Z-ONE先生のブルーアーカイブ5D's   作:福留しゅん

184 / 195
アリス、リンとデュエルする⑥

 ◆三人称視点◆

 

 七神リン

 ライフポイント:4,700

 手札:0枚

 モンスターゾーン:《究極神アルティマヤ・ツィオルキン》、《地縛神Wiraqocha Rasca》

 伏せカード:《くず鉄のかかし》、他1枚

 

 陸八魔アル

 ライフポイント:6,100

 手札:《レッド・リゾネーター》、他1枚

 モンスターゾーン:《レッド・デーモンズ・ドラゴン》、《琰魔竜レッド・デーモン・ベリアル》、《琰魔竜レッド・デーモン・アビス》

 伏せカード:0枚

 

 勘解由小路ユカリ

 ライフポイント:1

 手札:0枚

 モンスターゾーン:《BF-フルアーマード・ウィング》、《ブラックフェザー・ドラゴン》

 伏せカード:2枚

 ※現在走行不可状態

 

 天童アリス

 ライフポイント:6,000

 手札:0枚

 モンスターゾーン:《シューティング・スター・ドラゴン》

 伏せカード:《セイヴァー・ミラージュ》

 

 現在アルのメインフェイズ1。スピードカウンターは各々6。

 

「バトル……いえ、その前に《琰魔竜レッド・デーモン・アビス》の効果発動が先ね。《究極神アルティマヤ・ツィオルキン》を対象に、効果を無効にするわ!」

「チェーンして罠カード《くず鉄の神像》を発動。除外されている《太陽龍インティ》を特殊召喚します」

「はぁ!? またソイツ……!?」

 

 アルが自分の下僕に命じると、リンがオープンしたリバースカードから赤き竜の像が出現した。その口から咆哮のような音が発生すると、空にワームホールが開き、太陽の龍が再び姿を表した。

 

「ご心配なく。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズにエクストラデッキに戻りますので」

「まあいいわ。効果解決して、究極神の効果を無効に……」

「《アルティマヤ・ツィオルキン》は自分の場にこのカード以外のドラゴン族シンクロモンスターが存在する場合、戦闘・効果の対象にはなりません。対象を失ったのでアビスの効果は不発です」

「な、何ですってー!?」

 

 《琰魔竜レッド・デーモン・アビス》が吐き出した炎を究極神は回避。どこかアビスも悔しそうな仕草を取った。

 

「そして、《くず鉄の神像》がセットされたことで《アルティマヤ・ツィオルキン》の効果を発動します」

「!? その効果って相手のターンでも使えるの!?」

「神のもとに馳せ参じなさい、《月華竜ブラック・ローズ》」

 

 神に呼び出されて薔薇のような姿をしたドラゴンが姿を見せた。

 

 アリスは知っている。慈愛の怪盗アキラが召喚したシンクロドラゴンの1体がこれだったと。あの時は紳士的な彼女に相応しく美麗であったが、今対峙するこの竜は獰猛なモンスターにしか思えなかった。

 

「《月華竜ブラック・ローズ》の効果を発動。《琰魔竜レッド・デーモン・アビス》をバウンズします。ローズ・バラード」

「くっ! 相変わらずいんちき臭い効果ね……!」

 

 ブラック・ローズの発した薔薇吹雪によってレッド・デーモン・アビスは吹き飛ばされていった。アルは愚痴をこぼしながら自分のフィールドからアビスのカードをエクストラデッキに戻す。

 

「バトルよ。まずは《琰魔竜レッド・デーモン・ベリアル》で《月華竜ブラック・ローズ》を攻撃するわ。グレート・サミット・ブレイカー!」

「罠カード《くず鉄のかかし》で攻撃を無効にします」

「でしょうね。なら《レッド・デーモンズ・ドラゴン》で《月華竜ブラック・ローズ》を粉砕するわ! アブソリュート・パワーフォース!」

 

 《レッド・デーモンズ・ドラゴン》による灼熱の掌底が《月華竜ブラック・ローズ》を粉砕する。そしてその余波で《太陽龍インティ》も破壊され、《月影龍クイラ》が代わりに昇り始めた。

 

 《レッド・デーモンズ・ドラゴン》で攻撃すればこうなるとは分かっていたが、ブラック・ローズをこのままにしては後のアリスたちの展開が困難となる。仕方がない。それにアルはあわよくば2体の神を焼き尽くせないかと少し期待していたのだが、《レッド・デーモンズ・ドラゴン》が発したデモン・メテオは、2体の神には効かないどころか、そもそも効果を発しなかった。

 

「へえ、2体の神は攻撃表示にしてるのね」

「《レッド・デーモンズ・ドラゴン》がいると分かっていながら神々を守備表示にはしておけません」

「そう。1枚伏せてターンエンドよ」

 

 次はユカリのターンだが、先程の地縛神の一撃で彼女は横転してしまっている。アリスが残念そうに自分のデッキに指を伸ばすも、Dホイールから自分のドローフェイズ以外のドローは禁止との警告音が発せられた。

 

「アル! まだアリスのターンじゃありません!」

「へ? でも私はターンを終わらせたから……。それじゃあ、もしかして……!」

 

 アルは慌てながらDホイールのモニターを操作する。映し出されたのは地上絵のコース、アルが走行している位置からはるか後方。その光景を目の当たりにしたアルとアリスは「あっ!」と声を上げた。

 

 ユカリがDホイールにうつ伏せでもたれ掛かりながら、オートパイロットモードで走行していた。そして力を振り絞って自分のデッキに手を伸ばし、ドローする。危うくカードが指からこぼれ落ちかけるが、かろうじてDホイールのカードスタンドに差し込めた。

 

