》。

 召喚者はトリニティ総合学園の聖園ミカ。

 彼女はエースモンスターと共に邪神へと肉薄する。

 

「《閃珖竜スターダスト》で《邪神ゲー》に攻撃するね! シューティング・アサルト!」

「この瞬間、手札の《オネスト》を捨てて効果発動。《閃珖竜スターダスト》に《邪神ゲー》の攻撃力を加算する」

「更に《閃珖竜スターダスト》の効果でスターダストは戦闘、効果では1度まで破壊されないよ。ソニック・バリア!」

 

 同乗していたツルギが召喚したオネストがスターダストとともに大空を羽ばたく。スターダストとオネストは蛇神ゲーの吐き出す瘴気をもろともせず、天翔ける煌星となって突進。蛇神ゲーを貫いた。

 

 絶叫を上げて蛇神ゲーが崩れ落ちる。その巨体がD.U.区の都市に激突する寸前、初めからいなかったかのようにゲーの姿は消えた。その様子は蜃気楼ではなく電脳空間上でバグにより消失したように感じられた。

 

 ミカは感謝を述べようとするヴァルキューレ生には見向くどころか視線を落としもせず、ツルギと共に空の向こう、サンクトゥムタワーへと消えていった。

 

「攻撃力無限大の化け物をあんな一瞬で……。やっぱ強いやつは強いよな」

「ともあれ、あれで敵の総大将は撃破出来ました。あとは油断せずに掃討作戦を続行……」

「いや、ちょっと待って。空に浮かぶオレイカルコスの結界の様子がおかしいよ」

 

 モンスターを発生させていたオレイカルコスの三重結界は鳴動し、その形を変えていく。やがては1体のモンスターの姿を描き、実体化した。先程出現した大蛇の邪神ゲーを駕ぐ禍々しき波動を発する、邪龍となって。

 

 モエが慌ててデータベースにアクセスして照合するが、データに存在しない。《オレイカルコス・シュノロス》、そして《邪神ゲー》がオレイカルコスの要だとの想定を超えられた形だ。

 

「どどど、どうしよう?」

「狼狽えるな。あれはオレイカルコスの主神。つまり正真正銘あの邪龍を倒せば終わりだ」

 

 対策を講じようとしたRABBIT小隊に声をかけたのはヴァルキューレのカンナ。彼女はいつも通りタブレットを抱え、コーヒーカープに注がれたコーヒーをすする。彼女の両脇にはヴァルキューレのキリノとフブキもいる。

 

「いや~まさにこの世の終わりって感じだね」

「ですがどんな神が襲来したって私たちは負けません!」

「ええ、キリノの言うとおりです」

 

 そしてカンナたちの後ろから姿を表したのは、間一髪サンクトゥムタワーからの脱出に成功したカヤだった。連邦生徒会役員の登場にRABBIT小隊は警戒心を強めるが、「よせ、この人は味方だ」とのカンナの言葉に銃を下ろす。

 

「オレイカルコスの主神はユウセイ先生も記録で見たことがあるらしい。かつて三幻神と死闘を繰り広げて討伐されたのだとか」

「つまり、あの邪神は三幻神が結集すれば勝てない相手ではないわけですね」

「三幻神が勝てる相手だったら私たちの神様で勝てないわけがありません!」

 

 カヤ、カンナ、キリノの3名はデュエルディスクにそれぞれカードを1枚フィールドにセットした。すると遠くで海が割れ、天より光が降り注ぎ、空間の隙間から腕が現れてこじ開けられる。

 

 海から巨大な槌を持つ神が姿を表す。

 空間から世界を笑う神が姿を表す。

 天空より光とともに威厳ある神が姿を表す。

 

「星界の扉が開くとき、古の戦神がその魔鎚を振り上げん。大地を揺るがし轟く雷鳴とともに現れよ!」

「星界より生まれし気まぐれなる神よ、絶対の力を我らに示し世界を笑え!」

「北辰の空にありて全知全能を司る皇よ! 今こそ星界の神々を束ね、その威光を示せ!」

「光臨せよ、《極神皇トール》!」

「光臨せよ、《極神皇ロキ》!」

「天地神明を統べよ、最高神、《極神聖帝オーディン》!」

 

 星界の三極神、降臨。

 三極神とオレイカルコスの主神が対峙する。

 摩天楼より巨大な姿で顕現した三極神の迫力はオレイカルコスの主神に勝るとも劣らない。

 

「《極神皇トール》で攻撃! サンダーパイル!」

「《極神皇ロキ》で攻撃です。ヴァニティバレット!」

「《極神聖帝オーディン》で攻撃します! ヘヴンズ・ジャッジメント!」

 

 三極神それぞれが放った攻撃とオレイカルコスの主神が口から放った攻撃が空中で激突、D.U.区全体に衝撃波を巻き起こす。飛び交っていたモンスターたちはその余波だけで吹き飛ばされ、応戦していたSRTの軍用ヘリも慌てて離脱する。

 

「あいにく、いつまでも貴方達に手間取っている暇は無いんですよ。淘汰された時代遅れの神には消えてもらいます!」

 

 カヤの宣言とともに三極神の攻撃が次第に優勢となり、やがてオレイカルコスの主神に到達。オレイカルコスの主神の身体から光が溢れ出し、やがてその姿が光とともに消えていった。

 

 ヴァルキューレに伝わる星界の三極神についてはヴァルキューレ生の誰もが知っているし、SRTも把握している。しかし3体が揃ってその力を示したのはこれが初めて。邪神が討ち果たされ、暗雲が晴れて太陽の光が降り注ぐ地上で佇む3体の神々。その姿を目の当たりにした生徒たちの記憶に深く刻まれることとなる。

 

「さて、オレイカルコスの主神は倒しましたが、戦いが終わったわけではありません。ヴァルキューレとSRTの皆さんは引き続き出現したモンスターの掃討をお願いします」

「! RABBIT 1了解。では私たちは引き続き任務に当たります」

 

 手を叩いたカヤの発言を受けてミヤコたちは持ち場から移動する。カヤもまた付近に駐輪していたDホイールにまたがった。カンナもまた同じように白バイにキーを刺してエンジンを起動させる。

 

「行くんですか、カンナさん、カヤ室長」

「ああ。この場は任せる。引き続き市民の避難誘導とモンスターの駆除を任せる」

「戻ってきたら「マスタードーナッツ」のボックスセット一緒に食べよっか。新商品出たんだって」

「そうだな……。最後にそれも悪くない」

 

 カヤとカンナは次なる戦いの場へと向かっていった。

 サンクトゥムタワーへ、シャーレの閉鎖を防ぐために。そして全ての異変を収束させるために。




ちなみにカヤは剪定事象においてオレイカルコスの主神に何度か敗れています。それどころか蛇神ゲーさえ出現させられずに滅亡した世界線もありました。原因はトールやオーディンの使い手が見つからなかったので。三極神召喚にこだわったのはそれも理由です。

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