原作で連邦生徒会の描写が詳しくなれば追加する予定です。
ちなみに現時点での予定は以下のとおりです。
・ワイルドハント参戦。スモモの相手はアキラ
・アユムの相手はミカ、もしくはミカとネルのタッグ
・《G・O・D》使いの相手はホシノとヒナのタッグ
・防衛室にはカヤとカンナが殴り込み
◆三人称視点◆
「え、と……後幾つの行政委員会を相手しなきゃいけないんだったかしら?」
「だいぶ進んだから、後は会長直下の総務室ぐらいじゃないかな?」
アビドスのホシノ、ゲヘナのヒナ、トリニティのミカ、ミレニアムのネル、そしてワイルドハントの生徒たちから背中を押されて次のエリアに進んだアルたち一行は、いよいよ総務室エリアへと足を踏み入れた。
しかしアルたちの前には総務室の行政官は姿を見せなかった。いや、正確には廊下を行き交う行政官はいるのだが、彼女たちはアルたちを素通りさせるばかりで、これまでとは打って変わって不気味なほどに大人しかった。
「連邦生徒会長室に繋がるドアは……ロックされてるわね」
「クラッキングで突破されないように機械式の鍵もいるみたい。各行政委員会の室長が持ってるのかな」
「それでは迎え撃った室長を倒して進まなければいけなかったんですか?」
「いえ、それは違いますわ。皆様が並行して戦って、後から勝利して獲得した鍵をかき集めればいいのですわ」
「じゃ、じゃあ……私たちはこのエリアを守る室長を倒さなきゃいけないんですね……」
「首席行政官……まだ引き継いでなかった筈だから、リン首席行政官ね」
進むべき道が閉ざされていたため、アルたち一行は首席行政官執務室へと向かった。部屋のロックは解除されていたため、彼女たちはあっさりと部屋の中に通される。部屋の中にいたのはリン一人。
「ようこそ、本日シャーレ当番を担当している皆さん」
リンは眼鏡を拭いてからケースに入れる。
それからリンは伸びた髪を頭の後ろにまとめ上げた。
まるでこれから行われる戦いの邪魔だと言わんばかりに。
「厳戒態勢が敷かれたサンクトゥムタワーのセキュリティを解除するには行政委員会の各室長、そして首席行政官から鍵を貰う必要があります。つまり、貴女方の相手は私になります」
「リン……。アリスたちに譲ってもらえませんか? シャーレの先生がいなくなってしまってはアリスも悲しいです」
「……。それは出来ません。私は連邦生徒会長に味方すると決めました。アリスたちが正しいと言うなら、私に勝ってみせなさい」
「アリス、理解しました。答えはデュエルの中で見つけるしかありません!」
アリスが光の剣スーパーノヴァのデュエルディスク機能を起動しようとすると、リンはそれを手で制した。代わりにリンは窓の外を指差す。サンクトゥムタワーをかなり昇ってきたため、大地に広がるD.U.区の都市がかなり小さく見えた。
そんな高度の首席行政官執務室と同じ高さに、突如として紫色の炎が走った。それはアルたちのいる位置からは何が起こっているのか理解できなかったが、地上でまだ戦うヴァルキューレやSRTの生徒は上空に描かれたのが絵だと分かった。
「では、ライディングデュエルで決着を付けましょう。サーキットはご覧の通り上空に描かれたコンドルの地上絵です」
「ち、地上絵……!?」
それを聞いたアルを初めとする便利屋68一同は驚愕する。
ゲヘナには多くの神秘が眠っているが、今回ゲヘナで出現した地縛神もそのうちの一つだ。
しかし、地縛神そのものだけが出現したなら討伐すれば終わりだが、問題は地縛神の担い手が出現した場合。地縛神の担い手との決闘は冥界の儀式とも呼ばれ、地上絵の上で行われるとか。
「一人ずつ相手するのも手間ですので、シャーレ当番3名同時に相手しましょう」
「随分と余裕ですのね。それで、変則ルールはどうしますの?」
「ライフは4名それぞれで8,000、フィールドや墓地は独立したサバイバル戦で。しかしそれでは一人で相手する私が不利なので……そうですね、先攻と手札倍くらいのハンデは貰いますか」
「はぁ!?」