「ユカリ!」

「駄目よ! 無茶しないで、後は私たちに任せて!」

「……身共は……百鬼夜行が誇る百花繚乱紛争調停委員会のすーぱーえりーと……勘解由小路ユカリですの……」

 

 ユカリは渾身の力を振り絞り、歯を食いしばり、身を起き上がらせる。今にも倒れそうな程満身創痍ではあったが、その目は鋭く2体の神、そして前方を見据えていた。

 

「友達や仲間が戦っているのに寝ているなんて……ありえませんわ!」

 

 ユカリは自分の側で飛び続ける《BF-フルアーマード・ウィング》を見やった。フルアーマード・ウィングはユカリへ頷くと、翼を大きく広げ、高速で地縛神に向けて突撃していく。

 

「《BF-ふるあーまーど・うぃんぐ》の効果を発動! 《地縛神うぃらこちゃらすか》を身共に傅かせますわ!」

「何ですって!?」

 

 リンは《Wiraqocha Rasca》を見やった。いつの間にか地縛神の頭部には楔カウンターが突き刺さっている。それを《BF-フルアーマード・ウィング》が更に拳で打ち付けると、《Wiraqocha Rasca》が絶叫を上げた。

 

 そう言えば、とリンは思い出す。《BF-フルアーマード・ウィング》は効果を発動した相手モンスターに楔カウンターを刺し、自分のターンに楔カウンターが刺さっているモンスター1体のコントロールを得られる、と。

 

「チェーンして《くず鉄の神像》を発動! 《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》を呼び戻します!」

「そう来ると……思っていましたわ……。ですがこれで2択を迫れ……ますわね……。《地縛神うぃらこちゃ……らすか》の効果を発……動。リン様のらいふぽいんとを1にしますわ……! ぽーらすたー・おべい!」

「っ……! ……。《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》の効果で、その効果を無効にし、神を破壊します」

 

 赤き竜の像から発せられた音で蘇った《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》は、リンへと双眸を向けて瘴気を発した地縛神に向けてエメラルド色の閃光を放つ。地縛神はうめき声を上げて爆散していった。

 

「私の神を……私の手で……」

「でかしたわユカリ!」

「これで神を1体撃破しました!」

 

 その光景を呆然と見つめるリン、喜び合うアルとアリス。そしてユカリは満足そうに微笑むと、気を失い……かけ、逆に思いっきりDホイールのハンドルに頭を打ち付けて気をしっかり保つ。

 

「《くず鉄の神像》が再セットされたことで究極神の効果を発動。現れなさい、《クリアウィング・ファスト・ドラゴン》」

 

 リンが呼び出したのはネルのもう1体のエースモンスター。アリスは神に従うその雄々しき緑の翼を持つ竜を目にして悲しくなってしまった。ネルが召喚した同じドラゴンはもっと頼もしく、もっと格好良かった。

 

「伏せ札の罠札《BF-ついんしゃどう》を発動……。墓地のれべる4《BF-黒槍のぶらすと》にれべる3《BF-上弦のぴなーか》をちゅーにんぐ、ふぁんとむしんくろ……。れべる7、《ABF-驟雨のらいきり》」

「……! 破壊効果持ちモンスター……! ですがこちらには《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》がいます。どうします?」

「そっちは本命ではありませんわ……! 「BF」が特殊召喚されたので……もう1枚の伏せ札、罠札《ぶらっく・りたーん》を発動……。《月影龍くいら》にはご退場願いましょう……!」

「くっ、バウンズカードでしたか……!」

 

 更に《ブラック・リターン》の追加効果でユカリはライフを回復するが、地縛神の攻撃で根こそぎ奪われた体力が戻って来る訳ではない。体中の痛み、めまいが猛烈に襲ってくる。

 

「札を1枚伏せて……身共は……これで手番を終了……」

 

 ユカリは《BF-フルアーマード・ウィング》の更なる効果を発動しようとして、止めた。楔カウンターが付いているモンスターは何も究極神だけではない。サバイバルバトルでは相手とはアルやアリスも含まれる。彼女たちのモンスターまで破壊するわけにもいかない。同じ理由で《ブラックフェザー・アサルト・ドラゴン》も召喚出来ない。アルやアリスにもバーンダメージを与えてしまうから。

 

 ユカリは最低限やるべきことをやったことに安堵し、Dホイールにうつ伏せになって倒れた。オートパイロットモードのため衝撃を受けなければユカリはこのままデュエルを続行できるが、次のターンに再びプレイング出来る力はもう残っていない、とアルもアリスも感じた。

 

「《くず鉄の神像》で特殊召喚した《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》はエンドフェイズにエクストラデッキに戻ります」

「ユカリ……アリスがバトンを受け取りました! アリスのターンです! ドローします!」

 

 ドローカードを確認したアリスは驚きの声を上げる。そして自分のカードと場を確認し、静かにセットした。

 

「どうやら起死回生のドローにはならなかったようですね」

「いいえ、まだです! アリスは《スピード・ワールド2》の効果を発動します!」

「でしたらこちらはチェーンして《くず鉄の神像》を発動。《月華竜ブラック・ローズ》を呼び戻し――」

 

 リンが《くず鉄の神像》を発動しようとした時だった、アルたちの遥か後方からナイフが飛び出たナイフツールが飛んでくると、オープンされようとしていたリンの《くず鉄の神像》を打ち抜き、破壊した。リンは何が起こったか一瞬分からなかったが、アルはひと目見て分かった。

 

「アレは確か、《盗賊の七つ道具》ね!」 

「先ほどユカリさんが伏せたカードですか……!」

「凄いです! ユカリはスーパーエリートなのです!」

 

 これでリンは次々とシンクロドラゴンを呼び出すすべを失った。




2体の神が並ぶ光景は壮観でしょうね。書けて大満足です。

ご意見、ご感想お待ちしています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。