アルは思わず声をあげた。デュエルモンスターズにおいて手札の枚数が多ければ多いほど打つ手が多くなる。手札を倍にしてスタートダッシュを決めてしまえば、極論先攻ワンキルすら容易になってしまうではないか。
「ちょっと、手札倍なんて冗談じゃないわ! そんなの認めるわけが……」
「アル様。お待ちくださいませ。こちらは後攻とは言え3人がかり。リン様は先攻ドローがありませんので手札10枚。こちらはドローカードを合わせて18枚。充分に巻き返せますわ」
「……。なら後攻1ターン目から攻撃可能にさせて頂戴。それならいいわよ」
「分かりました。その条件で構いません」
リンは部屋の片隅を指さした。そこには複数のDホイールが駐輪してあり、そのどれかを選んでライディングデュエルに望むように促す。
アルはどんな仕事でも受注出来るようDホイールを所有しているが、首席行政官執務室どころかサンクトゥムタワーにも持ってきていない。
ユカリも虚妄のサンクトゥム出現時のZ-ONEに感化されて新たにDホイールを買ってはみたものの、百鬼夜行では盛んでないこともあって車庫の中だ。
「大丈夫です。問題ありません! Dホイールは呼べばいいんです!」
「呼ぶって、ここに? オートパイロットで来てもらうにしたって時間がかかるでしょうよ」
「Dホイーラーならいついかなる時でもライディングデュエル出来るようにすべき、ってユウセイ先生も言ってました! なのでユウセイ先生はDホイールにはDホイーラーのもとに来る機能を追加したんです!」
それはアンチノミーやプラシドがDホイールを呼び出した技術のちょっとした応用。Z-ONEは生徒たちのDホイールのメンテナンス時にその機能を追加し、マニュアルを渡していた。もっとも、マニュアルを読まないままの生徒が半分以上だが。
アリスがスーパーノヴァを操作すると、アリスの側でワームホールが開き、アリスのDホイールが姿を表した。驚くアルと感心するユカリが同じ操作をすると、彼女たちのDホイールが転送されてくる。
「こんな便利な機能があるなんて凄いじゃないの」
「ソリッドビジョンといい、デュエルモンスターズに使われる技術って結構とんでもないよねー」
「軍事転用されないように法律で定めるまでに結構苦労があったって教わった」
「とにかく、これで私たちも万全の状態でライディングデュエルに望める……」
そこでふとアルは気付いた。彼女は自分のデッキを確認し、冷や汗を流しながらリンを見やった。
「ところでこのライディングデュエル、サバイバル戦以外は普通のマスタールールかしら?」
「? ライディングデュエルなんですから、当然《スピード・ワールド》は使いますよ。デッキ調整するのでしたらどうぞ」
「やっぱり! 魔法カード抜いて「SP」魔法カード入れなきゃ……」
アルは《紅蓮魔竜の壺》や《コール・リゾネーター》等を抜き、それを聞いたユカリも《黒い旋風》等の枚数を調整、アリスもまた《調律》などを抜いて「SP」を加え直した。
「準備はいいですね?」
「ええ、バッチリよ」
「アリスもスタンバイオッケーです!」
「身共も準備完了ですわ」
「では見せましょう。2つの神を」
アリス、アル、ユカリがDホイールに跨ってスタンバイ完了。リンもまた自分のDホイールに乗ってエンジンを起動、アリスたちに並ぶ。リンがディスプレイを操作すると部屋の窓ガラスが開いていき、進行方向が開けた。
「アル様は必ず勝ちます……!」
「アルちゃん、頑張って!」
「みんなも絶対負けないで」
便利屋68の社員が見守る中、皆エンジンをふかした。
「「「「ライディングデュエル、アクセラレーション!」」」」
そして、連邦生徒会長への道を賭けたデュエルが始まった。
◆◆◆
上空に描かれた地上絵でのライディングデュエル。高度があるためか地上よりも寒く、風も吹き荒ぶ。更にはサンクトゥムタワーから離れるごとにオレイカルコスのモンスターの数も増え、虎視眈々とアルたちを狙っているようだった。
「では私の先攻からです」
リン首席行政官の公式デュエルのデータは少ないが、それでも彼女のデッキは【インティ&クイラ】だと記録されている。リアルファイト時もリンは《太陽龍インティ》を召喚しており、卒業間近の今になってデッキを一新することは有り得ない。アルはそう読んでいた。
「まず、手札を1枚墓地に捨て、手札の《使神官-アスカトル》を特殊召喚します」
「えっ!?」
「その後、デッキから《赤蟻アスカトル》を特殊召喚」
しかしその読みは早々外れてしまった。レベル5モンスターを妥協召喚するのは同じだが、リアルファイトでの《太陽の神官》のイメージが強く、未知なるモンスターを召喚されるとは予想していなかった。
「レベル5《使神官-アスカトル》にレベル3《赤蟻アスカトル》をチューニング。太陽昇りし時、全ての闇を照らし出す。降り注げ光よ。シンクロ召喚。出なさい、《太陽龍インティ》」
「出たわね、首席行政官のエースモンスター……!」
「続いて、手札を1枚墓地に捨て、《死神官-スーパイ》を特殊召喚します。その後、デッキから《スーパイ》を特殊召喚」
「合計レベルは6……来ますわね!」
太陽のように眩く輝く龍をシンクロ召喚したリンは、続けざまに月のように静かに輝く龍をシンクロ召喚するためのシンクロ素材を揃えた。公式デュエルの記録ではこのままシンクロ召喚を行っていたが、今回は違った。
「《スーパイ》のテキスト外効果を発動します」
「て、てきすと外効果!?」
「このカードを《死神官-スーパイ》と共にシンクロ素材にする時、このカードをレベル11の「DT」として扱います」
「ダークチューナー? ……! ま、まさか……!」
アルも歴史の授業で学んだことがある。地縛神の担い手はチューナー以外のモンスターのレベルから「DT」のレベルを引いた、レベルマイナスのダークシンクロモンスターをダークシンクロする、と。
「レベル5《死神官-スーパイ》にレベル11となった《スーパイ》をダークチューニング。闇に月満ちる時、魔の囁きが聞こえ出す。死へと誘え。ダークシンクロ。出なさい、《月影龍クイラ》」
リンがダークシンクロした《月影龍クイラ》は公式記録に残されたシンクロモンスター版と姿は同じだった。しかしその纏う雰囲気は明らかに異なっていた。まるで生命の息吹を感じさせない、冥界の住人のようだ。
「手札から《ダンディライオン》を捨てたので効果発動。トークン2体を生成します」
「ちょっと! 《ダンディライオン》はキヴォトスでは禁止カードでしょうよ!」
「Dホイールが正常に処理しているので、問題ありません」
「アリス知ってます! 古の決闘の名残で、デュエルではルール外の処理が行われるんですね!」
リンはまだ召喚権を行使していない。フィールドには最上級モンスターのリリース素材になるトークンが2体。地上絵を出現させたことからもアルは大体の予想がついていたが、一体どの神が呼び出されるかは未知数だった。
「《綿毛トークン》2体をリリース」
トークンがフィールドから消滅した途端だった。リンたちよりも更に上空に得体のしれない不気味な物体が浮かび上がった。それはまるで黒い心臓。脈打つと、どこからともなく何かが吸収されていく。霊魂が生贄に捧げられる儀式のようではないか。
「地縛神の復活には人々の魂を生贄にする必要がありますが、このキヴォトスは数え切れないほどのやり直しの上で今が成り立っていますからね。生贄なら終演を迎えた世界で充分にあります」
「生贄……!」
「大地に封じ込められし我が神よ! 今こそ五千年の沈黙を破り、究極の破壊をもたらし給え! アドバンス召喚!」
黒い心臓が光の柱を発し、暗雲を突き破り、神が降臨する。
その姿は地上絵そのもので、その巨体もまたサーキットとなっている地上絵に匹敵する大きさだ。
何より、その禍々しき威圧感は呼吸すら困難とさせるほどだった。
「降臨なさい、最強の地縛神! 《Wiraqocha Rasca》!」
まず1体。リンは神の召喚を成功させた。
気づいた方もいるでしょうが、このデュエルは超官戦と同じマッチングとなっています。実は本概念を考えつく前から漠然とは想像を膨らませていたりします。それぐらい超官戦は個人的に好きです。
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